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だれでもわかる 自動認識システムに関わる電波法

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BA0206-10
やさしく解説 だれでもわかる 自動認識システムに関わる電波法
【第5回】
バーコードシステムのまとめ
マイティカード
平野忠彦
はじめに
通信距離
電波法に始まり400,1200MHzそして2.4GHzの各周波
無線出力は通信距離を左右する大きな要素である。400、
数における法規制関係、規格上の技術条件、そこでの
1200MHzは狭帯域通信方式(*3)のみ認められ、出力は第1
無線システムの概要についてご紹介をしてきた。無線
表に示すとおりである。スペクトラム拡散方式が許され
は他の手段で容易に実現できない移動体との通信手段
る2.4GHzでは、拡散帯域幅で出力が異なり26MHzでは
として、ほぼあらゆる携帯端末に導入されつつある。
最大出力260mWが可能である。
無線バーコードシステムにおいてもこの例にもれない
それでは 1 0 m Wはどのくらいの出力なのか?2 . 4 G H z
が,これら各周波数の運用にあたって具体的にははどう
の260mWに比べて随分と出力では見劣りがする。「届く
なのであろうか?
範囲は大丈夫か?」との疑問がでてくる。しかしご安
今回は3周波数の法規制関係、規格上の技術条件に
心を頂きたい。
対する理解の「まとめ」の視点とこれらの持つ具体的
通信距離を左右する要素は無線出力だけではないの
な中味について考察してみたい。つまり導入や実運用
で、出力の大小だけでは一喜一憂はできない。電波を
面における電波の物理特性、伝搬特性・通信技術面の
空間に放出するアンテナの性能、電波の伝播路の状態、
理解に視点を向けてみたい。
機器の設置位置、受信機の受信性能、変調方式等いろ
いろある。これらをまとめると以下のようになる。
通信機器の規格上の特性と留意点
無線システムの導入で担当責任者が最も気になる性
(*3)狭帯域通信方式:あらかじめ通信する周波数と占有周波数帯幅を
決めて通信を行う方式
1)機器に関する要素
能が、通信距離、通信速度そして通信の信頼性ではな
これらの要素はいずれも機器メーカの設計技術に依
いだろうか。これらは間違いなく無線通信システムの
存し、ユーザとしては装置の仕様書、テスト運用を通
性能で最も重要な要素といえる。
して確認することとなる。
第1表に通信距離、通信速度に関係する項目を各周
波数毎にまとめてみた。
ク 使用変調方式:一般にPSK・FSK・ASKの順でPSK
が信号対雑音比(S/N比)で良いとされる
ケ アンテナの利得:輻射効率の良いアンテナ設計で、
第1表
利得の上限は 2.14db(400, 1200MHz)、12.14db(2.4G)
である
コ 受信機の性能:感度、混信、妨害の除去性能、受
信信号の復元能力等である
現状400、1200MHzでは、設計の自由度もありメーカ
の設計技術によるところが大きいが、2.4Gでは通信装
置がモジュール化しておりメーカ相互での差異は余り
ないと考えられる。しかし法改正に伴い設計の自由度
は増しており、混信、妨害に備えて将来的にはアンテ
バーコード 2002.8.
