世界銀行プレス・リリース [仮訳] コンタクト：モスクワ: Marina Vasilieva +(7-495) 745-7000 ext. 2045 [email protected] ワシントン: Kristyn Schrader +1-202-458-2736 [email protected] 東京: 平井智子(81-3) 3597-6650 [email protected] 貿易と統合がロシア極東地域の成長のカギに－世界銀行勝茂夫世界銀行副総裁極東国際経済フォーラム基調講演ロシア、ハバロフスク、2008 年 9 月 30 日—世界銀行は本日、ロシア極東地域が、ロシア国内やアジア大洋州地域の活力あふれる市場との貿易や統合をさらに推進することによって成長を促進し、650 万人の住民の生活水準を高めるよう強く促した。ロシアのハバロフスクで今週開催されているロシア極東国際経済フォーラムで本日基調講演に臨んだ世界銀行の勝茂夫ヨーロッパ･中央アジア担当副総裁は、インフラ、社会開発、環境保護への投資に支えられた貿易と経済統合が「2020 年ロシア極東地域開発戦略」の実行にとって極めて重要であると強調した。また、2012 年の APEC サミット開催はロシア極東地域の大きな可能性を示すものであると指摘した。「APEC 加盟国は人口 25 億人を擁し、GDP は合計で 19 兆ドルに上る」と勝副総裁は述べた。「APEC サミットが 2012 年にウラジオストクで開催されるのも決して偶然ではない。私が一番強調したいのは、この地域の可能性を開くカギは近隣諸国が握っているという点だ」勝副総裁によると、ロシア極東地域の規模、鉱物資源の豊富さ、潜在的経済力は非常に大きい。「極東管区はロシア連邦の領土の 3 分の 1 以上を占めている。隣接するイルクーツク地方コビクタの天然ガス確認埋蔵量は 2 兆立方メートルと世界最大級である。さらにチュコトカ、カムチャツカ、サハリンの膨大な石油埋蔵量についても現在調査が進められている。にもかかわらず、650 万人とそれほど多くない極東地域の住民の生活水準はまだ、この豊富な潜在的富を反映していない」勝副総裁は、資源の豊富さと社会的成果との間にこのような隔たりがあるのは、市場へのアクセスの困難さのせいだとしている。副総裁は、これは人の移動だけでなく、物資の輸送が起因する問題でもあると説明する。極東管区には、金属、天然ガス、石炭などの資源増産や、サービス貿易拡大の大きな可能性があるが、そのためには、主要な市場への安定した輸送手段が不可欠である、と同副総裁は強調している。また副総裁は、極東管区の輸送･物流については、既存の資源採掘中心地と都市･市場群との結びつきさえ驚くほど希薄である上、急拡大する中国市場とのつながりも極端に限定的だと述べた。「この地域の強みは、その立地条件が、好機に結びつくということだ」と勝副総裁は強調する。「ロシア極東地域も他の地域と同様に、好機を活かし、成長を大幅に加速させ、住民の生活水準を向上させることができる。貿易は地理的障害を克服することができる。この点はいくら強調してもしすぎることがない。さらに貿易だけでなく、 1 商品・資本、アイデア、ノウハウの交流、そして住民の可動性のない地域や国は、後れを取りがちになる」「長期的成長の要因としての貿易の重要性は、いまや開発経済学では十分に裏付された事実である。主要な開発成功事例では必ず、近隣市場や大規模市場との物流やつながりによって貿易が持続的に拡大している。特に、オーストラリア、カナダ、スウェーデン、そして中央アジア諸国など、地理的に不利な国々ではこの傾向が顕著にみられる」と勝副総裁は付け加えた。同副総裁によると、肝心なのは、どうすればこれらの優先課題を環境に優しく健全な方法で実行できるかである。これには相当規模の資金調達、技術的･組織的な資源の支出が求められ、実施に当たってはいくつもの困難が立ちはだかるだろうが、これらを極東地域が単独で負担すべきではないと副総裁は指摘する。交通省の交通戦略によると、鉄道、航空、海上輸送の充実（ほかの地域との接続性の改善も含める）には、2010年から2015年だけで同地域に155億ドル（3875億ルーブル）の負担となる。その上で、同副総裁は、世界銀行がロシア連邦との現在のパートナーシップ戦略に沿って地元、地域、国際の3つのレベルで支援できることを強調した。勝副総裁は同地域の開発優先課題において特に 2 つの分野を強調した。 • 極東管区内、そして同管区の近隣市場、中でも特に中国の人々や貿易との相互のつながりを促進することが決定的に重要である。極東地域が成長するためには、インフラや貿易を通じて、域内そして有望な貿易・成長機会を大きく拡大するであろう中国、日本、韓国など近隣諸国の国内市場との統合を図らなければならない。国内市場だけに着目していたのでは不十分であり、貿易･開発の重要な機会を逃すことになる。これは特にハバロフスク地方について言える。 • 極東地域の社会サービスを充実させることは、地域住民にとって極めて重要であるだけでなく、新たな住民が移り住む動機ともなる。質の高い学校、病院、社会扶助パッケージ、そして基本的な社会サービスは、特に気候が過酷な地域で暮らす人々にとって極めて重要だ。人はどこでも常に、子供を教育でき、医療環境が整い、経済的に将来性のある土地に移り住んでいくものだからである。「ロシア極東地域には明らかに大きな可能性があり、それは 2012 年の APEC 首脳会議で世界の知るところとなるだろう。世銀としては、いつでも支援する準備ができている」と勝副総裁は締めくくった。詳細は下記ウェブサイトでご覧いただけます。 www.worldbank.org/eca ### 2