「アラブ首長国連邦等における廃棄物処理・リサイクル分野 への日本企業

産油国投資促進及び投資環境整備関連
平成2
2年度中東・北アフリカ経済情勢調査
「アラブ首長国連邦等における廃棄物処理・リサイクル分野
への日本企業参入の可能性に関する調査」
中東協力センターは,日本エヌ・ユー・エス
当センターから上月央主査が同行しました。
!に委託し,平成2
2年度 JKA 補助事業「中東・
1.調査目的
北アフリカ経済情勢調査」として,
「アラブ首長
国連邦等における廃棄物処理・リサイクル分野
中東の湾岸諸国,特に湾岸協力会議(Gulf
への日本企業参入の可能性に関する調査」を実
Cooperation Council:GCC)加盟国であるアラブ
施しました。
首長国連邦(UAE)
,バーレーン,クウェート,
本調査では,
平成2
2年1
0月2
5日"∼1
1月5日#
オマーン,カタール及びサウジアラビアの6ヵ
の日程で,日本エヌ・ユー・エス! 畔野尚史氏
国は,石油・ガス資源が豊富な比較的裕福な
および濱田陽子氏により,現地調査が実施され,
国々です。これらの国々は,イスラムを国法と
アブダビの建設廃棄物のリサイクル施設
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Dubai Municipality での Naji 部長との面談
する王国又は首長国であり,政情が安定してい
情報を収集するとともに,廃棄物処理・リサイ
る点,石油・ガス産業からの脱却を目指してい
クル分野への日本企業の参入時の問題点を調査
る点及び都市部への人口集中が加速されている
し,中東地域における廃棄物処理・リサイクル
という点等,多くの共通点があります。
分野への日本企業参入の可能性について検討し
また,都市部への人口集中及び新たな産業の
ました。
育成に伴う都市廃棄物や産業廃棄物の発生量の
2.調査項目・方法
増大に起因する様々な問題を抱えていることも
共通しています。これらの国々では従来,廃棄
UAE は,GCC 加盟国の中でも特に経済発展
物は埋立処分が主流であり,減容処理の一環と
が著しく,都市開発が急ピッチで進んでおり,
してリサイクルの推進が検討され始めていま
都市廃棄物や産業廃棄物(特に建設廃棄物)の
す。また,サウジアラビア以外の5ヵ国は,国
処理の問題が顕在化しています。UAE のアブ
土面積もさほど広くなく,最終処分場確保に課
ダビ首長国は石油等の地下資源があり,鉱・工
題を抱える日本と似通った状況にあります。し
業という産業が主体である一方で,ドバイ首長
たがって,これらの国々においては,日本が推
国は,中東及びアフリカの物流・経済のハブお
進してきた廃棄物の焼却処理及びリサイクルに
よび観光都市を目指しています。このように,
関する技術及びシステムが有効に活用できる可
同じ連邦内にありながら首長国によって異なっ
能性が高いと考えられます。
た国造りをめざしており,廃棄物問題に関して
以上の点から本調査では,中東における都市
も多様な情報が得られ,他の中東諸国への展開
固形廃棄物処理の実態,現状の問題等に関する
が可能と考えられることから,UAE のアブダ
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ビ首長国及びドバイ首長国の2首長国を現地調
査対象国に選定しました。
本調査では,現地調査によりアブダビ,ドバ
イ両首長国における廃棄物管理体制,収集・運
搬,処分及びリサイクルに関する情報を収集し,
他の中東諸国の実態等については文献等で情報
収集することとしました。現地調査は,首都の
アブダビ市及びドバイ市を中心に行い,廃棄物
管理の所管部局,廃棄物処理・リサイクル関連
施設,現地企業および現地日本企業からのヒア
リングを実施しました。
3.調査概要
詳細な内容につきましては,調査報告書(各
会員企業へ配布予定)をご参照ください。
アブダビ首長国,ドバイ首長国ともに近年,
都市廃棄物,産業廃棄物ともに急激に増加して
ドバイの医療系廃棄物焼却施設
(日本企業設計)
おり,最終処分場の寿命は短縮傾向にあります。
これは,ほとんどの廃棄物が減量化・減容化
されることなく最終処分場に埋立処分されるこ
の管理のマスタープランの策定とその実施が今
とが原因です。都市廃棄物は,発生段階での分
後の課題と考えられています。
別が行われず,分別コストがかかるため,紙類
他の GCC 加盟国も廃棄物の減量化・減容化
を除いてリサイクル率は高くありません。産業
が進んでおらず,最終処分場の寿命が短縮傾向
廃棄物では特に建設廃棄物の割合が高く,その
にあるのは UAE と同様の状況にあります。
収集・運搬,処分,リサイクルは両首長国の廃
日本が保有するリサイクルや焼却の技術は,
棄物管理上の重要課題となっています。
中東の廃棄物管理,特に減量化・減容化の分野
において,その技術を活かした事業展開の可能
このような状況下,アブダビでは建設廃棄物
性があると思われます。
のリサイクル施設が2
0
1
0年1
0月から操業を開始
0∼
し,5,
0
0
0トン/日の廃棄物を受け 入 れ,8
4.終わりに
9
0%がリサイクルされ,主として路床材として
再利用されるようになりました。また,ドバイ
今回の調査では,現地の政府の廃棄物管理部
では日本企業が設計した医療系廃棄物焼却施設
局,廃棄物処理関連施設,民間企業の関係者,
が2
0
0
9年に竣工し,現在6∼7トン/日の廃棄
日本大使館,日本の民間企業の現地駐在員の皆
物を受け入れています。日本企業は維持メンテ
様より,貴重な情報提供等種々ご協力を賜りま
ナンスも行っており,現地ではその技術力が高
した。ここに心から御礼申し上げます。
く評価されています。
このように廃棄物の減量化を進める一方,都
(この事業は,競輪の補助金を受けて実施したも
市の拡大に対応したリサイクルを含めた廃棄物
のです)
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