第1回 土手研究室ゼミ 5.1 市町村のごみ処理計画 5.2 ごみ処理コスト 5.3 ごみ処理システム(計画)の評価方法 5.4 収集・運搬 発表者 西川 剛史 5.1 市町村のごみ処理計画 5.1.1 広域化計画 ●広域化計画の目的 ・ダイオキシン問題,処理コストの増大等を解決するための計画 具体的な目的として・・・ ①ダイオキシン類削減対策 ②焼却残渣の高度処理 ③マテリアルリサイクルの推進 ④サーマルリサイクルの推進 ⑤最終処分場の確保対策 ⑥公共事業のコスト削減 広域化を行うに当たって・・・ ①ごみ処理に関する全ての施設に対して総合的に 計画すること ②焼却施設は300トン/日以上 ③地域の中核都市が中心となって積極的に 周辺の市町村のごみを受け入れること ④溶融固化施設,最終処分場等は複数のブロックで 1箇所としてもよい ⑤メリットや経済性等を総合的に検討すること 5.1.2 一般廃棄物処理計画 一般廃棄物処理計画 一般廃棄物処理基本計画 ごみ処理の基本的な事項を一定の期間に 対して定める 一般廃棄物処理実施計画 基本計画を実施するために必要な各年 度の事業内容について定める ●基本計画の内容 (1)ごみ発生量及び処理量の見込み ごみ発生量 の実績調査 収集方法ごと.(直営収集,委託収集など) ごみの種類ごと.(可燃ごみ,不燃ごみなど) 分別区分,処理方法等の検討の手がかり (2)ごみ排出の抑制のための方策 a)市町村 ごみ処理手数料の徴収,ごみ減量化の指導 b)住民 集団回収の促進,過剰包装品の購入拒否 c)事業者 過剰包装の抑制,使い捨て容器の 使用抑制 (3)分別し収集するとしたごみの種類及び分別区分 分別の意義とは →より効率よく資源化,ごみ処理を行うために必要 メリット デメリット 資源化・処理処分の容易化,処理コスト, 環境負荷等の軽減 住民の負担大,収集回数の増加,処理プロセス の複雑化のよるコスト増 (4)ごみの適正処理及びこれを実施する者に関する事項 各収集ごみ 例) 可燃ごみ→燃焼処理 それぞれに適した 処理プロセスを選定 不燃ごみ→破砕選別後埋立 (5)ごみ処理施設の整備 定める項目として 施設の ・処理能力 ・処理方式 など (6)その他ごみ処理に関して必要な事項 ・廃棄物減量等推進審議会の設置 ・廃棄物再生事業者の協力内容 など 5.2 ごみ処理コスト 5.2.1 国全体の平均コスト 一般会計においてごみ処理が占める割合 全体の約5% ●全国平均の処理コスト ・13年間で処理コスト約2倍 ・特に90~93年までに急 激に増加 ・その後の処理コストは 微増. ●処理コストの内訳 図1 処理コストの内訳 その他 7% 委託費 19% 建設費 30% ・建設費,人件費で50%強を占める. 建設費が占める割合が 大きいのは・・・ →ごみ処理施設の高機能化が原因 処理費 16% 人件費 28% 5.2.2 処理区分別のコスト ●処理プロセス別コスト 表1 処理プロセス別コスト 処理区分 処理単価(円/トン) 収集・運搬 26630 中継 13389 圧縮 35309 破砕 36158 焼却 19254 埋立 10157 合計 50397 名古屋市環境局「事業概要」(1999年度) ・収集コストが埋立・焼却に比べ高い 収集コストの大半が人件費 ●収集区分別コスト 表2 家庭系ごみ収集区分別コスト 収集区分 収集 処理 可燃物 17000 14000 不燃物 17000 14000 大型ごみ 38000 38000 びん・缶・PET 23000 42000 プラスチック 67000 56000 札幌市一般廃棄物基本計画「さっぽろ ごみプラン21」年次報告書 H13年版 (平成14年 7月) ・プラスチックの収集・処理コスト が可燃物,不燃物に比べかなり 高くなっている. 資源化の促進はコスト増にもつながる 5.2.3 廃棄物処理の費用対効果 ・ごみの資源化のようにメリットとデメリットを生じる 処理方法を総合的に評価する必要がある 「費用対効果」 投入する費用に対してどれだけの効果が得られるかを分析 5.3 ごみ処理システム(計画)の評価方法 廃棄物処理 ●廃棄物処理を評価する指標 経済性 環境保全性 社会性 ●各指標の評価項目と評価方法 指標 経済性 評価項目 処理コストなど 評価方法 費用対効果 環境保全性 天然資源の枯渇, 水質汚濁など 住民の合意形成 環境影響評価など 社会性 住民に対して説明会, 意見交換など 5.3.1 リスクアセスメント(Risk Assessment:RA) ・有害な化学物質によって人の健康,生命に対す る危険性を定量的に評価する手法 ●評価手順 ①毒性の評価 ・・・人間のデータがない場合は動物実験 データを採用 ②用量-反応関係の評価 ・・・人間への投与量と健康影響の関係 を評価 ③曝露量の評価 ④リスクの見積もり ・・・人間がどれだけ摂取するか推定 5.3.2 環境影響評価(Envionmental Impact Assessment:EIA) ・事業よって生じる環境への影響を事前に予測・評価し,住民・専 門家などの意見を取り入れて,環境を適切に保全しようとする一 連の手続き ・1997年「環境影響評価法」の制定 →但し,施設の建設に伴う環境影響は対象外 5.3.3 戦略的環境アセスメント(Strategic Envionmental Assessment:SEA) SEA3つの 原則 ・事業よって生じる環境への影響を事業の計画段階または 政策決定段階で評価する方法 ①計画などの策定者が評価 ②住民や専門家の意見聴取 ③複数案の比較評価 ●EIAとSEAの関係 政策・法律 計画・プログラム 戦略的環境アセスメント 適地選定 施設整備基本計画 生活環境影響調査 環境アセスメント 基本設計 設備計画書 資料:教科書p78から引用 5.3.4 ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA) ・「天然資源の採取から製造・流通・消費を経て廃棄されるまで」 の製品のライフサイクルにわたるすべての環境影響を評価 Input エネルギー, 鉱物資源の 消費etc 製品のlife cycle 採取 製造 流通 消費 廃棄 output 水質汚濁,固形 廃棄物の排出 etc →Input・outputが環境影響の対象となる ●LCAの評価手順 ・イベントリ分析(LCI) ・・・環境負荷データを収集し,収支表としてまとめる作業 ・インパクト分析(LCIA)・・・①分類化,②特性化と正規化,③異なる種類の影響 の重要性を相対的に評価し,重み付け係数を決定 5.4 収集・運搬 5.4.1 収集・運搬機材の特性 (1)バキュームカー (2)タンクローリー (3)ダンプ車 (4)パッカー車 写真1 パッカー車 (5)脱着装置付コンテナ自動車 (6)コンテナ水平脱着ボデー車 写真2 脱着装置付コンテナ自動車 5.4.2 廃棄物保管容器 (1)ドラム缶 メッキ製で約10~15年,ス テンレス製で約20年 (2)石油缶 別名一斗缶.金属製18L缶 とペール缶がある 写真3 ペール缶 (3)プラスチック容器 ポリエチレン缶と灯油用ポ リエチレン缶がある (4)フレキシブルコンテナ ランニング用とワンウェイ用 がある 写真4 フレキシブルコンテナ (5)傾斜方式用コンテナ 反転バー式コンテナとホールディング式コンテナに大別される. (6)吊り下げ方式コンテナ 廃棄物投入はコンテナ上部から排出はクレーンで吊り下げて コンテナ下部から行う. (7)脱着装置付コンテナ自動車用コンテナ (8)水平脱着ボデー車用コンテナ 積み込み作業はコンテナの積み降ろし作業のみで可 5.4.3 家庭系ごみ収集システム ●収集システムの選定 ・図2の各構成要素において それぞれ選択肢から最適な ものを選び,地域にあった収 集システムを構築する. ・宮崎市可燃ごみの例 ①各戸収集・ステーション収集 ②パッカー車 ③(不明) ④昼間収集 ⑤プラ袋 ⑥積み替えせずに輸送 表3 家庭系ごみの構成要素と選択肢 構成要素 選択肢 1)各戸収集 2)ステーション収集 (1)個別の容器 ①収集場所 (2)小型コンテナ (3)大型コンテナ (4)その他 1)パッカー車 2)ダンプ車 3)機械積込式収集運搬車 ②収集機材 (1)アタッチメント付収集車 (2)コンテナ自動車 4)パイプ・コンテナ収集 1)運転手1名+作業員2名 2)運転手・作業員で2名 1)昼間収集 ④収集時間 2)夜間収集 3)早朝収集 1)指定なし 2)指定あり ⑤ごみ排出容器 (1)プラ袋(2)透明プラ袋(3) 紙袋 (4)ポリバケツなど 1)積替えせず輸送 ⑥積替輸送 2)大型輸送車に路上積み替え 3)中継施設にて積み替え 資料:教科書p82から引用 ③作業編成方法 ●収集・運搬車の選択 ・可燃ごみ・不燃ごみ等できるだけ多く収集→パッカー車 ・資源ごみ・粗大ごみ等破壊しないで収集→ダンプ車 ●コンテナ収集容器の利点・欠点 利点 ①自動積込可 欠点 ①容器の購入費用がかかる ②収集コストが安価 ②容器の設置場所が必要 ③衛生的 ③事前に容器を配置する手間 がかかる ④分別排出が容易である ⑤(大型コンテナなら)常時ご みを排出できる ④特別な収集車が必要 ⑤(大型の時)容積効率が低下 5.5.4 収集輸送システムの改善方策 ・収集システム選択の評価指標 ・収集サービスの改善 ・収集コスト ●収集システム構成を変えないで改善 ①収集車積載量を増加→収集輸送効率を改善 ②収集時間の延長→作業員1人当たりの収集量を増加 ③車付定員を減らす→人件費の削減 ④収集回数削減や収集ステーションを集約→収集効率を向上 ⑤直営から委託収集に変更→競争入札によるコスト減 ⑥夜間収集→交通量の少ない時間の収集による作業効率の向上 ●収集システム構成を変える改善 ①コンテナの利用 作業員の作業環境の改善及び人件費削減による収集コスト減の 可能性 ②貯留排出機の利用 いつでもごみを排出でき,排出されたごみを圧縮保管後自動的に パッカー車に搬入可 ③パイプ・カプセル輸送,真空式ごみ収集車 直接ごみを目にすることがないので,衛生的である ④中継輸送 ごみを搬入する輸送先が遠距離である場合は,中継施設で大型 コンテナに詰め替えて輸送することで,輸送効率が改善され,コス ト削減につながる.
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