JP 2010-18588 A 2010.1.28 (57)【要約】 【課題】 米糠発酵素材の新たな用途を提供する。 【解決手段】 米糠発酵素材を有効成分として含有する内臓脂肪増加抑制若しくは減少用 、抗肥満用、超低比重リポタンパク質中性脂肪増加抑制若しくは減少用、または高比重リ ポタンパク質コレステロール増加用組成物。米糠発酵素材を有効成分として含有する医薬 組成物、食品及び飼料。 【選択図】 なし (2) JP 2010-18588 A 2010.1.28 【特許請求の範囲】 【請求項1】 米糠発酵素材を有効成分として含有する内臓脂肪増加抑制若しくは減少用組成物。 【請求項2】 米糠発酵素材を有効成分として含有する抗肥満用組成物。 【請求項3】 米糠発酵素材を有効成分として含有する超低比重リポタンパク質中性脂肪増加抑制若 しくは減少用組成物。 【請求項4】 米糠発酵素材を有効成分として含有する高比重リポタンパク質コレステロール増加用 10 組成物。 【請求項5】 請求項1∼4のいずれか1項記載の組成物を含有する医薬組成物。 【請求項6】 請求項1∼4のいずれか1項記載の組成物を含有する食品。 【請求項7】 請求項1∼4のいずれか1項記載の組成物を含有する飼料。 【請求項8】 飼料が家畜用飼料又は愛玩動物用飼料であることを特徴とする請求項7記載の飼料。 【発明の詳細な説明】 20 【技術分野】 【0001】 本発明は、米糠発酵素材を含有する組成物及びそれを利用した医薬組成物、食品、飼料 に関する。本発明の組成物は、メタボリックシンドロームの予防及び改善に有用である。 【背景技術】 【0002】 発明者らは、米糠を乳酸発酵することによりγ-アミノ酪酸含有の機能性素材の製造法 を確立した(特許文献1)。 【特許文献1】特開2005−65691 【発明の開示】 30 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 上述したように、発明者らは米糠発酵素材の製造法については確立したが、本素材の生 理機能及び利用法については不明な点が多い。 【0004】 本発明は、以上の技術的背景の下、米糠発酵素材の新たな用途を提供することを目的と する。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、米糠発酵素材が内臓脂肪 40 増加抑制若しくは減少効果及び超低比重リポタンパク質中に含まれる中性脂肪の増加抑制 効果、ならびに高比重リポタンパク質中に含まれるコレステロールを増加させる効果を持 つことを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。 【0006】 即ち、本発明は、以下の(1)∼(8)を提供するものである。 (1)米糠発酵素材を有効成分として含有する内臓脂肪増加抑制若しくは減少用組成物。 (2)米糠発酵素材を有効成分として含有する抗肥満用組成物。 (3)米糠発酵素材を有効成分として含有する超低比重リポタンパク質中性脂肪増加抑制 若しくは減少用組成物。 (4)米糠発酵素材を有効成分として含有する高比重リポタンパク質コレステロール増加 50 (3) JP 2010-18588 A 2010.1.28 用組成物。 (5)上記(1)∼(4)のいずれかに記載の組成物を含有する医薬組成物。 (6)上記(1)∼(4)のいずれかに記載の組成物を含有する食品。 (7)上記(1)∼(4)のいずれかに記載の組成物を含有する飼料。 (8)飼料が家畜用飼料又は愛玩動物用飼料であることを特徴とする(7)に記載の飼料 。 【発明の効果】 【0007】 本発明により、内臓脂肪の増加、肥満、超低比重リポタンパク質中性脂肪の増加を抑制 することが可能になる。内臓脂肪の増加等は、糖尿病、動脈硬化、高血圧などの疾患を引 10 き起こす原因となる。本発明の米糠発酵素材含有組成物により、内臓脂肪の増加等が抑制 され、これらの疾患の予防及び改善につながる。また、高比重リポタンパク質中のコレス テロールは善玉コレステロールとも呼ばれ、動脈硬化などの疾患を予防する働きがある。 本発明の米糠発酵素材含有組成物により、これらの疾患の予防及び改善にもつながる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 以下、本発明を詳細に説明する。 【0009】 本発明の組成物は、米糠発酵素材を有効成分として含有するものであり、内臓脂肪の増 加抑制若しくは減少、抗肥満、超低比重リポタンパク質中性脂肪の増加抑制若しくは減少 20 のために用いられる。 【0010】 本発明の米糠発酵素材は、米糠発酵液、米糠発酵残渣等があげられるが、米糠を乳酸菌 で発酵させた米糠乳酸菌発酵物であれば特に制限を設けない。 