天井耐震改修の施工事例と注意点

天井耐震改修の
天井耐震改修の施工事例と
施工事例と注意点
1 吊りボルト
吊ボルトは約900mm以下の間隔で設置し、支持材に緊結する。
☆解説
①吊ボルトは、原則、斜めではなく垂直に吊る取り付けとする。
②端部は周囲の端からクリアランス
クリアランス+
クリアランス+150mm
150mm以内
mm以内の位置に設置する。
以内
③天井形態が傾斜している場合や曲面的な場合は、吊りボルトの負担する荷重が平面的
(水平)な場合とは異なることを踏まえ適切な間隔および取付けとする。
④溶接や折板からの吊り元は使用せず、また簡易な吊り金具(LGフック等)の場合はブレース
取付部の吊り金具を補強する。
⑤吊りボルトがダクト等に当たる場合は適正な方法で補強する。
吊り元として不適正な例(折板屋根等)
※C型鋼等で吊り元を新設しボルトを吊り下げる
吊りボルトが垂直
吊りボルトが斜め
ブレース
取付部
(LGフック+
補強金具)
一般部
(LGフック)
C型鋼からボルトを吊る場合の例 ※無溶接
LGフック
同上補強カバー
の場合
ブレース金具UEⅡ
ブレース:AS-25
3/8”吊りボルト
RPフリーハンガー
RPフリーハンガー
RPク
カ
リップ
る。
とす
バー付
吊り元Lアングル
斜め天井施工例
吊りボルト
吊りボルト
クリアランス寸法
+150mm程度
クリアランス
寸法
クリアランス寸法
+150mm程度
ハンガー
クリアランス
寸法
ハンガー
野縁受け
野縁
仕上げ材
仕上げ材
クリアランス寸法+150mm
(端部は落下防止の為耐震クリップ<ビス無し>使用)
2 振れ止め(耐震ブレース
耐震ブレース)
ブレース)
振れ止め(耐震ブレース)は強度検討の上、1対以上(両方向)をV
V字に設置する。
設置
☆解説
①天井のふところが大きな場合は、吊りボルトが長くなり、地震時に天井材の揺れが大きくな
り、破損、脱落を起こしやすい。
②地震時の水平力を負担する振れ止め(耐震ブレース)は、天井を構成する吊ボルトや野縁
受けの強度が大きくないことを踏まえ、ブレース
ブレース強度
ブレース強度を
強度を検討の
検討の上、バランス良く分散して基本
的にはV
V字にて配置
にて配置する。(吊りボルトの圧縮力による変形を軽減させる為)
配置
ブレース強度検討
ブレース強度検討の
強度検討の例(必ず天井仕上材重量・
天井仕上材重量・照明器具重量等から
照明器具重量等から強度検討
から強度検討を
強度検討を行う)
※ブレースの山形配置は逆(ハ)の字ブレースと同等で強度弱く要注意
ブレース材:AS-25
天井仕上げ材および天井重量
V字配置
天井ふところ
天井入力
加速度 1200mm以下
逆(ハ)の字
天井ふところ
1500mm以下
1200mm以下
1500mm以下
金属パネル+下地材
(天井重量:120N/㎡)
1.0G
25.0
16.1
12.5
8.0
0.6G
25.0
25.0
12.5
12.5
化粧石膏ボード+下地材
(天井重量:150N/㎡)
1.0G
20.0
12.9
10.0
6.4
0.6G
25.0
21.5
12.5
10.7
捨貼石膏ボード+岩綿吸音板
+下地材(天井重量:200N/㎡)
1.0G
15.0
6.6
7.5
-
0.6G
25.0
16.1
12.5
8.0
単位:㎡/ブレース1組
天井ふところが
天井ふところが1
ふところが1.5m未満の
未満の場合の
場合の施工例
吊りボルト
ブレース上部
取付金具
スラブ
吊りボルト
ブレース上部
取付金具
ブレース
吊りボルト
ブレース上部取付金具
(ブレース金具UEⅡ)
ブレース
100mm 100mm
以内 以内
ハンガー
野縁
ブレース材
(リップ付チャンネル)
ハンガー
野縁受け
野縁
クリップ
