第 12 回 JaSECT 関東甲信越地方会大会 〓〓〓 大会案内・プログラム・抄録 〓〓〓 第 12 回 JaSECT 関 東 甲 信 越 地 方 会 大会長 又吉 徹 宿泊参加申込み延長のご案内 開催を 1 ヶ月後に控え、大会抄録集が完成いたしましたので、お届け申し上げます。 宿 泊 申 込 み は 、 事 前 受 付 の み で す が 、 申 込 期 限 を 2 月 28 日 ま で 延 長 さ せ て い た だ き ま した。どうぞ、まだお済みでない方はお申し込み下さい。 1. 会 期 : 2005 年 3 月 12( 土 曜 日 )・ 13 日 ( 日 曜 日 ) 2. 会 場 : 栃 木 県 鬼 怒 川 温 泉 『 あ さ や ホ テ ル 』 http://www.asaya-hotel.co.jp/ 栃 木 県 塩 谷 郡 藤 原 町 大 字 滝 813 0288-77-1111 交通案内 z 東 武 線 : 東 武 浅 草 駅 − [東 武 特 急 115 分 ]− 鬼 怒 川 温 泉 駅 下 車 ( 送 迎 予 定 ) z JR 線 : 東 京 駅 − [東 北 新 幹 線 50 分 ]− 宇 都 宮 駅 − [日 光 線 30 分 ]− 今 市 駅 − [タ ク シ ー 25 分 ]− 鬼 怒 川 温 泉 z 東 北 自 動 車 道 ― 宇 都 宮 I C − 日 光 宇 都 宮 道 路 − 今 市 IC− 国 道 119-121(25 分 )− 鬼 怒 川 温 泉 3. 参 加 費 : 参加種類 宿泊参加(大会・懇親会費含む) 大会参加 事 前 申 込 み ( ∼ 2/28) 会員 非会員 15,000 円 20,000 円 4,000 円 9,000 円 当日受付 会員 非会員 20,000 円 25,000 円 5,000 円 10,000 円 4. 参 加 申 込 み 方 法 : 郵 便 振 込 用 紙 に 該 当 金 額 を , 通 信 欄 に 勤 務 施 設 名 と 氏 名 ( フ ル ネ ー ム ) を 記 入 し て 下 さ い 。 1/31 期 限 の 振 込 用 紙 を お 使 い の 場 合 は 期 限 日 を 消 し て お 使 い 下 さ い 。 注意:振込用紙が参加登録となりますので必ず参加者氏名を書き込んで下さい。 郵 便 振 込 口 座 番 号 : 00580-8-3402 口 座 名 JaSECT 関 東 甲 信 越 地 方 会 事 務 局 5. 問 い 合 わ せ 先 : 〒 160-8582 東 京 都 新 宿 区 信 濃 町 35 慶應義塾大学病院 又吉 医用工学センター 徹 TEL: 03-3353-1211(内 線 64584) FAX: 03-3353-2226 E-mail: [email protected] 【大会プログラム】 第 1 日 目 : 3 月 12 日 ( 土 曜 日 ) 11: 30 ∼ 受付、機器展示オープン 12: 00 ∼ 12: 05 開会のあいさつ(大会長:又吉 徹) 12: 05 ∼ 13: 05 一般演題 1 座 長:又吉盛博(板橋中央病院) 山下好史(大和成和病院) 【 1 】 IABP に お け る ペ ー シ ン グ 波 形 応 答 性 の 実 験 的 検 討 ○ 中西利基、片岡宏文、熊澤義雄、吉澤伸介 平 塚 市 民 病 院 ME 機 器 中 央 管 理 室 【2】アラーム機能を有した圧力計の製作 ○ 長澤洋一、縮 友和、遠藤久美子 石 心 会 川 崎 幸 病 院 CE 科 【 3 】 外 付 け 型 回 路 内 圧 モ ニ タ ー PScⅢ の 臨 床 使 用 経 験 ○ 石曽根明浩 榊原記念病院 臨床工学科 【4】バキュームクリーナによる陰圧確保の検討 ○ 岩花妙子、小川史枝、渡邊 猛、石井和行、松田恵介、武田正則 三 井 記 念 病 院 ME サ ー ビ ス 部 【5】自動記録が新人教育に与える影響についての検討 ○ 今井 亮、樋口浩二、井上秀範 松本雅彦 1) 、石川成津矢 1) 、鈴木章司 1) 1) 山 梨 大 学 医 学 部 附 属 病 院 ME セ ン タ ー 、 1 ): 山 梨 大 学 第 二 外 科 13: 10 ∼ 14: 40 特別講演 『 低侵襲心臓手術 −安全性向上とその工夫− 』 慶應義塾大学病院 心臓血管外科 古梶清和 先生 司 14: 40 ∼ 15: 00 通常総会 会 :吉 澤 伸 介 ( 平 塚 市 民 病 院 ) 15: 00 ∼ 15: 15 機器製品展示内覧 15: 15 ∼ 16: 15 一般演題 2 座 長:小林英知(東京医科大学) 高濱由起子(順天堂大学) 【6】自己血回収装置の電解質による洗浄率の評価 −最低洗浄量の評価− ○ 北村麻未、中尾一俊、遠山範康、五十嵐利博、長坂淳一、三浦貴之 木原信一郎 1) 、長津正芳 1) 、新岡俊治 1) 、青見茂之 1) 、黒澤博身 1) 東京女子医科大学・臨床工学部心臓病センター 人工心肺室 1 ): 同 ・ 心 臓 血 管 外 科 【 7 】 WX ロ ン グ タ イ プ IAB の 使 用 経 験 と 実 験 的 検 討 ○ 新井梨絵、植木弘一、吉岡信也、中嶋康仁、 西田慎一、染谷忠男 筒井宣政1) 埼 玉 県 立 循 環 器 ・ 呼 吸 器 病 セ ン タ ー 、 1 ): 東 海 メ デ ィ カ ル 【8】弓部大動脈置換術でのアーチファーストテクニックにおける体外循環法 ○ 三浦貴之、中尾一俊、遠山範康、五十嵐利博、長坂淳一、北村麻未 木原信一郎 1) 、長津正芳 1) 、青見茂之 1) 、黒澤博身 1) 東京女子医科大学・臨床工学部心臓病センター 人工心肺室 1 ): 同 ・ 心 臓 血 管 外 科 【9】人工心肺離脱困難における機械的循環補助としての補助人工心臓 ○ 大原千典、荒井洋次郎、丸山 望月吉彦 有、吉田雅博、富田元沖、飛田瑞穂 1) 獨 協 医 科 大 学 病 院 臨 床 工 学 部 、 1 ): 同 ・ 胸 部 外 科 【 10】 心 移 植 に お け る 臨 床 工 学 技 士 の 役 割 ○ 渥美杜季子、吉田 譲、奥村高広、関口 敦、会田治男、樺澤寛二 大木康則、佐藤智明、高橋克弘、斎藤亮輔、小塚アユ子、矢島真知子 徳永 満、見目恭一 埼 玉 医 科 大 学 附 属 病 院 ME サ ー ビ ス 部 16: 15 ∼ 17: 15 メーカープレゼンテーション 司 会:新井太紀夫(東洋パラメディック学院) 【 P-1】 ディデコ社製膜型人工肺 ソーリン株式会社 【 P-2】 D901リリプット 平松弘子 キャピオックスRX25(新型) テルモ株式会社 【 P-3】 寺井大輔 心筋保護液供給システム(より安全に効果的な心筋保護を) コスモテック株式会社 【 P-4】 畑口吉弘 メラNHPエクセランプライム,メラWHPエクセランプライム 泉工医科工業株式会社 【 P-5】 辰口俊秀 低流量域動脈フィルター『フィルティア FT− 15』 株式会社ジェイ・エム・エス 【 P-6】 勝箆 豊 外科用アブレーション装置 日本メドトロニック株式会社 金子岩木 19: 00 ∼ 21: 00 夕食懇親会 21: 00 ∼ ナイトセッション 第 1 会 場 ( 11 階 レ イ ン ボ ー A): 小 児 体 外 循 環 ・小児用人工心肺システム(スライド、ビデオ、実際の回路) ・小児体外循環の実際(ビデオ) ・ pH strategy( ス ラ イ ド ) ・その他 第 2 会 場 ( 11 階 レ イ ン ボ ー B): 脳 分 離 体 外 循 環 ・脳分離体外循環回路(スライド、ビデオ、実際の回路) ・灌流量、灌流圧の管理(スライド) ・その他 第3会場(8 階白根) :閉鎖型体外循環回路 ・閉鎖型体外循環回路について(スライド、ビデオ、実際の回路) ・ MECC シ ス テ ム に つ い て ( ス ラ イ ド 、 ビ デ オ ) ・その他 第 2 日 目 : 3 月 14 日 ( 日 曜 日 ) 8: 30 ∼ 9: 00 機器製品展示内覧 9: 00 ∼ 10: 00 一般演題 座 3 長:古山義明(埼玉小児医療センター) :影山英治(杏林大学病院) 【 11】 手 術 部 ・ 集 中 治 療 部 に お け る 安 全 管 理 体 制 − 臨床工学部の取り組み − ○ 渡邊拓也、奥田晃久、新田 郷、安孫子進、安藤理香、田口英昭 石井宣大、仁田坂謙一 東京慈恵会医科大学附属病院 臨床工学部 【 12】 脳 代 謝 モ ニ タ ー を 使 用 し た 脱 血 指 標 の 検 討 ○ 五十嵐利博、中尾一俊、遠山範康、長坂淳一、三浦貴之、北村麻未 小坂由道 1) 、松村剛毅 1) 、長津正芳 1) 、新岡俊治 1) 、黒澤博身 1) 東京女子医科大学・臨床工学部心臓病センター 人工心肺室 1 ): 同 ・ 心 臓 血 管 外 科 【 13】 脳 分 離 体 外 循 環 用 回 路 の 検 討 ○ 花田琢磨、遠藤裕介、中嶋 勉、安野 誠 群馬県立心臓血管センター 臨床工学課 【 14】 回 転 コ ネ ク タ ー 組 み 込 み 式 プ レ コ ネ ク ト 人 工 心 