都市デザイン

2.都市デザインの成り立ちとその系譜
都市デザイン
都市デザインの成立と変遷
1. 用語「都市計画」の誕生
■ のパリ大改造(ナポレオン3世の政権下)(1853-70)
な都市改造 → 世界中の都市の改造や計画へ
2.
「都市計画」の近代化 = へ
■ P. 「進化する都市」(1915)
正確な に基づく科学的な都市計画技術の必要性
3.欧米における「都市デザイン」の登場
3ー1.ヨーロッパの場合 ―住宅地団地やニュータウンの開発から―
■ からのアプローチ
ゴードン・ 「都市の景観 Townscape」(1961)
・着眼点: 的に形成されてきた市街地 ( タウン ) の固有性
・ などから設計を試みる → タウンスケープ派
・都市固有の空間の継承 → デザイン の抽出
→ 現代の の設計へ
・
「 」(米・オレゴン大学等)との共通性
図1 オースマンのパリ大改造(平面図)
中世の都市壁が撤去され、帝国の威信をかけ、軸と焦点によるバロック的都市が形成された。
防衛面を配慮した施設の配置、スラムの一掃、軍隊も通れる大通りの建設が図られている。
図2 連続する視覚(ゴードン・カレン「都市の景観」より)
(上図、右図)
「一つの建物は建築だが、二つの建物はタウンスケープである」とし、物的な環境も人々
と同様に都市的な性格をもち、その場所に独自の生活を付与すべきことを示唆した。
1) ヴァナキュラーな を対象
伝統的町並みや小規模な集落など
2) 建築物を および との関係で捉える
平面中心主義、母屋主義からの脱却
と 、 屋と 屋を対等に扱う
3ー2.アメリカの場合 ― の再開発からー
■近代建築・近代都市計画への批判
・ 空間に対する批判
・金融恐慌における の脆弱性の露呈
■都市 の認知からのアプローチ
ケヴィン・リンチ「都市のイメージ」(1960)
・ イメージ:多くの人々が共通に抱く都市のイメージ
・イメージアビリティ:イメージの 都市デザインの1目標= を高めること
・イメージの成分:アイデンティティ、ストラクチュア、ミーニング
・環境のイメージの5構成要素:
pass( 道路、鉄道、運河など人が移動に使う線的要素 )
edge( 海岸、開発の縁など面的広がりの境界線 )
図3 パタン「37 住宅クラスター」(C. アレグザンダー)
253 のパタンはセミラチス的に組み合わされて示される。住宅クラスターは、エーカーあたり 15 戸 (37 戸 /ha)
までの低密区域に適用し、共有地 (67)、家庭ワークショップ (157)、段階的な動線領域 (98) 等と組み合わせる。
district( 均質にイメージされる二次元的広がり)
node( 交通路の交点や集合点 )
landmark( 高層建築物、山など土地や場所の目印 )
・イメージマップ image map の作成
■合理的な全員 からのアプローチ
図6 代官山ヒルサイドテラス集合住宅(設計:槙文彦)
C.アレグザンダー「 」(1979)
アーバンデザインを追い続けてきた槙は、代官山の低層集合住宅 (1969-77) でその成果を建築
化し、さらに日本の都市が有する固有の美を「見えがくれする都市」(1980) の中で論じた。
建築や環境を合理的にデザインするためのツール
・パタン pattern:環境を構成する部分要素の集合
・ pattern language:
建築家の独善によらない、全員参加型の設計のための手法
4.現代的都市デザイン ー空間的観点からの様々な思考ー
■都市の の肯定からのアプローチ
槙文彦「 する都市」:日本の都市が有する の美
・代官山ヒルサイドテラスの事例
との堅密な関係、 の工夫
■ とスーパー・インポーズ(超挿入)からのアプローチ
図7 ラ・ヴィレット公園(当選案)
B.チュミ「ラ・ヴィレット公園」(パリ)
・既存の状態を解体し、堆積した多層の を批判的に分析
・屠殺場であったことの無意味性 → スーパーインポーズ
・ (フォリー)、
(プロムナード)、
(三角形等)
図4 現地調査からひき出されたボストンの視覚的形態(「都市のイメージ」
)
ボストンには、人々のほとんどが理解できるストラクチャー(構造)がある。
チュミは、ラ・ヴィレット公園の設計競技において、この地がと殺場であったこと
は計画に対して何も意味しないと断じ、点、線、面の三つの自立したシステムをスー
パーインポーズするという案を提出した。フォリーと呼ばれる赤い点は格子状に配
置され、曲線を描くプロムナード(線)とは無関係な位置にある。無調整であるこ
とが新たな可能性を生み出すとしている。