よくある質問【トラブル】 - NMJ 西山マンション管理士事務所

よくある質問【トラブル】
一覧表
01
生活騒音
31
来客用駐車場の運用
02
原因不明の漏水
32
植木鉢の撤去
03
学習塾の営業
33
ごみ屋敷対策
04
集会室での事故
34
債権者代位権
05
放置自転車の撤去
35
賃 借 人 が 使 用 細 則 を 守 ら な い _new
06
不法駐車対策
36
07
共同利益背反行為
37
08
暴力団等の入居規制
38
09
外壁に勝手に穴
39
10
ハトの糞対策
40
11
駐車場の増設
41
12
駐車場の継続利用
42
13
駐車場の専用利用権
43
14
看板の設置
44
15
ゴミの収集日
45
16
ガラスの修理費用
46
17
工事の非協力者
47
18
ベランダでの喫煙
48
19
新築マンションなのに不具合
49
20
隣人トラブル
50
21
上階からの落下物
51
22
プレイロットでの負傷
52
23
野良猫が悪さ
53
24
相続人がいない
54
25
給湯器の修理費
55
26
赤水
56
27
サッシの修理
57
28
ベランダのアンテナ
58
29
請負契約書の開示要求
59
30
排水管洗浄の事故
60
01
夜 中 、上 階 の 生 活 音 が 大 き く 響 い て 眠 れ ま せ ん 。再 三 注 意 し て も ダ メ で す 。ど う
したらよいでしょうか?
この騒音が受忍限度を越えるようなら損害賠償を請求できます。どの程度の騒音で
あれば受忍限度を越えるのかの判断は個人差もあり難しいのですが、騒音防止条令を
目安に、継続的なものかどうか、そして時間帯なども判断の材料になります。夜間、
睡眠を妨げられてしまうというのは、受忍限度を越えた騒音と考えられます。したが
って、損害賠償の請求をすることができます。
02
上 階 の 人 は 、水 を こ ぼ し て い な と 言 っ て い ま す が 、天 井 か ら 水 漏 れ が 発 生 し て い
ます。
不注意で水を漏らして階下に被害を与えた場合は、不法行為として本人が損害賠償
の責任を負うことになりますが、この場合は設備配管(給水配管又は排水配管)の瑕
疵が原因と思われます。このような場合は、瑕疵の所在箇所によってその責任を負う
者が異なります。一般的に床コンクリートと床板の間の部分にある設備配管は専有部
分です。一方パイプスペース内やコンクリートに埋設されている部分が共用部分にな
ります。漏水箇所が専有部分であればその部屋の占有者又は区分所有者が、共用部分
であれば管理組合がそれぞれ責任を持って修理することになります。
03
規 約 で 用 途 を 住 宅 の み と し て い る の に 、学 習 塾 を 開 い て い る 人 が い ま す 。ど の よ
うに対処すべきですか?
専有部分はその所有者が自由に使用するのは当然の権利ですが、塾を開くことによ
って周りの人に迷惑がかかるような場合には、共同の利益を損なう行為に当たる場合
も あ り 得 ま す 。標 準 管 理 規 約 の コ メ ン ト で は 、
「 住 宅 と し て の 使 用 は 、専 ら 居 住 者 の 生
活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は、生活の本拠である
た め に 必 要 な 平 穏 さ を 有 す る こ と を 要 す る 。」と 説 明 し て い ま す 。よ っ て 、そ の 塾 の 規
模、人数、時間帯等や出入りに際しての話し声や行動等に迷惑行為がないかどうか等
を総合的に判断し、受忍限度(我慢の限界)を超えている場 合には、共同の利益に反
する行為に該当するということになります。
04
集 会 室 の 有 効 活 用 を 考 え て い ま す が 、事 故 が 発 生 し た 場 合 の 責 任 は 誰 に あ る の で
しょうか?
