Living Library (2009年1月開催)活動報告書(PDF

Living Library
~人が「本」に
なる図書館~
活動報告書
2009 年 1 月 14 日
実 施
有志団体 BLUE BIRDS
Living Library【活動報告書】
2009 年 1 月 14 日実施
Presented by BLUE BIRDS
・・・目次・・・
01. 代表メッセージ ............................... 3
02. BLUE BIRDS とは? ................... 3
03. Living Library とは? .................. 3
04. 企画の概要 .................................... 4
05. 総括 .............................................. 5
06.
07.
08.
09.
アンケート結果............................. 7
対話の様子 .................................. 14
メンバーの感想........................... 15
協力団体 ..................................... 20
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Living Library【活動報告書】
2009 年 1 月 14 日実施
Presented by BLUE BIRDS
01. 代表メッセージ
夏休み中、「社会に対して私たちにできることは何か」を話し合っている中で、リビン
グライブラリーの話が盛り上がってから、約 5 ヶ月。こんなふうに自分たちの力で形に
することができるとは、当初誰も予想していませんでした。しかし、本番を終えた今、リ
ビングライブラリーという取り組みの持つ可能性の大きさを感じています。関わってく
ださった大勢の方々のさまざまな表情を見ていて、「やってよかった」と心から思いま
した。
リビングライブラリーは、一度きりで終わらせてはもったいないし、続けてこそ意味
をもつ取り組みだと思います。この報告書が、リビングライブラリーの今後の広がりの
ための材料になれば幸いです。
代表 村井七緒子
02. BLUE BIRDS とは?
有志団体 Blue Birds のメンバーは、青山学院大学国
際政治経済学部国際政治学科 4 年(2008 年度現在)に
所属する学生により構成されています。本団体は、戦争
や平和への関心のもと、2007 年に活動を開始し、そのと
きそのときにメンバーから出たアイディアを、企画運営し
ています。
03. Living Library とは?
Living Library とは、その名の通り、生きている人間が
「本」になる図書館です。ここでは、読者は本を読むよう
にして、「生きている本(living books)」と対話をします。
Blue Birds のこれまでの活動
私たちは毎回の活動の中で、特に、
「想像すること」の重要性
に焦点を当ててきました。
第 1 弾企画(2007 年 11 月)
映画「Littile Birds
~イラク戦火の子供たち~」上映会
―イラク戦争のドキュメンタリー映画を
青山学院大学学園祭にて上映しました。
117 人の来客。
第 2 弾企画(2008 年 10 月)
読者は「本」に対して何を聞いてもいいし、逆に「本」から
「DRAW THIS WORLD
質問されることもあります。
―子供たちが描いた世界―展」
Living Library は 2000 年にデンマークではじまり、現在
イラク、アフガニスタン、9.11 後のニューヨ
では欧米を中心に世界 30 カ国以上で行われています。
ークの子供たちが描いた絵の展示会を、
「本」となるのは、移民、難民、障害者、性的少数者、ベ
青山学院大学ロビーにて行いました。
ジタリアン、ムスリム、ロマ人、元ホームレス、元薬物依
7 日間で 309 人の来客。
存症者、元マフィアなど、主に社会的マイノリティと言わ
れるような人が多いです。しかし、なかには「80 歳の詩人」という「本」もいたりして、誰
もが「本」になる可能性をもっています。
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Living Library【活動報告書】
2009 年 1 月 14 日実施
Presented by BLUE BIRDS
04. 企画の概要
