地方都市におけるマンション管理とコミュニティ形成に関する研究

地方都市におけるマンション管理とコミュニティ形成に関する研究
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マンション、管理組合、コミュニティ、地方都市
1
はじめに
1
.1.研究の背景と目的
戸数を圏別に見ると、他地域すなわち地方都市圏 (4) で
のマンション居住の普及がうかがえる。対前年度比で
2008 年末の国土交通省の推計によると全国の分譲マン
は、中部瞳以外でピークを迎えた 2006 年度に向けて地
ション戸数は 545 万戸を超え、居住人口は 1 , 400 万人を
方都市圏では 13.59% と他よりも高い増加が見られた(首
数えるに至った(1)。こうして、わが国の総人口の l 割以
都圏 0.22% ・中部圏一6.48% ・近畿圏 8.15 %) 。そして
上がマンション住民となるなかで、その居住をめ ぐる課
10 年間の対前年度比平均は 2.16% と他よりも高 い(同
題の抽出と対応方策の検討にはなお重要な意味がある。
一0.06% ・1. 38% ・一2.45%) 。つまり、既に供給が進ん
マンション居住をめ ぐる最近の 課題を整理した公的見
解としては、 2009 年の社会資本整備審議会答申「分譲マ
だ大都市圏とは異なり、地方都市圏で、のマンション居住
は普及段階の新しい課題として見なすべきである。
ンシ ョンスト ック 500 万戸時代に対応したマンション政
特に地方都市圏では近年の中心市街地活性化政策にお
策のあり方について J がある。問答申では改修や建て替
ける「まちなか居住」の推進に伴ってマンション供給が
えを必要とする高経年マンションの増加 (2) 、マンション
進められたが、北原 1) や池田ら 2) のようにその住まい方
住民自身の高齢化に端を発する維持管理能力の低下 (3) を
や地域社会の受け止め方に関する十分な議論がないまま
指摘する。そして、計画的な維持管理体制の確立を図る
ストックが乱立しているとの指摘がある。また、西津 3)
ためのとりくみの強化、政策として改修や建て替えを支
が指摘するように、プライパシーが不透明なマンション
援することの必要性を指摘している。
居住の普及は町内会(地域自治組織)という地方都市圏
こうした課題は確かにわが国のマンション全般に共通
の土着層(既存住民)への流動層(新規マンション住民)
するように見える。しかし、問答申もマンションが大都
の接合メカニズ、ムを揺るがす、地域社会の不安要素と考
市圏への人口集中に対応して定着してきたことを前提と
えられる。つまり、本研究の目的はマンション住民と地
しているように、その課題の検討に際して地域性の差異
域社会との聞の住まい方や共同性に関わる合意を可能と
が意識されていないように思われる。最近 10 年間 (1999
する関係構築をコミュニティ形成と呼ぶべき課題として
- 2008 年度)の住宅着工統計より分譲マンション供給
捉え、地方都市圏でのそのあり方を検討することにある 。
-福島大学人文社会学群行政政策学類准教授・博士(学術)
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38 ・ URBAN
HOUSINGSCIENCES
このとき、マンション住民と地域社会との接点として
増加するストックに対する全国的なマンション居住政
管理組合は機能しうるのか。この論点は本研究の仮説と
策には、特に近年では 2000 年のいわゆるマンション管
なるが、先の答申が指摘する課題に対応することを考え
理適正化法以降の流れがある。同法に基づくマンション
れば、そもそもその維持管理体制の確立は普遍的な課題
管理適正化指針、 2004 年のマンション標準管理規約と同
といえる。しかし、マンション居住の普及段階にある地
コメント、そして 2005 年のマンション管理標準指針と
方都市圏では地域社会とのコミュニティ形成を考えるた
矢継ぎ早に管理適正化を目的とする政策が登場した o そ
めにも、その主体たる管理組合自体のあり方を考える必
れらが必要とされた背景にある課題は 1. 1. に示した。
要がある。地域社会との接点となるためには、管理組合
こうしたマンション居住を取り巻く現状に対し「分譲
自身の意思決定つまりコミュニティ形成を含めて維持管
マンションストック 500 万戸時代に対応したマンション
理体制を確立していく必要がある。すなわち、それを「自
政策のあり方について J がまとめられた。問答申では基
立 j として捉え、内実を検討する必要がある。管理組合
本的な現状認識を示した上で、今後のマンション政策に
の自立の概念としては 200 1 年のマンション管理適正化
おける基本的な考え方を整理している i すなわち、 (1)
指針や西国 4) に見られるが、それぞれ管理規約の遵守、
住宅ストックとしてのマンションの重要性、 (2) マンショ
理事会の指導力、個々の住民の積極的な関与、そして管
ンの管理等に行政が政策的に関与することの意義、
理会社との対等な関係といった構成要素をあげている。
マンションの管理等についての専門家による支援の重要
本研究ではニうした要素が地方都市圏の管 理組合にも合
性、
致するのか確認するこ とから、上記の仮説を検討する 。
1
.2 .