肺 回 路 の 利 点 と 問 題 点 ○ 富永哲史、小林剛志、鳥本倫之介、石川智啓 1) 、金子真美 1) 、高橋政夫 平 塚 共 済 病 院 臨 床 工 学 科 、 1 ): 同 ・ 心 臓 セ ン タ ー 心 臓 血 管 外 科 【 15】 完 全 閉 鎖 型 人 工 心 肺 回 路 の 操 作 法 の 検 討 ○ 好並菜佳、又吉盛博、久保田浩光、小久保領、星野敏久 板橋中央総合病院 臨床工学科 1) 10: 00 ∼ 10: 15 機器製品展示内覧 10: 15 ∼ 11: 15 教育講演 『 Off Pump CABG の最新技術と臨床工学技士の役割 』 平塚共済病院 心臓センター 心臓血管外科 高橋正夫 先生 司 会:武田正則(三井記念病院) 11: 15 ∼ 12: 30 シンポジウム 『 体外循環シミュレーション 』 座 長:又吉 徹(慶應義塾大学病院) 【 S-1】 体 外 循 環 中 の ア ク シ デ ン ト 対 策 訓 練 の 検 討 安藤理香 東京慈恵会医科大学附属病院 【 S-2】 小 児 用 人 工 心 肺 シ ス テ ム の 安 全 性 に 関 す る 検 討 古平 聡 北里大学病院 【 S-3】 人 工 心 肺 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン マ ッ ト の 使 用 経 験 玉城 聡 帝京大学病院 【 S-4】 体 外 循 環 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 経 験 南 12: 30 茂 福岡大学病院 閉会のあいさつ (大会長:又吉 徹) 10.抄 『 低侵襲心臓手術 録 −安全性の向上とその工夫− 』 慶應義塾大学病院 心臓血管外科 古梶清和 先生 我 々 の 施 設 で は 1996 年 よ り 開 始 し た Standard MICS 手 術 の 経 験 を 踏 ま え 、 よ り 低 侵 襲 な 手 術 手 技 と し て Port-Access 法 に よ る 開 心 術 を 積 極 的 に 導 入 し て き た 。 現在の基本コンセプトは、より小さな目立たない創での手術もさることながら、 胸骨正中切開時と質的に同レベル以上の手術操作を胸骨に侵襲を加えることなく 行う、胸骨温存手術にある。本術式の胸骨を切開しないアプローチは、胸骨感染 の回避、術後早期回復、入院期間の短縮に貢献し、美容的効果という利点も有す る と 考 え ら れ 、患 者 満 足 度 を 高 く す る と 共 に 医 療 経 済 に も 貢 献 す る 術 式 と 考 え る 。 一 方 で 術 者 側 に と っ て は 、 標 準 術 式 に 比 べ working space は 狭 く 、 working site は遠くなり、このような環境で手術の質を維持するために体外循環法や大動脈遮 断法を工夫すると共に、術野展開のために独自の道具を開発し、より安全で低侵 襲 な 手 術 手 技 の 確 立 と 手 術 適 応 の 拡 大 を 目 指 し て い る 。 現 在 我 々 の Port-Access 法 に よ る 低 侵 襲 心 臓 手 術 は 、主 に 心 房 中 隔 欠 損 症 、僧 帽 弁 疾 患 を 対 象 と し 、右 第 4 ( 症 例 に よ り 3、 5) 肋 間 開 胸 に て ア プ ロ ー チ 、 大 腿 動 静 脈 送 脱 血 に よ り 陰 圧 吸 引 補助脱血体外循環を確立、これに右房切開が必要な症例では、視野確保のため右 房 切 開 後 術 野 よ り SVC 脱 血 を 追 加 し て い る 。 大 動 脈 遮 断 は End aortic clamp balloon を 30 例 に 用 い た が 、 2001 年 6 月 以 降 は Cosgrove Flexible clamp 及 び そ の 改 良 型 を 用 い て 術 野 よ り 大 動 脈 遮 断 し て い る 。 心 内 操 作 は 、 working site が 遠 く手指も届かないため、内視鏡手術用の器具を用いている。この際、狭小な術野 で の 視 野 確 保 を 可 能 に し て い る の が 、高 画 質 の 胸 腔 鏡 補 助 で あ る 。こ の 手 術 で は 、 術 者 以 外 は 術 野 が ほ と ん ど 直 視 で き な い た め 胸 腔 鏡 に よ り 手 術 操 作 中 の 部 位 を TV モニターにリアルタイムに映し出すことで手術の状況を把握しつつ、的確な助手 を 行 う 。 人 工 心 肺 操 作 も TV モ ニ タ ー の 心 臓 の 大 き さ を 見 な が ら 、 脱 血 量 の 調 節 等 を行っている。また術者にとっても胸腔鏡により、肉眼以上に詳細な観察が可能 と な る 場 合 が あ る 。2004 年 12 月 ま で に 164 例 の Port-Access 法 に よ る 低 侵 襲 心 臓 手術を経験したが、その成績は、従来の胸骨正中切開による標準術式と比し遜色 の な い も の で あ っ た 。 我 々 の Port-Access 法 に よ る 低 侵 襲 心 臓 手 術 を ビ デ オ で 供 覧しつつ安全性向上のための工夫につき述べる。 『 Off Pump CABG の 最 新 技 術 と 臨 床 工 学 技 士 の 役 割 』 平塚共済病院 心臓センター 心臓血管外科 高橋政夫 先生 本 邦 の 2003 年 の database で は 、 Off Pump CABG が 52.5% と 報 告 さ れ た 。 当 院 で は 単 独 冠 動 脈 病 変 に 対 し て は 、 100% Off Pump CABG に て 完 遂 し て お り 、 急 性 冠 症 候 群 に 対 す る 緊 急 手 術 も 、 95% 以 上 Off Pump に て 施 行 し た 。 OPCAB 成 功 の 秘 訣 は 、心 臓 外 科 医 の 技 術 も 大 き な 要 因 で あ る が 、そ れ 以 外 に 麻 酔 医・臨 床 工 学 技 士 の 担 う 役 割 が 非 常 に 大 き い と 考 え ら れ る 。今 回 、OPCAB に 関 す る 最新の手法を紹介するとともに、臨床工学技士の役割について報告する。 スタビライザー :ドーナッツハートスタビライザー、オクトパス、 アクロバットの違い 心尖吸引装置 : Starfish、 XPOSE の 違 い グラフト準備 : コ ア テ ッ ク 注 入 法 と Vasoview 内 視 鏡 的 グ ラ フ ト 剥 離 大動脈中枢吻合 : 機 械 吻 合 と HEARTSTRING を 用 い た 手 縫 い 法 術中モニター :1心拍毎の心拍出量を連続的にモニターできる PulseCO(パ ル ス コ ) 術 中 グ ラ フ ト 評 価 法 : SPY( ス パ イ ) Intra-operative Imaging System Off Pump CABG の 際 、手 術 を し て い る 外 科 医 と 全 身 管 理 を し て い る 麻 酔 医 の 他 に , 重要な役割を担うのが臨床工学技士である。通常は、セルセーバーの管理、術中 の血行動態の把握、医療機器の操作などを行う。とりわけ重要と思われるのは、 緊 急 時 の 対 応 の ス ピ ー ド で あ る 。 Off Pump CABG か ら 人 工 心 肺 手 術 へ コ ン バ ー ト さ れ た 場 合 の 手 術 成 績 は 、通 常 の 心 停 止 CABG に 比 べ て 非 常 に 成 績 が 悪 い こ と が 報 告 されている。手術室内に 5 分以内でプライミングできる簡易型回路を常にスタン バイさせておく。術者の技量や血行動態の微妙な変化を監視しつつ、人工心肺が 必要と判断される際は、素早く準備できるよう日頃からトレーニングしておく必 要がある。また、吻合中は,常に手術室に待機していることが重要である。 心臓手術は、外科医のスタンドプレーではなく、チーム医療である。医師と技 士との良好な関係は、患者本位の医療を行う上での原点であると考えている。 【 1】 IABP に お け る ペ ー シ ン グ 波 形 応 答 性 の 実 験 的 検 討 ○ 中西利基、片岡宏文、熊澤義雄、吉澤伸介 平 塚 市 民 病 院 ME 機 器 中 央 管 理 室 【目的】 IABP に ペ ー シ ン グ 波 形 が 入 る 場 合 、 時 に ト リ ガ ー 不 能 に な る こ と が 、 し ば し ば 見 ら れ る 。Weaning 時 な ど で は 、ト リ ガ ー 不 能 が 、血 行 動 態 に 影 響 を 及 ぼ す こ と が 、 考 え ら れ る 。 今 回 2 社 ( A 社 、 B 社 ) の IABP を 使 用 し 、 ペ ー シ ン グ 波 形 入 力 に よ る IABP の 動 き を 検 討 し た の で 報 告 す る 。 