本企画は、「今の日本社会は閉鎖的ではないか?」、「一人一人が自分の世界で
完結してしまっていないか?」、「もっと色んな自分らしい生き方があっていいのではな
いか?」といった問題意識のもと、「多様性のある社会の土壌を作ること」を目的とし
ていました。対象は、これからの社会を共に築いていく若い世代として、都内高校の
授業内で高校生に向けて行いました。また、今回はテーマを「セクシュアルマイノリテ
ィ」に設定して、セクシュアルマイノリティ当事者の方々に「本」になっていただきまし
た。
企画の目的
多様性のある社会の実現
直接顔を合わせる
差別や暴力のない、
お互いを認め合える社会
想像力の幅を広げる
距離が縮まる
対話
楽しさ
誰でも参加できる
1対1
「気づき」が生まれる
人生を豊かにする
【当日の内容】
《日時》2009 年 1 月 14 日(水)13:50~15:30(集合時間 13:00)
《場所》都内の公立高校において、選択授業「社会生活」の中で実施
《対象》高校生 38 名(セクシャルマイノリティについて基礎学習済)
《本》セクシュアルマイノリティ当事者、合計 23 名。
《内容》「本」1~2 人 対 生徒 2~3 人 の対話を、30 分×2 回。
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05. 総括
当日の様子、および参加者へのアンケート結果等から、今回のリビングライブラリ
ーで確認できた成果と課題を記します。
【成果】
1.人と人が顔を突き合わせて話をすることは、単純にとてもおもしろい。
→アンケートでは、読者からも「本」からも、「面白かった」、「楽しかった」、「時間があっという間
だった」というコメントが多数あった。本番以外でも、「本」どうしの交流やスタッフと「本」との交流な
ど、企画を通して生まれた数多くの出会いは、とても生き生きとしたものだった。
2.抱いていたイメージを心地よく崩す。相手のことを心で感じ、自分に近づけて考え
ることができる。
→読者アンケートより。「男と女が違うのは体だけであまり変わらないんだなと思いました。もしこ
の授業を受けていなかったら、私はたぶん一生自分が今まで考えてたゲイとかへの考えをずっと変
わらず持ってたと思います」、「本人から直接話を聞くことによって、その人が、普段私たちが何気
なく行動しているようなトイレや更衣室に入ることさえ、立ち止まって考えてみたりしていることが不
思議に思えたが、本人たちも苦労して考えに考え抜いて生きてきたということがすごく伝わってき
たし、そういう人が身近にいるということを自然に受け入れたいと思うようになった」、「実際に話し
てこそわかる、当事者の心情は貴重なものだと思う」、「今回1対2でお話が聞けて今までよりもすご
く身近に感じられました」、「同じ内容の本を読むよりも目を見て知るほうが心に残ると思う」、「実際
に話をして、自分の目と心で感じることができたら、セクシャルマイノリティに対する見方が変わ
る!はずです」。
3.読者にとっても、「本」にとっても、自分や他者や社会について、新しい発見があ
る。
読者の新しい発見、変化→「こんなにも世の中は性の違いを前提にした生活であることに気付
かされた」「その当たり前の空間で当たり前と思えない人もいることがわかりました」、「私たちの人
格があるように、セクシャルマイノリティの人もその人の人格がそうというだけのことで、今までの
自分自身の価値観や、考えが変わりました」、「一人一人LGBTでも違うんだなぁと思った」、「バイ、
レズ、ゲイ以外にもまた様々な世界があるということ」、「セクシャルマイノリティは少数だから弱いと
思っていたけど、実際はみんな自信に溢れている人が多かった」
「本」の新しい発見→以下、アンケートより。「自分が話すだけ、自分が相手の認識を変えるだけ
にとどまらず、相手の質問によってどんどん自分に新しい部分の発見があり、死ぬほど新鮮な気持
ちになりました」「対話への反応がダイレクトに伝わってきて、私もとても新鮮な思いで話をすること
ができた」。また、事前のあらすじカード作成について、「…自分自身を客観視して他人に売り込む
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と い う 行 為 は お も し ろ か っ た で す 」 ( GIDmedia H P サ イ ト 内 、 LivingLibrary レ ポ ー ト
http://gidmedia.org/report/living-library.php より)。
4.「違い」の中身を知ることで、「変わらないんだ」と感じられる。