※ブレース上部取付金具はスラブに接した
状態になるまで上げて取付けする。
追加野縁受け
ブレース(斜め補強)
吊りボルト
ビス
ダブル野縁ジョイント
野縁受け
チャンネルジョイント
ナット
野縁受け
ハンガー
野縁受けジョイント
ダブル野縁
ダブルクリップ(補強部)
ダブルクリップ(一般部)
※ブレースを設置すると野縁受けに
大きな力が掛かる為、野縁受けの
ジョイントはビス止めにて固定する。
使用ビス例 4×13又は4×16
天井ふところが
天井ふところが1
ふところが1.5m以上の
以上の場合の
場合の施工例
(天井ふところが3mを越える場合は構造検討を行い、C型鋼等の軽量鉄骨でふところが3m
以下になるように吊り元を設ける。)
ブレース上部
取付金具
吊りボルト
θ゚
吊りボルト
θ°
ブレース上部
取付金具
ブレース
ブレース
100mm
以内
100mm 100mm
以内 以内
100mm 100mm
以内 以内
100mm
以内
水平補強
水平補強
ブレース
ブレース
100mm 100mm
以内 以内
ハンガー
ハンガー
野縁受け
野縁
追加野縁受け
クリップ
吊 り ボル ト
野縁
吊 りボルト
ブ レ ース ( 上 段)
ブレー ス(上段)
水 平 補強
水平 補強
チ ャ ンネ ル ホ ルダ ー
チャ ンネルホルダ ー
ブ レース (下 段)
ブ レ ース ( 下 段)
野縁 受け
野 縁 受け
ブレースが設置できない
a)水平補強と野縁受けの向きが同じ場合
b)水平補強と野縁受けの向きが逆の場合
負担面積
野縁
受け
方向
野
縁
受
け
直
行
方
向
天井全体に配置
野
野縁
受け
方向
バランスよく配置したブレースの施工例
縁
受
け
直
行
方
向
3 周囲の
周囲のクリアランス
天井のふところの大きさに応じて、天井材端部と周囲の壁等の間にクリアランス
クリアランスを
クリアランスを設置する。
設置
☆解説
①屋内運動場のように比較的大きな天井における天井材端部と周囲の壁等の間のクリアラ
ンスは、衝突による破損・脱落を防ぐ効果がある。
②クリアランスは天井廻り縁等で覆い隠すケースが多い。
③ブレース
ブレース強度検討書
ブレース強度検討書より
強度検討書より天井
より天井の
天井の変位を
変位を確認し、建物の層間変形を考慮してクリアランスを
確認
設定する。
吊りボルト
吊りボルト
吊りボルト
クリアランス
寸法
クリアランス
寸法
クリアランス
寸法
ハンガー
ハンガー
ハンガー
野縁受け
固定ピース
野縁受け
野縁受け
野縁受け
グラス
ウール等
仕上げ材
野縁
野縁
廻り縁
目隠し材
仕上げ材
仕上げ材
野縁
廻り縁
クリアランス施工例
・ 見付 け 1 05mm
・見 付 け 50mm
55
30
12
17
46
50
105
天井 材
4
カ バー 材 (ア ル ミ 形 材)
Pow er -L3 850
50
25
4
4
4
カ バ ー 材 (ア ル ミ形 材 )
50 -J AC
55
21
天井材
93
105
・ 見 付け 38m m
20
40
12
50
34
20
50
廻 り 縁( ス チ ー ル)
カ バ ー 材( アル ミ 形 材 )
Po wer -L 385 0
38
25
天井材
18
38
廻 り 縁 ( スチ ー ル )
廻 り 縁( ス チ ー ル)
クリアランス寸法例(寸法はブレース強度検討書の天井変位量と建物の層間変形より
設定)
4 段差部分の
段差部分のクリアランス
周囲の壁等と同様に天井の段差や凹凸(平面形状)の取り合い部にクリアランス
クリアランスを
クリアランスを設置する。
設置
☆解説
①天井の段差や平面形状が凹凸の取り合い部は、地震の揺れにより、特に損傷する可能性
があるために、一般的にはクリアランスを設けることが望ましい。
