白血球について その4

2014 年 12 月
けんさの豆知識
[46]
臨床検査部
発行
(血液検査室)
~白血球について
その④~
今回の豆知識は白血球シリーズ最後の単球になります。
単球は白血球中に 5%前後存在します(図1)。
百分率
顆粒球
好酸球
白血球
末梢血液細胞中で一番大きな細胞です。
50~60%
3%
好中球
1%
好塩基球
単球
5%
30~40%
リンパ球
単球
図 1 白血球の分類
マクロファージ
(メイ・ギムザ染色)
骨髄で成熟した単球は血液中を循環し(数時間~数日)その後組織に入ります(数か月~数年)。組織に入った単球は
形態的にも機能的にもその組織に特徴的なマクロファージに分化します。
例)肝臓:クッパー細胞
皮膚:ランゲルハンス細胞
単球(血液中)
【
役割
→
リンパ節:樹状細胞
など
マクロファージ(組織中)
】
① 運動走化能・貪食能・殺菌能(好中球と同じ)
※
好中球と比べてゴミの処理役が主体なので、細菌、異物細胞、損傷した細胞、死んだ細胞など何でも貪食します。
炎症初期は好中球が活躍し細菌やウィルスを貪食し、遅れて単球・マクロファージが増えます。
② 貪食して分解した断片の一部を細胞表面に出して(抗原提示)、ヘルパーT 細胞に細菌やウィルスなどの情報を
伝えます。ここから免疫反応が開始されます。
単球の増加・減少する疾患・状態
増加
減少
・ 単球性白血病
・ 悪性貧血
・ 結核・麻疹
・ 重症敗血症
・ 感染症の回復期
マメマメちしき
~~ 単球と風邪薬 ~~
単球はリゾチームというムコ多糖類を分解する物質(細菌の細胞壁を溶解する)が多く含まれています。
このリゾチームは風邪薬の成分としても配合されています。その狙いは、痰の一成分であるムコ多糖類を
分解して痰の粘性を減らし、痰が咽喉に絡むのを防ぐために含まれています。