クラスター爆弾の基礎知識

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クラスター爆弾の基礎知識
《クラスター爆弾の特徴》
クラスター爆弾は、ひとつの爆弾の中に 200 個近い子爆弾が入っています。爆撃機などから投
下されると空中で破裂し、子爆弾が広い範囲にばらまかれます。子爆弾の中には金属の破片な
どが仕組まれており、建物や人の身体を貫いて破壊します。
「被害者は子どもをはじめとした一般市民」
クラスター爆弾は、広い範囲にばらまかれるため、戦争に直接関係
のない人々が被害に遭うことがとても多い兵器です。クラスター爆弾
の被害に遭うと、死亡する確率も高く、命が助かったとしても手や足
を失ったり、体中に傷跡が残ったりと、深刻な障がいが残ります。
また、子爆弾は不発弾となって残ることがとても多く、この不発弾は
地雷と同じように、半永久的にその力を持ち、人々を危険にさらしま
す。つまり、戦争が終わった後もクラスター爆弾の被害が絶えませ
ん。
子爆弾は上の写真のように鮮やかな黄色をしているものもあり、子どもたちが興味本位で手をふれてしまい、被害に遭
うことも多いです。また、不発弾の処理もたいへん危険な作業で、除去作業員への被害も多く伝えられています。
《被害者数》
記録に残っているだけで、2013 年末までに 19,419 人が被害にあいました。クラスター爆弾の被害は他の不発弾との
区別がつきにくいため、より多くの被害者がいると思われます。これまでに 55,000 人以上が被害にあっていると考え
られます。
シリアでは、2013 年の 1 年間で 1,000 人以上が被害にあいました。そのほとんどが一般市民です。これは記録が残
る 2009 年以降で最も大きな被害です。
・2013 年に被害が確認された国と地域
カンボジア、クロアチア、イラク、ラオス、レバノン、南スーダン、スーダン、シリア、ベトナム、西サハラ
《クラスター爆弾の埋設国》
2014 年現在、26 の国と地域でクラスター爆弾が不発弾となって残っています。
・埋設国一覧
アフガニスタン、カンボジア、ラオス、ベトナム、アゼルバイジャン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、ドイツ、モンテネ
グロ、セルビア、ウクライナ、コソボ、ナゴルノ・カラバフ、イラク、レバノン、リビア、シリア、イエメン、西サハラ、チャド、コンゴ
民主共和国、モザンビーク、ソマリア、南スーダン、スーダン、チリ
《クラスター爆弾の使用》
クラスター爆弾は第二次世界大戦ではじめて使われました。その後、2014 年までに 42 の国と地域でクラスター爆弾
が使われています。最近では、シリアで 2012 年以降、政府軍や ISIS(イスラム国)により使用されました。また、2014
年には南スーダンとウクライナでも使用されています。
《クラスター爆弾禁止条約 》
2007 年 2 月、クラスター爆弾の被害に危機感を抱いた各国政府や NGO が、ノルウェイのオスロに集まり会議を開き
ました。そして、2008 年末までにクラスター爆弾禁止条約(通称オスロ条約)を作ることを宣言。その後、条約作りに賛
同する国々が会議を重ね、2008 年 5 月には条約案が完成しました。同年 12 月 3~4 日にはオスロで調印式が行わ
れ、日本を含む 94 カ国が条約に署名しました。2014 年現在、113 カ国が署名しています。
オスロ条約の成立には、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)と同様、世界中の
NGO が重要な役割を果たしました。世界各地で様々な NGO がクラスター爆弾
の廃絶を訴えるキャンペーンを展開し、各国政府はクラスター爆弾の廃絶へ動き
出しました。また条約作りにも大きな力を発揮し、その結果、ただの軍縮条約にと
どまらない、被害者支援なども盛り込んだ人道的条約が完成しました。
〈クラスター爆弾禁止条約の主な内容〉
・クラスター爆弾の開発、製造、保有、移譲を禁止する
・これまで保有してきたクラスター爆弾を遅くとも 8 年以内に廃棄処分する
・不発弾となったクラスター爆弾を 10 年以内に除去する
・被害者に対して、適切な支援を提供する
・条約加盟国である他の国に対しても支援を行う
・未加盟国に対して、条約加盟を働きかける
《日本のクラスター爆弾対策》
日本は 2008 年 12 月、クラスター爆弾禁止条約に署名しました。それまで自衛隊が保有していたクラスター爆弾は
2015 年 2 月に廃棄処分が終了しました。条約に署名した国々のうち「先進国」を中心とする一部の国は、今回締結さ
れた条約では規制されない最新式のクラスター爆弾の導入を予定していますが、日本政府は「今後いかなるクラス
ター爆弾も導入しない」と明言しました。また、日本政府はクラスター爆弾の被害者への支援を行い、条約未署名の
国々に対しては署名を働きかけていくとしています。
・日本に残るクラスター爆弾問題
日本はオスロ条約加盟国のため現在はクラスター爆弾を保有していませんが、アメリカはオスロ条約に加盟していませ
ん。そのため、沖縄ではアメリカ軍がクラスター爆弾の投下訓練を行っています。米軍基地に保有し、アメリカ軍が管轄
する射爆撃場(爆弾やミサイルの発射訓練で着弾地となる演習場)に投下していますが、アメリカ軍は日本政府に対し
て、詳細を明らかにしていません。
参考: 「Cluster Munition Monitor 2014」 クラスター爆弾連合(CMC)発行