→読者アンケートより。「セクシャルマイノリティだからといって、特殊なのではなく、普通にみんな
人間なんだ、と」「話すうちに別に『特別』なことではないのかなって思いました。むしろ、私たちがあ
まりにも知らないことが多くて、勝手に『違う』って決めつけてると思います」、「『マイノリティ』と呼ば
れる人たちだけど、全然自分と違くない存在なんだと思いました」、「マイノリティとか言ってるけど
実際に生活で思うこととか恋してるときの気持ちとか、自分と全然変わらないなって思った」
5.「本」にとって、自分の話を聞いてもらうという行為は自己肯定につながる。
→「本」の皆さんは、多くの方が「自分の思いや自分たちの現状を知ってほしいから」といって参
加を決断してくださった。とはいえ、本番前は不安そうな表情の方が多かった。ところが、対話が始
まってからは、みなさん本当に生き生きとしていた。以下、前出の GIDmediaHPサイトより。「帰り
道、『本』という大役を終えた 20 数名の若き LGBT の表情はとても晴れやかで、誇らしげでした」。
【課題】
1.対話の内容をどこまで管理するか。
→完全なフリートークにするよりも、あらかじめ、対話にある程度の方向付けをしておいた方が、
短い時間でより深い話ができる。しかし、それをどのように、どこまでやるべきか。
2.双方が積極的な対話の場にする工夫が必要。
→今回は授業の一環で行わせていただいたため、読者の生徒は自由参加ではなかった。その
ため、一部の読者に積極的な姿勢が見られなかった。「双方向性」は対話の重要な要素であるた
め、今回のように closed で行う場合は、読者と「本」が互いに積極的に対話に取り組めるために事
前の準備や工夫が必要である。
3.関心のない人をいかに呼び込むか。
→今回は closed で行われたが、一般参加の形で行ったとき、関心のない人をいかに呼び込んで
インパクトのある体験をしてもらうか、工夫が必要。もともと関心のある人よりも、何も知らない人が
読者になることの方が意義が大きいため。
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2009 年 1 月 14 日実施
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06. アンケート結果
企画終了後、読者(生徒)と「本」の皆さんのそれぞれにアンケートを記入してもらい
ました。それぞれを集計の上、重複する部分はまとめる等、内容をまとめて記します。
《読者へのアンケート》
①当事者との対話を通して、セクシャルマイノリティに対するあなたの考えや気持ちに何か変化はあ
りましたか?
すごく変わった・変わった・少し変わった・あまり変わらなかった・全く変わらなかった
変わった方は具体的にどのように変わりましたか?変わらなかった方はどのような点が変わらな
かったですか?具体的に教えてください。
②本日の Living Library の企画全体への評価をお尋ねします。
大変よい・よい・どちらかといえばよい・どちらかといえば悪い・悪い・非常に悪い
③ ②について、その評価をつけたのはなぜですか?理由を教えてください。
(対話の内容、対話する相手、対話時間の長さ、声の響き具合、他のグループとの距離感、スタッフ
の対応などについても、ご意見・ご要望・改善点などがあれば、そちらも自由にご記入ください。)
④本日は対話したのはどの「本」でしたか?
参加人数 38 人、アンケート回答者 38 人
①すごく変わった
変わった
少し変わった
あまり変わらなかった
全く変わらなかった
無回答
9人
13 人
9人
4人
2人
1人
[すごく変わった]
・ 授業を事前に受けていましたが、当事者の方と直接話を聞くのは初めてで、やはり違いまし
た。
・ 今回話をする中で、…色々なパターンがあるんだな、と知りました
・ セクシャルマイノリティの方は自分の考えや意見がはっきりしている。
・ どの人も自分のセクシャルマイノリティ受け止めて、その上で恋愛も自由に楽しんで明るい生
活を送っている…自分の個性自分らしさを堂々と話してくれた本の方たちはすごくかっこ良か
った。
・ 普段私たちが何気なく行動している…ことさえ立ち止まって考えてみたりしていることが不思
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議に思えたが、本人たちも苦労して考えに考え抜いて生きてきたということがすごく伝わった
・ 自分自身で意識してなくても、偏見の目を持っていたことに気づいた…当たり前のように法
律?では性の違いにのっとった社会体制が整っている…こんなにもこの世の中は性の違いを
