−第39号− 2012.12 月発行 過敏性腸症候群(IBS) <1>過敏性腸症候群(IBS)とは? 過敏性腸症候群「IBS」はストレスが原因で、下痢や便秘をくり返す疾患です。 大腸がんや潰瘍性大腸炎などとは異なり、内視鏡などで確認できる異常が認められないの が特徴です。 また単純な下痢や便秘と大きく違うのは、主な原因がストレスであることと、腹痛やおな かの張り/おなかがなんとなく気持ち悪い/おなかが鳴る、といった腹部の症状をともな うことです。 排便によってその症状が軽減することも、「IBS」であるかどうかを見極める目安になります。 「IBS」によって、不眠や不安・抑うつなど胃腸以外の症状を引き起こしてしまう人もいます。 <2>なぜ、下痢や便秘が起こるのか? ストレス刺激は、ホルモンや自律神経によって脳から大腸に伝わります。 大腸は小腸で消化された食物から水分を吸収しながら便を作り、先へ送っていきますが、 ストレスがかかると、腸管の運動が異常になります。 大腸の運動異常は腹痛も引き起こします (下痢はなぜおこるのか) (便秘はなぜおこるのか) 腸の運動が過剰になり、消化物が速く通過したり、食中毒などで腸粘膜からの分泌が増 えたりすると、腸が水分を十分に吸収できなくなります。その結果、泥状や液状の便とな ってしまい、下痢を引き起こします。 腸の運動がにぶくなったり、大腸がんやポリープといった病気のために腸が狭くなって 通りにくくなったりすると、消化物が腸内に長時間留まってしまいます。その結果、消化 物の水分が腸に吸収され過ぎてしまい硬い便ができ、便秘になってしまいます。 <3>IBSの治療法は? 薬物療法 高分子重合体 消化管運動調節薬 セロトニン 3 受容体拮抗薬 乳酸菌製剤 抗コリン剤 コロネル ポリフル等 セレキノン等 イリボー ビオフェルミン ラックビー等 ブスコパン トランコロン等 便に含まれる水分量を改善して、便をちょうど よい硬さに保つ薬です 消化管の動きを活発にしたり、抑えたりする薬 です 腸の運動異常や痛みを感じやすい状態を改善 する男性の下痢型 IBS における治療薬です 腸内の乳酸菌を増やすことで、腸内環境を整え る薬です 腸の異常な運動を抑え、腹痛抑える薬です 食事療法 下痢をくり返している場合は、香辛料や冷たい飲食物、脂っこいものなどを避けます。 乳製品やアルコールも下痢の原因になる可能性があるので、控えたほうがいいでしょう。 便秘をくり返している場合は、香辛料など刺激の強い食品は避けつつ、水分や食物繊維 を多く摂れるような食事を心がけていきます。 運動療法 適度な運動は腸の働きを整える効果が期待できるほか、気分転換・ストレス解消にもな ります。体操や散歩などの軽い運動を生活に取り入れましょう。
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