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ロタウイルス感染による下痢からの回復促進剤 - So-net

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JP 2007-55979 A 2007.3.8
(57)【 要 約 】
【課題】 乳幼児及び乳幼動物に多発するロタウイルス性下痢症からの回復に寄与する医
薬組成物、食品及び家畜用の飼料を提供する。
【解決手段】 常乳から得られる酸ホエイ(酸乳清)を限外濾過し、低分子量乳清タンパ
ク 質 濃 縮 物 を Sephacryl S100の ゲ ル 濾 過 に 供 し 、 得 ら れ る 分 画 物 を 繰 り 返 し ゲ ル 濾 過 に 供
して精製された未変性のβ−ラクトグロブリン二量体、または、これを25%トリフルオ
ロエタノールを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0中)で2日間処理す
ることによって得られるSDS安定性の二量体/オリゴマーを有効量含ませて、医薬組成
物又は食品あるいは家畜用飼料とする。
【選択図】 なし
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JP 2007-55979 A 2007.3.8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
β−ラクトグロブリン二量体及び/又はそのSDS安定性二量体/オリゴマーからなる
ロタウイルス感染による下痢回復促進剤。
【請求項2】
有効量のβ−ラクトグロブリン二量体及び/又はそのSDS安定性二量体/オリゴマー
を含むロタウイルス感染による下痢回復促進用医薬組成物。
【請求項3】
有効量のβ−ラクトグロブリン二量体及び/又はそのSDS安定性二量体/オリゴマー
を含むロタウイルス感染による下痢回復促進用食品(ただし、乳製品を除く)。
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【請求項4】
有効量のβ−ラクトグロブリンSDS安定性二量体/オリゴマーを含むロタウイルス感
染による下痢回復促進用乳製品。
【請求項5】
ロタウイルス感染による下痢回復促進用乳製品であって、
β−ラクトグロブリン二量体及び/又はそのSDS安定性二量体/オリゴマーを常在量
を超える量で含むように添加し、下痢回復作用を標榜可能にした下痢回復促進用乳製品。
【請求項6】
有効量のβ−ラクトグロブリン二量体及び/又はそのSDS安定性二量体/オリゴマー
を含むロタウイルス感染による下痢回復促進用飼料。
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【請求項7】
有効量のβ−ラクトグロブリン二量体及び/又はそのSDS安定性二量体/オリゴマー
をヒト又はヒト以外の動物に投与して、ロタウイルス感染による下痢からの回復を促進す
る方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロタウイルス感染による下痢からの回復促進剤、さらに詳細に言うとロタウ
イルス感染による下痢からの回復促進効果を有するタンパク質、並びにそれを含むロタウ
イルス感染による下痢からの回復促進に有用な飲食品、医薬組成物及び飼料(主として家
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畜用)に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトロタウイルスを原因とする乳幼児冬季下痢症は、主に2歳以下の乳幼児に、発熱、
嘔吐、下痢及び脱水症状を引き起こす疾患である。これまでにも、ヒトロタウイルス感染
を阻害する食品成分あるいは組成物としてウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物(特許文
献1)などが提案されている。また、ウシ乳清の精密濾過保持液、遠心分離処理液及び/
若しくは硫安処理溶液又はその乾燥物がヒトロタウイルス感染阻害活性を持つことが報告
されている(特許文献2)。
【0003】
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しかしながら、ヒトロタウイルス感染による下痢からの回復を促進する効果に関する検
討はほとんどされておらず、ロタウイルス感染後に必要となる整腸作用食品の登場が望ま