集会室は共用部分です。従って、管理組合は集会室の欠陥や不備を見落とした場合
や発見していたが放置していた場合、または事前に必要な点検をしていなかった等が
原因で第三者がけがをした場合には、賠償責任を追及されます。例えば、子どもが壁
にぶつかってけがをした場合、ただぶつかった場合は、管理組合に責任はありません
が、壁からくぎが飛び出していてけがをした場合は、管理組合の責任となります。
05
放置自転車が多数あります。撤去はどのような手順で進めればよいのでしょう
か?
まず、管理組合で自転車専用シールを作成し、居住者に使用している自転車に貼付
してもらい、このシールが貼っていない自転車を放置自転車として取り扱います。次
に、日を決めて、シールの貼付のない自転車に、不法駐輪なのでただちに撤去するこ
と、所定の日時までに撤去しない場合は管理組合の方で適宜処理する旨を警告した紙
などをつけておきます。なお、紙などをつけた日時、対象自転車、警告した場所など
を記録しておくことも必要です。そして、所定の日時を経過しても撤去されない自転
車については、管理組合が保管し、所轄の警察で所有者の確認と 盗難届の有無の確認
をします。所有者が判明したものは、管理組合から取りに来るよう通知をします。こ
の通知をしても引き取りに来ないもの、所有者の不明なものについては、遺失物とし
て 警 察 に 届 出 を し ま す 。法 所 定 の 保 管 期 間 (民 法 第 240 条 よ り 原 則 と し て 6 ヶ 月 )を 経
過した後、なおも取りに来ないものについては、管理組合が放置自転車の所有権を取
得 し 、 自 ら 処 分 (売 却 ・ 廃 棄 )す る こ と が で き る よ う に な り ま す 。
06
敷地内に不法駐車が多くて困っています。よい対策方法は?
不法駐車があると、消防車や救急車等の緊急活動やゴミ収集車 の収集活動において
重大な支障が生じます。また、歩行者の通行の妨げになり事故が発生する恐れもあり
ます。
不法駐車の解決のための絶対的な決め手はありませんが、管理組合は日ごろ
から広報等で不法駐車について注意を呼びかけ、組合員とのコミュニケーションを密
にして、地道に取り組むことが大切です。次のような対策が考えられます。
①不 法 駐 車 を 行 わ な い よ う 広 報 等 に よ り 理 解 を 求 め る 。
②規 制 看 板 や 注 意 看 板 を 設 置 す る 。 ま た 、 駐 車 禁 止 文 字 や ゼ ブ ラ ゾ ー ン を 路 面 に 標 示
する。
③フ ラ ワ ー ポ ッ ト 等 の 障 害 物 を 置 い て 、 駐 車 で き な い よ う に す る 。
④役 員 や 居 住 者 に よ る 夜 間 ・ 休 日 の 見 回 り を 行 う 。
⑤不 法 駐 車 車 両 が あ っ た と き 、 次 の こ と を 行 う 。
・不法駐車車両のワイパーに「警告票」を挟んで注意を促す。
・ナンバーを控えておく。
「警告票」は直接車に糊付けしたりすると器物破損等のトラブルになったりするので
注意が必要です。
⑥警 察 の 協 力 を 仰 ぎ 交 通 安 全 キ ャ ン ペ ー ン 等 を 実 施 す る 。
⑦駐 車 場 不 足 が 原 因 の 場 合 は 、 増 設 を 検 討 す る 。
07
共同利益背反行為とはどのようなことですか?
区分所有法では、
「 区 分 所 有 者 は 、建 物 の 保 存 に 有 害 な 行 為 そ の 他 建 物 の 管 理 又 は 使
用 に 関 し 区 分 所 有 者 の 共 同 の 利 益 に 反 す る 行 為 を し て は な ら な い 。」と 区 分 所 有 者 の 義
務について定めています。これに反する行為が「共同利益背反行為」に当たり、義務
違反行為ともいいます。なお、この規定は、専有部分の占有者(賃貸人等)にも準用
されます。具体的には、共用部分であるベランダや階段の踊り場等に勝手に物置を設
置 し た た め 火 災 時 の 避 難 や 通 行 障 害 に な っ た 場 合 や 、ペ ッ ト 禁 止 な の に 犬 を 飼 育 し て 、
鳴き声や臭いで近所に迷惑をかけた場合などがあげられます。
08
暴力団等の入居を規制しておきたいのですが、どのようにしたらよいですか?
