熱力学演習問題(その6) 1.1 kg の空気を 100 ℃から 200 ℃まで等積

熱力学演習問題(その6)
1.1 kg の空気を 100 ℃から 200 ℃まで等積加熱し,さらに 500 ℃まで等圧加熱を行った
とき,次の諸量を求めよ.(a) 所要全加熱量,(b) 加熱熱量中の有効エネルギーと無効
エネルギー,(c) エントロピーの変化.ただし,周囲温度は 20 ℃とする.
答:(a) Q13=Q12+Q23 = 71.7 + 300.0 = 371.7 kJ
(c) S3-S1 = (S2-S1) + (S3-S2) = 0.170+0.491 = 0.661 kJ/K
(b) 無効エネルギーQunav=Ta(S3-S1) = 193.7 kJ
Q13 中の有効エネルギーQav=Q13-Qunav= 178.0 kJ
2.あるヒートポンプで暖房を行ったところ,外気温度-10 ℃,暖房温度 22 ℃,所要暖房
熱量 2x105 kJ/h を得るのに 10 kW の動力が消費された.以下の各問に答えよ.
(a) 外気から吸収する熱量
(b) このヒートポンプの成績係数.
(c) このヒートポンプが可逆/不可逆サイクルのどちらであるか判定せよ
(d) このヒートポンプを改善して,この条件で得られる最大成績係数
(e) 所要暖房熱量を得るための最小動力.
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答:(a) 第一法則より QL - QH = - L QL=45.6 kW
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(b) h = QH / L = 5.56
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(c) クラウジウスの不等式 QL/TL - QH /TH = -0.0151 kW/K < 0 より不可逆サイクル
(d) 最大成績係数は可逆サイクルのとき得られるので,
(h)max = QH /(QH -QL) = 1/(1-TL/TH) = 9.22 (<h:不可逆サイクルの成績係数)
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(e) L = QH /h よりh が最大のとき所要動力 L が最小となるので,
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(L)min = QH /(h)max = 6.03 kW
3.ある熱機関が 1200 K の高熱源から 220 kW の熱を受け取り,67 kW の動力を発生して
300 K の周囲に放熱している.このとき,以下の各問に答えよ.
(a) この熱機関の放熱量と熱効率
(b) 同一熱源の条件で得られる最大動力
(c) この熱機関のエクセルギー損失
(d) この熱機関のエクセルギー効率
答:(a)  = 0.305
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(b) 最大動力は可逆熱機関のとき. Lmax = QH (1-TL/TH) = 165 kW
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(c) I = Lmax - L = 165 – 67 = 98 kW
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(d) II = L / Lmax = 0.406
4.20 ℃の水 30 kg と 90 ℃の水 2 kg を混合した場合,有効エネルギーと無効エネルギー
を求めよ.ただし,周囲温度は 10 ℃とする.
答:混合後の温度 t2 = 24.4℃(=297.4 K)
S2 – S1 = (S2 – S1)A + (S2 – S1)B = 1.872 + (-1.669) = 0.203 kJ/K
無効エネルギーQunav = Ta(S2 – S1) = 57.5 kJ
この混合過程は孤立系で行われるため Q12 = 0
Q12 中の有効エネルギーQav = Q12 - Qunav = -57.5 kJ
5.体積一定の密閉容器内に圧力 0.2MPa,温度 100℃の空気 1kg がある.この容器を大気
(10℃,0.1MPa)中に放置していたところ,容器内の温度が 10℃になった.以下の各
問に答えよ.
(a) この容器の体積と空気温度が 10℃となったときの空気の圧力
(b) この空気が失った熱量
(c) 空気と大気のエントロピー変化量とこの変化が不可逆過程であることを示せ
(d) この容器にピストンを取り付けて仕事を取り出すときの最大仕事
(e) 最大仕事が得られる経路を pV 線図上に示せ.
答:(a) 状態方程式より,V1=0.535 m3, 等積過程 p/T=一定より p2 = 0.152 MPa
(b) 等積変化より Q12=mcv(T2-T1) = -64.5 kJ(<放熱) より,失った熱量は 64.5 kJ
(c) 系と周囲のエントロピー変化をそれぞれ求めると,
(S2 – S1)系 = - 0.198 kJ/K ,
(S2 – S1)周囲 =0.228 kJ/K
系と周囲からなる孤立系のエントロピー変化は,
(S2 – S1)孤立系 = (S2 – S1)系+ (S2 – S1)周囲 = 0.030 kJ/K > 0.
孤立系のエントロピーが増大しているので,この状態変化は不可逆変化
(d) 閉じた系の最大仕事 Lmax = Ta (Sa - S1) – (Ua - U1) – pa (Va - V1)
系が周囲と平衡状態(pa, Ta)となったときのエントロピー変化 Sa-S1 と Va を求める.
Sa - S1 = -7.73kJ/K , Va = 0.812 m3 より, Lmax = 14.9 kJ
(f) 最大仕事は,可逆過程により状態 1 から周囲と平衡状態 a に到達する経路で達成さ
れる.すなわち,i) 可逆断熱変化により T1 から Ta まで変化,その後,ii) 等温変化
(T = Ta)で圧力 p を pa まで変化させる.(線図上の図示は省略)
6.0.5 MPa, 100 ℃の空気 5 kg が流動過程(定常流れ系)によって,0.1 MPa,15℃の大気
圧と可逆的に平衡状態になるまでに発生する最大仕事を求めよ.
答:定常流れ系の最大仕事 Lt,max = Ta (Sa - S1) – (Ha - H1)
5 kg の空気が入口状態から周囲と平衡状態になるまで可逆的に変化するとき,空気のエン
トロピー変化 Sa - S1 = -1.015 kJ/K より
最大仕事 Lt,max = 132.7 kJ