れている。
【特許文献1】特開平8−99896号公報
【特許文献2】WO2004−080475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであって、乳幼児及び乳幼動物に多発する
ロタウイルス性下痢症からの回復に寄与する医薬組成物、食品及び家畜用の飼料を提供す
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ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは上記課題を解決すべく鋭意努力したところ、常乳の乳清から得られる未
変性のβ−ラクトグロブリン二量体及びそのSDS安定性二量体/オリゴマーに、ロタウ
イルス感染による下痢からの回復促進効果を見出し、本願発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、上記未変性のβ−ラクトグロブリン二量体及び/又はそのSDS
安定性二量体/オリゴマーを有効成分とする医薬組成物又は食品組成物あるいは家畜用飼
料を提供し、あるいは、それらをヒト又はヒト以外の動物に投与してロタウイルス感染に
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よる下痢からの回復を促進する方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る下痢回復剤は、β−ラクトグロブリン二量体及び/又はそのSDS安定性
二量体/オリゴマーからなり、これらのタンパク質は非常に強い下痢回復活性を有する。
これらのタンパク質は乳に由来するため、食経験があり、安全性が高い。従って、ロタウ
イルス感染に対する防御能の発達が未熟な乳幼児の育児用調製粉乳、あるいはロタウイル
ス感染に対する防御能の低下した高齢者向けにその有効量を食品に添加してロタウイルス
感染による下痢からの回復促進効果を有する食品組成物とすることができる。また、その
有効量を添加し、医薬組成物とするほか、家畜飼料の原料に供することもできる。これら
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によって、ロタウイルス感染による下痢から迅速な回復が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る未変性のβ−ラクトグロブリン二量体は、乳中に自然体として存在する乳
タンパク質の一種であり、乳清(ホエイ)を処理することによって得られる。本発明にお
いて用いられる乳は、ウシの乳のみならず、ヒト、ブタ、ヤギ、ヒツジ等など各種哺乳動
物 の 乳 で あ る 。 ま た 、 ホ エ イ は 、 ス ィ ー ト ホ エ イ ( sweet whey) 及 び 酸 ホ エ イ ( acid whe
y) に 分 け ら れ る が 、 い ず れ の ホ エ イ で あ っ て も よ い 。 ホ エ イ は 、 動 物 の 各 泌 乳 期 の 乳 、
若しくはこれらの濃縮物または乾燥物を原料として、常法により調製したものである。ホ
エ イ は 、 一 般 に 、 原 乳 を 清 浄 化 し 、 7 2 ∼ 7 5 ℃ で 1 5 秒 間 加 熱 殺 菌 す る H T S T ( High
30
Temperature Short Time) 殺 菌 及 び 1 2 0 ∼ 1 5 0 ℃ で 1 ∼ 3 秒 間 加 熱 殺 菌 す る U H T
( Ultra High Temperature) 殺 菌 等 の 殺 菌 処 理 を 施 し た 後 、 大 き く 分 け る と 以 下 の 二 つ の
方法で製造できる。一つはスィートホエイの製造方法であり、殺菌した乳、又は殺菌した
乳を約30∼60℃に加温し数百G以上の重力をかけて脂肪をクリームとして脱脂した脱
脂乳に各種レンネット(動物、微生物および植物起源)を添加する方法である。すなわち
、硬質、半硬質又は軟質チーズ及びレンネットカゼインを製造するときにホエイを溶液と
して排出する方法である。もう一つは酸ホエイの製造法であり、上述の方法と同様の方法
で得た脱脂乳に酸(酢酸や乳酸などの有機酸又は塩酸や硫酸などの無機酸)を添加する方
法である。すなわち、脱脂乳のpHを酸で4.6に調製し、等電点沈殿したカゼインを濾
過や遠心分離などで除去することで酸ホエイが得られる。さらに、これら以外にも脱脂乳