管理規約等で暴力団事務所の使用禁止の規定を置く等、一定の制約を行うことは可
能です。専有部分は、区分所有権の対象になる部分ですので、規約でその使用方法に
つき、抽象的かつ無制限に禁止することはできませんが、暴力団の事務所として使用
したり、宗教的行事のため特定の人達が頻繁に出入りして、マンション住民に騒音等
の具体的な迷惑行為や恐怖心を抱かせるような言動等が予想される場合に備えて、具
体的に禁止事項を規定しておくことが大切です。
09
外壁に勝手に穴を開けた組合員がいます。どのように対応したらよいですか?
外壁は共用部分であるため、勝手に穴を開けることはできません。管理組合として
は、厳重に注意するとともに、原状回復させるのが原則です。特に構造耐力の影響を
及ぼすような場合は、早急に対応する必要があります。
10
ベランダにハトが来て、糞の臭いや羽の散乱に悩まされています。
ベランダにハトが止まれないように工夫しみましょう。巣を作られないように、植
木鉢を置かないことや、ベランダに置いてあるエアコン室外機周辺等の隙間を埋めて
しまうことが考えられます。 それでもダメな場合は、管理組合に相談してください。
一方で追い払うと他の住戸へ移動したり、また、餌を与えている居住者がいることも
考えられますので、マンション全体でハト対策を検討することが必要です。
11
駐車場の増設を考えています。進め方を教えてください。
駐車場を増設する場合、法令上の制限がありますので、建築基準法、消防法、各 自
治体の条例等をよく調べ、それを遵守する必要があります。また、平置き駐車場を機
械式立体駐車場に変更するようなときは、
「 共 用 部 分 の 変 更( 形 状 又 は 効 用 の 著 し い 変
更 )」に 該 当 す る と 思 わ れ 、こ の 場 合 に は 、総 会 に お い て 、区 分 所 有 者 及 び 議 決 権 の 各
4 分 の 3 以 上 の 特 別 多 数 決 議 が 必 要 に な り ま す 。駐 車 場 の 増 設 は い か に 問 題 な く 合 意
形成ができるかにかかっています。進めるに当たっての手順は次の通りです。
① 理事会で増設について検討し、方針を決定する。
② 駐車場専門委員会を設置し、アンケート等により実態・要望を把握する。
③ 法 律 的 に 増 設 が 可 能 か ど う か 調 査 し て 、財 源 の 手 当 て も 含 め て 、具 体 的 な 計 画 案 作
りを進める。
④ 安 全 面 、環 境 面 に お い て 、専 有 部 分 の 使 用 に 関 し「 特 別 な 影 響 」を 及 ぼ す か 否 か 確
認する。
⑤ 委員会の進行状況を広報等で継続的に流し、合意形成の土壌作りをする。
⑥ 理事会で増設を決定する。
⑦ 居住者に対する説明会を実施する。
⑧ 総会に提案し、決議する。
⑨ ④ 項 に つ い て 、特 別 の 影 響 を 及 ぼ す 事 が 確 認 さ れ た と き は 、当 該 組 合 員 の 承 諾 を 得
る。
なお、緑地等を削って駐車場を増設することによる環境悪化や騒音は、総会決議の際
の個別の承諾を要する「特別の影響」に当たらないとした判例があります。
12
駐車場を特定の居住者が継続して利用しています。変更できるか?
駐車場の利用については、全ての区分所有者が平等に利用できるようにしておかな
ければなりません。特定の居住者のみが駐車場を利用し、それ以外の居住者がいつま
でも駐車場を借りられないようなことになると、不満をもつ居住者が増え、駐車場管
理のうえで大きなトラブルのもととなります。不公平のないように定期的に抽選を行
ったり、順番で入れ替えたりするルールを作っておくことが必要です。例えば、駐車
場使用者の選定は、最初に使用者を選定する場合には抽選、2 回目以降の場合には抽
選又は申込順にする等の公平な方法で行う。
13
分 譲 時 に 駐 車 場 は 専 用 使 用 権 付 で 分 譲 さ れ 、不 公 平 な の で 管 理 組 合 の 管 理 に 移 し
たいが出来るか?
