7 年ぶりにゼロ金利からの脱却~今後の政策金利と為替相場は?(米国)

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2015 年 12 月 17 日
アムンディ・マーケットレポート
アムンディ・ジャパン株式会社
7 年ぶりにゼロ金利からの脱却~今後の政策金利と為替相場は?(米国)
① 底堅い米国経済を受け、FF 金利誘導水準が 0~0.25%から 0.25~0.5%へと引き上げられました。
② FRB は年 1%程度の利上げを想定していますが、市場参加者の方がより慎重な見方です。
③ 日米金融政策の方向性の違い、FRB の適切な市場との対話が噛み合えばドルは底堅いと思われます。
インフレ環境改善の展望が持てる状態
12 月 15-16 日、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれました。今回の会合では、ほぼ利上げ
が確実視される中、今後の金融政策に対するスタンスが注目されていました。大方の予想通り、政
策金利である FF 金利の誘導目標は 0~0.25%から 0.25~0.5%へ引き上げられました。リーマン
ショック後、約 6 年にわたった量的金融緩和(QE)を経て、米国の金融政策はようやく正常化(政策
金利の操作によって政策が運営される形)となりました。
委員会終了後に発表された声明文によると、利上げ決定に至った理由として、雇用環境の十分な
改善、インフレ率が目標(+2%)を目指す展望が出てきたことが挙げられています。FOMC メン
バーの 16 年予想では、失業率は 4.7%と長期目標の 4.9%を下回り、雇用環境が順調に改善する
と見込む一方、インフレ率は+1.6%と長期目標の+2%を下回っているのに加え 9 月時点の予想
+1.7%からも下方修正されています。
インフレ率が目標未達成のうちに利上げに踏み切ることに対し、声明文では、インフレ率の実績と
期待双方を注意深く観察し、今後の政策判断に反映させるとしています。しかし、実質で+2%台の
経済成長率が中期的に維持されるという見通しであり、インフレ率は徐々に目標に近づくと見込ん
でいるのが現状です。
なお、QE によって保有している国債、機関債、MBS(モーゲージ担保証券)の償還分の再投資は
当面継続するとしました。ゼロ金利を解除する一方で、市場への潤沢な資金供給は維持し、性急な
引き締めによる景気への影響を排除する姿勢も示しました。
失業率(2016年予想、長期目標、実績)
(%)
7.0
(%)
※予想は、ここでは中心的傾向(全予想の上下3つを除いた
レンジ)の最大と最小の平均値を用いた
6.5
予想
長期目標
実績(四半期平均)
6.0
5.5
10-11月平均
5.0
1.5
1.0
0.0
14/3
6
9
12
15/3
出所:FRBのデータよりアムンディ・ジャパン作成
6
9
12
(年/月)
※予想は、ここでは中心的傾向(全予想の上下3つを除いた
レンジ)の最大と最小の平均値を用いた
2.0
0.5
4.5
インフレ率☆(2016年予想、長期目標、実績)
2.5
予想
長期目標
実績(総合・四半期平均)
実績(コア・四半期平均)
☆インフレ率:PCE(個人消費支出)価格指数(総合)の前年同月比
14/3
6
9
12
15/3
出所:FRBのデータよりアムンディ・ジャパン作成
6
9
10月
12
(年/月)
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今後の FF 金利に対する見方は FOMC と市場とで差がある
今後、どの程度のペースで、どの水準まで FF 金利を引き上げることが想定されるのでしょうか。
FOMC メンバーの予想(中央値)によると 16 年は 1.375%でした。これは、利上げ 1 回が 0.25%と
して年 4 回の利上げを想定しています。また、長期目標は 3.5%です。これは、実質 GDP 成長率と
インフレ率の長期目標が双方+2%であることを前提にしたものと見られます。
しかし、市場参加者のコンセンサスは、FF 金利先物市場から見ると、16 年末は 0.87%、国債の利
回り曲線(イールドカーブ)から推計した潜在的な短期金利(ここでは 3 カ月)は 1.25%、FF 金利に
引き直すとおおよそ 1%程度と想定されます。いずれも FOMC メンバーの予想を下回る上、17、18
年にはさらに差が拡大し、市場の方がより慎重な見方をしていることがうかがわれます。
FF金利誘導目標の予想の推移
(%)
4.5
今後のFF金利の予想
(%)
3.5
※ここでは全予想の中央値
4.0
先物市場でのFF金利見通し
3年国債の利回り曲線から推計した3カ月フォワード金利
FOMC参加者のFF金利年末予想(単純平均)
3.0
3.5
3.250
3.500
3.0
2.5
2.0
2.5
2.375
2.0
1.5
1.5
1.0
1.375
1.0
14年12月 時点の予想
15年06月 時点の予想
15年12月 時点の予想
0.5
0.375
0.0
14
15
16
17
出所:FRBのデータよりアムンディ・ジャパン作成
18
(年)
長期目標
0.5
0.0
15/12
16/12
17/12
出所:Bloomberg、FRBのデータよりアムンディ・ジャパン作成
18/12
(年/月)
ドル・円相場の行方
ドル・円相場は、日本の量的・質的金融緩和(QQE)による強力な資金供給で、円のドルに対する
相対的な余剰が強まり、約 3 年にわたってドル高・円安傾向が続きました。こうした中、米国が利上
げに踏み切ったことが、どのように影響するのでしょうか。
◇利上げ局面におけるドル・円相場の動き
80 年代後半以降の米国の利上げ局面とドル・ 利上げ開始 86年12月 94年2月 99年6月 04年6月
1年目
-18.3
-8.3
-11.5
-1.3
円相場を見ると、最初の 1 年はすべてのケース
2年目
-7.9
+7.6
+10.2
+4.0
でドル安・円高でしたが、2 年目は 4 回中 3 回
3年目
+17.2
+13.4
+4.6
+8.4
がドル高・円安、3 年目はすべてはドル高・円安 注1:プラスはドル高・円安
注2:94、99年は2年目、86、04年は3年目で利下げに転じた
でした。特徴的なのは 04 年のケースで、1 年目 出所:Bloombergのデータよりアムンディ・ジャパン作成
のドル安・円高も限定的でした。これは、FRB(米連邦準備制度理事会)が、経済・金融環境につい
て市場と認識の差が生じないよう「市場との対話」を重視した結果でもあると思われます。
利上げ局面は、特に初期段階においては経済への影響に対する懸念も交錯するため、市場が不
安定になりやすく、さらに今回は低インフレでもあるため、2 回目以降の利上げはさらに慎重さを要
するでしょう。また、金融緩和のスタンスが日本は維持もしくは拡大といった、米国と逆方向にある
中で、そこに FRB の適切な「市場との対話」が重なれば、大幅にドル安へ振れるリスクはそれだけ
小さくなり、ドル・円相場は底堅く推移すると思われます。
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