難 Q 29 1 聴 補聴器について教えてください。 補聴器の働き 補聴器の主要な働きには、次の3つがあります。 ① 音 を 増 幅 し ま す 。 例 え ば 、 50デ シ ベ ル の 音 を 40デ シ ベ ル 増 幅 し 、 90デ シ ベ ル の 音 に 換えます。 ②音質を調整します。例えば、低い音を強調したり、高い音を強調したりします。 ③大きすぎる音を抑えます。難聴児であっても、一定以上の大きさの音が耳に入ると、 うるさいと感じ、耳のためによくありませ ん 。 そ こ で 、 例 え ば 、 120デ シ ベ ル 以 上 の 音 が補聴器から耳に入らないようにします。 なお、デジタル補聴器には、騒音を抑制し、 会話音を強調する働きもあります。 上記の①音の増幅、②音質の調整、③出力の 制限は、難聴児の聞こえの状態に合わせて行い ます。このことを「補聴器のフィッティング」 と言い、大変重要です。 2 <図 補聴器の聞こえ 補聴器> 補聴器をつけると、今まで聞こえなかった音が聞こえるようになります。しかし、普 通の人と同じように、すごく小さい音が聞こえるようになるかというとそうではなく、 限界があります。 また、感音性難聴の人は、音がひずんで聞こえますが、そのひずみを完全に解消して くれるわけではありません。音を大きくしても、聞き分けにはなお問題が残ります。さ らに、高い音(鈴の音など)が聞こえにくい場合には、高い音を増幅しても、その人に 合うまで上げきれず、補聴器をつけていても聞こえないこともあります。 それでも、環境音や言葉が聞こえるということは、次のような理由からとても大事で す。 ・危険を察知することができます。 ・音を利用したり、楽しんだりできます。 ・言語の習得やコミュニケーションに役立ちます。 ・心理的に落ち着きます。 聞こえに合った補聴器をつけ、保有する聴覚を活用することで、子どもの可能性が広 がると言えます。 人工内耳 人工内耳は、耳の手術によって、内耳に電極を差し込み、内耳に来ている聴神経末 端に電気的刺激を与えて、音の感覚を生じさせる装置です。手術によって、どの周波 数 の 音 も 40デ シ ベ ル 前 後 か ら 聞 こ え る よ う に な り ま す 。 しかし、言語習得の状況については、個人差があります。また、人工内耳を装着し ても、補聴器の場合と同じように専門的な言語指導は必要です。 - 3 -
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