Monthly Report

FAJ鉢物レポート7月
●発行日:平成22年7月14日
●発 行:(株)フラワーオークションジャパン
企画課
Vol.51
FLOWER AUCTION JAPAN, INC.
7回目を迎えたインドアプランツコンテスト。
今年のテーマカテゴリーはアンスリウムでした。
出品数:573点 開催日:平成22年6月9日
インドアプランツコンテスト開催の趣旨は、
また、観葉植物は鉢も含めて鉢物全体が
インドアプランツコンテストは再び観葉植物
一言でいえば観葉植物の商品性向上と新商
観賞の対象となることから、仕立て方法を変
をよさを評価して欲しいという期待をこめて
品の発掘です。
えることで新たな価値・用途が生まれます。
平成 16 年から再開された観葉植物のコン
FAJ の前身の一つである日本観葉植物株
スタンダード仕立てや朴仕立てのドラセナ
式会社では永らく観葉植物品評会を 6 月に
(幸福の木)などがよい例で、品評会では、
開催していました。昭和 50 年代には観葉植
仕立て方法も審査・評価の対象になっていま
物の一大ブームがあり、スパティフィラムや幸
した。
福の木、スタンダード仕立てのフィカス・ベン
大田市場に入場した 1990 年(平成 2 年)
ジャミナなどが登場し、サマーギフトの習慣が
以降、観葉植物品評会はしばらく開催されず
盛り上げっていたこともあり、それらはギフトに
にいましたが、ガーデニングブームを迎えて
も多用されました。当時の観葉植物品評会
1990 年代には観葉植物の売れ行きが低迷
は次々に登場する新品種を評価し、その利
して商品数も減少するようになっていきまし
用価値を周知することを目指していました。
た。
テストなのです。
㈶日本花普及センター会長賞
C.大鉢9号~10号鉢
㈳日本花き生産協会会長賞
E.アンスリウム部門
E.アンスリウム部門
写真は河合康之さん。
鉢物レポートバックナンバー
Vol.3 で紹介しました。
写真は高橋繁之さん。
鉢物レポート バックナンバー
Vol.30 号で紹介しました。
アンスリウム 3.5 号
飯田 章史 (愛知)
アンスリウム‘オタズ’ 7 号
河合 康之 (愛知)
㈳日本家庭園芸普及協会会長賞
フィカス・ウンベラータ
B.中鉢(7~8号)
10 号
写真は小倉敏雄さん。
高橋 繁之 (千葉)
巻末の生産者紹介に掲載し
ています。あわせてごらんくだ
㈳日本インドア・グリーン協会理事長賞
A.小鉢 (ケース物)
さい。
写真は小波 輝昌さん。
‘ハッピーデー’は小波さんが
育種した品種です。
ポトス’ハッピーデー’ 6 号
小波 輝昌 (茨城)
ツピダンサス・カリプトラツス 8 号
小倉 敏雄 (群馬)
鉢物レポート Vol.51
特別賞
続き(順不同)
B.中鉢(7~8号鉢)
花卉園芸新聞賞
ザミア・プミラ 8 号
A.小鉢(ケース物)
C.大鉢(9~10号鉢)
NHK テキスト
「趣味の園芸」編集長賞
観音竹‘綾錦’ 6 号
王子田 豊 (鹿児島)
村松 厚一 (静岡)
グリーン情報
「Garden Center」賞
「日本農業新聞」賞
写真は半助園芸
写真は杉原園芸
渡辺宏修さん
杉原芳英さん
フィカス・エラスティカ
ポトス 10 号
‘メラニー’ 4 号
杉原 芳英 (愛知)
渡辺 宏修 (愛知県)