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ナを含め差異がでてくる可能性がある。IEEE802.b以外
の400MHzに近く、そのため東京タワー等、放送局の送
の独自設計の無線機器の普及、ブルートゥース等を組
信アンテナは見晴らしの利く高い所に設置されている。
み込んだ機器である。
更に2.4GHzに近い周波数を使用する携帯電話、PHSの
2)周波数に関する要素
基地局アンテナのいずれも同様にビルの屋上等高い位
電波の持つ物理特性であって、周波数に大きく依存
置に設置されている。
する、つまり波長の大小に関係する要素である。
前にもご紹介したが、波長が短くなるほど電波の伝
従って2.4GHzの親局(AP)はもとより400MHzであ
っても、各無線移動端末から最小限の障害物で電波が
搬特性(伝わり方)は光の伝わり方に近くなる。つま
到達できるような配慮が必要である。4 0 0 , 1 2 0 0 M H zで
り反射、回折、透過の性質である。
は無線装置とアンテナは一体型と規定されているので
ク 空間での伝搬損失
アンタナのみの分離設置はできないが、2.4GHzではア
電波は伝搬する間に減衰を受けるが、これを伝搬損
ンテナを分離設置が可能である。
失といい一般的に周波数が高くなるにつれて大きくな
る。従ってここでの3周波数の中では、400MHzは小さ
く2.4GHzは大きくなり、この損失差は通信距離に対し
て、無線出力と同様に無視できない要素である。
ケ 設置環境
電波を通信媒体として行う無線通信で懸念されるの
が、混信、干渉、妨害等の通信障害である。
これらの高周波の電磁環境は、安定的な通信の確保に
ケ 反射
は非常に重要で、最悪の場合には親局の送信出力の如何
障害物に当たって電波は反射をするが、障害物の大
にかかわらず通信不可となる。通信は相互通信であり放
きさと波長は密接に関係し、波長の長い400MHzの方が
送局の一方向通信ではない。親局の送信出力を上げて雑
波長の短い 2.4GHzよりも障害物に強い。また反射をす
音に打ち勝ち、移動側の端末に電波が届いても移動側か
る場合には反射損失があり、障害物に弱い2.4GHzでは
ら送られてくる電波は一般に微弱であり親局周辺の雑音
一般に反射回数は多くなり、同一到達地点での電波は
に勝てない場合、通信は成立せず停止する。
弱くなる。従って出力の割には通信距離は伸びない場
合がでてくる。
つまり親局の設置される電磁環境は非常に重要である。
一般に雑音の発生源としては、溶接ロボット、モー
コ 透過
タ、超音波洗浄機、高周波焼き入れ装置、パソコン、
電波は障害物にあたって反射と同時に、障害物の中
ワークステーション、データサーバ、LAN通信ケー
に進入する。そのとき障害物の大きさ、金属等、電波
を大きく減衰させる障害物では減衰により中で消滅す
ブル等が挙げられる。
これらはその雑音発生メカニズムにより、雑音の発
るが、障害物によっては突き抜けて更に伝搬してゆく。
生周波数帯域が異なるが、概ね1 G H z以下であると理
この時も波長が大きく影響し2.4GHzの透過損失は大き
解してよい。
く、400MHzでは問題にならない障害物も通過できない
場合がでてくる。
サ 回折
障害物を迂回して電波が伝わる性質であるが 、
上記の雑音のうち、最も注意する必要がある機器に
パソコンがある。以下パソコンを例にとって今少し電
磁環境についてご紹介したい。
一昔前では問題にならなかったパソコンからの雑音
4 0 0 M H zに比べて波長の短い2 . 4 G H zは直進性がより高
が、C P Uがペンティアムになった頃から、つまりC P U
く、屋内の少し大型の障害物でも電波の迂回が困難な
クロックが 100MHzを越えたあたりから400MHzでの通
場合もある。
信では無視できなくなってきた。一応機器から発生す
る高周波雑音の業界自主規制(VCCI)の規制値がある
以上、1200MHzを中に挟み両側周波数の対比でご紹介
が、無線通信が扱う微弱な信号レベルからすると、無
したが、周波数の持つ物理特性からの通信距離に対する
視できない雑音レベルにあり、その規制値レベルでは
要素は、周波数が高いほど不利であると考えられる。
パソコンの近く(約30∼60cm)では、無線装置のキャ
3)設置条件・環境に関する要素
リアセンスレベル ( * 4 )を越えて通信不能の事態も発生す
ク 設置場所
るので要注意である (*3)。今ではCPUクロックが2GHzに
前述2.「周波数に関する要素」でご紹介した電波の
伝搬特性から、なるべく電波の伝搬路には障害物がな
い方が通信距離を確保するには有利であると結論付け
られる。 U H Fテレビの使用している周波数は、ここで
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もなろうとしており、2.4GHz帯でも受信機の感度の向
上と共に無視できなくなってくることが予測される。