前提にした生活?であることに気づかされた。
・ LGBTの人たちは自分とはまったく違う考えを持っていると思っていたけど…普通に優しくて
楽しい方たちで私の中のイメージはがらりと変わりました
・ 私たちの人格があるように、セクシャルマイノリティの人もその人の人格がそうというだけのこ
と…今までの自分自身の価値観や、考えが変わりました。
・ 見た目も話し方も普通だったこと…男と女が違うのは体だけであまり変わらない
[変わった]
・ 私の今までのカミングアウト=つらい or 受け入れられにくいのイメージが変わった。
・ 本当に様々な考えの人がいることを改めて知った。
・ すごくオープンな方だった。もともと、この話題について多少知っていたので、自分なりに想像
していたのと実際に聞いたのを比べて大きく裏切られることはなかった。
・ 一人一人LBGTの人でも違うんだな…人として失礼なことをしなければ、普通に話しても平気
なんだなと思いました。
・ 今までも何回か授業で当事者の方からお話を聞いていたので、衝撃を受けたりはしなかった
けど、今回 1 対 2 でお話が聞けて今までよりもすごく身近に感じられました。「セクシャルマイノ
リティ」と一言で表していたけど、その中にもいろんな人がいる。
・ バイ、レズ、ゲイ以外にもまた様々な世界があるということ。意外にも日本には多くいるという
こと。
・ 今日のお話を聞いてセクシャルマイノリティには、色々なパターンがある…同じような問題を
抱えてもみんな違う
・ 想像以上に明るい方でした。こういう病気を持っていてもこんな考え方ができるとは驚きです。
・ セクシャルマイノリティの人の方でも壁を作ってしまっているということを聞いて、本当に、互い
の理解が必要だ
・ セクシャルマイノリティだからといって、特殊なのではなく、普通にみんな人間なんだ…自分の
性についての捉え方も人それぞれなんだ
・ 自分が性的少数者であることを認めていて、すごくオープンだった…LGBTの人に対してその
ことにふれないんじゃなくて、普通に聞いたほうが相手にとって楽なんだな、と少し価値観が
変わりました。
・ 実際はみんな自信に溢れている人が多かった
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[少し変わった]
・ 私はセクシャルマイノリティについて悪いほうに思ってなかったので考えは少ししか変わってな
いけど、すごく色々と学べて嬉しい。
・ セクシャルマイノリティの人たちに対しての偏見がなかった…実際にしゃべってみて、本当に
明るい方々でいろいろな話が聞けて、もっといろいろなことを知ることができて本当に良かった
です!少し変わった部分は、私は、セクシャルマイノリティの方たちは、自分のことをあまり話
したくないと思ってるんじゃないかなというイメージがあったのですが、全然そんなことはなくて、
自分の体験したことや感じたことを素直に話してくれて、とても明るい方ばかりでした!
・ 話すうちに別に「特別」なことではないのかな…むしろ、私たちがあまりにも知らないことが多く
て、勝手に「違う」って決め付けてる…逆に、レズビアンとか、ゲイとか、バイセクシャルって言
う言葉がなくなればいい
・ 全然自分と遠くない存在なんだ
・ セクシャルマイノリティ等、人と違う問題を抱えている人と始めて近くで接した。少数派でも私
たちと同じように暮らしていて…しっかりとした社会制度や環境があるべき
・ マイノリティで、社会から色々な差別を受けたりしていても明るく生きていることを楽しんでいる
人が居て今日とっても楽しかった。
・ 別に今までも偏見はなかった…でも家族にカミングアウトしたときの話や、まだしていないとい
う話を聞いて、やっぱり家族には言いにくいんだなあとか、私たちが考える以上に辛いことな
のかもなあと考え直しました。
・ 「性」というものを越えた「自分は自分だから」という感じだったのですごく驚いた。
[あまり変わらなかった]
・ 昔勉強したこともあって、当事者の悩みとかで特別びっくりしたものはなかった
・ 自分と全然変わらない…イメージしていたのよりも近い存在…人種とかそんなんじゃないし、
いい意味で見方は変わったかもしれない。
・ 「僕たちにも歩み寄る必要性がある」っていってくれたことが嬉しかった。私たちは皆やること
あって、今の私は勉強することが第一。できることをしたい。
[全く変わらなかった]
・ 私は最初から、セクシャルマイノリティに対して悪い偏見は持ってなかった…その自分の考え
を確信できました…実際に話をして、自分の目と心で感じることができたら、セクシャルマイノ
リティに対する見方が変わる!
