特定商取引法に訪問購入が追加されました 2012 年 10 月 貴金属等の訪問買取りに係るトラブルが平成 22 年度から 23 年度にかけて激増しました。 これまで、こうしたトラブルから消費者を保護するための効果的な法令の規定が存在しな かったため、特定商取引法の改正により、 「訪問購入」が 7 番目の取引類型として追加され ました。施行は平成 25 年 2 月頃です。 若い女性から「不用品の買い取りをして います。何でも買い取ります。」と電話が あった。古い着物を買い取って欲しいと言 ったら、男性2人が来たので、自宅に上げ た。着物はまとめて700円で買い取ると 言うので、安いと思ったが、買い取っても らうことにした。 指輪やネックレスを 買い取りますよ! その後、業者が貴金属を売って欲しいと 言い出し、鏡台に置いてあった宝石箱から 母の形見の指輪を取り出し「1万円で買い取 る。」と言った。私は「とんでもない。こ れは、売れません。」と断った。が、業者 は、お金と領収書を私の手に押し付け、 「今契約しただろう。」と大きな声で怒鳴 ったので、それ以上怖くて断れなかった。 領収書 翌日、指輪をどうしも返して欲しいと思 い、領収書に書いてあった番号に電話した が、業者から「もう転売してしまった。」 と言われ、転売先も教えてもらえなかった。 もう、指輪は戻ってこないのだろうか。 (70歳代 女性) <解説> 「とんでもない。これは、売れません。」と一度断った女性に対し、購入業者が、契 約の締結について勧誘をしてはいけません。 「今契約しただろう。 」と大きな声で怒鳴るなど、購入業者は、契約に際し人を威迫 して困惑させてはいけません。 買い取り契約をしたときは、購入業者は、物品の種類や、購入価格などを記載した契 約書面を売主に渡すことになります。 売主は、契約書面等を受け取ってから 8 日間はクーリング・オフができます。単なる 領収書は契約書ではありませんから、本事例では期間経過後であってもクーリング・ オフが可能です。 売主は、契約した後も、クーリング・オフ期間内は、指輪をすぐに引き渡さず、手元 に置くことができます。 クーリング・オフ期間中に第三者に指輪を引き渡した購入業者は、その情報を売主に、 通知しなければなりません。 売主がクーリング・オフをしたときは、第三者に対しても、指輪の所有権を主張でき る場合があります。 違反行為がある場合には、悪質業者についての情報提供制度である申出をすることができます。 申出制度に関して、ご質問やご不明な点がございましたら相談室までお問合せください。 <法律の概要> 行政規制 (1)原則として全ての物品を対象とする。ただし、消費者トラブルなどのおそれがない と認められる物品については政令で対象から除外。 (2)購入業者名・勧誘目的等の明示義務。 (3)不招請勧誘の禁止。勧誘意思の確認義務。再勧誘の禁止。 (4)不実告知、重要事項不告知、威迫困惑行為の禁止。 (5)次の事項を記載した契約書面の交付。 ・物品の種類 ・物品の購入価格 ・クーリング・オフに関する事項 ・物品の引渡しの拒絶に関する事項 など クーリング・オフ (1) 売主はクーリング・オフ(契約の一方的な解除)ができる。 (2) クーリング・オフの期間は 8 日間。 (3)クーリング・オフ期間中は、売主は物品の引渡しの拒絶ができる。 (4)クーリング・オフ期間中、購入業者が第三者に物品を引き渡した場合は、引渡しに かかる情報を、売主に通知しなければならない。 (5)クーリング・オフ期間中、購入業者は、第三者に物品を引き渡す際は、物品がクー リング・オフされた、あるいはされることがある旨を、第三者に通知しなければな らない。 (6)売主がクーリング・オフをした場合、物品が渡された第三者(善意無過失の者を除 く)に対しても、物品の所有権を主張できる。
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