【対象・方法】 正 常 な 心 電 図 波 形 お よ び ペ ー ス メ ー カ ー ( 以 下 PM) に よ る ペ ー シ ン グ 波 形 を 同 時入力したものとペーシング模擬波形を入力したものの 2 つの実験を施行した。 ① 正 常 心 電 図 レ ー ト 80 と ペ ー シ ン グ 波 形 90PPM( 固 定 あ る い は デ マ ン ド ) で 入 力 する。この時の心電図トリガーと V ペーストリガーの動きを見る。②模擬波形発 生 装 置 に よ り AV シ ー ケ ン シ ャ ル な ど の 模 擬 波 形 を 入 力 す る 。こ の 時 の 心 電 図 ト リ ガーと V ペーストリガーの動きを見る。 【結果】 ①心電図トリガーでは、A 社、B 社とも問題なく動作した。但し A 社においてペ ー シ ン グ 出 力 が 低 い と 誤 認 識 す る こ と が あ っ た 。 ま た QRS が ペ ー ス パ ル ス に 重 な る と QRS を 認 識 で き ず に バ ル ー ン の 膨 張 期 間 が 長 く な る こ と が あ っ た 。 ② 心 電 図 ト リ ガ ー で は A 社 B 社 と も 問 題 な く 動 作 し た 。V ペ ー ス ト リ ガ ー で は 、 A 社 B 社 と もに問題なく動作した。但し B 社においては、本体感度を上げすぎるとトリガー 不能となる場合があった。 【考察】 A 社 の IABP で は 、V ペ ー ス ト リ ガ ー で PM が デ マ ン ド 設 定 に お い て も 確 実 に 動 作 す る 。 但 し ミ ス ト リ ガ ー し た 場 合 膨 張 期 間 が 長 く な る た め Deflate の タ イ ミ ン グ を 考 慮 し た 方 が い い よ う で あ る 。B 社 の 場 合 心 電 図 ト リ ガ ー に 設 定 し て お け ば 、問 題なく作動するようである。実験②のトリガー不能は、模擬波形の質が影響し実 際の臨床上では、問題ないようである。 【結論】 IABP を 安 全 に 操 作 す る 上 で 、 そ の 性 能 を よ く 理 解 し 、 本 体 の 適 切 な 誘 導 選 択 、 お よ び 感 度 調 節 、R 波 収 縮 タ イ ミ ン グ の 調 整 な ど を 考 慮 し て 上 手 に 操 作 す る こ と が 必要と思われる。 【 2】 ア ラ ー ム 機 能 を 有 し た 圧 力 計 の 製 作 ○ 長澤洋一、縮 友和、遠藤久美子 石 心 会 川 崎 幸 病 院 CE 科 【目的】 我 々 は 、 JaSECT 第 23 回 大 会 に て 、 自 治 医 科 大 学 付 属 大 宮 医 療 セ ン タ ー よ り 発 表された「アラーム機能を有した人工心肺用圧力計の製作」を参考に、人工心肺 用圧力計を製作し、送血および陰圧脱血用の圧力計として臨床使用したので報告 する。 【対象】 圧 力 計 は 2001 年 8 月 に 製 作 し 、 2004 年 10 月 ま で に 体 外 循 環 を 行 っ た 207 例 に 対 し 、 回 路 送 血 圧 と 心 筋 保 護 液 送 血 圧 の 監 視 に 使 用 し た 。 2003 年 3 月 か ら は 吸 引 脱 血 を 行 っ た 24 例 に 対 し リ ザ ー バ ー 内 圧 の 監 視 に 使 用 し た 。 【圧力計】 圧 力 計 製 作 に 使 用 し た 部 品 は 、 日 機 装 社 製 人 工 透 析 装 置 DBB-22 の 透 析 液 圧 計 、 静 脈 圧 計 。 シ リ ン ジ ポ ン プ の 架 台 、 電 子 ブ ザ ー 、 LED(赤 )、 LED(青 )、 電 源 ス イ ッ チ 、 AC ア ダ プ タ ー 、 自 動 血 圧 計 の 音 量 つ ま み お よ び 、 チ ュ ー ブ コ ネ ク タ 、 以 上 の 廃棄部品を利用し、外箱のみ購入した。これらを組み合わせて人工心肺用圧力計 を製作した。 【結果】 以前はアラーム機能が無いアナログ圧力計を 2 台使用して回路内圧と心筋保護 液送血圧を監視していたが、異常圧力に気が付くまでには時間を有していた。し かし、アラーム機能付きの圧力計を使用してからは、即座に対処できるようにな った。さらに、透析用の圧力計は上下の警報点を有しているため、陰圧脱血のリ ザーバー内圧の監視に使用し、1 例でアラームの作動を認めた。 【考察】 外 箱( 1,280 円 )以 外 ,廃 棄 部 品 を 使 用 す る こ と に よ り 、低 価 格 で の 製 作 が 可 能 であった。しかし、電子ブザーにシリンジポンプの部品を使用したため、麻酔科 で使用しているシリンジポンプのアラーム音と混同してしまうことや、2台の圧 力計が同じ電子ブザーを利用しているため、どちらの異常圧か、音だけでは判断 できない欠点があり、今後の改良が必要であると考えられる。 【結論】 人工心肺を安全に行うためには、圧モニターは必須であり、この圧力計は人工 心肺用圧力計として有効であると思われた。 【 3】 外 付 け 型 回 路 内 圧 モ ニ タ ー PScⅢ の 臨 床 使 用 経 験 ○ 石曽根明浩 榊原記念病院 臨床工学科 【目的】 陰圧吸引補助脱血体外循環において静脈貯血槽内のモニタリングは安全上必須 で あ る 。 今 回 我 々 は ト ノ ク ラ 医 科 工 業 製 外 付 け 型 回 路 内 圧 モ ニ タ ー PScⅢ ( 以 下 、 PScⅢ ) を 臨 床 使 用 し た の で 報 告 す る 。 【対象・方法】 陰圧吸引補助脱血法を施行した小児および成人症例に使用した。静脈貯血槽内 の陰圧のモニターには圧力バリアキットを使用し水蒸気による目詰まりを予防し た。 【結果】 陰圧吸引補助脱血法のモニタリングとして警戒警報ならびに緊急警報の上限、 下限アラームの設定もできるため人工心肺操作を安全に行うためのモニタリング のひとつとして有効であり操作も簡単であった。 【考察・結論】 PScⅢ は 2 つ の 圧 力( P1、P2)を 同 時 に バ ー グ ラ フ で 表 示 で き 、P1 は 陰 圧 吸 引 補 助 脱 血 法 の 静 脈 貯 血 槽 内 圧 測 定 用 と し て 、 P2 は 送 血 回 路 内 圧 、 心 筋 保 護 回 路 、 脳 分離回路の内圧測定用としても使用でき、それぞれ上限と下限の警報設定も可能 であることから陰圧吸引補助脱血法を安全に行うための有効なモニタリングであ る 。 し か し 、 装 置 の 外 形 が 比 較 的 大 き い こ と ( 外 形 寸 法 W100×D60×H215 ㎜ ) や 、 バーグラフの圧力表示の感度があまり鋭敏ではないため低体重児症例で動脈の拍 動が解りづらいなどの問題点もあった。今後、更なる小型化と圧力表示の感度の 改善に期待したい。 【 4】 バ キ ュ ー ム ク リ ー ナ に よ る 陰 圧 確 保 の 検 討 ○ 岩花妙子、小川史枝、渡邊 猛、石井和行、松田恵介、武田正則 三 井 記 念 病 院 ME サ ー ビ ス 部 【目的】 陰 圧 吸 引 補 助 脱 血 お よ び Off Pump CABG で は 吸 引 に よ る 陰 圧 が 不 可 欠 で あ る 。 しかし、停電および吸引設備などの故障により壁吸引が停止すると脱血不良やス タビライザが使用できず手術が続行できなくなる可能性がある。そこで、吸引設 備の故障対策としてバキュームクリーナ(以下、クリーナ)の吸引力が利用でき るか実験的に検討したので報告する。 【方法】 ク リ ー ナ は 、 充 電 池 式 A 社 、 B 社 お よ び AC 電 源 使 用 C 社 の 3 機 種 を 用 い 、 各 ク リーナの最高発生陰圧を測定した。また、クリーナと陰圧調節器を陰圧吸引補助 脱 血 の 模 擬 回 路 に 接 続 し 、 静 脈 貯 血 槽 の 初 期 陰 圧 − 30m m Hg に 設 定 し 、 陰 圧 補 助 脱血を開始し、経時的な静脈貯血槽内の陰圧および脱血流量を測定した。条件は 静脈貯血槽と循環用容器の液面を等しくし、静脈貯血槽へサクション用ポンプ 600mL/min で 空 気 を 送 っ た 。 【結果】 最 高 発 生 陰 圧 は A 社 が − 32mmHg、B 社 が − 69m m Hg、C 社 が − 120mmHg で あ っ た 。 各 ク リ ー ナ と も 初 期 陰 圧 で 脱 血 流 量 4000mL/min を 確 保 で き た 。 A 社 は 5 分 後 に − 20mmHg で 3000mL/min、7∼ 8 分 後 に 停 止 し た 。 B 社 は 30 分 間 初 期 陰 圧 を 保 ち 35 分 後 停 止 し た 。 C 社 は 2 時 間 以 上 維 持 で き 、 − 120mmHg で も 2 時 間 以 上 維 持 で き た 。 