(3)
(4) 老朽マンションの再生の重要性、の 4 点である。
しかし、これらに地方都市圏に関する具体的な記述は
ない。そこで1.1.で見たように地方都市圏はマンショ
研究の構成と方法
本研究では地方都市圏におけるマンション開発の立地
ン居住の普及段階にあることをふまえると、
(2) (3) は行
動向をふまえて検討対象を選定した今西 ω に依拠し、福
政・専門家ともに人材・職能の確保がなお必要とされる
島県特に福島市を 事例に、図 1 に示す構成で検討を行う 0
段階にあり、
I[呂的】大都市圏と区別した地方都市圏マンシヨン居住の課題抽出・対応方
れる。つまり、(1)の考え方に即したマンション居住政
策倹討の必要性
.マンション住民と地議社会との合意形成=コミュニティ形成のあり方
・管理組合の意思決定を含めた維持管理体制の確立= r 自立』の倹討
【方法】福島県特に福島市における事例研究
・規後 (6階以上)
・居住形式 (分擁 ・賃貸 )
・管理委託状況 {管 理委託有
無)に着目した管理組合の自立の確認
-福島市L管理組合への聞き取り調査及びその所在する S町内会の調査累積査
(4) は個別対応の範鴫にある課題と考えら
策の確立こそ、地方都市圏の当面の課題と考えられる。
その (1) ではマンションを「地域にとってまちづくり
やコミュニティ活動の拠点となる社会基盤 J r 活力・魅
力ある地域社会を形成する上でも重要な要素 J
と位置づ
けている。この考え方は 2004 年のマンション標準管理
への回答結果照合
図 1
研究の構成と方法
まず、 2 では全国的なマンション居住政策における検
規約が管理組合の業務として位置づけた「地域コミュニ
ティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成 J
とも符
討課題の位置を確認する。次に福島県での中高層建築物
合する。ただし、同コメントによると「日常的なトラブ
に関する条例・要綱の制定状況を概観し、現状の対応方
ノレの未然防止 J r 大規模修繕工事等の円滑な実施」といっ
策を概観する。 3 では福島市の中心市街地及びその周辺
た、いわば対策的な観点からこの位置づけを行っている。
に所在するマンションに対して実施し 16 件の回答を得
これに対して問答申が示すように、むしろ積極的な観点
た調査票調査の結果より、特に管理組合から見た実態を
から体制・能力の伴うマンション管理を促していくこと
把握する。 4 で、は調査票調査への回答を得たマンション
が、地方都市圏における居住政策上の課題といえよう。
の内、自立した管理と思われる管理組合を取り上げ 、聞
2 . 2 . 福島県におけるマンション居住政策
き取り調査結果を交えて内実を検討する。あわせて、そ
それでは地方都市圏でコミュニティ形成とマンション
のマンシ ョンが所在する地域自治組織から見たマン ショ
の維持管理体制の確立は政策的にとりくまれているの
ン開発に対する意向 (6) も照合し、両者の接点など関係、も
か。福島県を事例に確認する。 2008 年度の住宅着工統計
検討する。以上をふまえ、 5 において結論をまとめる 。
によると福島県では 11 , 333 戸の新規住宅供給戸数があ
2 地方都市圏におけるマンション居住政策
り、うち分譲マンション 戸数は 493 戸 (4 .35% ) であった。
2. 1 . 全国的なマンション居住政策における地方都市圏
最近 10 年間の推移を見ても、同程度の割合となっている。
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都市住宅学 67 号夜間 AUTUMN ..