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に乳酸菌を単独で、あるいは塩化カルシウムと酸の両者を添加し、生じるカゼインの沈殿
を遠心分離等で除去した上清も酸ホエイとして利用することができる。
【0009】
β−ラクトグロブリンは、分子量約18.3kDaの蛋白質であるが、通常の条件下で
は、ダイマー状態をとることが知られている。上記のホエイからβ−ラクトグロブリンを
分画する方法については多くの報告〔例えば、桑田有:月刊フードケミカル,2月号,6
8(1991);米国特許第5,420,249号;特開平07−123927号公報;
特開平07−203863号公報等〕があり、また、市販品として数々上市もされている
。例えば、その一例を挙げると、ホエイを限外濾過し、低分子量ホエイ蛋白質濃縮物(L
W P C ) を 得 た 後 、 ゲ ル 濾 過 ( 例 え ば 、 Sepacryl S100 や Superdex 75) に 供 し て 、 分 子
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サイズに基づき分離する方法がある。本発明におけるβ−ラクトグロブリン二量体とは、
これらの方法により得られた未変性のβ−ラクトグロブリン(ネイティブダイマーβ−ラ
クトグロブリン)を言う。
【0010】
また、本発明者らによって、腸細胞増殖作用を強く阻害する作用を示す牛乳タンパク質
は、還元条件下のSDS−PAGEにおいて、非解離性(SDS安定性)のダイマー/オ
リゴマーの生成を伴うことが指摘されている(文献名:平成16年度牛乳栄養学術研究会
委 託 研 究 報 告 書 、 ( 社 ) 日 本 酪 農 乳 業 協 会 、 平 成 1 7 年 5 月 、 p .1 3 6 − 1 5 0 ) 。 本
発明におけるSDS安定性二量体/オリゴマーとは、この非解離性の重合体を意味し、ネ
イティブダイマーβ−ラクトグロブリンを還元条件下においてインキュベーションによっ
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て得られる二量体、三量体などのβ−ラクトグロブリンの多量体である。この生成物は主
として二量体からなるが、それ以外の副成物と三量体などの多量体が含まれることもある
。インキュベーション時の条件は、例えば、還元条件下のSDS−PAGEを実施する際
に利用されうるバッファー条件やSDS安定性二量体/オリゴマーを多量に生成するよう
に改変されたバッファー条件が適宜選択される。その一例を示すと、25%トリフルオロ
エタノール(TFE)を含む20mMのTris−塩酸バッファー(pH8.0)を用い
た2日間の室温におけるインキュベーションである。また、インキュベーション時の温度
(通例は室温下である。)や時間等も適宜設定することができる。
【0011】
このようにして得られたネイティブβ−ラクトグロブリン二量体又はそのSDS安定性
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二量体/オリゴマーは、ロタウイルスによる感染そのものからの回復を促進し(感染率の
低下)、感染による下痢症状を速やかに改善する効果を発揮する。つまり、本発明におけ
る下痢回復促進効果は、ロタウイルス感染による下痢症状の回復という対処療法的なもの
だけではなく、ロタウイルスによる感染から回復させるという根本的なものである。
【0012】
これらの乳タンパク質は、タンパク質だけで下痢回復促進剤として利用できるが、通例
は、ロタウイルス感染による抗下痢回復促進用の医薬組成物として、また、乳製品又は乳
製品以外の食品として、あるいは動物用、特に家畜用の飼料として提供される。本発明の
医薬組成物は、有効量のβ−ラクトグロブリン二量体及び/又はSDS安定性二量体/オ
リゴマーと薬理学的に影響を及ぼさない担体とを含み、例えば、薬理学的な散剤や顆粒剤
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、錠剤、カプセル剤、エアゾル剤、液剤、注射剤、輸液剤等の剤型に調製される。用いら
れる担体としてはデンプンや乳糖などのような賦形剤、水やエタノールなどの溶剤が例示
され、その他コーティング剤や滑沢剤、着色剤、矯味剤、着香料などと共に製剤化される
。この医薬組成物は、剤型や投与対象等に応じてその有効量がヒト及び動物に投与される
。
【0013】
本発明の乳製品は、ロタウイルス感染による下痢の回復促進という機能を発揮し、又は