【0011】 本発明の医薬組成物には、薬事法によって規定される医薬品が含まれるが、医薬品には 含まれないサプリメントのような医薬品と同様の機能及び形態をとるものも含まれる。 【0012】 本発明の医薬組成物は、有効成分である米糠発酵素材の他、賦形剤、安定剤、湿潤剤、 乳化剤、吸収促進剤、pH調整剤、界面活性剤、稀釈剤、担体、溶解助剤、矯味剤、保存 30 剤、芳香剤、着色剤、コーティング剤などの添加成分や水などを含むものであってもよい 。添加成分の具体例としては、でん粉、乳糖等の糖類、硫酸マグネシウム、タルク、ゼラ チン、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、大豆油、ゴマ油等の植物油 、動物油若しくは合成油、ガム類、エタノール、1,3−ブチレングリコール、ポリアル キレングリコール等のアルコール類などを挙げることができる。 【0013】 本発明の医薬組成物は、経口投与、非経口投与いずれの投与方法も採用することができ 、それぞれに適した医薬製剤の形態とすることができる。医薬製剤としては、例えば、液 剤、シロップ剤、注射剤、液状吸入剤、乳剤等の液状剤、錠剤、粉剤、顆粒剤、カプセル 剤、軟膏剤、固形吸入剤、座剤等の固形剤などを挙げることができる。 40 本発明の医薬組成物中の米糠発酵素材の含有量は、用途、剤型、配合目的等によって異 なるが、一般的には、組成物全量中0.1∼50質量%が好ましく、より好ましくは0.5∼30質 量%である。 【0014】 本発明の医薬組成物の投与量は、投与対象者の年齢、体重、投与方法などに応じて適宜 決めればよい。例えば、通常成人1日当たり米糠発酵素材0.01∼5000mg、好ましくは、0. 1∼3000mgを1日1回又は数回に分けて投与することができる。 【0015】 本発明の食品は、米糠発酵素材を有効成分として含有するものである。 【0016】 50 (4) JP 2010-18588 A 2010.1.28 食品の種類は特に限定されず、菓子、清涼飲料水、茶などの飲料、野菜又は果実加工品 、畜肉製品、調味料、乳製品、乳飲料、食用油、調理品、パン・シリアル、麺類などに広 く適用可能である。 【0017】 本発明の食品は、製造工程中に米糠発酵素材を添加すること以外はその食品の通常の製 造方法と同様に製造することができる。 【0018】 本発明の食品中の米糠発酵素材の含有量は、食品の種類などによって異なるが、一般に は、全量中0.01∼30質量%が好ましく、より好ましくは0.5∼10質量%である。 【0019】 10 本発明の飼料は、米糠発酵素材を有効成分として含有するものである。 【0020】 対象とする動物は、特に限定されず、イヌ、ネコ、観賞用鳥類(カナリア、インコなど )、観賞用魚類(キンギョ、熱帯魚など)などの愛玩動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマな どの家畜、ニワトリなどの家禽、ブリ、マダイ、ヒラメなどの養殖魚などを挙げることが できる。これらの動物の中でも、ヒト同様に内臓脂肪の蓄積、肥満などが問題となるイヌ やネコなどの愛玩動物や肉中に脂肪分が少ない方が好まれるニワトリなどを好ましい動物 として挙げることができる。 【0021】 本発明の飼料は、製造工程中に米糠発酵素材を添加すること以外はその飼料の通常の製 20 造方法と同様に製造することができる。 【0022】 本発明の飼料中の米糠発酵素材の含有量は、飼料の種類などによって異なるが、一般に は、全量中0.01∼30質量%が好ましく、より好ましくは0.5∼5質量%である。 【0023】 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。 【実施例1】 【0024】 試験概要 高脂肪食(High Fat Diet 32)を負荷したマウス(C57BL/6)に米糠発酵素材を投与し 30 、内臓脂肪増加抑制効果、血清脂質低下効果の有無を調べた。 【0025】 処理群 コントロール群:高脂肪食負荷のみ 米糠発酵素材投与群:米糠発酵素材(固形分比で高脂肪食に対して0.5∼10質量%)+ 高脂肪食 【0026】 処理期間 6週齢から2週間高脂肪食で予備飼育後、群分けし、8週齢から10週齢まで2週間処 理を行った。 40 【0027】 処理方法 各群、高脂肪食、米糠発酵素材含有高脂肪食は自由摂食させた。 【0028】 測定項目 体重、血清脂質(総コレステロール量、中性脂肪量、並びにカイロミクロン、超低比重 リポタンパク質、低比重リポタンパク質、及び高比重リポタンパク質中のコレステロール 量及び中性脂肪量)については、処理前後で測定した。肝臓重量、腸間膜脂肪重量、精巣 周囲脂肪重量については処理終了後に測定した。 