いずれにしても、耐電磁雑音環境という観点からは、
今のところ 2.4GHzがこの3周波数の中では最も有利で
やさしく解説だれでもわかる自動認識システムに関わる電波法 基礎講座
あり400MHzは不利である。
400,1200MHzではARIB STDの表でご紹介したように単
(*4):同一周波数での通信の同時使用を回避するための機能の動作レベ
ルで、また 400,1200MHzを使用する無線機は、その機能を有することを
信、複信方式、2.4GHzではスペクトラム拡散方式(SS
義務付けられている。機能は、送信しようとする周波数において、この
キャリアセンスレベルを超える強度の電波エネルギを感知した場合は、
それが無くなるまで送信を待機状態にするもの。この問題については法
改正で規制値が緩和され、キャリアセンスレベルの引き上げが行われた
結果、問題は大きく改善された。
方式)がある。
ク 単信、複信方式
単信では一般に周波数固定方式、複信ではMCA(マ
ルチチャンネルアクセス)が使用されるが、これらの
方式には周波数の切り替え時間、送信−受信の無線機
器の動作状態切り替え時間等の非通信時間が含まれて
通信速度
おり、高速通信には大きな足かせとなる。
ケ スペクトラム拡散方式(SS方式)
世の中は有線通信はもとより、無線通信においても
このS S方式には周波数をあらかじめ決められたホッ
ブロードバンド化に向けて大きく進み始めた。通信の
ピングパターンで切り替えながら通信を行う周波数ホ
スピードは注目の的である。ここに登場するのが
ッピング方式(FH-SS)と、周波数を情報とは別に定め
「kbps」であり「Mbps」とうい単位である。
られた拡散信号を用いる直接拡散(DS-SS)があり、こ
1)BPS(ビット・パー・セカンド)
れらは送受する情報量、またはその情報ブロックの大
通信速度・BPSは目的情報での実行速度のすべてを物
きさ等によって、実質スループットに大きく影響する。
語らない。通信目的は「情報」の授受だけであるが、
コ 接続方式
実際の通信では「通信のお膳立て」から「情報の授受」
、
親機と端末子機との接続方式として、ポーリング
そして「通信終了」の全プロセス(以下、一通信単位
(親局からの個別呼び出し型)、コンテンション(イベ
と言う)が、目的情報を送受するための通信であるた
ント駆動型)があり、いずれも一長一短があるが基本
めである。
的には有線通信の理解が、無線にも通用する。
従って、目的情報量(XXバイト等)とBPSをもとに
通信時間を算出すると大きな誤算を生じる。つまり上
おわりに
述のように一通信単位の中には、目的情報を正確に授
受するための「お膳立て情報」、終わりの「終了情報」
昨今の通信の無線化で最も身近に感じるものに「ケ
の送受も含まれ、さらに一般的には付加情報として、
イタイ」がある。電話機の領域を越えてニュース、画
情報の「誤り検出のための情報」が付加される。また
像伝送と用途を広げていく無線であるが泣き所はある。
「誤り訂正機能」を有する通信では、情報を復元するた
めの情報が、更に付加情報として追加される。従って
それは有線通信に比べての通信速度である。
これまでにもご紹介してきたように400、1200MHzに
バーコード情報のような非常に短い、1 0∼2 0バイト位
比べ2.4GHz帯では10Mbps程度と他の無線周波数に比べ
の少量情報の無線送受となると、送受したい目的情報
ると格段に速い。しかし昨今のブロードバンド通信は
だけの実通信時間よりも「お膳立て」にはじまる上記
その数千、数万倍の速度を必要としている。通信ケー
周辺付加情報の通信に費やされる通信時間の方が支配
ブルに取って代わった光ファイバーケーブルが最先端
的となる場合も少なくないので注意が必要である。
2)自動再送要求(ARQ)
の有線通信技術として、これを担っている。一昔前の
「山から山へ」のパラボラアンテナを使ったマイクロ波
通信の状態が不安定になると通信の「誤り率」が増
高速通信網はその役目を終え、今や「通信の幹線は光
加し、一般の機器では誤りのない情報交換が成立する
ファイバ等の有線で、個々の無数の移動する端末へは
まで情報の自動再送要求(あらかじめ決められた回数)
無線で」が定着してきている。
【筆者紹介】
が行われる。したがってわずか数十バイトの情報の送
受であっても、リトライ回数が増加し送受の情報量や
BPSには無関係に通信時間は増加してしまう。従って通
信の安定の確保は非常に重要である。具体的には上述
の電磁環境や安定的に通信が確保できる通信範囲を運
用に先立ち調査し明確にしておく必要がある。
3)通信方式
通信速度には各種要素が関わっている。その中には
平野忠彦
マイティカード㈱
技術本部 本部長
〒111-0041 東京都台東区元浅草2-6-6
東京日産台東ビル5F
TEL:03-5828-0293
FAX:03-5828-0295
バーコード 2002.8.
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