ベセスダシステムについて 大泉 News Paper No.48(2010.12.1 発行) 子宮頸部細胞診の検査をされた方はお気付きかとは思いますが、今年から子宮頸部細胞診の報 告書が少し変わりました。今回はその新しい報告様式(ベセスダシステム)についてのお話です。 1.ベセスダシステムって何ですか? 2009 年より「ベセスダシステム」という新しい診断記載が開始されました。ベセスダシステ ムは、米国を中心に世界中で採用されている子宮頸がんスクリーニングの報告様式で、標本の 評価、説明を目指した記述用語等の考え方です。諸外国においては、既にベセスダシステムに て婦人科頸部細胞診検査が運用されており、その表記が基準となっています。 2.ベセスダシステムのメリット ① 子宮頸部細胞診のために開発されている。 ② 診断が2分類となり臨床方針が立てやすくなる。 LSIL→経過観察 HSIL→コルポスコピー(子宮膣部拡大鏡診)・生検(患部の一部を切除し顕微鏡で病理学的に調べます。) ③ 報告様式(記載内容)が統一化されている。 ④ 細胞の採取方法から適正標本の基準とその扱いが統一される。 日母分類 (従来の分類) Ⅰ、Ⅱ ベセスダシステム 略語 陰性 NILM 細胞診の結果から推定される病変 Ⅰ:正常 Ⅱ:細菌感染 その他の非腫瘍性所見 Ⅱ-Ⅲa 意義不明異形扁平上皮 ASC-US 軽度扁平上皮内病変疑い Ⅲa-Ⅲb HSIL を除外できない異形扁平上皮 ASC-H 高度扁平上皮内病変疑い Ⅲa 軽度扁平上皮内病変 LSIL HPV 感染 軽度異形成※ Ⅲa Ⅲb 中等度異形成 高度扁平上皮内病変 HSIL Ⅳ 高度異形成 上皮内癌 Ⅴ 扁平上皮癌 SCC 扁平上皮癌 Ⅲ 異型腺細胞 AGC 腺異型または腺癌疑い Ⅳ 上皮内腺癌 AIS 上皮内腺癌 Ⅴ 腺癌 Adenocarcinoma 腺癌 Ⅴ その他の悪性腫瘍 Other その他の悪性腫瘍 上の表は現在使用している細胞診の結果報告書です。 ※異形成とは、正常と異なる状態で、癌ではありません。免疫力などにより、自然治癒していくも のが多いですが、中には長期間に渡り継続するものや、癌に進展するものがあります。その頻度 は、軽度・中等度異形成に比べ、高度異形成の方が高くなります。 ◎子宮頸部細胞診は定期的に受けましょう(結果が正常の人は1年に1回が目安です。) 病変ごとにどのような細胞が見られるか、一部掲載しましたので御覧ください。 核 細胞質 陰性(NILM) 軽度扁平上皮内病変(LSIL) 正常な子宮頸部の細胞です。細胞質は広く、核 核が大きくなり、核内が顆粒状になります。 が小さい様子が見られます。 高度扁平上皮内病変(HSIL) 扁平上皮癌(SCC) 核と細胞質の比率が高くなります。核内 核が更に大きくなり、細胞が破壊され原型を の構造も乱れてきます。 留めなくなります。 (参考文献・写真)スタンダード細胞診テキスト MBL(株)医学生物学研究所 担当 飯塚・横田
© Copyright 2024 Paperzz