駐車場の専用使用権に関しては、民法や区分所有法等の法律が複雑に絡み合ってい
る問題なので、ケースバイケースで考えなければなりません。専用使用権の設定が、
分譲契約成立以前の重要事項説明としてなされており、かつ、分譲時の規約に専用使
用権が定められている場合には、区分所有者は、専用使用権の存在を知って契約した
こととなり、契約が公序良俗に違反しない限り、適法であることになります。したが
ってこの場合は、専用使用権者の反対があれば管理組合の管理に移行することはでき
ません。
14
専用庭に営業用の看板を出している人がいて、マンションの外観が損なわれま
す。
どのような使用形態の事務所であるかが不明ですが、例えば、設計事務所のような
特定の依頼者との業務行為に使用される場合には、迷惑行為には該当せず、直ちに規
約の趣旨に反するとも言えないと解されます。なお、その使用形態が近隣に迷惑を及
ぼしている場合には、規約違反行為となり、違反行為の差止め請求などを求めること
ができます。
15
ゴミの分別と収集日を守らずに出す人がいて困っています。
家庭ゴミの出し方については、掲示板にだけでなく各戸に連絡が届いているはずで
すが、中には分別するのが面倒で指定の日に関係なく出す人がいます。まず、対処す
べきことは管理会社に依頼して監視や取締をきびしくすることです。それで、解決す
ればよいのですが現実には、管理員のいない深夜や早朝にゴミを出されるため違反者
が特定できなかったり、注意してもなかなか聞いてもらえないことが多いかと思いま
す。このような場合は、管理組合としては、違反者の行為は他のマンション居住者に
対する「共同の利益に反する行為」になるので「ゴミはきまりを 守って捨てなさい」
と貼り紙をしたり、直接違反者に対して改善を指示することになります。管理組合か
ら上記の指示命令が出ればたいていの人は守ると思いますが、それでも効果がないと
きは集会の決議によって訴訟を提起し「違反行為の禁止・差し止め」を求めることに
なります。
16
専 用 庭 に 面 す る サ ッ シ の ガ ラ ス を 泥 棒 に 割 ら れ ま し た 。こ の 場 合 の ガ ラ ス の 修 理
費用の負担は?
サッシのガラスは、共用部分とはいえ、その場所・機能から居住者が排他的、独占
的に使用する権利(専用使用権)を有すべき部分ですから、通常の使用に伴うものに
ついては、
( 規 約 に 特 段 の 定 め が な い 限 り )専 用 使 用 権 を 有 す る 者 が そ の 責 任 と 負 担 に
お い て 管 理 を 行 な う こ と に な り ま す 。し か し 、泥 棒 に ガ ラ ス を 割 ら れ た と い う 行 為 が 、
通常の使用に伴うものと考えられるかどうかですが、本件の場合、不慮の事故に該当
し、通常の使用に伴うものとは考えられませんので、管理組合にて修理費を負担する
ことが相当と考えられます。
17
管 理 組 合 で は 排 水 管 の 取 り 替 え を 計 画 し て い ま す が 、協 力 し て く れ な い 居 住 者 が
います。
排水管の枝管は専有部分とされており、管理組合だけで工事を進めるわけにはいき
ません。また、共用部分のみを新しく取り替えても老朽化した専有部分で漏水してし
まうため、全世帯の一斉工事を行う必要があります。そこで標準管理規約では「専有
部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と
一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる」となってい
ます。管理組合で標準管理規約を採用していなくて、同様の規定がなくても、考え方
は同じです。重要なことは該当住戸に一斉工事の必要性を十分伝 え、納得していただ