②段差部の取り合い部分の上下方向には段差部スリットを10mm程度設ける。
吊りボルト
ハンガー
吊り ボルト
100mm程度
野縁受け
野縁 受け
仕上 げ材
補強材
ビス止め
仕上げ材
野縁受け
段 差 部 スリット
ビス止め
段 差 部 スリット
仕上げ材
100mm程度
ハン ガー
吊りボルト
補強材
ハンガー
野縁 受け
野縁受け
施工例(2)
施工例(1)
AS-25
RP-Sク リ ッ プ
仕上げ材
仕上 げ材
※段差部のクリアランス施工例 (必要に応じて構造検討の上、段差部に斜め補強を追加)
5 下地材(JIS
下地材(JIS材
(JIS材を使用)
使用)
天井材は野縁は野縁受けに、野縁受けは吊ボルトに耐震用
耐震用パーツ
耐震用パーツを
パーツを用いて緊結
いて緊結する。
緊結
☆解説
①野縁受けと吊ボルトを緊結するハンガーは、地震の揺れにより口が開くと、野縁受けが外れ
て天井全体が落下する可能性がある。
②野縁を野縁受けに取り付けるクリップは、挟みこむことによる摩擦力だけで固定する方法が
一般的であり、また、手作業で止め付けるため仕上がりにばらつきがある。地震の揺れにより
クリップが外れると、野縁ごと天井が落下する可能性がある。
③既存クリップのドリル
ドリルねじ
ドリルねじ(
ねじ(ビス)
ビス)固定だけでは
固定だけでは不完全
だけでは不完全なので要注意。
不完全
クリップ
野縁と
野縁と野縁受けの
野縁受けの緊結例
けの緊結例
野縁受け
野縁
野縁 受け
野縁
ビス
クリ ップ補 強
ピース
補強ビス
補強クリップ
補強ビス
ネジ 式クリ ップ
(交換型)
ブレース部分耐震クリップ施工例
(追加型)
野縁受け
ネジ式クリップ
(交換型)
(追加型)
野縁
端部(壁際等)耐震クリップ施工例(基本はビス止め不要)
クリップに
クリップにビス打
ビス打ちをした現場
ちをした現場の
現場の被害例
※フックの部分で破損し天井が落下
野縁受けと
野縁受けと吊
けと吊りボルトの
ボルトの緊結例
ブレース下部取付金具
(ブレース金具JI)
吊りボルト
ナット(上側)
吊りボルト
ブレース下部取付金具
(ブレース金具JI)
ハンガー
ハンガー
ビス
野縁受け
野縁受け
※ハンガーロック(開き止め金具)取付け
6 開口部耐震補強
点検口や照明器具のための開口部は耐震用パーツにて補強する。
☆解説
①開口部の大きさに応じて開口部耐震補強を行う。
②開口部で切断された野縁受けには基本的にブレースを設置しない。
③切断された野縁受けにブレースを設置せざるを得ない場合は開口部野縁受け補強を行う。
④天井とは別吊りの空調機・照明器具等設備機器回りも開口部補強、及びクリアランスを設置する。
補強クリップ(開口廻り)
ハンガー
野縁
150mm未満
補強クリップ(開口廻り)
野縁受け
開口
300×300
はね出し150mm以上
追加野縁受け
追加野縁
開口450×450
開口600×600
455mm未満
455mm以上
追加野縁
455mm以上
持ち出し150mm以上
野縁が切断される場合の補強例
追加野縁受け
追加野縁
はね出し150mm以上
照明開口等
補強クリップ(開口廻り)
ハンガー
455mm未満
はね出し150mm以上
野縁受け増し吊り
野縁受け
ブレースを設置しない野縁受けが切断される場合の補強例
開口専用補強プレート
又は同等以上の性能を有する部材
追加野縁受け
ブレース
200mm以内
吊りボルト
開口部
補強クリップ(開口廻り)
ブレースを設置する野縁受けが切断される場合の補強例
※基本的には
基本的には野縁受
には野縁受け
野縁受け切断箇所には
切断箇所にはブレース
にはブレースを
ブレースを設置しない
設置しない
日本耐震天井施工協同組合認定工法
お問合せ窓口 TEL(03)3539-6644
追加野縁受け