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②大変よい
よい
どちらかといえばよい
どちらかといえば悪い
悪い
非常に悪い
32 人
6人
0人
0人
0人
0人
③
《良い点》
・ 自分と異なる視点で世界を見ている人の話が聞けて面白かったし、視野が広がった
・ オープンだったからすごく楽しかった…勉強になることがたくさんありました。
・ 実際、「読んで」みると、本では伝わらない(伝えきれない)リアルな話が聞けたり、質問できた
りと、本以上の情報と考えを持つことができました
・ どんな話も一対一で気楽にできて、深く知ることができてセクシャルマイノリティへの理解を深
める一番良い方法だと思った
・ 他のグループとの距離感はすごく良いです
・ 当事者の人たちは、話すことによって、先生やテレビでは知れない気持ちのことも知れたし、
すごく身近に感じることができた
・ やっぱり実際に会って話をするのは本当に大切だと思う
・ 実際に話してこそ分かる、当事者の心情は貴重なものだと思う。
・ 国際高校以外でもこの取り組みをするべきだと思う
・ 対話する相手の人がどんな質問にも気さくに答えてくれたことがうれしかった
・ これからももう少し調べてみようかなという興味を持つきっかけになった。
・ 実際の体験が聞けるのが good!同じ内容の本を読むよりも目を見て知るほうが心に残ると
思う
《改善点》
・ 対話のときにスタッフの方がずっとついていて、少し話しにくくなってしまいました
・ 普段はこういう機会があまりないから
・ 机が丸くて向井の席だと遠くて声が聞こえなかった。机なくても良かったかも
・ もっといろんなタイプの人も「読んで」みたい
・ 質問などを考えてこなかったので、少し戸惑ったりもしました
・ 声が聞こえづらかった。
・ 初めに本の方に自分のことをもう少し話してほしかった
・ はじめのほう少し気まずい感じになってしまったので、仲の良い友達とグループを組んだ方が、
積極的に話せたかなと思います。
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《「本」へのアンケート》
①高校生と対話をしてみて、いかがでしたか?ご感想を自由にご記入ください。
②本日の Living Library の企画全体への評価をお尋ねします。
大変よい・よい・どちらかといえばよい・どちらかといえば悪い・悪い・非常に悪い
③ ②について、その評価をつけたのはなぜですか?理由を教えてください。
(対話の内容、対話する相手、対話時間の長さ、声の響き具合、他のグループとの距離感、スタッ
フの対応などについても、ご意見・ご要望・改善点などがあれば、そちらも自由にご記入ください。)
「本」23 人、アンケート回答者 23 人
①
・高校生の考えが柔軟だった。
・「自分も親になったときに子供に話したい」と言ってくれた生徒がいて、知らないことや人について
知ったり、実際に会って話を聞いたりすることで、新たな見方や考え方が生まれると思う。
・少人数でじっくり話が聞ける機会はなかなかないので、今回のようにお互い遠慮せず根ほり葉ほ
り聞ける場がもっと増えればいい。
・高校生の考えていることがよくわかった。
・同性婚やゲイとしての暮らしやすさについて、頑張って理解しようとする姿勢に心を打たれた。
・ゲイであっても、結婚や子供を持つことを望む気持ちを共有できたことがうれしかった。
・話し足りない。もっと話したかった。(複数)
・人に伝えることの大変さを痛感した。
・相手と会話をすることがとても楽しく、良い刺激になると思った。
・テレビが与えるセクシュアルマイノリティのイメージの強さを改めて実感した。
・自然体で生きていることを知ってもらえてよかった。
・セクシャルマイノリティの中でも、いろいろな意見の違いがあることがわかってもらえた。
・すごく楽しかった(多数)
・相手からの質問で、自分の中の新しい部分を発見できた。
・少し緊張したが、本人どうしが直接話をすることはすばらしいと思った。
・「対話」を意識してあまり話す内容を考えていなかったため、うまくまとめて話せなかった。
・高校生のモチベーションが低く、仕方なく聞いているという印象を受けて寂しかった。
・生徒の側から、もっと質問してほしかった。
・すごく難しかった。(複数)
・お互いの考えを言い合えたのがよかった。年齢に関係なく、考えること、伝え合うことが人間関係
において大事だということを改めて感じた。
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②大変よい
16 人
よい
5人
どちらかといえばよい 1 人
どちらといえば悪い 1 人
悪い
0人
非常に悪い
0人
③
[大変よい]
・日本は、子供が社会人と交流する機会が少なく、社会に生きているという実感がわきにくいが、
今回の取り組みは、子供たちに社会を実感させ、将来の夢や希望を考えるきっかけを与える、す
ばらしい企画だと思う。
・話に詰まったときのための話題提供カードが役立った。
・お互いの話ができてよかった。