くように努めることです。そして、居住者が入居を拒否される理由や、入居されるこ
とができない事由を聞き取ることに努め、居住者が工事のために入居できる日や時間
にできるだけの配慮をして、居住者の了解の下に入居させてもらえるように努めるこ
とが必要です。
18
ベランダで喫煙している人がいるので理事会から注意して欲しい。
このような相談は、意外に多くあり、一種の社会現象と思われます。ベランダや通
路で喫煙する方は、おそらく、
① 家族の健康に気を使って、部屋の中での喫煙を控えている。
② 部屋の壁紙などが、汚れるのが嫌だ。
という理由で行っていると考えられます。つまり、家族や自分の所有物には気配り
ができるが、他人の迷惑には全く気が付かない無神経な方と思われます。
一般的なマンションでは、集会室等の人が集まる場所は「禁煙」と定めている管理
組合が多いですが、このような無神経な喫煙者がいるマンションでは、ベランダや通
路 も 「 禁 煙 」 と 使 用 細 則 等 で 定 め る べ き と 思 い ま す 。 名 古 屋 地 裁 ( 平 成 12 年 12 月
13 日 判 決 ) は 、 階 下 の 男 性 の ベ ラ ン ダ で の 喫 煙 で 苦 し む 階 上 に 住 む 女 性 の 訴 え に 対
し 、 女 性 の 精 神 的 な 損 害 を 認 め 、 男 性 に 5 万 円 ( 賠 償 請 求 額 は 150 万 円 ) の 支 払 を
命じましたが、管理組合も組合員間のトラブルと考えず、このような状態になる前に
管理組合で何らかの対応が必要です。
19
築 5 年のマンションなのに外壁タイルの剥落等の不具合が発生した。
マンションは、工場で生産される自動車や家電製品と違い、多くの職人が屋外の現
場作業で作り上げる一品生産品です。したがって、一定の不具合や施工ミスは付きも
ののため、新築マンションには通常、アフターサービスが付いています。これは、引
き渡しから一定期間内に建物や設備に不具合があった場合、その原因や理由を特定で
きなくても、売主が無償で保証するというものです。一般的に、工事を担当する建設
会社が竣工前にチェックして直すが、それでもいくらか不具合が残るのが普通です。
最近では、工期短縮やコスト削減の要求が強まっているため、不具合が起こるリスク
は高まっています。こうしたことから、新築マンションはアフターサービスの補修を
経 て 初 め て 、「 完 成 品 」の 状 態 に 近 づ く と い え ま す 。ア フ タ ー サ ー ビ ス に よ る 補 修 は 、
所 有 者 や 管 理 組 合 が 問 題 箇 所 を 指 摘 し な い と 、売 主 や 管 理 会 社 が 自 主 的 に チ ェ ッ ク し 、
補修を申し出ることはほとんどありません。アフター点検は、管理組合が自ら行うこ
とが大切です。
20
隣 人 ト ラ ブ ル で 平 穏 な 生 活 が 過 ご せ ま せ ん 。ど の よ う な 措 置 を 講 じ た ら よ い の で
すか?
加害者の騒音や暴言行為の程度が激しくなり、他の区分所有者にも影響を及ぼす場
合には、もはや隣人紛争ではなく、共同の利益に反する行為としての措置を講ずるこ
とができます。専有部分は、区分所有権の対象になる部分ですので、規約でその使用
方法につき、抽象的かつ無制限に禁止することはできません。あくまでも、暴力団の
事務所として使用したり、宗教的行事のため特定の人達が頻繁に出入りして、マンシ
ョン住民に騒音等の具体的な迷惑行為や恐怖心を抱かせるような言動等が予想される
場合に備えて、具体的に禁止事項を規定しておくことが大切です。
21
物 が 落 下 し 下 を 歩 い て い る 人 が け が 、管 理 組 合 に 賠 償 責 任 が あ る の で し ょ う か ?