C.大鉢(9~10号鉢)
「農耕と園芸」賞
D.特大・特殊仕立
「月刊植物デザイン」賞
B.中鉢(7~8号鉢)
A.小鉢(ケース物)
大田市場花き事業協同組合
理事長賞
観葉植物普及協会
会長賞
㈱フラワーオークションジャパン
社長賞
写真は園部健一さん
‘スカーレットアイビス’は
園部さんのお父さんが
育種した品種。
コルジリネ・オーストラリス
メラレウカ
アスプレニウム・ニダス
エバーフレッシュ 6 号
‘アトロプルプレア’ 10 号
‘レボリューションゴールド’
‘プリカツム’ 8 号
登川園芸(沖縄)
茂手木 秀男(東京)
富田 祐司(静岡)
ドラセナ・コンシンナ
‘スカーレットアイビス’ 6 号
屋宜 盛光 (沖縄)
園部 健一 (茨城)
12 号
第7回インドアプランツコンテスト審査講評
国内の大手企業が業績回復傾向にあり、多少の
明るさを感じ始めた中、ギリシャの財政危機に端を
審査長
田中耕次
をはじめとする植物は、クオリティーの高い贈答品
大型の葉を持つもの、それ以前はフィカス・ウンベ
として、今一度返り咲きを願いたいものである。
ラータやゲッキツ、フィカス・ベンジャミナなど時の
発したユーロ安などで景気の春はまだ遠き感じが
出展の総数は 573 点と前回の 718 点を下回っ
人気NO.1の植物が登場したが、今回の出展を見
ある。第 7 回コンテストの出展は業務用として使わ
ているが、概、過去 6 回の平均値である。大鉢の
る限り、これという物が無く平準多様化していること
れていた大鉢が減少し、初めて 20%を割り込み、
素材であるヤシ類やフィカス類、フィロデンドロン類
が見受けられる。観葉界をリードする品種の登場を
小鉢物が 43%を占め明らかに一般消費者向けへ
などのヘゴ仕立て等の減少も目立った。
期待する。
県別では愛知県が 257 点、沖縄県 65 点、静
インドアプランツコンテストの大賞には千葉県、高
そのため、小鉢、中鉢物に関しては容器をデザイ
岡県 64 点、以下鹿児島県、三重県と続く。生産
橋繁之氏、作出のフィカス・ウンベラータ 10 号が
ン化された個性のある、いわゆるカッコイイ鉢に植
地は群馬県を北限として、温暖で冬期にあまり燃
選ばれた。栽培中には何度もピンチし、樹木の特
えられているのが大半で、この傾向は大鉢にも多
料代が要らない地域、あるいは温泉熱が利用でき
性を生かしたバランスの良さが評価された。おめで
少だが見られるのは、一般消費者のデザイン性の
るなどの地の利を生かして生産されている。
とうございました。
と需要の流れが移ってきている。
追及の需要に応じて良い事である。
新品種としては、ヘデラ、アロカシア、フィロデンド
今回は独立部門として、アンスリウムが審査され
ロンなど約 10 種が見られたが、中でも日本原産
銀賞も含めて 4 点が選ばれた。かつてアンスリウム
種の小笠原諸島のセボレーヤシ、茨城県以南に
はお中元の主力商品であったが、贈答品多様化
分布するヒメイヨカズラなど、まだまだ日本にも利用
に伴い、アンスリウムの贈り物としてのウエイトは低く
できる素材があることを示唆している。
なった。しかし、選ばれた品種のようなアンスリウム
Vol.51
観葉植物はかつてストレリチア、ラベナラなどの
FLOWER AUCTION JAPAN, INC.