【考察】 停 電 と コ ン プ レ ッ サ 故 障 に は 充 電 池 式 ク リ ー ナ を 考 え 2 機 種 で 検 討 し た が 、A 社 は 5 分閒しか陰圧を維持できないためバックアップとしては不適当と考える。し か し 、 B 社 は 30 分 間 陰 圧 を 維 持 で き 有 用 と 考 え る 。 ま た 、 吸 引 設 備 の み の 故 障 に お い て は AC 電 源 使 用 の ク リ ー ナ で 十 分 対 応 で き る 。 し か し 、 ス タ ビ ラ イ ザ に つ い て は − 250mmHg 以 上 の 陰 圧 が 必 要 で あ り 、 3 社 の ク リ ー ナ ー で は 不 適 当 で あ っ た 。 【結論】 B 社 の 充 電 池 式 ク リ ー ナ は 30 分 間 陰 圧 を 確 保 で き 陰 圧 吸 引 補 助 脱 血 の バ ッ ク ア ッ プ に 有 用 で あ っ た 。C 社 の ク リ ー ナ は 長 時 間 陰 圧 が 確 保 で き た が 、ス タ ビ ラ イ ザ には陰圧不足であった。 【 5】 自 動 記 録 が 新 人 教 育 に 与 え る 影 響 に つ い て の 検 討 ○ 今井 亮、樋口浩二、井上秀範 松本雅彦 1) 、石川成津矢 1) 、鈴木章司 1) 1) 山 梨 大 学 医 学 部 附 属 病 院 ME セ ン タ ー 、 1 ): 山 梨 大 学 第 二 外 科 【目的】 体 外 循 環 ( 以 下 、 CPB) の 記 録 は 、 多 く の 施 設 で は 専 用 の 用 紙 を 用 い て 手 書 き で 行 わ れ て い る が 、 当 院 で は コ ン ピ ュ ー タ を 用 い て 行 っ て い る ( 以 下 、 自 動 記 録 )。 今回、自動記録法が新人教育に与える影響について検討を行った。 【対象】 2003 年 4 月 か ら 2004 年 3 月 ま で に 当 院 で 施 行 し た CPB 症 例 112 例 の う ち 、新 人 が 記 録 を 担 当 し た 自 動 記 録 症 例 54 例 、 手 書 き 記 録 症 例 18 例 を 対 象 と し た 。 【方法】 各 記 録 法 に つ い て 、 1.CPB を 安 全 に 操 作 す る た め に 必 要 な デ ー タ の 収 集 方 法 、 2.CPB の 推 移 を 予 測 す る た め に 必 要 な デ ー タ の 収 集 方 法 な ど に つ い て 比 較 し 検 討 し た 。な お 、自 動 記 録 ソ フ ト は 、当 院 で 開 発 し た 体 外 循 環 支 援 シ ス テ ム「 Navigator System2」( 以 下 、 Navi-2) を 使 用 し た 。 手 書 き 記 録 は 、 イ ベ ン ト 発 生 時 お よ び 5 分ごとにデータを記入した。 【結果】 1.操 作 に 必 要 な デ ー タ の 収 集 方 法 : 自 動 記 録 で は 、 灌 流 量 や 体 温 な ど 必 要 な デ ータの多くがコンピュータに自動入力され、ディスプレイに一括表示された。手 書き記録では、時計やマルチモニタ、尿量計など 5 台以上のモニタからデータを 収 集 し 記 入 す る 必 要 が あ っ た 。2.予 測 に 必 要 な デ ー タ の 収 集 方 法:自 動 記 録 で は 、 操作に必要なデータから自動計算されディスプレイに表示された。手書き記録で は、収集したデータから自ら計算する必要があった。 【考察】 CPB を 安 全 に 操 作 す る た め に は 、灌 流 量 や 血 液 ガ ス な ど の デ ー タ を 収 集 し て 現 状 を 把 握 し 、 さ ら に CPB の 推 移 を 予 測 す る こ と が 重 要 で あ る 。 手 書 き 記 録 で は 、 デ ータ収集や用紙記入は記録担当者が行なう必要があり、推移を予測するにはデー タ収集後に自ら計算しなければならない。これらのことが新人教育に良い影響を 与えると考えられた。一方、自動記録では、測定データのほとんどがオンライン で 入 力 さ れ 推 移 予 測 に 必 要 な 計 算 値 も 表 示 さ れ る た め 、 Perfusionist や 記 録 担 当 者が自ら計算する必要性はない。 【結論】 自動記録は、操作支援においては有用なシステムであると考えられるが、新人 教育の観点からはその有用性は少ないと考えられた。 【 6】 自 己 血 回 収 装 置 の 電 解 質 に よ る 洗 浄 率 の 評 価 --最 低 洗 浄 量 の 評 価 -○ 北村麻未、中尾一俊、遠山範康、五十嵐利博、長坂淳一、三浦貴之 木原信一郎 1) 、長津正芳 1) 、新岡俊治 1) 、青見茂之 1) 、黒澤博身 1) 東京女子医科大学・臨床工学部心臓病センター 人工心肺室 1 ): 同 ・ 心 臓 血 管 外 科 【目的】 自 己 血 回 収 装 置 で は 血 液 濃 縮 の ほ か に 遊 離 Hb の 除 去 が 重 要 で 、そ の 効 率 の 評 価 が必要となる。また、最低洗浄量を知ることはコスト削減と処理時間短縮を図る こ と が で き る 。 し か し 、 遊 離 Hb の 測 定 は 高 コ ス ト で あ る た め 、 我 々 は 電 解 質 で 評 価可能か検討し、その除去率、最低洗浄量についても検討した。 【対象と方法】 対 象 は 、 同 じ 洗 浄 方 式 を と る デ ィ デ コ 社 製 electa( 以 下 、 E) 9 例 、 へ モ ネ テ ィ ク ス 社 製 セ ル セ ー バ ー 5 ( 以 下 、 CS) 9 例 、 コ ー ブ 社 製 BRAT― Ⅱ ( 以 下 、 B) 9 例 の臨床使用例である。方法は、洗浄を開始する前にリザーバ出口部、洗浄赤血球 バッグ入口部にルア付きコネクタに三方活栓をつけ血液を採血した。それぞれの 装 置 で 洗 浄 量 を 500mL、750mL( E は 700mL)、1000mL に 設 定 し 、各 3 症 例 で 遊 離 Hb、 電解質の洗浄率を測定した。 【結果】 遊 離 Hb の 除 去 効 率 の 有 意 差 ( p ) は 、 CS は 500mLvs750mL:p < 0.283 、 500mLvs1000mL:p< 0.371、750mLvs1000mL:p< 0.159。B は 、500mLvs750mL:p< 0.274、 500mLvs1000mL:p< 0.077、750mLvs1000mL:p< 0.112。E は 、500mLvs700mL:p< 0.871、 500mLvs1000mL:p< 0.076、 700mLvs1000mL:p< 0.245 で 全 て の 項 目 で 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 ま た 、電 解 質 の 除 去 率 も 遊 離 Hb の 除 去 率 と ほ ぼ 同 様 で 全 て の 項 目 で有意差は認められなかった。 【考察】 遊 離 Hb と 電 解 質 の 除 去 率 が ほ ぼ 同 様 の 結 果 を 示 し た こ と か ら 、電 解 質 で 除 去 率 が 評 価 で き る と 考 え ら れ た 。 ま た 、 洗 浄 量 と 遊 離 Hb 除 去 率 が 比 例 し な い 結 果 が 得 ら れ た 。 洗 浄 量 500mL が 750mL、 1000mL と 比 較 し 大 き な 差 が 見 ら れ な か っ た こ と か ら 、 最 低 洗 浄 量 を 500mL と し て 問 題 な い と 考 え ら れ た 。 【結論】 自己血回収装置の洗浄率を電解質によって評価できると考えられる。通常の洗 浄 量 は 500mL で 問 題 な い と 考 え ら れ た 。 【 7】 WX ロ ン グ タ イ プ IAB の 使 用 経 験 と 実 験 的 検 討 ○ 新井梨絵、植木弘一、吉岡信也、中嶋康仁、西田慎一、染谷忠男 筒井宣政1) 埼 玉 県 立 循 環 器 ・ 呼 吸 器 病 セ ン タ ー 、 1 ): 東 海 メ デ ィ カ ル プ ロ ダ ク ツ 【目的】 現 在 、 Intra-Aortic Balloon (以 下 、 IAB)の 細 経 化 に お け る 各 社 の 開 発 は 目 覚 ま し い も の が あ る 。 今 回 、 我 々 は 両 下 肢 と も IAB 挿 入 不 可 能 な ASO 患 者 に 東 海 メ デ ィ カ ル プ ロ ダ ク ツ 社 製 の 上 腕 動 脈 挿 入 用 WX ロ ン グ タ イ プ IAB を 使 用 す る 機 会 を 得たので、実験的検討を加え報告する。 【症例】 2004 年 8 月 25 日 午 前 8 時 に LAD へ PCI 施 行 の 男 性 患 者 で 高 度 な 両 足 慢 性 動 脈 硬 化 症 お よ び DM を 合 併 し て い た 。 