上階に住んでいる人が個人の持ち物を落としたのであれば、物を落とした人の不注
意が事故の原因であって、この問題に管理組合が関与することはありません。また、
誰が落としたのかわからない場合でも落下物にもよりますが、建物と直接関係のない
個人の持ち物、本件の場合のように個人の植木鉢では通常は管理組合が賠償責任を負
うことはありません。しかし、落下した物がマンションと直接関係のある物、例えば
外壁の一部などが剥がれ落ちて事故が起きたのであれば、建物の維持管理責任を負っ
ている管理組合が責任を問われます。
22
子 供 が プ レ イ ロ ッ ト の す べ り 台 か ら 落 ち て 負 傷 、原 因 も そ の 手 す り が 折 れ た た め
でした。
共用部分の附属施設であるすべり台や鉄棒のような、土地の工作物において事故が
発生した場合、その設置または保存に瑕疵があり、それによって他人に損害を与えた
場合は、まず第一次的に、その工作物の占有者が、又、占有者が損害の発生を防止す
るのに必要な注意をしたときは、工作物の所有者が損害賠償責任を負うことになりま
す 。本 件 ケ ー ス で は 、す べ り 台 の 手 す り が さ び て い た こ と が 事 故 の 原 因 で す 。つ ま り 、
設置または保存の瑕疵があったわけですから、損害賠償の責任を負 う者は、第一次的
には工作物の占有者(管理組合)です。もっとも、工作物の占有者(管理組合)が損
害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは責任をまぬがれ、その工作物の所有
者( 区 分 所 有 者 )が 責 任 を 負 う こ と に な り ま す 。こ の 所 有 者( 区 分 所 有 者 )の 責 任 は 、
占有者(管理組合)の場合のような免責事由がなく、過失がなくても責任を負ういわ
ゆる無過失責任だといわれています。その場合、区分所有者がその損害を賠償するこ
とになります。
23
処分を依頼されていたのら猫が車に傷をつけ、区分所有者が管理組合に弁償請
求。
マンションによく見られる開放的な駐車場の場合には、仮にのら猫により自動車が
傷つけられたとしても、管理組合が注意義務違反として責任を問われることはありま
せん。つまり、管理組合がのら猫の飼主や占有者であるわけはなく、のら猫の管理を
怠ったという責任を問われることはありません。
24
区分所有者が死亡して相続人がいない場合、部屋はどうなるのでしょうか。
相 続 人 が い な い 場 合 の 財 産 の 取 り 扱 い と し て 、特 別 縁 故 者 (生 前 に 被 相 続 人 と 生 計 を
同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者など被相続人と特別の縁故があっ
た 者 )へ の 分 与 、国 庫 へ の 帰 属 が 考 え ら れ ま す 。昭 和 58 年 の 改 正 後 の 区 分 所 有 法 で は 、
一体性が確保できるようになりました。つまり、専有部分の新所有者が同時に敷地利
用権も有します。いずれにしても、相続人がいないことを法的に確定し、財産を処分
するにあたっては家庭裁判所の審判が必要です。
25
給湯器の修理費用を管理組合が負担しても良いか。
マンションでの補修に要する費用は、共用部分については管理組合が負担し、専有
部分については区分所有者が負担するのが原則です。修理費用を管理組合が負担する
ということは、区分所有者の共有財産である管理費用を特定の区分所有者のために費
やすことになり、利益の享受において区分所有者間に不公平となりますので、適切な
対応とはいえないでしょう。
26
最近、赤茶色の水が出るようになりました。修理など対策が必要でしょうか。
給水管などが老朽化しますと鉄サビが発生し、赤茶色の水(赤水)が出ることがあ
ります。赤水が出る場合、最初の水は掃除やトイレなどに使い、透明になってから飲
用 に 使 い ま し ょ う 。最 近 の 給 水 管 は 、合 成 樹 脂 ラ イ ニ ン グ 鋼 管 が 主 流 に な っ て い ま す 。
これは鋼管の内側を樹脂でライニングしており、錆びにくくなっています。しかし、
管と管の継手のネジの部分がライニングしてありませんので、この部分が水に触れて
錆びてきます。錆びますと、赤水が出たり、管の詰まり、漏れが発生します。診断の
上、必要であれば修理しましょう。修理の方法としては、給水管全部を新しい管に取