・「出逢う」ことには、従来の「すりこみ」を打ち破る力がある。今日出逢った一人一人が社会の空
気を変えていくよう期待したい。
・スタッフの対応や段取りがとてもよかった。(複数)
・「本」のヒストリー紹介の紙があれば、もっと自由に 30 分を使えたと思う。
・対話中、スタッフに近くで見られて緊張してしまった。
・今度は自分が読者になって、色々な価値観や文化をもつ人を読んでみたい。(複数)
・スタッフの対話への入り方は、読者を主体にした感じにしてほしかった。
・目や耳の不自由な人は街で見かけるけど話したことがないので、特別な場がなければそういう
人と話す機会がないという不自然な現実を変えるためにも、リビングライブラリーは有効だと思う。
・もうちょっと聞き手が多くてもよい。
・こういう機会があるというのは、人間関係を築く上で非常に重要。
[よい]
・さらなる進化を追求してほしいから。
・初対面の相手にセクシャリティについて伝えるのは難しい。
・読者の側で質問したいことをまとめておくと、深い話ができると思う。
・対話の内容について、もっと事前準備をしておきたかった。
・高校生からの質問がもっとほしかった。
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[どちらかといえばよい]
・学生にある程度質問を用意してきてほしかった。「授業の一環で来てます」感が拭えなかった。
[どちらかといえば悪い]
・対話は双方向のものだから、相手に興味をもっている人を読者として集めなければ、一方通行
になってしまう。「本」は受け身の存在だから。
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07. 対話の様子
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08. メンバーの感想

松枝望
私たち Blue Birds は「想像すること」を重要なポイントにして活動してきました。企画
の 1 回目はイラク戦争のドキュメンタリー映画上映、2 回目はイラク・ニューヨーク・アフ
ガニスタンの子どもたちの絵画展、そして 3 回目が今回の Living Library です。Living
Library とは、普段なかなか会うことがなく、偏見を持たれてしまう傾向にある人間を
「本」として貸し出し、「本」と「読者」の対話によって相互理解を深めようというもので
す。
1、2 回目は戦争や紛争に関わる企画だったので、3 回目の Living Library は毛色が
違うと感じられるかもしれません。しかし、どの企画も「我々」対「他者」意識の構造、
「他者」への想像力の欠如から生じることを扱っている点は共通しています。例えば、
平和と言われる日本で暮らす私たちは戦地で生きる人たちを「他者」とみなしてしまい
がちです。でも、彼らにも私たちと同じような日常の生活があり、愛する家族がいて、
平和に暮らしていきたいと思いながら生きていることを少しでも想像できれば、戦争に
無関心ではいられなくなると思います。
同じように、「知らない」「想像できない」がゆえに偏見を持たれてしまう「本」と直接
話すことで、相手にも自分と同じような部分があることを知り、泣いたり笑ったりしなが
ら生きている、そんな「本」の背景を想像できれば、差別や偏見は少なくなるのではな
いか、という思いで企画に取り組んできました。
少し堅苦しく書きましたが、純粋に「文献やテレビより、直接人と会って話す方が何
倍も得られるものがあるし、なにより楽しい!」という思いもありました。
Living Library は 2008 年の 10 月から準備を始めました。NHK 教育の「ハートをつな
ごう」を見たことや、読者である高校生が LGBT についての学習をしていたこともあり、
テーマを LGBT に設定しました。私自身、以前からセクシュアルマイノリティに関心が
あり、テレビや本を読んだりしていました。今回直接「本」の方とお話しすることで、さら
に多くの学びがあり、なによりとても刺激的でロールモデルとなる方々と出会うことが
できました。本番までの約 4 ヵ月間で 24 人の「本」の方に集まって頂き、読者は 40 数
名、当日のボランティアスタッフは 7 名、そのほか企画にご協力頂いた方を含めると
70 名以上の方に関わって頂きました。
Living Library は対話して終わるのでははく、対話から始まるのだと思っています。
関わって下さった方々や私たち Blue Birds の中に蒔かれた種が今後どう成長していく
か楽しみです。
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
山岡玲子
私が今回、LL に携わった理由は、何と言っても「多様性のある社会の実現」という
理念に共感したから。私はもともと「誰のことも排除したくない・否定したくない」となん
となく思っているような人間なので、「みんな違って、みんないい」みたいな考え方はす
んなり肌になじみました。特に証拠はないけれど、「世の中いろいろな人がいて成り立
っているんだから、一人ひとりが違いを楽しみながら自分らしく生きられたら、そんな