IABP 駆 動 開 始 時 は 、 心 拍 数 135∼ 140 で 不 整 脈 が 頻発していた。 【実験方法】 ア ク リ ル モ ッ ク と PCPS 回 路 で 作 製 し た 実 験 回 路 を 用 い て 、WX ロ ン グ タ イ プ IAB と 同 社 WX ス タ ン ダ ー ド IAB を 、 大 腿 側 挿 入 方 向 で の 比 較 と WX ロ ン グ タ イ プ IAB の上腕側挿入方向での比較をアシスト時間およびアクリルモック上流側圧(疑似 上 行 動 脈 側 圧 ) に つ い て 行 っ た 。 実 験 は 、 テ ル モ 社 製 CX-SP4538H コ ー ン を 装 着 し た バ イ オ メ デ ィ カ ス 社 製 遠 心 ポ ン プ に よ り 3 L/min と 4 L/min の 定 常 流 の 中 で 、 そ れ ぞ れ の IAB を デ ー タ ス コ ー プ 社 製 system98 に て イ ン タ ー ナ ル モ ー ド 60bpm と 80bpm で 駆 動 さ せ 、 測 定 を 行 っ た 。 【結果】 3 L/min、60bpm で の ア シ ス ト 時 間 お よ び ア シ ス ト 平 均 圧 は 、WX ス タ ン ダ ー ド IAB が 0.795sec、 47mmHg、 WX ロ ン グ タ イ プ IAB が 0.770sec、 42mmHg と な り 、 WX ス タ ン ダ ー ド IAB の 方 が ア シ ス ト 時 間 が 長 く 、 ア シ ス ト 圧 も 高 か っ た 。 ま た 、 WX ロ ン グ タ イ プ の 上 腕 側 挿 入 方 向 は 0.750sec、40mmHg と な り 、 大 腿 挿 入 方 向 に 比 べ て ア シスト時間が短く、アシスト圧も低かった。他の測定においても同様の傾向であ った。 【考察】 上 腕 動 脈 挿 入 用 WX ロ ン グ タ イ プ IAB は WX ス タ ン ダ ー ド IAB に 比 べ て 挿 入 長 が 15cm 長 い た め 、 ア シ ス ト 時 間 お よ び ア シ ス ト 圧 が 劣 る が 使 用 上 問 題 に な る 程 度 で は な い 。ま た 、IAB 収 縮 時 の 装 置 側 ガ ス 吸 引 に 抵 抗 に な る と 思 わ れ た 上 腕 側 挿 入 方 向 で の IABP の 駆 動 も 多 少 劣 る が 問 題 に な る 程 度 で は な か っ た 。 た だ し 、 使 用 経 験 か ら IABP の 効 果 を 先 端 圧 か ら 判 断 す る に は 注 意 が 必 要 で あ る 。 【結論】 上 腕 動 脈 挿 入 用 WX ロ ン グ タ イ プ IAB は 、両 下 肢 に 慢 性 動 脈 硬 化 症 の あ る 患 者 に 有効である。 【 8】 弓 部 大 動 脈 置 換 術 で の ア ー チ フ ァ ー ス ト テ ク ニ ッ ク に お け る 体 外 循 環 法 ○ 三浦貴之、中尾一俊、遠山範康、五十嵐利博、長坂淳一、北村麻未 木原信一郎 1) 、長津正芳 1) 、青見茂之 1) 、黒澤博身 1) 東京女子医科大学・臨床工学部心臓病センター 人工心肺室 1 ): 同 ・ 心 臓 血 管 外 科 【目的】 弓 部 大 動 脈 置 換 術 (以 下 、 TAR)は 、 様 々 な 方 法 で 施 行 さ れ る 。 TAR に お け る ア ー チファーストテクニック時の体外循環法について報告する。 【対象】 2004 年 1 月 ∼ 10 月 ま で に 行 っ た TAR、 11 例 を 対 象 と し た 。 【方法】 大腿動脈送血で体外循環を開始し、上行大動脈にカニュレーション後、上行大 動 脈 送 血 に 切 り 替 え 冷 却 を 開 始 し た 。 膀 胱 温 16℃ に て 循 環 停 止 し 、 3 分 枝 へ の カ ニュレーションによる粥腫や空気による塞栓症を防ぐために、上大静脈から循環 停止下逆行性脳灌流を開始した。弓部分枝再建は、最初に左鎖骨下動脈を別の人 工血管で吻合し、次いで、4 分枝人工血管にて腕頭、総頚動脈を再建した.腕頭、 総 頚 動 脈 は 、4 分 枝 人 工 血 管 側 枝 か ら 順 行 性 脳 灌 流 を 行 い 、左 鎖 骨 下 動 脈 の 灌 流 は 、 心 筋 保 護 の 回 路 を 利 用 し 灌 流 し た 。 distal 側 を elephant trunk 法 に て 吻 合 し 、 4 分枝人工血管と端々吻合した。次いで、左鎖骨下動脈再建グラフトを 4 分枝人工 血 管 に 吻 合 し 、 通 常 体 外 循 環 に 戻 し 、 proximal 側 を 吻 合 後 、 膀 胱 温 36℃ で 体 外 循 環を離脱した。 【結果】 体 外 循 環 時 間 239±44min、 大 動 脈 遮 断 時 間 133±32min、 循 環 停 止 下 逆 行 性 脳 灌 流 時 間 35±10min、 順 行 性 脳 灌 流 時 間 56±16min、 下 肢 虚 血 時 間 55±17min、 最 低 膀 胱 温 15.3±1.0℃ で あ っ た 。 【考察】 カニュレーション箇所を最低限に抑えることで塞栓症を防ぐことが可能となっ た 。 ま た 、 distal 側 吻 合 時 の 視 野 を 確 保 し 、 出 血 を 抑 え る た め に 左 鎖 骨 下 動 脈 の 灌流を行うことで、循環停止下逆行性脳灌流時間、体外循環時間を短縮できると いう利点を有する。既存の回路を変更することなく、迅速に準備でき、操作も安 全に脳分離体外循環を施行できた。 【結論】 アーチファーストテクニック時の体外循環法は、手術手技を理解し術者と進行 状況を確認し操作することが重要である。既存の回路を変更することなく、安全 に脳分離体外循環を施行できた。 【 9】 人 工 心 肺 離 脱 困 難 に お け る 機 械 的 循 環 補 助 と し て の 補 助 人 工 心 臓 ○ 大原千典、荒井洋次郎、丸山 望月吉彦 有、吉田雅博、富田元沖、飛田瑞穂 1) 獨 協 医 科 大 学 病 院 臨 床 工 学 部 、 1 ): 同 ・ 胸 部 外 科 【目的】 人工心肺離脱困難症例において、機械的循環補助に補助人工心臓を選択し、そ の有用性について検討した。 【対象】 短 期 的 補 助 人 工 心 臓 と し て 開 発 さ れ た 、 Abiomed 社 製 BVS5000( 以 下 、 BVS5000) を人工心肺離脱困難に使用した症例を対象とした。 【方法】 BVS5000 の 作 動 原 理 お よ び そ の 特 性 か ら 、人 工 心 肺 離 脱 困 難 症 例 に お け る 機 械 的 循環補助としての有用性を検討した。 【結果】 BVS5000 特 有 の fill to empty mode に よ り 、 安 定 し た flow が 得 ら れ 、 人 工 心 肺 離脱困難症例における短期的な循環補助法として有用であった。 【考察】 機械的循環補助は、人工心肺離脱困難症例や急性重症心不全などのショックに 陥った全身諸臓器の機能不全を予防あるいは軽減に有効である。その中でも補助 人 工 心 臓 は 生 理 的 な 循 環 を 得 る こ と が で き る 。 Abiomed 社 製 BVS5000 は 、 空 気 駆 動式で、拍動流が得られる体外設置型補助人工心臓である。陰圧脱血を使用する サ ッ ク 型 補 助 人 工 心 臓 と は 異 な り 、 落 差 脱 血 方 式 を 用 い た fill to empty mode に よ り 安 定 し た flow を 得 る こ と が で き る 。そ の た め 、 導 入 か ら 離 脱 ま で 患 者 の 状 態 に合わせた、より生理的な循環補助ができ、諸臓器の保護および心室の仕事量の 軽減が可能で、心機能の回復に有効である。また、術後の出血をコントロールす る た め プ ロ タ ミ ン に よ る ヘ パ リ ン の 中 和 が で き る こ と も BVS5000 の 大 き な 特 徴 で ある。その他、血栓形成など、装置全般において状態を常に点検でき、臨床工学 技士にとって管理がしやすい。現在、人工心肺離脱困難症例での循環補助の第一 選 択 と し て 主 に PCPS を 導 入 す る 考 え 方 が 一 般 的 で あ る が 、 我 々 は 人 工 心 肺 か ら BVS5000 へ 直 接 移 行 す る こ と で 、 PCPS よ り も 生 理 的 な 補 助 循 環 が 得 ら れ 、 離 脱 に 有効と考える。 【結論】 人 工 心 肺 か ら 直 接 BVS5000 に 移 行 す る こ と は 、 PCPS を 使 用 す る よ り も 有 効 で あ ると考えられる。補助人工心臓駆動のためには人員など諸々の条件が必要となる が、それらを満たしている当院では、人工心肺離脱困難症例における短期的な循 環 補 助 に BVS5000 を 用 い た 治 療 を 選 択 し て い る 。 