2011 年 10 月 19 日 乾式ビーズミルによる粒子の精製と制御 アシザワ・ファインテック株式会社 大阪支店 山際 愛 乾式粉砕において微粉砕領域と認識されるシングルミクロン領域への粉砕、これは湿式粉砕でも行われており乾 式と湿式の狭間の領域である。最終的に乾粉で使用する物質の場合、湿式粉砕を選定すると、後工程で乾燥する操 作が必要になり生産コストが高くなる恐れがあるため、乾式での粒子の精製と制御が必要となる。 しかし、乾式粉砕においてシングルミクロンまで粉砕可能な粉砕機は数少なく、その中で代表的なジェットミルも圧 縮エアーを大量に使用するため、処理にかかるトータルエネルギーが大きく非効率な処理となる可能性がある。付加 価値の高い物質の処理であれば問題ないが、付加価値の低い物質の処理には到底使用できないのが現状である。 そこで、弊社が独自開発し 2008 年に発売を開始したのが乾式ビーズミル SDA、簡易的な構造で簡易的な処理が行え、 生産効率のアップを実現し付加価値の低い物質の処理にでも使用可能なものとして位置づけた商品である。 乾式ビーズミル SDA は、主に湿式粉砕で多く使用されている媒体攪拌型ミルの特徴を活かした高エネルギー密度 粉砕により数百ミクロンの原料粉を 1 パス処理でシングルミクロンに粉砕できる高効率な乾式粉砕機である。2008 年 の発売より様々な物質の処理実績を重ね、小型機から大型機までラインナップする事で販売実績も着実に伸ばして いる。 一方、SDA 単体で充分に粒子径操作が容易な物質がある中、SDA 単体の処理条件の調整だけでは操作しきれな い物質が出てきたのも事実である。これはユーザーの製品に対する要求の高度化が原因である。「よりシャープな粒 度分布を得たい」、「最大粒子径をもっと小さくしたい」等、これまでの弊社の乾式処理技術では実現困難なものばか りであった。 お客様の高度なご要望に対応するためには粉砕操作だけでは不充分であると考え、分級操作を組み合わせる事 もご提案できるように、分級機の独自開発も行い乾式ビーズミル専用分級機 CFA を取り付けた SDA-L システムを昨 年商品化した。この分級機 CFA を SDA に付加する事で細かな粒子径分布の操作が可能となり SDA の処理幅拡大 が実現した。 SDA-L システムによる閉回路粉砕は、“①SDA により原料が粉砕される。②分級機 CFA によって粒度調整され、 粗粉(再粉砕品)と微粉(製品)に分けられる。③微粉はサイクロンまたはバグフィルタにて回収され、粗粉は SDA に 戻り再粉砕される。”①~③が繰り返される事で処理が進行する。本システムにより精製した微粉は選択的に回収さ れ、粗粉リッチな状態で SDA での粉砕は行われるようになるため、微粉による阻害が少なく効率の良い粉砕が実現 できる。回収製品の粒子径分布は分級機 CFA の運転条件の設定で操作可能なため、任意の粒子径の製品を生産す ることができる。 今回の講演では、1.乾式ビーズミル SDA、2.乾式ビーズミル専用分級機 CFA、3.閉回路粉砕システム SDA-L システ ムの特徴・使い分けの 3 部構成で説明する。 微粉砕・分散機メーカー お問い合わせ先:企画室 江尻/藤原 本日はご多用の中ご来場いただきまして誠にありがとうございました。 TEL:047-453-8111 e-mail:[email protected] URL:http://www.ashizawa.com 微粉砕・分散機の他、攪拌機や連続式脱泡機なども取り扱っております。 弊社ホームページも是非ご覧くださいませ。 PLB-0004 弊社事業内容紹介 弊社事業内容紹介 ①ビーズミルをはじめとする 産業用粉体機器の開発・製作・メンテナンス・販売 エネルギー効率が良く環境負荷の少ない機械 ・湿式および乾式ビーズミル(微粉砕・分散機) ・・・湿式はスターミルシリーズ ・・・乾式はドライスターシリーズ(2008年発表) 前後機器として… ②受託加工 ・少量サンプル作成対応 ・・・最小スラリー量 250ccから対応可能 ・生産量が少なくて良い ・機械を置くスペースが無い ・機械納入までの間生産したい ・脱泡機、攪拌・混合機、混練機など SDAの粉砕原理 連続式乾式ビーズミル ドライスターSDA ベッセル内(粉砕室)でビーズと粉砕対象物を一緒に攪拌。 