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福島県は 1 , 378 , 254ha という広大な県土を持つが、都
以上 7 市のマンション居住政策に関わり、全県の建築
市計画区域は 31 市町村 26 区域の 339 , 278ha (24.62~) 、
行政を担う福島県建築指導課にも確認したところ (2009
なかでも用途地域は 38 , 613ha (2.80~) に限られる。こ
年 6 月)、マンション管理に関する市町村への指導・助
の内、行政・産業等の集積がありマンション需要が認め
言は特に行っていないとのことであった。郡山市の管理
られるのは 13 ある市と考えられる。そこで本研究では
基準の設定についても、同要綱が制定された 1990 年代
これら 13 市について例規の検索を行い、いわゆる中高
前半にマンション立地と近隣紛争が相次ぎ、全国的な動
層建築物に関する条例・要綱の制定状況を確認した。そ
向を見て一般的な助言を行ったものとの回答であった。
の結果、表 1 に示す 7 市で要綱の制定が認められた (7) 。
3 福島市におけるマンション管理の実態調査
表 1
3
.1
福島県の中高層建築物に関する条例・要綱の制定状況
自治体名
名
称
制定 事前 建築 事後 管理
年
協議 計画 協S盤 基準
会津若絵市 中高層建築物等の建築に関する指導要綱
1
9
9
8必須
あり なし なし
中高層建築物に係る電波障害等の防止に
1
9
8
1 要望
なし なし なし
1
9
9
1 要望
あり なし あり
0
0
5要望
1
9
9
6要望
0
0
7必須
1
9
9
1 要望
あり なし なし
いわき市
郡山市
関する指導要綱
共同住宅型集合建築物等の建築に関する
指導要綱
白河市
中高層建築物の建築に関する指導要綱
須賀川市
中高層建築物の建築に関する指導要綱
伊達市
中高層建築物の建築に関する指導要綱
福島市
中高層建築物の建築に関する指導要綱
なし なし なし
なし なし なし
あり なし なし
まず、コミュニティ形成との関連について、マンショ
まず管理組合から見た維持管理体制の現状と課題を確
認し、次に管理組合自身及び地域社会とのコミュニティ
形成の内容を確認するため、福島市において表 2 に示す
調査票調査を実施した。この調査により得られた回答は
16 件 (22. 86~) であり、その物件概要は表 3 である ω 。
表2
福島市における調査票調査の概要
l 名称
福島市中心市街地周辺におけるマンション管理の実態調査
対象 ・ 福島市中央地区町内会連合会区域に所在する 6 階建て以上のマン
ンと地域社会との最初の接点として、事前協議の場とな
る説明会の開催を義務づ吋ているのは会津若松市と伊達
市の 2 市で、あった。他は近隣住民への説明を行うことは
前提だが、概ね「開催を求められたとき J 、すなわち要望
に対して説明会を行うとする規定であった。また、開発
以後の継続した事後協議の規定はすべてに見られない。
また、建築計画上の接点として周辺への具体的な配慮
事項の有無を確認したところ、 4 市では敷地境界線から
の距離、ごみ集積場、日照等の項目設定が見られた。そ
の他の 3 市では配慮する旨の努力規定だけが見られた。
そして、管理組合の維持管理体制の確立に関わる政策
として、要綱において管理基準を定めているのか確認し
た。その結果、郡山市において規定が見られた。その概
要は (1) 管理人の配置 (50 戸以上は常駐)、
(2) 管理委
調査概要
ション 70 棟の管理組合理事または役員
日程: 2008 年 12 月- 2009 年 1 月
方法 . 直接配布・郵送回収
結果:有効回答件数 16 件 (22.86%)
表 3
福島市における調査票調査の回答マンション一覧
名称
年数
稽数
1主雇
戸薮
A 11
0 1 7 17
6 17
5 10 11 10
2
7 1 6 13
0 13
0 10 10 10
C 11
0 11
4 凶
65101010
百
無
7130128111110
τ
3111130130101010
F 1 8 1 8 17
9 17
9 10 10 10
G 1 6 11
0 拘
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-寸
H 11
7 11
4 18
0 17