【 10】 心 臓 移 植 に お け る 臨 床 工 学 技 士 の 役 割 ○ 渥美杜季子、吉田 譲、奥村高広、関口 敦、会田治男、樺澤寛二 大木康則、佐藤智明、高橋克弘、斎藤亮輔、小塚アユ子、矢島真知子 徳永 満、見目恭一 埼 玉 医 科 大 学 附 属 病 院 ME サ ー ビ ス 部 【目的】 心臓移植の臓器摘出・移植チームに関与したので報告する。 【準備】 全 体 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 数 回 実 施 し 、臨 床 工 学 技 士 側 の マ ニ ュ ア ル を 作 成 し た 。 最 も 重 点 を お い た の は 、ド ナ ー 心 摘 出 時 の 心 筋 保 護 液 灌 流 法 で 、Bretschneider 液 を 落 差 圧 と 加 圧 バ ッ グ に て 灌 流 圧 を 80∼ 40mmHg に 調 節 し 5L 注 入 す る 。 こ の シ ミ ュレーションは念入りに実施した。 【臓器摘出搬送チーム】 医 師 4 名 ・ 看 護 師 1 名 ・ 臨 床 工 学 技 士 2 名 で 編 制 。 ① ド ナ ー 心 評 価 の 左 房 ・肺 動 脈 圧 計 測 ② 心 筋 保 護 液 灌 流 ③ 移 植 チ ー ム へ の 連 絡 ④ 摘 出 心 の 保 存・搬 送 (1 名 同 伴 )。 【移植チーム】 人工心肺操作、補助人工心臓装置管理、摘出チームとの連絡係、術中撮影およ び記録を担当。進行表を作成し摘出チームに対応。 【時間経過】 4:33 9:34 10:45 14:00 15:16 15:31 15:50 17:20 17:49 23:10 【考察】 臓器摘出搬送チーム 当院出発 臓器摘出病院到着 二 次 評 価 ・術 前 処 置 移植実施決定 移植チーム 10:50 14:00 決 定 連 絡 ・手 術 室 準 備 患者手術室入室 三次評価 LAP6-7、 PAP24/10(15)mmHg 遮 断 ・心 筋 保 護 液 灌 流 15:00 執 刀 心臓摘出 15:31 カ ニ ュ レ ー シ ョ ン 摘 出 病 院 出 発 ・ME1 名 同 伴 15:54 PumpON (救 急 車 ・ヘ リ ・ジ ェ ッ ト 機 ) 17:00 動 脈 遮 断 片付け人員摘出病院出発 ド ナ ー 心 臓 当 院 到 着 (搬 送 時 間 : 1 時 間 59 分 ) 17:57 移 植 (左 房 吻 合 )開 始 18:33 移 植 (大 動 脈 吻 合 )終 了 温 阻 血 時 間 47 分 / 全 阻 血 時 間 3 時 間 20 分 18:36 大 動 脈 遮 断 解 除 19:38 PumpOFF (3 時 間 44 分 ) 片付け人員到着 23:55 患 者 手 術 室 退 室 チームの一員として準備段階から関与し、綿密なシミュレーションを繰り返し 実施したため、全体の流れを把握でき、物品のチェックやマニュアルの作成が円 滑に行えた。しかし実際には、物品の不足や機器の動作不良等が生じた。より確 実な情報収集を実施し、機器の定期的な点検や動作確認をすることとした。また 心筋保護液注入方法や摘出心臓保存方法等、シミュレーション通りに実施できな い事もあり、今後検討が必要である。 【結論】 当施設での初の心臓移植だったが、チームの連携と関係機関の協力により、ほ ぼ予定通り進行でき搬送や阻血時間等も短く実施できた。今回の経験を活かし、 今後、より円滑に心臓移植が行えるよう努めたい。 【 11】 手 術 部 ・ 集 中 治 療 部 に お け る 安 全 管 理 体 制 -- 臨 床 工 学 部 の 取 り 組 み -○ 渡 邊 拓 也 、奥 田 晃 久 、新 田 郷 、安 孫 子 進 、安 藤 理 香 、田 口 英 昭 、石 井 宣 大 仁田坂謙一 東京慈恵会医科大学附属病院 臨床工学部 【緒言】 手 術 部 ・ 集 中 治 療 部 ( 以 下 、 OPE・ ICU) に お い て 診 療 機 器 の 適 切 な 管 理 ・ 運 用 をすることは安全な医療を提供するうえで重要である。今回、臨床工学部の安全 管理体制の取り組みについて報告する。 【業務内容】 当 院 の 臨 床 工 学 部 は 、 技 師 長 を 所 属 長 に 計 14 名 で 組 織 し 、 院 内 で 使 用 さ れ る 診 療 機 器 の 安 全 管 理 体 制 を 構 築 し て い る 。手 術 室( 23 室 )、ICU( 10 床 )に は 5 名( 人 工 心 肺 2 名 、手 術 室 ラ ウ ン ド 2 名 、ICU ラ ウ ン ド 1 名 )の 臨 床 工 学 技 士( 以 下 、CE) が 常 駐 し て い る 。 さ ら に 本 年 度 よ り 宿 直 体 制 を 導 入 し 、 院 内 に CE 1 名 が 常 駐 す る 24 時 間 体 制 を と っ て い る 。 心 臓 外 科 手 術 は 月 曜 か ら 金 曜 ま で 毎 日 行 わ れ 、 人 工 心 肺 担 当 者 2 名 で 準 備 か ら 操 作 ま で を 一 貫 し て 行 っ て い る 。 手 術 室 ・ ICU ラ ウ ン ド 担当者(診療機器回診)はチェックリストを用いて術前・術中の機器点検を実施 している。また、リスクマネジメント委員会に参画することで、診療機器に関し たインシデントの解析から、提言(指導)を行っている。 【結果】 担当者を明確にすることにより、担当業務に専念することが可能となり、作業 引 継 ぎ な ど に よ る ミ ス が 防 止 で き た 。手 術 室・ICU ラ ウ ン ド を 実 施 す る こ と に よ り 、 診療機器のトラブルを未然に防ぐことができた。また、宿直体制の導入によって 夜間のトラブルにも迅速な対応が可能となった。さらにリスクマネジメント委員 会の参画により、組織的な安全管理体制に取り組むことが可能となった。 【結論】 診 療 機 器 の 安 全 を 確 保 す る こ と は CE の 責 務 と い え る 。今 後 の 課 題 と し て 現 状 以 上の使用者教育や経済性を考慮した安全管理体制をはかっていくことがあげられ る。 【 12】 脳 代 謝 モ ニ タ ー を 使 用 し た 脱 血 指 標 の 検 討 ○ 五十嵐利博、中尾一俊、遠山範康、長坂淳一、三浦貴之、北村麻未 小坂由道 1) 、松村剛毅 1) 、長津正芳 1) 、新岡俊治 1) 、黒澤博身 1) 東京女子医科大学・臨床工学部心臓病センター 人工心肺室 1 ): 同 ・ 心 臓 血 管 外 科 【目的】 当 施 設 で は 体 外 循 環 中 の 脳 代 謝 モ ニ タ リ ン グ と し て 浜 松 ホ ト ニ ク ス 社 製 NIRO− 300 Ⓡ (以 下 、 NIRO)を 使 用 し て い る 。 本 装 置 は 主 に 脳 の 組 織 酸 素 化 指 標 を 測 定 の 目 的 と し て い る 。 今 回 我 々 は NIRO の 総 ヘ モ グ ロ ビ ン 変 化 濃 度 (以 下 、 Δ cHb)に 注 目 し、上大静脈の脱血指標となるか検討した。 【方法】 ビーグル犬モデルで完全体外循環を行い、上大静脈の圧、上大静脈の脱血回路 に 装 着 し た 電 磁 流 量 計 、 NIRO の Δ cHb を 同 時 に 測 定 し た 。 体 外 循 環 開 始 前 よ り 測 定を開始し、完全体外循環の状態で選択的に上大静脈を脱血不良状態にするなど 体外循環中に起こりうる状態を模擬し測定した。 【結果】 選択的に上大静脈を脱血不良にした際、電磁流量計の流量の低下に伴い上大静 脈 の 圧 、 NIRO の Δ cHb が 有 意 に 上 昇 し た 。 そ の 後 、 脱 血 不 良 状 態 を 解 除 す る と 、 上 大 静 脈 の 圧 ・ NIRO の Δ cHb は 低 下 し た 。 【考察】 NIRO の 総 ヘ モ グ ロ ビ ン 変 化 濃 度 の 上 昇 は 、 上 大 静 脈 の 脱 血 不 良 に よ っ て 頭 部 が うっ血していることを示していることが考えられる。また上大静脈の圧の変化に NIRO の Δ cHb は 俊 敏 に 反 応 す る と 考 え ら れ た 。 【結論】 NIRO の Δ cHb は 、 上 大 静 脈 の 圧 の 変 化 に 俊 敏 に 反 応 し 、 リ ア ル タ イ ム で の 測 定 が可能で常にモニタリングを行えることより、上大静脈の脱血指標になる。 【 13】 脳 分 離 体 外 循 環 用 回 路 の 検 討 ○ 花田琢磨、遠藤裕介、中嶋 勉、安野 誠 群馬県立心臓血管センター 臨床工学課 【はじめに】 当院で現在使用している脳分離用体外循環回路は、回路構成の簡素化、組み立 ての簡易性について改良を行い現在の形となった。今回、この脳分離体外循環回 路の有用性について検討したので報告する。 