【0029】 50 (5) JP 2010-18588 A 2010.1.28 測定結果 各測定項目の結果を図1、表1、表2に示した。 【0030】 図1に示すように、米糠発酵素材給与群は、無添加群に比べ、血清中の中性脂肪量の増 加が少なかった。このことから、米糠発酵素材には血清中性脂肪増加抑制効果があると考 えられる。 【0031】 表1に高脂肪食に米糠発酵素材を0∼10質量%添加した飼料を給与したマウスの体重 、肝臓重量、腸管膜周囲脂肪重量、精巣周囲脂肪重量を示す。米糠発酵素材給与群は、無 添加群に比べ、高脂肪食負荷後の腸管膜周囲脂肪重量及び精巣周囲脂肪重量の増加が少な 10 かった。このことから、米糠発酵素材には内臓脂肪増加抑制効果、抗肥満作用があると考 えられる。 【0032】 【表1】 20 【0033】 表2に高脂肪食に米糠発酵素材を1質量%添加した飼料を給与したマウスの血清中の主 要リポタンパク質に含まれる中性脂肪量を示す。米糠発酵素材給与群は、無添加群に比べ 、超低比重リポタンパク質中の中性脂肪量の増加が少なかった。このことから、米糠発酵 素材には超低比重リポタンパク質中性脂肪増加抑制効果があると考えられる。 【0034】 【表2】 30 【実施例2】 40 【0035】 試験概要 米糠発酵残渣を配合した市販配合飼料(通常食)を三元交雑豚(LWD)に給与し、血中 の総コレステロールならびに高比重リポタンパク質−コレステロール値を測定した。 処理群 コントロール群:市販配合飼料 米糠発酵素材投与群:米糠発酵素材(固形分比で市販配合飼料に対して10質量%)+市 販配合飼料 【0036】 処理期間 50 (6) JP 2010-18588 A 2010.1.28 生後36日目に群分けし、36日間処理を行った。 【0037】 処理方法 各群、市販配合飼料、米糠発酵素材含有市販配合飼料は自由摂食させた。 【0038】 測定項目 血清総コレステロール量、高比重リポタンパク質中のコレステロール量については、処 理前後で測定した。 【0039】 測定結果 10 測定項目の結果を図2に示す。 【0040】 図2に示すように、血清中の総コレステロール値は、36日間の試験期間中、市販配合 飼料給与区と米糠発酵素材配合飼料給与区間で、明らかな差は認められなかった。市販配 合飼料給与区における豚血清高比重リポタンパク質中のコレステロール値は、試験期間を 通じてほとんど変化しなかったことに対して、米糠配合飼料給与区の豚では増加した。こ の結果より、米糠発酵素材には、血清中の善玉コレステロールである血清中高比重のリポ タンパク質中のコレステロールを増加させる効果があると考えられる。 【図面の簡単な説明】 【0041】 【図1】高脂肪食に米糠発酵素材を0∼10質量%添加した飼料を給与したマウスの血清 中性脂肪量を示す図。 【図2】市販配合飼料に米糠発酵素材を10質量%添加した飼料を給与した豚の血清総コ レステロール値の変動を示す図。 【図3】市販配合飼料に米糠発酵素材を10質量%添加した飼料を給与した豚の血清高比 重リポタンパク質中のコレステロール値の変動を示す図。 20 (7) 【図1】 【図3】 【図2】 JP 2010-18588 A 2010.1.28 (8) JP 2010-18588 A 2010.1.28 フロントページの続き (51)Int.Cl. A23K FI 1/00 (2006.01) テーマコード(参考) A23K 1/00 101 A23K 1/00 103 (72)発明者 戸枝 一喜 秋田県秋田市新屋町字砂奴寄4−26 秋田県農林水産技術センター 総合食品研究所内 (72)発明者 樋渡 一之 秋田県秋田市新屋町字砂奴寄4−26 秋田県農林水産技術センター 総合食品研究所内 10 (72)発明者 佐々木 浩一 秋田県大仙市神宮寺字海草沼谷地13−3 秋田県農林水産技術センター 畜産試験場内 (72)発明者 菊池 継夫 秋田県湯沢市大工町4番23号 秋田銘醸株式会社内 (72)発明者 大友 理宣 秋田県湯沢市大工町4番23号 秋田銘醸株式会社内 (72)発明者 永田 新 秋田県秋田市山王三丁目1番1号 財団法人あきた企業活性化センター内 (72)発明者 松橋 亨 秋田県秋田市山王三丁目1番1号 財団法人あきた企業活性化センター内 Fターム(参考) 2B005 AA05 2B150 AA01 AA06 AB10 AC05 CA03 4B018 MD48 MD86 MD91 ME01 MF13 4C088 AB74 AC04 BA06 BA16 BA18 CA25 MA52 NA14 ZA70 ZC33 20
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