その旨を標榜しうる食品(例えば特定保健用食品として流通しうる食品)であって、少な
くとも有効量のβ−ラクトグロブリンSDS安定性二量体/オリゴマーを含む。ここにい
う乳製品とは、乳を主原料に調製された食品であって、乳製品の種類は特に限定されるも
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のではなく、上記で得られたβ−ラクトグロブリンSDS安定性二量体/オリゴマーを他
の原材料に加えて常法に従って調製される。調製されうる乳製品には、牛乳はもちろんの
こと、コーヒ飲料等の加工乳、チーズ、ヨーグルト、バター、クリーム、スキムミルク、
アイスクリーム、成分調整済みの粉ミルク(例えば乳幼児用)などが例示される。また、
未変性のβ−ラクトグロブリン二量体を人工的に加え、いわゆる未変性のβ−ラクトグロ
ブリン二量体が強化された乳製品に調整してもよい。
【0014】
本発明の乳製品以外の食品とは、ロタウイルス感染による下痢の回復促進という機能を
発揮させ、又はその旨を標榜しうる食品(例えば、特定保健用食品として流通しうる食品
)であって、少なくとも有効量の未変性のβ−ラクトグロブリンダイマー及び/又は少な
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くとも有効量のβ−ラクトグロブリンSDS安定性二量体/オリゴマーを含む。ここにい
う乳製品以外の食品とは、摂食可能な形態の全てを意味し、その形態は問わず、固形食品
、流動食品、ペースト状などの半固形食品、液状食品が例示される。これらの乳タンパク
質は、各種の加工食品の原材料として用いられるものであって、加工食品等の種類は特に
限定されるものではない。当該加工食品には、乳幼児用に加工された離乳食用の食品、ゼ
リーやグミ様の食品、ウエハースやキャラメル等の嗜好品、ジュース等の清涼飲料水、高
齢者向けの流動食品などが例示される。また、医薬品の形状(例えば錠剤やカプセル剤)
に加工した、いわゆる健康食品としても提供される。もっとも、乳タンパク質を各種の食
品(加工用の素材を含む)に添加して服用しても差し支えない。
【0015】
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本発明の飼料は、ロタウイルス感染による下痢の回復促進という機能を発揮させるもの
であって、少なくとも有効量の未変性のβ−ラクトグロブリン二量体及び/又は少なくと
も有効量のβ−ラクトグロブリンSDS安定性二量体/オリゴマーを含む。飼料は、ヒト
を除く動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の家畜やイヌ、ネコ等のペットを始め
として、その他ロタウイルス感染が考えられ得る動物に与えられる飼料を言う。飼料の形
態は問われないが、その摂取や調製を考えると、いわゆるドッグフードやキャットフード
のように、他のタンパク質や糖類、脂質、ビタミンなどを1種若しくは数種含有する成分
調整済みの固形飼料や液体飼料、半固形飼料などとして調整されたものが好ましい。
【0016】
これらの投与量(有効量)は、具体的には、その症状、年齢、体重、動物種などにより
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異なるが、概ねβ−ラクトグロブリン二量体(又はβ−ラクトグロブリンSDS安定性二
量体/オリゴマー)として1日0.1μg/kg∼500mg/kgであって、好ましく
は1μg∼300mg/kgで、1日1回又は数回に分けて投与される。また、β−ラク
トグロブリンは、牛乳中約200∼400mg/100ml含まれると言われており、本
発明における乳製品の常在量とは、原料である乳に由来して含有される量であって、例え
ば、ヨーグルトであれば、ほぼ原料牛乳中の量とほぼ同量が含まれる。従って、例えば、
本発明に係る乳製品が牛乳であれば、本発明に係る牛乳には、少なくとも約200∼40
0mg/100mlを越える量、好ましくはその5∼10倍量のβ−ラクトグロブリン二
量体であって、少なくとも常食量によって効果を発揮する量が含まれる。また、本発明に
係る乳製品がヨーグルトであれば、本発明に係る牛乳には、少なくとも約200∼400
30
mg/100g、好ましくはその2∼3倍量のβ−ラクトグロブリン二量体(β−ラクト
グロブリンSDS安定性二量体/オリゴマー)であって、少なくとも常食量により効果を
発揮する量が含まれる。もっとも、常在量は乳製品の種類、製造工程等によってそれぞれ