【対象・方法】 平 成 15 年 10 月 か ら 18 症 例 の 脳 分 離 体 外 循 環 症 例 に 使 用 し た 。脳 分 離 用 回 路 は 、 人 工 肺 の 6mm ポ ー ト に 接 続 し 、 熱 交 換 器 を 介 し て ロ ー ラ ー ポ ン プ を 用 い て 送 血 し た。回路はローラーポンプ出口で 3 分枝とし、分岐した部分からオーバーフロー 回路を設け、これをカルディオトミーリザーバに接続した。カルディオトミーリ ザ ー バ の 位 置 を 高 く す る こ と で 送 血 圧 が 70mmHg 以 上 の 場 合 で オ ー バ ー フ ロ ー す る ようにした。また、オーバーフロー回路の側枝でマノメーターにより圧力を測定 した。送血流量測定は、分岐した直後の 3 本の回路に超音波血流計(トランソニ ッ ク ・ シ ス テ ム ズ 製 : HT-320) の プ ロ ー ブ ( XL 型 ) を 取 り 付 け て 計 測 し た 。 【結果】 1 ポ ン プ 回 路 に 変 更 し た 結 果 、プ ラ イ ミ ン グ ボ リ ュ ー ム を 150mL 軽 減 す る こ と が で き た 。 送 血 圧 は 70mmHg 以 上 で オ ー バ ー フ ロ ー す る た め 、 不 意 の 鉗 子 操 作 な ど で も安全な送血を維持できた。超音波血流計の3分枝合計流量は、ローラーポンプ の 表 示 流 量 よ り 15%程 度 多 く 表 示 さ れ た 。 【考察】 回路構成が簡素化され、組み立てが容易になり組み立て時間の短縮につながっ た。オーバーフロー回路を設けることで、送血圧の過度な上昇を自動的に防ぐこ とが可能となった。 各分枝の流量を計測することで、送血流量の不均衡や、バルーンカテの脱落など がどの分枝で起きたかを把握することができた。 【まとめ】 脳分離回路を簡素化したことにより、組み立てや操作が容易になり、安全性が 向上した。 【 14】 回 転 コ ネ ク タ ー 組 み 込 み 式 プ レ コ ネ ク ト 人 工 心 肺 回 路 の 利 点 と 問 題 点 ○ 富永哲史、小林剛志、鳥本倫之介、石川智啓 1) 、金子真美 1) 、高橋政夫 1) 平 塚 共 済 病 院 臨 床 工 学 科 、 1 ): 同 ・ 心 臓 セ ン タ ー 心 臓 血 管 外 科 【目的】 当 院 で は 、 Off Pump CABG の 場 合 、 体 外 循 環 回 路 を 事 前 に 準 備 す る 事 が 少 な い 。 そのため体外循環が急に必要となった場合、迅速に回路を組み立てなければなら な い 。こ れ ま で Medtronic 社 製 プ レ コ ネ ク ト 回 路( 平 塚 共 済 病 院 仕 様 以 下 、M 回 路 ) を使用していたが、手順を間違えると回路に捻じれが生じ、通常より組み立てに 時 間 を 要 し て い た 。今 回 JMS 社 製 プ レ コ ネ ク ト 回 路( 平 塚 共 済 病 院 仕 様 以 下 、J 回 路 ) に JMS 社 製 回 転 コ ネ ク タ ー ( 以 下 、 回 転 コ ネ ク タ ー ) を 採 用 す る 事 で 問 題 が 解決されるか検討したので報告する。 【対象および方法】 J 回 路 に て M 回 路 と 同 一 構 成 の 回 路 を 作 り 、回 転 コ ネ ク タ ー の 組 み 込 み 位 置 、回 路の捻じれ状態および、組み立て時間について検討した。 【結果】 回 転 コ ネ ク タ ー の 組 み 込 み 位 置 は 、脱 血 回 路 の 術 野 側 と 器 械 側 の 中 間 に 1 ヵ 所 、 送血側では動脈フィルターの前後に2ヵ所、遠心ポンプ前後の2ヵ所の計5ヶ所 とすることが最良であった。組み立て時間に差はなかったが、捻じれは生じなか った。 【考察】 今回、回転コネクターを組み込んだ事により、回路の捻じれを修正でき、手順 を 間 違 え て も 一 定 時 間 で 組 み 立 て る 事 が で き た 。問 題 点 と し て は 、J 回 路 に 当 院 で 採用しているジャイロポンプが組み込む事ができないため、完全なプレコネクト 回路でないという点が挙げられる。今後、さらに時間短縮を計るためにも、ジャ イロポンプ組み込んだ J 回路が必要であると考えられた。 【結論】 プレコネクト心肺回路に回転コネクターを採用したことで回路の捻じれが修正 でき、組み立て時間が延長する事がなくなった。 【 15】 完 全 閉 鎖 型 人 工 心 肺 回 路 の 操 作 法 の 検 討 ○ 好並菜佳、又吉盛博、久保田浩光、小久保領、星野敏久 板橋中央総合病院 臨床工学科 【目的】 我 々 は 2002 年 9 月 よ り 貯 血 レ ベ ル を 自 動 制 御 す る 完 全 閉 鎖 型 の 人 工 心 肺 シ ス テ ム (以 下 、 AVC)を 使 用 し て い る 。 今 回 、 AVC の 操 作 法 に つ い て 検 討 し た の で 報 告 す る。 【特殊性の検討】 AVC に は 以 下 の よ う な 特 殊 性 が あ る 。1.貯 血 レ ベ ル を 調 整 す る ポ ン プ( 以 下 、貯 血ポンプ)にバイパス回路があり、これを開けることによって開放回路となる。 2.閉 鎖 回 路 の た め 脱 血 か ら 流 入 し た 気 泡 を 人 工 肺 の 前 に あ る エ ア ト ラ ッ プ で 除 去 す る 。 3.送 血 ポ ン プ が 脱 血 ポ ン プ と し て も 機 能 し て い る た め 、 脱 血 不 良 に な る と 脱 血 回 路 が 極 度 の 陰 圧 に な ら な い よ う に 脱 血 回 路 で 圧 力 制 御 を 行 う 。 4.貯 血 槽 の 血液が停滞しやすい。 【結果】 検 討 の 結 果 、 以 下 の 操 作 手 順 を 行 う こ と と し た 。 1.充 填 時 や 体 外 循 環 開 始 の 前 は、貯血ポンプのバイパス回路を開け開放回路とする。体外循環開始は、貯血ポ ンプのバイパス回路を閉鎖し閉鎖回路としてから行う。体外循環を停止させたら 貯 血 ポ ン プ の バ イ パ ス 回 路 を 開 け 開 放 回 路 と す る 。 2.脱 血 に 気 泡 が 流 入 す る 場 合 に は 、 レ ベ ル セ ン サ ー を 下 げ る こ と に よ っ て CVP を 上 昇 さ せ 気 泡 の 流 入 を 抑 制 す る。それでも気泡が流入する場合には、エアトラップのエアベントを開放する。 3.通 常 脱 血 圧 力 の 制 御 は -30mmHg で 行 う が 流 量 が 多 い 場 合 や 挿 入 さ れ た 脱 血 カ ニ ュ ー レ の サ イ ズ が 細 い 場 合 に は -30mmHg 以 上 の 設 定 に す る 。体 外 循 環 中 に 圧 力 制 御 が 動 作 す る 場 合 に は レ ベ ル セ ン サ ー を 下 げ る 。 4.昇 圧 剤 や 降 圧 剤 は 、 貯 血 槽 に 投 与 せ ず 直 接 体 外 循 環 回 路 に 入 れ る 。ACT を 450 秒 以 上 で 管 理 し 、低 い 場 合 に は 貯 血 槽にヘパリンを投与する。 【考察】 従来の開放回路では、送脱血のバランス調整などの体外循環操作は難しく、ま た 不 安 定 で あ っ た 。 AVC は 貯 血 レ ベ ル の 調 整 が レ ベ ル セ ン サ ー の 上 下 だ け で 行 え 、 体 外 循 環 操 作 も 非 常 に 簡 単 で 安 定 性 は 飛 躍 的 に 向 上 し た 。し か し 、AVC に は 閉 鎖 回 路特有の特殊性もあり注意が必要である。 【結論】 ACV を 安 全 に 使 用 す る 場 合 、閉 鎖 回 路 や AVC の 原 理 を 理 解 す る と 共 に 、今 回 検 討 した操作法を体得しておく必要がある。 【 S-1】 体 外 循 環 中 の ア ク シ デ ン ト 対 策 訓 練 の 検 討 ○ 安藤理香、奥田晃久、安孫子進、田口英昭、石井宣大、仁田坂謙一 橋本和弘 1) 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 病 院 ・ 臨 床 工 学 部 、 1 ): 同 ・ 心 臓 外 科 【目的】 循環停止を伴うアクシデントを想定した対策訓練が有効であるか検討した。 【方法】 人工心肺操作者 4 名を対象とし、模擬回路には、人工心肺回路L(泉工医科工 業 社 製 、 体 重 50k g 以 上 用 )、 人 工 肺 HP エ ク セ ラ ン ( 泉 工 医 科 工 業 社 製 ) を 使 用 し た 。模 擬 体 外 循 環 中 の 人 工 肺 交 換( 以 下 、肺 交 換 )、ポ ン プ チ ュ ー ブ 交 換( 以 下 、 チューブ交換)を、1 名が 4 回、1 日∼5 日の間隔を空けて実施した。肺交換手順 は、当施設のマニュアルおよび本研究会の人工心肺安全ハンドブックに準じた。 