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3
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8 11 τ
0
J r
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6 11
7 19 10 10
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9 12
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0 、
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7
無必訪
日
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N 1 3 1 6 13
2 13
2 10 10 10
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4
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4
7.
1
31
0.
8
61
0.
29 10 ∞
す
T窪)T居住形式」の
併存 J
居住
店舗 1.務所|その他形式
栗務
委託
分穏
なじ
責買
なし
分担
あり
賃貸なし
分11
あ可
分留
あり
分認
あり
併存否'J
買買
;よし
買買
あり
併存
あり
奇軍吉 り
併存あ り
分彊
あり
奇事~)
分線
あり
ー
立分撮・賃貸併有。 T棄}は無圃:奮。
(3) 管理規約の作成
福島市は福島県庁の他、国の出先機関など行政機能の
と入居者への周知徹底、というものである。特に (3) で
中枢を担う人口約 29 万人の地方都市である。本研究に
はごみ出し、騒音、路上駐車・駐輪等の禁止事項に加え、
おいて岡市を検討対象とする理由はそのマンションの供
町内会・自治会への加入促進と協定事項の遵守を定めて
給動態にも大きい。岡市のマンションは福島駅を中心と
いる。この管理基準導入に基づく通常の指導について岡
した中心市街地活性化基本計画で指定する中心市街地と
市開発建築指導課に確認したところ (2009 年 6 月)、周
その周辺にあたる、 66 町内会からなる中央地区町内会連
辺地域社会とのコミュニティ形成については f2008 年よ
合会区域に概ね立地する。最近 (2007 年度)の福島市調
り建築確認申出の際に近隣居住者との紛争を防止するよ
べでは、その 1 年間に中心市街地で 3 棟 204 戸のマンシヨ
う建築主等に『誓約書』も提出させている J
という。つ
ンが立地した (9) 。これは同年度全県の分譲マンション供
まり、「強化」の方向にあるということであった。しか
給戸数の 39. 16~ にあたる。つまり、県内でもマンシヨ
し、維持管理体制の確立については「建築以後のフォロー
ン居住の普及が顕著で、あり、事例選定の際にも考慮した。
アップまではできていないのが現状J との回答であった。
回答マンションの平均建築年数は 12.67 年(最大値 3 1
託の際は責任者・連絡先等の掲示、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一 一・ ・
40 ・ UR8AN
HOUSINGSCIENCES
年)、階数は 9.27 階(同 14 階)、戸数は 48. 19 戸(同 91
戸)である。居住形式と しては分譲 9 件、賃貸 4 件、分譲・
賃貸併存 3 件であり、 管理組合の所在が確認できたのは
賃貸を除く 12 件であった (10) 。
7
: 1
: 2
'0
: 0・ 0
0
: 0
: 0
邑
0
: 0
: 1
その他
まはは
譲でで
分ン貸
つヨ賃
をン日
持シ・
、は併
とたは
引討対
合マヰ
組の山
理存日
管併司
居住形式について見る
8
1
総計
13
分 11置
委託なし理由
管理知織を有しているから
費用の面から
サービス内容から
過去に契約していたが解約した
住民の自主管理意裁が高いから
その他
総計
表 9
再
0
: 0
・_..・・・ .'on.. ・
1
: 0
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。:
0
: 0
....•。:
...