り替える更新工法のほか、今ある給水管の錆を研磨材で削り、エポキシ樹脂を塗布す
る更生工法があります。さらには、貯水槽や水道メーター附近に器具を取り付ける磁
気 式・電 子 式・脱 気 式 な ど の 工 法 も あ り 、こ れ ら の 工 法 は 延 命 工 法 と い わ れ て い ま す 。
費用と保証期間を考えて選びましょう。
27
ア ル ミ サ ッ シ に 関 す る ク レ ー ム が 出 て き て い ま す 。サ ッ シ の 寿 命 は 何 年 で し ょ う
か。
平均的な寿命はありません。ケースバイケースです。サッシを全住戸一斉に取り替
える場合は、管理組合が修繕積立金を取り崩して実施しますが、特定の住戸だけの取
替えは、
「 開 口 部 の 改 良 工 事 」と し て 使 用 細 則 に 従 い 、各 区 分 所 有 者 の 負 担 で 実 施 す る
こ と に な り ま す 。サ ッ シ の 調 子 が 悪 い の は 、多 く の 場 合 、戸 車 の 摩 耗・破 損 が 原 因 で 、
戸車、クレセント、ビード(クッション)などは、損耗が激しいので取替え修理が必
要です。
28
ベ ラ ン ダ に ア ン テ ナ を 設 置 し た い と の 申 し 出 を 受 け ま し た 。ど う す れ ば よ い の で
しょうか。
ア ン テ ナ の 撤 去 に つ い て 、 裁 判 に な っ た 例 が あ り ま す 。 判 決 で は 、「 ベ ラ ン ダ は 専
用使用を許された共用部分であり、通常の使用方法をしなければならない。共同アン
テナが設置された以降に個別アンテナを設置することは通常の用法とはいえず、管理
規 約 違 反 で あ る 。」と し て ア ン テ ナ の 撤 去 を 命 じ ま し た 。も し 、何 ら か の 事 情 で ベ ラ ン
ダにアンテナの設置を認める場合には、安全管理責任と管理組合からアンテナ撤去の
申し入れがあったときは、直ちに自己の負担で撤去し、管理組合にはなんらの補償も
求めないことを記入した念書を提出してもらい、後々トラブルとならないような対処
が必要です。
29
実施済工事の請負契約書等の開示要求に対する対応方法は。
管 理 者 ( 理 事 長 ) は 、「 個 々 の 区 分 所 有 者 」 で は な く 、「 区 分 所 有 者 の 団 体 ( 管 理 組
合 )」か ら 委 託 を 受 け た も の で あ る か ら 、個 々 の 戸 分 所 有 者 の 請 求 に 対 し 、個 別 に 報 告
す る 義 務 を 負 う も の で は あ り ま せ ん 。総 会 で 承 認 決 議 が さ れ て い れ ば 管 理 者( 理 事 長 )
は、報告義務を履行していることになり、その責任を問うことは出来ません。事務処
理の内容を知りたいのならば、総会において質問の機会が与えられているから、その
時に要求すべきです。もし、請求者が不正若しくは不当な事項があると懸念している
場合は、規約で定める一定数の区分所有者とともに、工事の監査請求を議題とする臨
時総会の招集を請求することができます。
30
管理組合発注の排水管洗浄で管内詰まりが生じ、排水が逆流して専有部分を汚
損。
管理組合と洗浄会社の請負契約に基づく区分所有者の損害なので、契約当事者に賠
償責任があります。管理組合が賠償者になる場合は、保険などの対応も検討すべきで
す。また、賠償すべき損害の内容がどこまでが妥当かという問題は難しく、臭い等の
理由でフローリング張り替えまで認められるか、あるいは洗浄で足りるかはケースバ
イケースです。
31
来客駐車場を長期使用しているので運用方法を理事会決議で変えられますか。
マンション標準管理規約に準拠した規約が定められている場合は、
「敷地及び共用部
分等の変更及び運用」は管理組合の業務とされており、共有敷地の管理・運用は、組
合 全 体 の 問 題 と し て 組 合 員 の 関 心 も 高 い の が 普 通 で す か ら 、 第 48 条 ( 総 会 の 決 議 事
項)第十五号「その他管理組合の業務に関する重要事項」として扱い、総会決議事項
とするのが穏当であろうと思われます。駐車場運用ルールの変更は、総会普通決議の
対象になります。
32
共用廊下に置かれている植木鉢を撤去するよう注意しても撤去しません。
管理規約に禁止とありながら共用部分に専有物を設置するのは、許可が無い限り当
然に規約違反です。しかし、自力救済禁止の原則から管理組合の判断で撤去・処分す
