2010 Feburuary ちょっと田舎で、ドタバタジタバタ暮らす 連載第 9 回 書き状態で過ごしていたら、昨日 月 3 日 4、 ひばりの鳴き声を聞いて、いささか慌てて 冬が終わる前に半纏のことを綴りたいと下 一番下の保育園に通う息子しかいない。 で、 着用児が、一時期4人はいたのだが、もう 半纏という衣服がある。我が家はこの半纏 とを書いた。その焚き火に欠かせないのに されるのはたまらないなと思ったりしたも がいいですよ~」と言われて、服まで指定 いるのかと疑問も湧いた。表地ナイロンの どうしてみな制服みたいに半纏を着用して を 感 じ、 可 愛 い い ~ と 思 え た の と 同 時 に、 員が青洟を垂らしている)にノスタルジー 私もこちらに越してきた当初、半纏着て 遊ぶ子どもたちの姿(おまけに冬はほぼ全 前 回、 子 ら の 通 う 保 育 園 の 焚 き 火 の こ いる。 ロン地のジャンパーを着て子どもは通って まず語句の説明から。半纏を知っている 半纏をまとう理由 いたのだった。 のだ。で、しばらくの間、フリースやナイ ジャンパーを着させて登園させたら「半纏 焚き火とセットの半纏について 人はどれくらいいるだろうか? 田舎暮ら しに関係ある読者が多いはずなので、知っ が似合う。添付の写真をご覧いただければ、 げる衣服で、特に真っ赤なほっぺと長ぐつ 日本の冬・田舎の子のイメージをぐっと上 冬 の 和 風 ジ ャ ン パ ー と で も 説 明 し よ う か。 な の は 絣 模 様 の 生 地 に 綿 を 入 れ て 作 っ た、 ものも出ているようだが、オーソドックス 学繊維に比べると焦げにくいのだ。 用した半纏は、火の粉が飛んできても、化 すぐ燃えてしまう。でも、100%綿を使 の だ。 化 学 繊 維 の ナ イ ロ ン や フ リ ー ス は、 火の粉が飛んできて服に穴を開けてしまう し ば ら く し て そ の わ け を 知 っ た。 一 つ、 二つと、どんどん増えるのだ。そう、穴が。 ている人は多いだろう。最近は今風の柄の あっ、これねって思うだろう。 な ぜなのかを理解した私は、半纏どこ で 買 う の と ~、 父 母 に 声 を か け た と こ ろ、 その季節を生きること に泥のついた靴です!) る と 聞 く。( 視 線 を 下 ろ す と、 足 元 は 素 足 の時でさえ半纏着て出かけこだわり者もい でもなかったが、桶川から都内にお出かけ と い う わ け で、 そ れ 以 後 は 半 纏 以 外 の ジャンパーを着なくなった。我が家はそう Gなのである。 ジャンパーや、軽くて暖かいフリースはN る。風避けになるナイロンの表地を使った べく燃えにくい素材の服装がいいのであ る場所で過ごすことになる。だから、なる 冬の定番なのか? その理由はこうだ。子 どもたちは1日の大半を焚き火が燃えてい 寒かった焚き火の冬を終え、春の匂いへと ンポポの歌と、「春よ春よかけてこい」 「私 子 ど も た ち が 口 ず さ む 歌 も、「 燃 え ろ よ 焚 もクロッカスも顔を出して笑いだした。 めた。みつの花もオオイヌフグリも、水仙 途中にてんとう虫を見つけて何度も足を止 今、冬の子たちはもう春の子になりつつ ある。ヒバリの声を聞いたその日、登園の お下がりのお下がりのお下がりなんかが るのだ。 こ ち ら の 保 育 園 っ 子、「 い な ほ っ 子 」 と な 似合うようになると、もうどこから見ても、 ルファー分も集まってきた。この半纏を着、 あっという間にあちこちから3人プラスア る の は 嬉 し い ら し い。 ま た 大 好 き な 上 の う状態だが、やはり皆と同じカッコができ り薄く、本当にこれで冬を越せるのかと思 回ってくるので、中に入っている綿もかな すのかを考える幸せな時間ももらったりす ろびを繕いながら、どう生きるのか、暮ら て、出来ることでもないのだ。半纏のほこ 来ることでもあり、また田舎だからといっ 少数派となっているだろう。田舎だから出 ももう春」の言葉へと変わっている。 き火、天まで高く」から、ヒバリの歌、タ 「 う ち に 使 っ て い な い の が あ る か ら 」 と、 息子の半纏もこの冬でかなり生地が傷 み、継ぎ接ぎだらけとなった。そんな子ど 変わる喜びの季節を迎えている。 どうして、この半纏が焚き火とセットの もたちを見ると、いつの時代を生きている のだ、と時々混乱する。しかし、ここには 確かに素足に半纏纏い、青洟垂らしている のも全く気にもしない冬の子どもたちが生 き て い る こ と を 伝 え た い。 手 も 足 も ヒ ビ 入った線にしっかと土が染み込んで、生き てるぜ~、と凄みさえ感じる貫禄のある手 や足をヨチヨチ歩きの子どもでもしている のだ。彼らをみていると、バックパッカー だった頃、チベッタンや南米で出会ったイ ンディオの人たちを思い出す。 子たちからのお下がりだったりすると、も る。 焚き火に半纏、アカギレの手足、この冬 らしさを享受している人たちは、日本では うその半纏を着るのが自慢であり、誇りと なってくる。 Copyright by INAKANOSAGASHIKATA 2010 Feburuary 文/新里 涼子 春本番を前に
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