信頼性の面から
建築年数(表 5) 、階数(表 6) 、戸数(表 7) について見た。
山星
総計
・.. .:.:・.
サービス内容から
費用面から
件概要との関係を確認する。ここでは居住形 式(表 4) 、
ιa
はじめから契約していたから
管理知後への不安から
から
まず、管理会社への管理委託の有無とマンションの物
・あり
分|賃|併
委託あり理由
時間・労力の面で管理が困難だ
(1) 管理委託の有無と物件概要との関係
=. ~
理内容に関わる理
委託有無理由
.......・
3
.2 維持管理体制の現状と課題
表4 _
居住形式と委託有無
'
_
表 8
1
2
総計
1
: 0
0
: 1
・・・・・・.・: ・.....
0
: 2
0
: 0
・・・・・・.・: ・.....
0
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0
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1
1 3
一-一-寸τ
o
|分 1 貫j 置 l 併 l 総計 l
会計.出納業務
t
.
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…
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7 i日…丘?%九
o iL.J.
1 民8:
川
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蹴管理・点検業務
│
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清掃業務
18
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1
修繕針薗
管理員委託
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叫
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は少なかった。こ
の点は入居以後の
維持管理に対する
自立がなされてい
ないことを想起さ
1
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; る。一方、委託な
の理由については、
サービス内容から」
t
J 半数の 2 件であっ
~
委託内容(複数・ n=12)
委託内容
由を選択した回答
f
;
。「 管理知識を有し
てし、るカかミら j とし、う
刊
1 11
ない旨の回答は l 件
1
2
1
!.J行う場合が見られる
?忠弘
丸一
3
Jセ悼キ日ユ♂:リ仔町
f J斤子イ1._+.~糾
j付バ!存| ドq
次に委託ありの吟
場
司と考えたが、件数は
合の委託内容は表 9 に示される。複数回答として聞いた
司少なかった。
結果、すべての項目について 10 - 12 件の回答が見られ
次に建築年数を見
た。すなわち、管理会社にほぼすべての管理業務を委託
ると、委託ありは
していることになる。それだけ管理会社に全幅の信頼を
12 件中 11 件が築後
置いているのか「管理会社への満足 J を聞いたところ 12
20 年未満の物件で
件中 10 件が満足と答えていた。その理由の第 l 位は「時
ヨあった。うち分譲は
間・労力を節約できるから」の 4 件であり、続いて「サー
8 件すべて築後 15
ビスの質が高いから J の 3 件となっていた。また、管理
年未満であった。委
会社との定期協議は「ある」とする回答が 11 件であった。
託なしは 4 件中 2 件
その理由は「管理への共通認識を持つため J r 問題への
が築後 25 年以上の
対応を早めるため j がそれぞれ 3 件となっていた。
計物件で、あった。
(3) 管理組合の自立
そして階数につい
次に管理組合の自立を考える上で各種会合の開催によ
て委託ありはほぼど
る住民の協議実態・意思決定の内実を知るべく総会及び
の階層でも見られた
その他の集会の開催状況を聞いたが、総会は r1 年に l
刊が、委託なしは分譲・
回程度」とする回答が 10 件と大半を占めた 。その総会
への委任状を除く住民の直接的な出席割合も聞いたとこ
いて委託ありは分譲の 30 戸 台に 5 件 がまとまって 見ら
ろ、 r20%未満 J r
2
0- 40%J がともに 5 件と大半を占めた。
れた。委託なしに偏在はないが分譲の 70 戸台という比
つまり、総会であっても半数以上の住民が参加していな
較的大規模な物件で委託なしというケースがあった。
い。そして、その他の集会については、
(2) 管理委託の理由と内容
度」とする回答が 4 件と最も多かった。
r3 ヶ月に 1 回程
それでは管理委託の有無を分ける理由とは何か。表 8
また、 1. 1. の仮説 のように管理組合は専門知識を得
には委託あり 12 件・なし 4 件のそれぞれの理由を示した。
て管理会社と対等に協議し、自らも自立して管理を担う
委託ありの理由について、最も多かった回答は「はじ
必要があろう。この点に関連して専門知識を得るために
めから契約していたから J の 10 件であり、具体的な管
行っていることを聞いたが、 12 件すべて「行っていなしリ
.‘...
