病理組織・細胞診 病理組織・細胞診検査は、局所病変の診断上重要な検査です。しかも経過観察や治療効果・予後の判定など臨床的に 極めて重要な情報を提供する検査法です。 ■婦人科細胞診の結果 (ベセスダシステム:クラス分類対比) ■子宮頸部スメアから診断可能な腫瘍と経路 1)細胞診結果:扁平上皮系 結 果 略 語 推定される 病理診断 従来の クラス 分類 卵 管 英語表記 子宮体部 卵巣腫瘍 1)陰性 NILM Negative for 非 腫 瘍 性 所 見、 intraepithelial Ⅰ、Ⅱ 炎症 lesion or malignancy 卵管癌 運 用 異常なし: 定期検査 卵巣穿刺 子宮体癌 ●子宮内腹 擦過 ●子宮頸管内 ●タッチスメア ●穿刺細胞診 擦過 子宮頸癌 ●子宮膣部 ●腹水 2)意義不明な 異型扁平 上皮細胞 要精密検査: ① HPV 検 査 に よ る 判 Atypical 定が望ましい。 squamous cells 陰性:1 年後に細胞 軽度扁平上皮内 ASC-US Ⅱ-Ⅲa of undetermined 診、HPV 併 病変疑い significance 用検査 (ASC-US) 陽性:コルポ、生検 ② HPV 検 査 非 施 行 6 ヵ月以内細胞診検査 3)HSIL を除外 できない 高度扁平上皮内 ASC-H Ⅲa、Ⅲb 異型扁平 病変疑い 上皮細胞 Atypical squamous cells cannot exclude HSIL (ASC-H) 4)軽度扁平 上皮内病変 LSIL Low grade squamous intraepithelial lesion 5)高度扁平 上皮内病変 6)扁平上皮癌 HPV 感染 軽度異形成 Ⅲa HSIL 中等度異形成 高度異形成 上皮内癌 Ⅲa Ⅲb Ⅳ High grade squamous intraepithelial lesion SCC 扁平上皮癌 Ⅴ Squamous cell carcinoma ○ブールスメア 7)異型腺細胞 8)上皮内腺癌 略 語 AGC 腺異型または 腺癌疑い Ⅲ 上皮内腺癌 Ⅳ Adenocar腺癌 cinoma 9)腺癌 10)その他の 悪性腫瘍 other malig. その他の悪性腫 瘍 浸潤 要精密検査: コルポ、生検 びらん面 円柱上皮 重層扁平上皮 外子宮口 1回転させる 綿棒 従来の クラス 分類 推定される 病理診断 AIS ●頸部への転移・ 膣 癌 ■子宮膣部及び頸管内スメア採取方法 2)細胞診結果:腺細胞系 結 果 卵管采 Ⅴ Ⅴ 子宮頸管 綿棒 英語表記 取扱い Atypical glandular cells 要精密検査: Adenocarcinoma コルポ、生検、頸管お in situ よび内膜細胞診または 組織診 Adenocarcinoma 綿棒を用いて頸部外子宮 口ならびに扁平−円柱上 皮境界(肉眼的にはびら ん面と健常部)付近を主 として擦過、細胞を採取 綿 棒 を 頸 管 内 に 挿 入 し、 頸管円柱上皮細胞を擦過 採取、綿球に若干の出血 をみるくらいの強さで擦 過する。 Other malignant 要精密検査:病変検索 neoplasms ■子宮頸癌臨床進行期分類(FIGO) 1 0期 上皮内癌 Ⅰ期 癌が子宮頸部に限局するもの ( 体部浸潤の有無は考慮しない ) Ⅰ a 期:組織学的に微小浸潤癌(初期間浸潤)が確認されたもの Ⅰ b 期:Ⅰ a 以外のⅠ期癌 Ⅱ期 癌が子宮頸部をこえて広がっているが、骨盤壁または膣壁下 1/3 に達していないもの Ⅲ期 癌浸潤が骨盤壁まで達するもので、腫瘍塊と骨盤壁との間に cancer free space を残さない。