過敏性腸症候群治療薬 イリボー錠

コンパス薬局横浜西
スキルアップ勉強会
2014.6.12 相原
第80回
『 過敏性腸症候群治療薬
イリボー錠 』
アステラス製薬株式会社
飯田 祐子さん
参加者:川村先生
松下、相原、野口、野田、宮内、西山、吉岡、鈴木
過敏性腸症候群(IBS)とは、腸そのものには視覚的に確認できる異常が無いものの、腹痛・腹部不快感を伴
う便通異常が続く病態である。発症にはストレスが関与しており、先進国に多い現代病の1つといわれている。
4 つのタイプ:下痢型・便秘型・混合型・その他(前3つのどれにも当てはまらないもの)に分類され、イリ
ボーは下痢型に対する治療薬である。
【効能・効果】
男性における下痢型過敏性腸症候群
<使用上の注意>
・現時点で得られている臨床成績では、女性における本剤の有効性は認められず副作用発現率が高いことから、
本剤を女性に対して投与しないこと。
・OD 錠は口腔内で崩壊するが口腔粘膜からは吸収されないので、唾液又は水で飲み込ませること。
【用法用量】
成人男性:5μg を1日1回経口投与する。なお症状に応じて適宜増減するが、1日の最高投与量は10μg ま
でとする。
【作用機序と特徴】
・ストレスにより腸粘膜から分泌されたセロトニンの働きを抑え、腸の運動異常による下痢・腹痛を改善する。
・排便回数・腹痛・腹部不快感の改善、便の正常化が投与早期から認められる。
・IBS 治療に使われる他薬と比べて、1日の服用錠剤数が少ないためコンプライアンスが良好である。
・同成分のナゼア錠(セロトニン 5-HT3 受容体拮抗薬:制吐剤)での使用経験がある。
【副作用】
効果過剰による便秘が最も多い。
主に投与初期に見られる。長期投与や増量によって、便秘発現の著しい上昇は認められていない。
【考察】
IBS の症状はすぐに改善するものではないので、薬物治療をある程度の期間続ける必要がある。イリボー錠投
薬時には、その点をよく患者様に説明しコンプライアンスの維持に努める事が大切である。また、OTC 薬にはス
トッパなど屯用で使う薬があり、対してイリボーは継続服用をして治療・改善する薬である。OTC 薬の使用経験
がある患者様には特に、その違いについての説明も必要となる。
イリボー錠の治療では、効きすぎて便秘になった場合には減量などの用量変更で対応していく事がある。便秘
が出たときに自己判断で中止・中断しないよう副作用出現時の対応・治療の流れについての理解の確認も大切で
ある。
【Q&A】
Q:IBS であればどのタイプにもつかえるか?
A:下痢型のみ適応がある。
(コロネル、ポリフルは便秘型 IBS にも適応がある。
)