実務法学研究科(法科大学院)2013 年度新入生の募集停止について このたび実務法学研究科(法科大学院)2013 年度新入生の募集停止という決断にいたった経緯 と、その事態に対して神戸学院大学および実務法学研究科が今後とろうとしている教育的責務に ついて申し上げます。 多くの方がご承知のとおり、2002 年に司法制度改革推進計画が閣議決定され、法学以外の分野 を学んだ人、社会人等としての経験を持つ人など、多様なバックグラウンドを有する法曹を輩出 することで、暗記中心の旧司法試験制度の弊害を取り除くことが期待されました。本学実務法学 研究科(法科大学院)は、この理念に賛同し、 「地域密着型のホームドクター的法曹」、すなわち 地域社会で発生する多種多様な法的ニーズに親身になって対応する法曹の養成を目的として、 2004 年に創立いたしました。 以後、神戸学院大学の建学の精神「真理愛好・個性尊重」を教育の指針とし、地域社会ならび に市民生活に安定を与える「智慧ある法曹」を輩出するための教育的努力を重ね、一定の成果を あげてまいりました。しかしながら、現在の法科大学院の実態は、この理想を離れ、法学部以外 の学生がほとんど参入できない一極集中型の教育が行われ、結果、本学のような法科大学院の立 場を根底から危うくしてしまいました。 そのような状況のもと、今回の実務法学研究科の募集停止の決断は、私たちの理想が貫き通せ なかった結果です。それを無念に思うとともに、やむを得ない決断であることを、関係各位にお 詫びし、ご理解を求めるものであります。 募集停止にはなりますが、大学として在学生や修了生に対し、少なくとも修了後5年間は、万 全の教育環境を提供する義務があると認識しております。それは社会的責任であり、教育機関と しての倫理でもあります。 そのため神戸学院大学は、今後も教員組織を含め現在の学習環境を維持し、法曹養成のための 物的・人的サービスの提供を継続し、安心して勉学のみに専念できる場を用意いたします。在学 生および修了生のみなさんには、募集停止の事態に動じることなく学業に専念くださるようお願 いする次第です。 最後になりましたが、今回の新入生の募集停止にあたり、これまでの本実務法学研究科の多大 の教育的努力とその成果を、多とするものです。私たちは、これらの豊かな教育経験が、本学の 法学教育をより充実させていくと確信しております。 大学を取り巻く環境は、けっしてやさしくありませんが、今回のことを契機に、さらに質の高 い大学教育の実現を目指して、神戸学院大学はこれからも邁進していく所存です。私たちの決断 と新たな決意をご理解のうえ、今後とも、ご協力ご支援を賜りますようお願いいたします。 2012 年 7 月 4 日 神戸学院大学 学長 岡田豊基
© Copyright 2024 Paperzz