一......_一 一
ー.......................................................................................................................................................................................
都市住宅学 67 号 2∞9
AUTUMN.4
1
表 10
との回答であった。
3 件)の場合は賃貸(全 l 件)あるいは委託なしに比 べ
理由は「管理会社に
て回答項目が多い。
任せている J が 6 件
なると地域社会との接点が見られると考えられる 。
と最も多く、やはり
4 管理組合から見た地方都市におけるマンション居住
自立とは言い難い状
4 , 1 , マンション居住をめぐる自立に向けた課題
専門知識を得ていない理由
分|併
行っていない理由
総計
必要性を感じない
住民の参加が見込めない
行いたいがやり方がわからない
管理会社 l 、任せている
..,
1
0
4
'
3
1
i
Z
1
2
1
2
E
0
その他
無回答
1 1
2
総計
このことから、委託ありと分譲 が 重
3 を概括すると、維持管理体制の確立について、回答
況がある(表 10) 。
3 , 3 ,マンションと地域社会のコミュニティ形成
マンション 16 件の内、管理委託ありは 12 件、なしは 4
(
1)マンション内でのコミュニティ形成
件で、あった。委託ありの最多の理由は「はじめから契約
3 , 2 ,に見た維持管理体制の確立のためにもマンション
していたから J (10 件)であり、具体的な管理内容に関
内でのコミュニティ形成の意味は大きい。そして、それ
わる回答は少なく、入居以後に住民による自立した維持
は地域社会との接点になるのか。次に、回答を得たマン
管理がなされているとは想起し難 い。 また、意思決定の
ション内でのコミュニティ形成の内容を見る。
ための総会への参加も
表 11
に 5 件となるなど、住民の積極的な関与も認め難い。
住民間の交流促
表 11 はすべての回答マンシヨ
進の有無
+暗い、,_,山…ーンに「住民どうしの交流を図る
121 ために行っていること」を聞い
れた結果だが、図っていることが
トラブルの解決方法
委員会で対処する
コミュニティ形成について、マンション内で住民間 の
交流促進を図る活動は 2 件しかなく、
トラブ、ルが生じた
際の解決方法も「管理会社に解決を依頼する J
(6 件) が
あるとした回答は 2
最多となり、維持管理体制の確立という点で疑問が残る 。
!分 l 賃 l 併!総計I! 件であった。 内容は
管理組合が地域社会との接庶になるのかという仮説につ
1..店....?.1…・.?.LーとJ í 親睦会などのイベ
いても、地域自治組織が行う日常的な行事への参加は半
トラブルの解決方法
当事者聞に任せる
0- 40%J がとも
í20% 未満 J
10
10
;0
1
組合が中心となり解決する 1
2
lO
l1
1
0
1
3
1
管理会社に解決を依頼するl"" jT"寸'Z'r寸1 ント」で、理由は「住
数で、「定期協議」については 4 件に止まっていた。
14
lO
l0
1 4
1
i-RY 百「寸民どうしの理解を深
19
14
13
1 16l めるため」であった。
コミュニティ形成は望めないのか。ここでは調査票調査
次にマンション内でトラブルが生じた際の解決方法を
への回答では理事会を 2 ヶ月に 1 回のベースで開くなど
聞いた(表 12) 。これを見ると「管理会社に解決を依頼
他よりも頻度の高い活動が見られた表 3 の L 管理組合に
する」の 6 件に対し「組合が中心となり解決する」は 3