社会って善いに決まってる!」という確信が根底にあったんです。だから、「自分の思
い描く理想の社会づくりに少しでも関われる企画なら、どんどん足を踏み入れるべき
だ!」、と思い LL に携わることを決意しました。
しかし、そこには想像していたよりも大きな葛藤がありました。最大の葛藤は、LL に
関わり出してから自分の知識的、精神的成熟度の不足を痛感したこと。今回は「本」と
なる人をセクシャルマイノリティと限定したのですが、それまで私は全くセクシャルマイ
ノリティについての知識を持っていなかっただけでなく、「マイノリティ」それ自体への
問題意識も低かったのです。自分自身も理解度が低い問題なのに、それを他人に提
起するような企画をこんな私がやっていいのだろうか、という疑問はなかなか消えるこ
とはありませんでした。
こんな葛藤を抱えながらも、本番が近付くにつれて自分の中でモチベーションを上
げていくことができ、ラストスパートを走り切ることができました。こんな中途半端な私
が、最後まで走り続けられたのは、協力してくれた「本」やボランティアスタッフの皆さ
ま、そして一緒に運営してきた Blue Birds のメンバーがいてくれたからでした。本当に
感謝しています。
もちろん、企画運営に関して反省すべき点を挙げだしたらきりがありません。
関わってくださった皆様に多大なるご迷惑をおかけしたこともあったかと思います。し
かし、学生生活の最後に、自分に負荷をかけて LL に挑戦したことで少なからず「マイ
ノリティ」への問題意識は深まり、やはり多様性のある社会の実現はめざすべきもの
だという思いも強くなりました。そして、協力してくれた「本」やボランティアスタッフの皆
様も一緒に LL を楽しんでくれたことが、何よりも大きな喜びでした。
LL が日本に広がって、少しずつ日本社会にある「人と人との壁」が低くなっていくこ
とを願い、今後も何かしらの形で LL に関わっていきたいと思います。ありがとうござい
ました。
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 神宮司真奈
「Living Library って、知ってる?」ある日、BB メンバーに朝日新聞の記事を見せても
らったのが、私の LL への関わりの始まりでした。新聞記事を読んだ瞬間、「面白
い!」という高揚感と、「これはものすごく大変な企画になるぞ。」という不安の二つの
感情が同時に出ました。「面白い!」と感じたのは、自分自身が就職活動中に、多く
の人と個別に会って話す中で、多様な刺激を受け楽しかった経験の影響でした。同じ
ように少人数で、しかも普段あまり会えない人を対象にする本企画に魅力を感じたの
です。ただし、「大変な企画」になると感じたのは、人を「本」という物として扱うことへ
の抵抗感、人という生きた心を扱うため、その分とてもナイーブな企画であり、ものす
ごく気を回さなければならないという緊張感、を感じたためです。
それでも、この企画をやろうと思ったのは、いろんな生き方を知ることが、「自分の
今の生き方も良いじゃないか」と自分自身を認められるきっかけになると、信じていた
からです。それは、私自身が自分の生き方を否定してしまっていた時期があったから
こそ思っていたことでした。人は、人とのかかわりの中でしか生きていけないし、変わ
れない。でも、今の日本ではいろんな生き方に触れられる「場」が少ないように思いま
す。Living Library がその「場」になれたら、もっともっと多くの人が自分の生き方を認
めることができて、もっともっと多様な人々が輝いていられる社会になるのではないか、
そう思ったのです。
始めた当初は、とにかく何をして良いか、真っ白な状態でした。しかし、企画を進め
れば進めるほど、いろんな人が手を差し伸べてくださいました。場所や時間を提供し
てくださった石河先生、組織企画運営など毎回気にかけてくださりいろんな助言をくだ
さった GIDmedia の方々、「本」やボランティアスタッフとして協力してくださった方々、
京都での Living Library に関わらせてくださった方々、その他多くの方に支えられて、
少しずつ形になっていきました。今回関わってくださった方の中から誰か一人でも欠
けていたら、今回の Living Library は成り立ちませんでした。そう言いきれることは、こ
の企画の大きな魅力の一つに思えます。
そして、当日無事にやり終えてみると、多くの成果と、言い出したらきりがない反省
点が見えてきました。その中から、一つ今言えるとしたら、Living Library が、本、読者、
スタッフ等々の枞を超えた、関わる人すべてに何か「種」をまくことのできる、人との出
会いやかかわりという「場」であったということです。まだまだこの企画の可能性はは
かり知れません。今後、多くの人と関わっていく中で、Living Library 自身も伸びていき、
日本の「日常」の中に溶け込んでいくことを願っています。
最後になりましたが、今回の企画を一緒に作り上げてくださった皆様、本当に本当
にありがとうございました!!