ビーズの運動により発生するせん断力・摩擦力・衝撃力・圧縮力 等の単独作用または複合作用を利用し、対象物を粉砕する。 2008年に発売 アジテータ 入口 1パス(連続運転)で簡易的に数 百ミクロンの原料からシングルミ クロンへの粉砕が可能 SDAの粉砕フロー ① ① 定量フィーダから粉砕 室内へ原料を供給 ② 粉砕室内で攪拌軸が 回転することでビーズ が運動し粉砕 ③ 粉砕物とビーズがスク リーンで分離 SDAの粒度コントロール 1. アジテータ回転数 2. メディア径 φ3mm~φ8mm使用可能 ③ ビーズと粉を分離 出口 ② 3. メディア充填量(70~80%) 4. 粉砕室への原料供給量 ④ 粉砕物を回収 ④ 1 粉砕例:ケイ砂(シリカ)[モース硬度:7] SDAの特長 1パスで簡易的に数百ミクロンの原料から シングルミクロンへの粉砕が可能 エネルギーコスト極小 (対ジェットミル1/10) エネルギー効率に優れており大量処理可能 (対ボールミル80倍の効率、最大500L機) 耐摩耗性抜群 (微粉コーティングにより 対湿式1/10の磨耗率) サイクロン、バグフィルター不要 SDA仕様とラインナップ テスト機として 弊社実験室に常設。 SDA適用粉体 ◎特に無機物の粉砕に適している SDA専用分級機CFA開発経緯 乾式ビーズミル SDAで処理した粉体 CFA分級原理 粒度操作 回転部分 ローター回転数:遠心力 •粒度分布がブロード 空気吸引量 :空気抵抗 •粉砕後の粒子に粗粒子が残っている 切り欠き 粒度操作の必要性 エアー吸引 製品として 使用できない 分級羽根 遠心力 大きい粒子 小さい粒子 遠心力>空気抵抗 空気抵抗>遠心力 2 分級機ラインナップ CFAの特長 SDAに適した分級範囲 SDA粉砕後の粒度分布を分級するのに最 適な分級範囲( ※ 5μm~50μm) ※分級範囲は対象物により異なる シンプルな機構を採用! 粗粒の混入ゼロ シール部分から混入する粗粒をシャットアウト。 分解・組立が容易 分解組み立て時のシール部分の再調整が不要 • メンテナンス性良好 • • SDAーL開発経緯 型式 処理量(kg/hr) CFA100 CFA160 CFA230 CFA315 10 25 50 100 風量(㎥/min) 4 10 30 40 回転数(rpm) 7000 4500 3000 2300 900×1300× 1200 1200×1700 ×1600 1700×2400 ×2200 2300×3300 ×3000 2.2 2.2 5.5 7.5 寸法 W×D×H( mm) 電動機(kW) SDA-Lシステムのフロー図 SDA単体の粒度操作は • • アジテータ周速(4~6m/s) メディア径 φ3mm~φ8mm 分級 • メディア充填量(70~80%) 更なる微細化の実現のために、分級機CFAを組 • 粉砕室への原料供給量 み合わせたSDA-Lシステムを開発!! システム化することで連続処理が可能に! 原料供給 •乾式ビーズミルSDAの粉砕限界・・・・dmaxは15μm程度 •1パスだけでは粒度分布がブロードになってしまい目標到 達困難な場合も 製品回収 粉砕 空気吸引 分級機回転数による粒子径操作 6000rpm Dmax=6.5μm SDAだけでは難し かった細かな粒度 操作もSDA-Lシス テムでは可能に! 10 8 頻度[%] SDA単体と閉回路システムの比較 モース硬度9 無機物 の粉砕比較データ 12 5000rpm Dmax=7.8μm 6 4000rpm Dmax=9.3μm 4 18μm 2 7μm 0 0.1 1 10 100 粒子径[μm] 3
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