評 価 項 目 は 、 各 訓 練 回 数 を 訓 練 1∼ 4 と し 、 循 環 停 止 時 間 ( 以 下 、 時 間 ) と 訓 練 時 の手技を評価するため、口頭試問、手順、気泡の有無、清潔操作、破損を各 1 ポ イントとし、計 5 ポイントのスコアとした。 【結果】 肺 交 換 時 間 は 、 訓 練 1 で は 707±159sec、 訓 練 4 で は 432±45sec で あ っ た 。 【考察】 肺交換時間は、訓練を 4 回行うことで効果が見られた。チューブ交換時間は、 訓練回数による効果は見られなかった。今回の訓練を行ったことにより、迅速か つ安全に行える回路および方法の改善案が出されるなど、安全管理の意識が高ま った。 【結論】 体外循環中に循環停止を伴うアクシデント対策訓練は、迅速かつ安全に行うた めに有効であった。問題点として定期的な訓練間隔の検討,その他のアクシデン ト対策を取り入れた回路の変更が必要である。また、対策訓練の実施、標準化が 必要であると考える。 【 S-2】 小 児 用 人 工 心 肺 シ ス テ ム の 安 全 性 に 関 す る 検 討 ○ 古平 宮地 聡、佐藤正憲、東條圭一、藤井正実、武田章数、佐藤栄治 鑑 2) 、小原邦義 1) 2) 北 里 大 学 病 院 M E セ ン タ ー 部 、 1 ): 北 里 大 学 医 療 衛 生 学 部 2 ): 北 里 大 学 病 院 心 臓 血 管 外 科 【目的】 当院では小児体外循環における回路充填量の低減を目指し、分離型ポンプ、リ モ−トコントロ−ラの採用、ポンプ脱血法および、陰圧吸引補助脱血法(以下、 VAVD) を 用 い た 人 工 心 肺 シ ス テ ム を 採 用 し て い る 。 今 回 我 々 は 、 小 児 用 人 工 心 肺 システムにおいて想定されるトラブルと安全対策および、実際にトラブルが起き た場合の対処方法について検討したので報告する。 【対象および方法】 体 外 循 環 中 に ト ラ ブ ル が 発 生 し た 場 合 、致 命 的 な 事 態 と な り う る 分 離 型 ポ ン プ 、 リモ−トコントロ−ラ、病院吸引設備のトラブルを想定した。対処法として送血 ポンプの故障時には、ポンプ脱血の場合回路の架け替えにより脱血ポンプが送血 ポ ン プ の 代 わ り を す る よ う に 配 置 し 、 VAVD の 場 合 は 代 替 ポ ン プ に 交 換 す る こ と と した。リモ−トコントロ−ラは通信異常時には本体側で操作できるようになって い る が 、 操 作 方 法 に 問 題 が あ っ た た め よ り 安 全 な 方 法 に 変 更 し た 。 VAVD の 際 の 補 助 吸 引 装 置 に つ い て は JaSECT 第 28 回 大 会 で 発 表 し た ベ ン チ ュ リ 式 の 吸 引 発 生 装 置を準備した。これらついてトラブルマニュアルを作成し、実際にシミュレ−シ ョンを行った。 【結果】 本システムを採用し 4 年以上使用したが想定したトラブルは発生していない。 トラブルマニュアルに沿ったシミュレ−ションでは、マニュアル通りの操作でも 最初は時間がかかるが、繰り返し行うことで時間短縮を図ることができた。また シミュレ−ションにより改善点が見つかりマニュアルを最良の方法に変更するこ とができた。 【考察および結論】 体外循環中のトラブルによる循環の停止は致命的な事態になりうることから、 システム全体の安全性を向上させる必要がある。そのためには機器の特性を十分 理解し、システムの改良、警報装置の追加やマニュアルの作成を行うことでトラ ブルを未然に防ぐ必要がある。また、日頃よりトラブルが起きた場合の対処方法 についてシミュレーションを行いトラブルが起きても迅速に対応できるようにす る必要がある。 【 S− 3】 人 工 心 肺 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン マ ッ ト の 使 用 経 験 ○ 玉城 聡、小川 竜徳、赤地 吏、新見 能成 1) 帝 京 大 学 医 学 部 付 属 病 院 ME 部 、 1): 同 ・ 麻 酔 科 【目的】 人 工 心 肺 の 教 育 は 、各 施 設 に よ っ て さ ま ざ ま で あ り 、そ の 内 容 に も 格 差 が あ る 。 しかし、教育の方法は講習会・研究会・学会・ビデオなどの学習が主であると思 われる。近年、自動車や二輪車の教習に関してシミュレーターは不可欠で操作・ 予測・危険回避などの訓練が行われている。当院ではこれまで人工心肺業務の教 育として、見学・回路組み立て・水廻しといった内容で行ってきたため、実際に 臨 床 で 起 こ る 血 行 動 態 の 変 化 や ト ラ ブ ル を 体 験 す る こ と は で き な か っ た 。そ こ で 、 人工心肺シミュレーションマットを考案し、実際の人工心肺操作の訓練やトラブ ルを体験することができたので報告する。 【方法】 テ ル モ 社 製 人 工 心 肺 装 置 APSI に て 人 工 心 肺 回 路 を 組 み 立 て 、シ ミ ュ レ ー シ ョ ン マットに装着した。人工心肺操作手順を作成し、これから人工心肺業務に入る技 士、熟練技士、麻酔科医師、学生を対象に操作実習とトラブル体験を行った。シ ミ ュ レ ー シ ョ ン マ ッ ト は 、泉 工 医 科 社 製 で 素 材 は 塩 化 ビ ニ ー ル 、大 き さ は 25×80cm、 充 填 容 量 5000mL、 耐 圧 能 力 30mmHg を 使 用 し た 。 【操作訓練】 オクルーダーによる送脱血流量の調節。静脈リザーバーのレベル低下によるポ ンプ停止。気泡検出による警報。人工心肺装置のダイヤルとスクロールバーによ る操作。 【模擬体験】 循環血液量の変動による擬似血圧(動脈圧・中心静脈圧)のモニタリング。ド レナージラインによる擬似尿量や出血によるリザーバーレベルの変化。 【トラブル体験】 送脱血不良、気泡混入、人工肺からのエアー引き込み、静脈リザーバー陽圧に よる逆流。 【結論】 人工心肺シミュレーションマットを使用することで、人工心肺装置の操作訓練 とトラブルを体験できたことから、操作技術の向上、トラブルへの対処法の確認 ができ、体外循環の安全性が向上すると思われる。 【 S-4】 体 外 循 環 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 経 験 ○ 南 茂、又吉 徹 1) 福 岡 大 学 病 院 臨 床 工 学 セ ン タ ー 、1):慶 應 義 塾 大 学 病 院 医 用 工 学 セ ン タ ー 【目的】 現在、人工心肺では安全性の向上を行うことが急務である。そのひとつの方法 に教育がある。今回、オーストラリアでのシミュレーションを用いた人工心肺研 修を受講する機会を得たので、その経験を報告する。 【オーストラリアの現状】 オーストラリアで人工心肺技士になるには、理工系の大学卒業後、病院で研修 を受ける必要がある。どこの病院で研修を受けても研修プログラムは確立してお り、同じ知識、技術が習得できる。研修終了後、面接と筆記、実技試験に合格す ると人工心肺技士となる。その後も一定期間ごとにシミュレーションラボにて研 修を受け、最新の情報、技術、トラブルへの対処法などを習得する。 【シミュレーションラボ】 シミュレーションラボでは、シミュレーション回路にて各種トラブルが発生し その対処を行い、評価や指導を受ける。体外循環は落差脱血、ローラーポンプ送 血で行う。モニターは、生体情報として心電図、動脈圧、中心静脈圧、体温など が表示され、体外循環装置には静脈血酸素飽和度、血液レベルセンサー、人工肺 前後の圧力測定、バブルディテクターなどの警報装置が装着されている。これら は連動し作動する。このラボには、各施設で発生したトラブルは必ず報告され、 実際に起きたトラブルに対する対処法も経験する。実際にシミュレーションを経 験したが、教科書的には理解していたが実際に経験していないトラブルでは、有 効な対処が行えなかった。しかし、何度か行うことにより、迅速で確実な対処が 可能となった。 【考察】 日本では、各施設独自の教育法、体外循環法で研修が行われているため、標準 化は難しく、また、警報装置の装着率も低い。オーストラリアでは、研修システ ムが確立されているため、体外循環法も標準化されている。また、シミュレーシ ョンを行うことによりトラブル対処法も標準化されている。このシミュレーショ ンにより、新しい技術、必要な技術に対する理解や対応も早い。 【結論】 安全性向上のためには、人工心肺研修プログラムを確立し、正しい知識、技術 を持つことである。また、教科書での知識だけではなく、実際にトラブルを経験 するシミュレーションは重要である。これらを行うことにより、人工心肺の安全 性は向上する。
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