US ponders stockpiling medications 家庭での抗インフルエンザ薬備蓄を考慮 Times and Transcript, Canada (カナダ) 米国、 2008/11/2 パンデミックに備えて市民が抗インフルエンザ薬を薬局で買い、そして備蓄することが許される べきか否か? パンデミックに際して、如何にして抗インフルエンザ薬を配布するか、その方向性を探ってい る米国政府は、一般市民の家庭での備蓄に対する考え方は、さらに検討する必要性があると判断 した。 米国FDAの諮問委員会での会議で、製薬会社に”インフルエンザ・メドキット(タミフルと リレンザを含むキット)”を販売する許可を出す前に、多くの困難な課題があることが示された。 問題は、人々が如何に適切に薬剤を保管し、適切に服用出来るかと言うことと、誤用すること で薬剤抵抗性のあるウイルスが出現してこないか、ということに焦点が当てられている。 専門家達の中には、両親がタミフルの粉末をカプセルから出して、子供の体重に応じて服薬さ せることが可能なのか、という疑問を呈している意見もある。 またいつ人々に処方箋薬を手渡すかを決定する責任を、誰が負うかという問題もある。 しかし、委員会のメンバーの中には、個人的にタミフルとリレンザを備蓄する体制は既に出来 ているという意見もある。 「既に体制は整っている。我々のすべき事は、如何に賢明に方法を決定するかだけである」 、 とカリフォルニア、サンディアゴの小児病院感染症科の部長であるジョーン・ブラドレイ医師が 語っている。 会議は、問題を主管する米国保健福祉省に、取捨選択的な勧奨意見を呈することは求められて はいない。 その代わり、問題を解決するためにはどのような課題があるのかを、論議することを求められ ている。 委員会では、メドキットの発売を考えている2製薬会社に、これまで提案されている内容以上 にさらに調査研究することを、FDAが求めるべきであるという決定を、賛成20、反対6(欠 席1)で可決した。 保健福祉省の(Biomedical Advanced Research and Development Authority)事務局から、 メドキットの開発を求められた、タミフルの製造企業であるロッシュ社と、リレンザのグラクソ スミスクライン社は、市民が添付された説明書を理解出来るか、そしてリレンザの場合は吸入器 の使用方法が理解できるかの調査研究を行うことを提案している。 また、ロッシュ社とグラクソスミスクライン社は、それぞれタミフルとリレンザを含むメドキ ットを、季節性インフルエンザには服用してはいけないとの説明書と共に多数の市民に販売し、 1 インフルエンザ・シーズン終了後に、それらキットが使用されていないことを確認する予定とし ている。 パンデミック・インフルエンザにおけるメドキットの発想は、”共有責任”の理念から来てい る。それは(Biomedical Advanced Research and Development Authority)長官のロビン・ロ ビンソン博士がインタビューで語っている。 博士はこの対策方法が、危機発生時に必要性の全てを満足させることは出来ないことは、連邦 政府は理解していると語っている。そして、一般社会の色々な組織が役割を担う必要があると説 明している。 同博士は1950年代に支持された市民防衛計画”civil defence programs”における、個人 対策の理念に、今回の計画をリンクさせている;核戦争の脅威に対して、食糧備蓄や、時には核 シェルターの建設等が行われた時代。 カナダでは抗インフルエンザ薬の一般家庭における備蓄は検討されていない。 ロビンソン博士によると、類似の計画を予定している国はないが、米国での論議がどの方向に 向かうのかは、多くの国から注目されていると語っている。 多くの国と同様に、米国政府は抗インフルエンザ薬を、パンデミックが発生したときの治療用 に大量に備蓄している。さらに州によっては独自に備蓄しているところもある。しかし、実際に パンデミックが発生したときに、どのようにこれら薬剤を配布するかに関しては、色々な考え方 があり、難しい判断が迫られている。 医療機関は患者で溢れかえり、抗インフルエンザ薬を求める市民には対応出来ないことが予想 される。さらに(抗インフルエンザ薬)配布センターに市民が集まるとした場合、そこでは薬剤 配布と同時にウイルスも拡大される可能性がある。 「これは非常に難しい課題である」、と委員会のメンバーである、バージニア州保健局の危機 管理対策室ディレクターであるロバート・マウスカフ氏が語っている。 同氏は、バージニア州では大量の抗ウイルス薬を購入しているが、パンデミック時に医療機関 が溢れかかえり、医師が処方出来ない状況になり、また救急部門も機能が破綻した場合、如何に 抗ウイルス薬を配布するか、計画を作成することは出来ていない、と付け加えている。 同氏は、メドキットの一般への提供は、問題を解決する可能性があると考えているとも語って いる。 2
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