ることはできません。管理組合が一時保管し、取りに来るように求めることは出来る
と思いますが、強制撤去した場合、感情的にもなり、撤去した物が無くなったり、枯
れたりした場合に責任を問われかねません。この種の問題は、相手の話も聞きながら
粘り強く説得してゆくことが最良の方法と思われます。今後は、強制撤去をせざるを
得なくなる前に、規約や細則でこのような場合の対応方法を決め ておく必要もありま
す。
33
マンションの一室がごみ屋敷状態です。対処方法はありますか。
マンションの場合は、戸建の「ごみ屋敷」と違いドアを開けない限り殆ど分かりま
せん。特に住人がしっかりした定職を持ち、社会生活が普通の場合は殆ど気づかず、
悪臭や虫の発生で苦しめられます。対策は、
1.ま ず 住 居 を 訪 問 し 本 人 と 面 談 す る な ど し て 、 実 情 を 話 し た り 本 人 か ら も 話 を 聞 き ま
す 。そ の 間 に 住 居 内 を 少 し で も 見 せ て も ら う な ど 実 態 を 把 握 し ま す 。話 を す る 際 は 、
感情的にならないよう丁重な姿勢で対応する配慮が必要です。
2.周 辺 の 居 住 者 へ の 影 響 を 調 べ 、 因 果 関 係 を 可 能 な 範 囲 で 詳 細 に 把 握 し 、 管 理 組 合 と
して対策を講じます。
3. 周 辺 住 民 へ の 影 響 が 及 ん で い る 状 態 で あ れ ば 、自 治 体 の 環 境 関 連 の 条 例 で 規 制 対 象
になると思われるので、行政や警察に相談をして対策を講じます。
以上のように、環境問題になりえることを認識して、原因となっている居住者の実情
を把握し、手助けをすることも含め、関係機関とも連携を図り、対策を検討します。
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ベ ラ ン ド 手 摺 が 落 下 し ま し た 。売 主 倒 産 の 場 合 、施 工 者 に 損 害 賠 償 の 請 求 が で き
ますか。
債 権 者 代 位 権 ( 民 法 423 条 ) に よ り 、 買 主 ( 区 分 所 有 者 ) は 注 文 者 ( 売 主 ) の 請
負 人( 施 工 者 )に 対 し て 有 す る 請 負 契 約 に 基 づ く「 請 負 人 の 担 保 責 任( 民 法 634 条 )」
について、注文者(売主)に代わって請求することができます。又、施行者の故意又
は 過 失 に よ っ て 損 害 を 受 け た 場 合 に は 、施 行 者 に「 不 法 行 為 に よ る 損 害 賠 償( 民 法 709
条 、 715 条 )」 を 追 及 す る こ と が で き ま す 。 弁 護 士 等 の 専 門 家 に ご 相 談 く だ さ い 。
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賃借人が使用細則を守らない場合、どう対処したらよいのでしょうか。
賃借人が使用細則を守らない場合は、まずその賃借人に対し口頭や文書で、誓約書
に基づき管理規約・使用細則は必ず守る義務があることを改めて説明し、違反行為を
止めるよう勧告することが第一です。また、違反の内容にもよりますが、賃貸人であ
る区分所有者にも賃借人の違反行為を知らせて、賃貸人から賃借人に注意するよう求
めるという方法もあります。また、管理組合としても、賃借人が入居する際は、使用
細則を手渡し、これを守る義務があることを直接伝えることや、使用細則等がない場
合でも、区分所有法の規定を説明することも有効な方法です。
標準管理規約は、区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、規約
及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならないと定めており、
さらにその貸与する者に、規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管
理 組 合 に 提 出 さ せ な け れ ば な ら な い 、と 定 め て い ま す 。 も し 、現 行 の 管 理 規 約 に こ の
定めが無い場合は、規定の追加をしましょう。
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