特集:鉄道における人材開発 その2

54
2009年12月
論説
特集:鉄道における人材開発 その2
JR東日本の人材育成に関する取り組みの現状
韓国又松(ウソン)大学鉄道物流学部の紹介
菰淵 茂樹
李 容相(イ・ヨンサン)
東日本旅客鉄道株式会社 人事部(研修) 課長
ウソン大学教授
今日、企業は急激に変化するビジネス環境と技術に即時対応するこ
とが求められており、生き残るために会社の中身と質を常に改善し
ていかなければならない。JR東日本では、
「安全とお客さま満足の徹
底的な追求」
「 持続的成長と次代への挑戦」
「 企業の社会的責任の遂
行」
「 組織の力・人事力の向上」の三つの経営方針を立てており、自
らの役割を認識し、能動的に行動ができる社員の育成を目指してい
る。本稿はJR東日本における人材育成制度について述べる。
ウソン大学は、大韓民国デジョンにある私立大学である。同大学に
は有名な鉄道専門学科(鉄道経営学科、鉄道建設環境工学科、鉄道車
両システム学科)があり、韓国鉄道公社等の鉄道関係企業との連携、
密度の濃い授業、課外授業、および海外の大学との交流を通して、未
来の鉄道職員養成を目指している。この大学の教員である著者が、
ウソン大学とその教育プログラムの特徴について紹介する。
JR西日本における人材育成の取り組み
鉄道職員に求められる条件の変化とその対応
—マレーシア国鉄での状況
牧山 慎一郎
ムスリマ・シャムスディン
西日本旅客鉄道株式会社 人事部課長代理
アカデミー KTM シニアマネージャー
2005年4月に発生した福知山線列車事故以来、JR西日本は安全を最
優先する企業風土の構築に向けて、努力を続けている。同社では現
在、2012年までに死傷事故を根絶することを目標とし、これを達成
するために安全教育の拡充、技術力向上、技術継承をスムーズに行
うための教育体制の整備、および指導者の育成を行っている。本稿
はJR西日本の人材育成施策を説明する。
鉄道の社会に占める役割が増大するにともない、鉄道会社は「高い
生産性」を目標とした企業指針を作成し、社員の能力の維持、向上に
努めることが求められている。KTMB(マレーシア国鉄)では、新入
社員研修を含む、各種の研修を行っている。また、現在研修施設の
移転と拡充も行っており、最新設備の導入も進めている。マレーシ
ア国鉄の研修機関の責任者による人材育成についての考察と、研修
プログラムの現況及び将来計画についての解説。
「世界一の韓国鉄道」の目標達成に向けて
—韓国鉄道公社の人材育成とそのインフラ
金 亨植(キム・ヒョンシク)
韓国鉄道公社 人材開発チーム長
韓国鉄道公社は、
「 世界一の韓国鉄道」を目標として掲げており、安
全で便利なサービスの提供に努めている。この目標を達成するた
めに、成果を重視する指導者の育成や新しい価値観を創造できる技
術者の養成に努めている。韓国鉄道公社における人材育成の現状
と課題について述べる。
日本鉄道史上のブレイクスルー 3
明治時代の日本における鉄道技術者育成小史
堤 一郎
職業能力開発総合大学校 能力開発研究センター 研究員
137年の日本の鉄道の歴史に残る技術面の発展飛躍(ブレイクス
ルー)に焦点を当て、一般読者向けにわかり易く解説するシリーズ
の第3回目。今回は、明治時代における鉄道技術者の育成について
論じる。
もうひとつの視点から
50歳でテニスを始めて
トピックス
2009年5月から9月
写真特集
乗車券販売システムの発展
塩見 正城
30年近くアメリカに在住して著述活動をしながら50歳を迎え、何
か新しいことをしようと考えた著者は、テニスを始める。他のプ
レーヤーとの出会いなど、テニスの楽しさについて語る。
http://www.jrtr.net/