対して行った聞き取り調査 (2009 年 1 月)から考察する 。
件だった。つまり、管理組合自身というよりはまず管理
L 管理組合は建築年数 11 年の分譲マンションである 。
その他
無回答
総計
では、地方都市圏ではマンション居住をめぐる自立や
会社に対応を求めるとしづ結果であった。
ほぼすべての業務を管理委託しており、分譲段階からの
(2) 地域社会とのコミュニティ形成
契約に基づいている。管理組合の理事は任期 l 年で毎年
そして、マンションと地域社会とのコミュニティ形成
6 名を選出している。選出方法は部屋番号順の割り振り
を知るため、表 13 には地域自治組織が行う活動への参
に基づく持ち回りで、そのなかで「推薦だ、ったり多数決
加ありとしたマンションの回答内容を、管理委託有無ご
だったり、じゃんけんだったり J で理事長以下を決定し
とに示した(複数回答) 。 全体では「町内会総会への参
ており、専門知識を得て管理を行うという様子ではない。
í一
住民は全般的にマンションを「個人資産」とは思って
斉清掃への参加 J が各 8 件となる 。 つまり、日常的な行
いても、主体的かっ共同的に管理をしようとは思ってい
事への参加は全体の半数に止まる。「町内会との定期協
ない。総会への参加者も毎回 4 分の l 程度と少ない。 だが、
議J は 4 件で、日常的な行事よりもさらに行われていない。
足を運ぶ住民は意識が高く、的外れな協議にはならない。
加 J が 11 件と最も多く、以下「地域行事への参加 J
表 13 地域自治組織が行う活動への参加状
況と委託有無(複数・ n=16)
この質問
しかし、これが逆に総会の敷居を高くしているという 。
は複数回答
こうした意識・態度の背景には管理会社との関係があ
であるが、
る。分譲当初は管理会社が一方的に物事を進めたり、逆
委託ありの
に管理組合がしくみをよくわからずに十分な対応ができ
引分譲(全 8
なかったりという場面があった。
しかし、ただ「協力 J
け件)・併存(全
するという態度ではなく、現在では「管理組合が委託者
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42 ・ URBAN
HOUSINGSCIENCES
として主導権を握り、適度な緊張関係を保つことも必要J
距離を遠ざけているように見える。地方都市圏において
と考えているという。具体的な管理組合の活動としては
マンションがこのまま普及していくことには、地域社会
実際に現場を見る、業者に立ち会 うなど 手間を惜しまな
との接合という点でなお課題が大きいと考える。
い姿勢で臨んで、いる。このように管理会社との 関係 変化
5 結論
を契機とすることに 、地方都市圏でもマン シ ョン居住を
本研究の知見として、まず。福島県に見たように条例・
め ぐる自立に向けた転換への萌芽があるといえよう。
要綱というマンション居住政策による課題への対応方策
4.2. マンシヨン居住とコミュニティ形成をめぐる課題
は限られている。今後は地方都市圏におけるマンション
L 管理組合への聞き取り調査によるとマンション内で
は「顔を合わせたらあいさつはするが、住民の聞にコミュ
居住の検討課題をより精選しつつ、郡山市のような管理
基準を持つ要綱の実効性等を考えていく必要がある。
ェティというほどのものはなしリという。イベントは以
福島市で 16 件から回答を得た調査票調査の結果を概
前は行ったこともあったが参加者が少なく、さらに年々
観すると、マンションの維持管理体制の確立に向けた住
減少していったので数年でなくなったとのことである。
民の積極的な関与は十分なものとは言い難い。その自立
こうしたマンション内での住民相互の関係について、
への転換の契機については L 管理組合の事例に見たよう
L 管理組合では コミュニティがないことで特に因ってい
