ピースボート地雷廃絶キャンペーン P-MAC 地雷の基礎知識 《地雷の特徴》 1.「人を殺すこと」を目的としない兵器 多くの地雷は、兵士の手足を失わせることを目的に作られています。そうすること で、傷ついた兵士を他の兵士 2~3 人が病院まで運ぶため、戦える敵の兵士の 数を減らすことができます。 また、手足を失い苦しむ姿を他の兵士が見ることで、 戦う気力を失わせることができます。 地雷は身体的にも精神的にもダメージを与える兵器です。 2.残り続ける 一度埋められると、戦争が終わっても誰かが踏むか地雷除去するまで残り続け ます。 3.人を選ばない 地雷は攻撃する相手を選びません。そのために被害者の 7 割以上は戦争とは関係のない一般市民です。 戦後、農作 業中、買い物のため外出中、通学途中などふつうの生活の中で地雷被害に遭う人々、子どもたちがいます。 4.安い 地雷は 1 つ 300 円程度。戦費が少ない軍隊にとって使いやすい兵器です。1970~80 年代に各地で頻発した内戦で 多くの地雷が使われ、今も約 70 カ国に地雷が埋まっています。 《被害者数》 2013 年の 1 年間に判明しているだけで 55 の国と地域で 3,308 人が被害にあっています。被害者数の記録がある 1999 年以降、被害者数は減少していますが、このほかにも報告されていない被害者もいるため、実際にはより多くの 被害者がいると思われます。 ・被害者が 100 人以上の国 1 アフガニスタン 1,050 人 2 コロンビア 368 人 3 パキスタン 219 人 4 シリア 201 人 5 6 7 8 イラク カンボジア イラン ミャンマー/ビルマ 124 人 111 人 107 人 101 人 《地雷埋設国》 約 70 の国と地域が地雷埋設国で、その多くがアジアとアフリカにあります。 ・地雷埋設国(2012 年現在) 特に地雷汚染が多い国 カンボジア、タイ、アフガニスタン、イラン、 イラク、トルコ、クロアチア、ボスニアヘル ツェゴビナ、モロッコ、チャド、アンゴラなど 《地雷の種類》 世界では約 340 種類の地雷が存在するといわれています。 【対戦車地雷】 サイズは直径 30~50cm と大きく、地中に埋めて使われます。車両や戦車などを爆発さ せる目的でつくられたため、150kg 以上の重さがかかると爆発します。 【対人地雷】 1.爆破型地雷 直径は約 5~15cm。 地中に埋めて使われます。どのくらいの重さで爆発するかは種類 によって異なりますが、多くは数キロの重さで爆発します。 構造が単純で大量生産がし やすいです。 2.破砕型地雷 地中に埋めず地表の物陰などに隠して使用します。 爆発で地雷本体が細かく砕けて、周 囲 20~30m に時速 100km で四方に飛び散り、その破片で標的を殺傷します。種類に よっては内部に鉄くずや鉄球が詰めてある物もあります。 ワイヤーを安全ピンにつなげて おき、標的がワイヤーに足をかけると安全ピンがはずれ、起爆装置が作動します。 3.跳ね上げ型地雷 地雷本体が地面からはね上がり、地表から 1~2m の空中で爆発します。 他の地雷とは 違い、人の胴体・内蔵・頭部に大きな被害を与えるのが特徴です。 4.指向性地雷 地表に設置し、リモコン操作やワイヤーを引き抜くことで爆発します。地雷の前方向のみ に爆発して、中の鉄球が広範囲に飛び散ります。 5.散布型地雷 航空機やヘリコプターなどからばらまく地雷です。それぞれが小さく目立たない色をしているため、気づかずに踏んでし まいます。子どもが興味を持つような形をしているため、地雷とは知らずに拾い上げて被害にあうことも多いです。 6.スマート地雷 自己破壊装置、または自己不活性化装置付きのためスマート(かしこい)地雷と呼ばれます。一定時間後に自爆したり、 爆発しないようになります。しかし、これが正しく動作する確率は 7 割以下という報告もあり、本当に無力化しているか どうかは爆発させてみないと分かりません。 ≪対人地雷全面禁止条約≫ 対人地雷全面禁止条約(通称オタワ条約)が 1997 年に成立、現在 162 カ国が参加していす。(2014 年 12 月時点) 〈対人地雷全面禁止条約の主な内容〉 ・対人地雷の使用、貯蔵、生産、移譲の禁止 ・埋設地雷の除去、被害者支援を進めること ・これまで貯蔵していた地雷の廃棄 ・地雷被害国への地雷対策のための資金や技術の支援 「市民がつくった条約」 1990 年代には多くの人々が日々地雷被害に遭っていました。その状況を知った世 界中の NGO などがネットワーク NGO「地雷禁止国際キャンペーン (ICBL)」をつ くり、国々を巻き込んでオタワ条約を成立させました。その功績が認められ、ICBL は 1997 年にノーベル平和賞を受賞しました。世界 の 4 分の3以上の国が地雷を禁 止することで新たな地雷埋設は年間数か国にとどまっています。ICBL は毎年各国 の地雷の状況をモニタリングし、非締約国に はオタワ条約への参加を呼び掛けて います。 《日本の地雷対策》 日本もオタワ条約の加盟国です。かつては地雷を製造し、自衛隊が約 100 万個の地雷を持っていましたが、条約加盟 後に廃棄しました。現在は地雷除去のため の技術開発や訓練に使用するための数千個が残されています。また、カン ボジアやアフガニスタンなどの埋設国へ除去のための資金援助を行っています。 《最近の地雷の使用》 2013 年 9 月~2014 年 10 月にはシリアとミャンマーの政府軍(いずれもオタワ条約未参加)が対人地雷を使用、ナ ゴルノ・カラバフ(アゼルバイジャン西部にある地域)でも使われました。また、アフガニスタン、コロンビア、リビア、ミャン マー、パキスタン、シリア、イエメンの非政府武装グループの対人地雷使用が確認されています。 参考: 「地雷リポート」神保哲生著(1997) 「Landmine Monitor 2014」ICBL 発行
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