九州の養殖漁業にも

2016 年 10 月 5 日
九州から日本を動かす!
Let’s move Japan forward from 九州! (18)
九州の養殖漁業にも、私は大いに期待をしていますし、応援していきたいと思
っています。日本全体から見れば 10%程度の九州経済が、この分野では 40%以
上のシェアを占めています。鹿児島、熊本、長崎、宮崎、大分各県のいたって
元気な会社やオーナーが頑張ってくれているお陰です。
子どもの頃から玄界灘での釣りが大好きな私にとっては、養殖漁業の現場の
視察は楽しみでもあります。ダイナミックな男の職場という印象を受けます。
潜水夫が、網の周りにある魚の死がいを見つけては、こまめに拾い上げて病気
を持っていないか顕微鏡を使って入念にチェックしています。日本ならではの
食品に対する厳しいマネジメントの姿勢がうかがえます。
毎日与える餌も管理しています。餌の色や与える量はどのくらいが適量かな
ど、出荷前に実にこまめにコントロールしているので、天然ものとは違った安
心感があるのかもしれません。しかし、私たち釣り人の経験からすると、
「夏の
ブリなんて美味しくないので食べられない」という思い込みがあり、それを養
殖業の方に話すと「これでもですか?」と夏のブリを送ってくださいました。
これが脂が乗っていてとても美味しいのです。すぐに驚きの感想とともに、お
礼状を書きました。まさに素晴らしい品質管理の賜物です。
養殖魚は、現在アメリカ西海岸にも空輸しています。輸送技術の向上で、近
い将来、船便でも味や鮮度を保つことが可能になれば輸送経費は一段と安くな
るので、売値を下げることができて競争力が向上し、収益も一段と増加するで
しょう。
九州の元気の良いオーナーは、アメリカでの魚の卸しや小売りのやり方に対
しても自分ならもっと工夫し品質管理を向上することができるという自信があ
るので、事業拡大をしていこうと考え、既にアメリカの同業者を買収した方も
おられます。この積極的な姿勢に対して本当に驚きました。
九州にはこのようにグローバルな視野で活動している経営者が多数おられま
す。大きな会社でなくとも、長い歴史がなくとも、日本の技術とブランドで購
買意欲旺盛な海外へ動き出している会社が九州に存在するのです。大いに応援
していきたいと思います。
このような元気のある経営者が頑張っている中で、良いニュースは国が一次
産業の育成、支援に本気で動き始めている点です。農林水産省も何か役立つこ
とがあれば応援していきますよという姿勢を示してくれて、有り難いことです。
安倍総理もこの流れを応援していき、一次産業を輸出産業にしていくという
方針を打ち出されています。新たな挑戦をしていく経営者に対しては、援助の
手が伸びるのではないでしょうか。
九州から日本国内に向けて良いニュースや実績を出していきます。そして、
養殖漁業を国の主要な輸出産業にしていけるように数字を上げていきます。当
然、次世代の若者の参加が必要です。今、九州から地方創生の流れの一つの形
が生まれつつある中で、次世代が家業へ、そして郷里に戻る気になるような魅
力を私たち現役陣は作りあげていきましょう。大都会に住むより、もっと快適
な生活が九州にはあるのです。
麻生
泰