に、「はじめから契約していたから J
という管理会社と
ることはないという。だが、些細な住民間のトラブルで、
の関係を変化させていくことの必要性が考えられる。
すぐに管理組会や管理会社に訴える住民もいると指摘す
そして地域社会とのコミュニティ形成について、 L 管
る。理事会を 2 ヶ月に 1 回というベースで開 く背景には、
理組合と S 町内会の事例では住まい方や共同性に関わる
こうした問題解決に追われる理事会の姿がある 。 例えば、
合意は認め難い。調査票調査の結果からも「町内会との
調査票調査への自由 回答では「管理費の長期滞納者に対
定期協議J は日常的な行事となっていないことがわかる
し 法的手段も検討しており、管理組合というより住民ど
が、地方都市圏の地域社会が地域自治組織によって接合
うしの問題として苦慮している J
されていると見るならば、それへの居住政策としての対
との記述をしていた。
また、 L 管理組合の地域社会とのコミュニティ形成に
応も必要になろう。その前提として、主立つた活動が見
関しては調査票調査への回答を見ても「 町内会総会への
られなかったマンション内でのコミュニティ形成を促進
参加 」しかしていない。聞き取り調査でも特に言及はな
することの効果もさらなる検討課題とする必要がある。
か った。そこで、このマンションが所在する S 町内会か
補注
ら 2008 年 2 月に得た調査票調査の結果と照合してみた。
(1)国土交通省ホームペー ジ 「分譲マンションスト ック数J 参照 (2009
年 6 月現在)。
http: //www.mlit . go ・ jp / jutakukentiku / house /to rikumi / tenpu /
S 町内会は!日来からの寺町だが、これまでに 9 棟のマ
ンションが林立 したこともあり、総世帯数約 600 戸の内、
70% 以上がマンション住民となっている。 L もその 1 棟
となるが、町内会としては開発前後において管理組合と
の 協議は行っていないと述べている。しかし、ごみ出し、
広報配布、町内会費徴収などについて、マンション住民
以外の住民から意見や 苦情が出された経緯はないとす
る。ただし、町内会のイベントにマンシ ョン住民が参加
し てくれないという意見は聞かれるとのことである。
S 町内会の 回答によると 、 L の住民は入居の際に全戸
町内会に加入することになっている。すなわち、管理組
合と管理会社によって町内会加入は一括して処理されて
いる。この点は町内会費徴収の確実さなどを考えればメ
リッ トともいえるが、一方で本来は個々のマンション住
民が見えるはずのイベントへの参加が乏しいことを考え
ると、このしくみが個々のマンション住民と町内会との
1
0
.
3
8
4
3
3) 百覆晃彦 (20ω) • r居住点から拡がる社会 J .町村敬志他『都市の
社会子j 有斐閣 0.175-201
4) 西国桑保子 (2"004) . r マンション管理組合における自立型管理シス
テムの形成と展開 J . 都市住宅学会編集 ・ 発行『都市住宅学』第 47 号
0.
89
9
4
5)AE刊雑誌鶏完治襲警カ綿設費京湾f52 ヨ
- ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ _ .
一一 ・ ・・・・ ・・ ・・ ・ ・・・・・・・・・・ ・・・ ・・・・・・・ ・ ・ ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・ ・ ・・・・・・・ ・・・・・・ ・・ ・・・ ・・・・・・・・ ・・・・ ・ ・ ・ ・・ ・・・・・・ ・ ・・・・ ・ ・ ・ ・・・ ・ ・・ ・ ・・・ ・・ ・ ・・・
都市住宅学 67 号
2c四 AUTUMN ・ 43