銀賞
A.小鉢 (ケース物)
スパティフィラム
ツピダンサス
‘八海山’
モンステラ・アダンソニー
イポメア・バタタス
フィットニア
ヒメイヨカズラ
カリプトラツス
花井 充(愛知)
小倉 敏雄(群馬)
渡辺 義弘 (愛知)
近藤 基美 (愛知)
中山 道男 (三重)
山本 勲 (愛知)
7 号 陶器
6 号 曲がり
6号
4号
3号
5 号 吊り
B.中鉢(7~8号)
シッサス
アグラオネマ
ポトス‘ステータス’
ステレオスペルマム
ダニエレ
ポトス
シェフレラ・アルボリコラ
‘マーブルクイーン’
‘ホンコン’
大蔵 拓実(愛知)
中世古 大助(三重)
鷲尾 昭夫 (愛知)
登川園芸 (沖縄)
伊藤 康生 (三重)
タイチ (鹿児島)
5 号 吊り
4号
6号
6号
7号
7号
コルジリネ
カラテア・ゼブリナ
C.大鉢9号~10号鉢
カシワバゴム
‘バンビーノ’
アロカシア
ラウテルバキアナ
コスタス
ウラベニショウ
プルベルレンツス
‘トリオスター’
福留 壮一(鹿児島)
荒木 敏美(愛知)
山本 勲 (愛知)
山本 勲 (愛知)
川上 健一郎 (鹿児島)
斎藤 礼次郎 (静岡)
8号
8号
8号
10 号
10 号
10 号
D.特大・特殊仕立
ヘデラ・ヘリックス
E.アンスリウム部門
アンスリウム’センサ’
‘雪ほたる’
アンスリウム
‘ジャングルキング’
廣野 與志郎(愛知)
米津 一義(愛知)
河合 康之 (愛知)
10 号
5号
10 号
㊤審査風景 審査員が厳正に選びます。
FAJ 鉢物レポート
生産者紹介
今月はインドアプランツコンテストで社団法人日本家庭園芸普及協会会長賞受賞した群馬県の
小倉園 小倉敏雄さんをご紹介します。
小倉園
小倉敏雄さん
小倉園は群馬県の最東端、埼玉・栃木・茨城と 4 県
豊橋市の大十園にて研修、昭和 50 年に観葉植物の
の県境に接する板倉町にあります。この地域は内陸性
生産を開始しました。現在、施設 2,600 坪、露地
の気候で夏は準日本一の猛暑を記録する館林に近く、
1,500 坪でフィカス・ベンジャミンやツピダンサス、オリー
冬は最低気温-8℃位まで下がります。
ブなどを生産しています。
小倉敏雄さんは埼玉県の農業高校卒業後、愛知県
おすすめ商品と生産のモットー
創業時よりフィカス・ベンジャミンを手がけ(関東では
近年、オリーブにも力を入れています。この地域の苛
最初)、ベンジャミンのねじりの元祖として一貫してこだ
酷な気候により実付きがよいという利点を生かして、小
わりのベンジャミン作りを続けています。また、ツピダン
鉢から大鉢まで実付きオリーブを中心に生産していこう
サスの曲げ物やフランスゴムのラセン仕立てなど、手間
と思っています。
隙を惜しまず付加価値の高い商品を作るため努力して
写真㊤ オリーブの本場
イタリアにて。
小倉敏雄さんご夫婦。
います。
写真㊧:
苛酷な環境のため実付きが
よい。
小倉さんから一言
写真㊤:
オリーブのための新しい温室
イチオシ
風にそよぐやさしい枝ぶりや姿に魅せられ、観葉植物
のアイテムの 1 つとしてオリーブを取り入れました。鉢物
新温室の中。 大きなオリーブや
いろいろな品種が生産されてい
る。
ジャパンフラワーセレクション認定品種に
今年のインドアプランツコンテ
ストで社団法人日本家庭園芸普
及協会賞を受賞した曲がりのツ
ピダンサス。美しく曲げられた
姿が人気。
としても庭のシンボルツリーとしても魅力的な植物です。
実も楽しめるのもオススメです。14 年ほど前に誕生した
板倉ニュータウン住民にオリーブの苗木を無償で配布、
オリーブがたくさん繁るオリーブタウンを夢見ています。
生きた化石「ウォレマイ・パイン(ジュラシックツリー)」
は花ものだけでなく、観葉植物付加価値の
生きた化石といえば「シーラカンス」を思い浮かべ
高い観葉植物もあります。一般に広く流通
る人が多いと思いますが、植物の世界でも、恐竜のよ
しているものと違い、一風変わったストーリー
うに化石で見つかり、今は絶滅してしまったと思われて
性に富んだ素晴らしい品種を紹介します。
いたものが、時を超えて発見されました。
それは、ナンヨウスギ科の針葉樹「ウォレマイ・パイン
(ジュラシックツリー)」です。1994年9月にオーストラ
リア、シドニーのブルー・マウンテンで発見されました。
その後世紀に繁殖がされ、今では日本でも FAJ が
中心となり流通がされており、一般で販売が可能で
す。我が家では冬はクリスマツツリーにしましたが、国
産のモミの木のように葉が尖っていなくて、葉も柔らか
いので、女性や子供が飾り付けをするには最適です。
日本で最初に公開された浜名湖花博跡地公園の
ジュラシック・ツリー(撮影2007年6月)
http://www.faj.co.jp