マンガ ライフサイエンス・第 19 回 応用編 その その6 6. すねる細胞 泣きさけぶ分子 萩原 清文*作 多田 富雄**監修 ◆生命現象は一コマ一コマがドラマチックで感動的であるが,免疫反応の総司令官であるヘルパーT 細胞の 働きぶりもダイナミックである.戦うべき異物(非自己抗原)が侵入すると,マクロファージやB 細胞がこれ をとらえて貪食し,断片をヘルパーT 細胞に提示するわけだが,ヘルパーT 細胞はそう簡単には興奮しない. 親愛の握手,ないしキスのような刺激(補助刺激)がないと,かえってグレて反応してくれなくなるので ある(アナジー) . 非自己抗原 げ… なんだおめ∼は? 非自己 抗 原を つかまえたマク ロファージは… いただきま∼す 抗原を貪食して 断片化する なんかわすれてない? ヘルパ ーT こんなやつが きたんですけど… おれはグレちゃった よーだ 抗原断片をヘル パーT細胞に提 示する時に… ヘルパーT そんな… 補助刺激がないと, ヘルパーT細胞は無 反応(アナジー) になる 116(454)医薬の門 2001 年 アナジーになった ヘルパーT細胞 − 生命のダイナミズム− *東京大学医学部アレルギー・リウマチ内科 **東京大学名誉教授 ◆ここまでは「マンガ免疫学」シリーズの復習であるが,ここからがすごいことがわかってきた.補助刺激 という親愛のキスをもらって興奮したヘルパーT 細胞の細胞表面上には,やがて親愛のキスを奪い取る分 子(CTLA-4)が発現し,最終的にヘルパーT 細胞の興奮は鎮まるのである. 補助刺激(CD86) 抗原提示細胞 クラス! !MHC分子 ニーハオ ハロ∼ CD86 抗原断片 CD28 T細胞受容体 ヘルパーT細胞は興奮! ヘルパーT細胞は抗原提示細胞上のCD86という補助刺激をCD28で受け止めて興奮する. CD28 CD86 ニョキ CTLA-4 やがてヘルパーT細胞上にCTLA-4というCD86を奪い取る分子が発現する. CTLA-4 わ∼ん CD86 ヘルパーT細胞の興奮が鎮まる CD28 CTLA-4がCD28からCD86を奪い取るとヘルパーT細胞の興奮が鎮まる. 細胞がすねたり,分子がキスを奪いあったりと…まさにドラマそのものではないか! VOL. 41 NO.4 117(455)
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