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Living Library【活動報告書】
2009 年 1 月 14 日実施
Presented by BLUE BIRDS
 村井七緒子
リビングライブラリーは、生きた人間が「本」になる、というユニークなコンセプトに基
づいていますが、簡単に言ってしまえば、初対面の人間同士の対話に過ぎません。そ
れでも、私たちがこのリビングライブラリーに惚れ込み、日本で実現させようと強く思っ
たのは、これまでのさまざまな人との出会いの中で、「人と話すこと」のもつ魅力を、私
たち自身が身をもって感じていたからです。「人と会って話すことはこんなにも面白い
ことなのだから、もっともっとたくさんの人が混ざり合って対話することで、もっともっと
面白い社会になるんじゃないか!」そんな思いから、リビングライブラリーの準備を始
めました。社会的マイノリティと呼ばれる人々をはじめとする、他者への無関心が、差
別や偏見といったさまざまな問題に結びついている、という問題意識もあったので、対
話がその解決の糸口になるのではないかという思いもありました。
そうはいっても、これは私たちの個人的な経験に基づく憶測でしかありませんでした。
しかし、それが間違いではなかったということが、今回、証明されたと思います。対話
中、読者となった生徒たちも「本」の皆さんも、本当に生き生きとしていました。生徒の
中には身を乗り出して「本」の話を聞いている子もいたし、「本」を見つめる目が真剣そ
のものという子もいました。終了後のアンケート記述では、多くの生徒が最後まで残っ
て必死で感想を書いてくれました。「本」の皆さんも、それぞれがそれぞれのストーリ
ーを、とても楽しそうに生徒たちに話してくださいました。終了後の簡単な反省会での
「本」の皆さんのお言葉は、胸に響くものばかりでした。皆さんお一人お一人に、この
企画に加わったことでさまざまなことを感じて考えていただけたことを、とてもうれしく
思います。
私たちのリビングライブラリーの目的は、「多様性のある社会の実現」にありました。
他者を知ることで自分自身を見つめ直し、相手のことも自分のことも認めることができ
たら、さまざまな特徴をもった人が互いに自分らしく共存する社会が築けるのではな
いかと思います。そして私自身、このリビングライブラリーの準備の過程が、まさにリ
ビングライブラリーでした。さまざまなセクシュアルマイノリティの方にお会いして、皆さ
んから生き生きとしたお話を伺うことで、多くの発見があり、何度も元気づけられ、そし
て楽しい時間を共有させてもらいました。そして、この企画の説明をして、「本」の皆さ
んに目的や理念に共感し、協力を約束していただくたびに、どれほど皆さんに励まさ
れ、自信をつけることができたか知れません。
リビングライブラリーの初めての試みを終え、課題や問題点も見えてきました。対話
を深める質問をいかに引き出すか、対話の内容をどこまで管理すべきか、などがその
一部です。それでも、リビングライブラリーのニーズと、それを受け入れる素地が、日
本社会には確かにあるということを確認することができました。これから、この運動が
ますます広がっていくことを願ってやみませんし、そのために尽力することができたら、
それは私にとってこの上ない喜びです。
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Living Library【活動報告書】
2009 年 1 月 14 日実施
Presented by BLUE BIRDS
最後になりましたが、今回、私たちの掲げる目的に共感し、協力してくださったすべ
ての方々に、この場を借りて、感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうござ
いました。
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Living Library【活動報告書】
2009 年 1 月 14 日実施
Presented by BLUE BIRDS
09. 協力団体
NPO 法人 GIDmedia
早稲田大学公認セクシャルマイノリティサークル GLOW
セクシュアルマイノリティーズ・インカレ・ネットワーク Rainbow College
Special Thanks
石河先生
藤野先生
世田谷区議会議員 上川あやさん
ロックバー freak
ボランティアスタッフ
かずさん、じまちゃん、かじさん、イタリー、
みどりちゃん、みずきちゃん、やすよちゃん
BLUE BIRDS 本企画メンバー
村井七緒子、松枝望、山岡怜子、神宮司真奈
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