または、 壁浸潤が膣壁下 1/3 に達するもの Ⅳ期 癌が小骨盤腔を超えて広がるか、膀胱、直腸の粘膜を浸すもの 98 ■肺癌の組織分類 分 類 型 細 分 類 型 臨床経過 転 移 比較的長い 少 な い 角化扁平上皮癌−角化傾向強く、癌真珠形成 Ⅰ.扁 平 上 皮 癌 Ⅱ . 腺 癌 非角化扁平上皮癌−大型細胞の敷石状配列、細胞間橋もときにみ る(基底細胞癌)−基底細胞が主、角化はない 円柱状細胞癌、立方状細胞癌、骸子状細胞癌、腺腔不詳のかなり 低分化癌も存在する 速 い 比較的短い 細気管支癌、肺胞上皮癌 局所リンパ節が主 大細胞癌−大型の円形∼多角形細胞 Ⅲ.未 分 化 癌 ( 単 純 癌 ) 小細胞癌−リンパ球大の細胞、円形の核、細胞質に乏しい ( 燕麦細胞癌 ) −細胞群を鍍銀繊維が取り囲む ( 癌胞巣形成 ) 速 い 短 い 広 範 多形細胞癌−大小不同の細胞 腺 表 皮 癌 分化した扁平上皮癌と腺癌の混在 組織成分により異なる (日本癌学会) 肺 癌 小細胞癌(SCLC) 非小細胞癌 (NSCLC) 10∼15% 85∼90% 大細胞癌 腺癌 扁平上皮癌 数% 50∼60% 25∼30% ■集団検診における喀痰細胞診の判定基準と指導区分 判 定 区 分 細 胞 所 見 指 導 区 分 A 喀痰中に組織球を認めない 材料不適、再検査 B 正常上皮細胞のみ 基底細胞増生 細胞異型軽度の扁平上皮細胞 繊毛円柱上皮増生 現在異常を認めない 次回定期検査 C 細胞異型中等度の扁平上皮細胞または核の増大や 濃染を伴う円柱上皮増生 程度に応じて 6 か月以内の再検査と追跡 D 細胞異型高度の扁平上皮細胞または悪性腫瘍の疑 いのある細胞を認める E 悪性腫瘍細胞を認める 直ちに精密検査 (日本肺癌学会 肺癌細胞診判定基準改訂委員会) ■喀痰細胞診における初回陽性回数別頻度 1 回目 2 回目 3 回目 4 回目 5 回目 6 回目 合 計 構成比 扁 平 上 皮 癌 473 131 78 32 14 30 758 51.5 腺 癌 295 77 31 15 12 11 441 30.0 大 細 胞 癌 12 2 2 0 0 0 16 1.1 小 細 胞 癌 115 29 7 8 0 3 162 11.0 他 55 19 14 3 1 3 95 6.4 計 950 258 132 58 27 47 1,472 100.0 64.5 82.1 91.0 95.0 96.8 100.0 そ 合 の 累計 構 成 比( %) 2 99 ■胃癌形態の肉眼分類 ■胃(腸)生検のグループ分類 Group Ⅰ 正常組織および異型を示さない良性病変 Ⅱ 異型を示すが良性と判定される病変 Ⅲ 良性と悪性の境界領域の病変 Ⅳ 癌が強く疑われる病変 Ⅴ 癌と確実に診断される病変 ■膀胱腫瘍組織学的異型度(Grade) G0 腫瘍細胞がなんら異型を示さないもので、乳頭状に増殖した上皮の配列が6層以下のもの G1 細胞異型、構造異型ともに軽度なもの G2 細胞異型、構造異型の少なくとも一方が中等度異型であるもの G3 細胞異型、構造異型の少なくとも一方が高度異型であるもの GX 組織学的異型度の評価が不能なもの 3 100
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