異なるのは言うまでもなく、本発明の乳製品は、有効性を発揮させるために少なくとも常
在量を越える量のβ−ラクトグロブリン二量体等を含むように調整される。なお、上記常
食量とは、健常人が通常1度の摂食により摂取する平均的な量である。従って、本発明の
乳製品は、ロタウイルスの罹患者を主たる対象とするため、その摂食量は健常人における
常食量よりも少なくなる。また、罹患者には水分の多い飲料は好ましいものではない。こ
のため、牛乳などの乳飲料の形態は好ましいものではなく、飲料形態で提供する場合には
高濃度にβ−ラクトグロブリンを含ませる必要がある。このため、本発明の乳製品中にお
40
けるβ−ラクトグロブリン二量体等の含有量は、常在量の少なくとも2倍量、好ましくは
5倍量、望ましくは10倍量以上となるように調整される。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明について下記実施例に基づいて本発明についてさらに具体的に説明する。な
お、本発明は下記実施例に限定されないのは言うまでもない。
【0018】
[試 験 例 1 ]: 試 料 の 調 製
(1)乳清タンパク質濃縮物からの未変性β−ラクトグロブリン二量体の調製
常法により、常乳を脱脂後、酸添加によりカゼインを沈殿除去して乳清(酸ホエイ)を
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分離した。次に分画分子量300万の膜を用いた限外濾過を行い、低分子量の乳清タンパ
ク 質 濃 縮 物 を 得 た 。 濃 度 9 m g / m l に 調 製 し 、 Sephacryl S-100を 充 填 し た カ ラ ム に 3
00mlアプライし、溶出バッファーには、0.15M NaCl、1mM Na2 ED
T A 、 0 .0 2 % N a N 3 を 含 む 0 . 0 5 M T r i s − H C l バ ッ フ ァ ー を 用 い 、 2 8
0nmの吸光度における3番目のピークに相当する画分を採取した。このピークに関して
Sephacryl S-100の ゲ ル 濾 過 を 繰 り 返 す こ と で 精 製 未 変 性 β − ラ ク ト グ ロ ブ リ ン 二 量 体 を
得た。
【0019】
Sephacryl S-100を 充 填 し た カ ラ ム か ら の 分 離 を 示 す ク ロ マ ト グ ラ フ を 図 1 に 示 し た が
、この図から分かるようにこの分画操作からでは5つのフラクションが得られた。このう
10
ち、S3が分子量37Kに相当する。また、図2には、図1で分画されたS1∼S5の5
つのフラクションについて、SDS−PAGEイムノブロッティングパターンを示した。
上段はCBB染色したもの、下段は抗ウシβ−ラクトグロブリンモノクローナル抗体で処
理したもの、各図のSは分子量マーカーである。CBB染色ではS3に分子量18Kのバ
ンドが主として見られた。抗体処理では予期されたようにS3には強い反応性を示す18
Kのバンドが現れ、ゲル濾過で37Kのピークに溶出したダイマーを形成するネイティブ
分子が還元条件下のSDS−PAGEでモノマーに解離した結果と考えられた。そして、
S3には他のバンドがほとんど認められないことから、S3のフラクションは、ネイティ
ブのβ−ラクトグロブリンダイマー(β−ラクトグロブリン二量体)であると確認された
。
20
【0020】
( 2 ) 未 変 性 β − ラ ク ト グ ロ ブ リ ン 二 量 体 か ら の S D S 安 定 性 二 量 体 /オ リ ゴ マ ー の 調
製
前記(1)で得られた未変性β−ラクトグロブリン二量体を、25%トリフルオロエタ
ノ ー ル ( T F E ) を 含 む 2 0 m M の T r i s − H C l 緩 衝 液 ( p H 8 .0 ) 中 で 未 変 性 の
β−ラクトグロブリン二量体を2日間室温処理した。
【0021】
図3に、TFE含有バッファー処理前後のβ−ラクトグロブリン二量体のSDS−PA
GE/イムノブロッティングパターンを示す。処理前には18Kのモノマーバンドと極め
てわずかな37Kダイマーが認められたが、処理後の試料中には37Kの安定性ダイマー
30
バンド(矢印)が増加するとともにゲル先端付近のオリゴマーの生成が明らかに認められ
た。なお、図中のSは分子量マーカーである。
【0022】
[試 験 例 2 ]: ロ タ ウ イ ル ス 感 染 か ら の 回 復 促 進 効 果 ( 下 痢 発 症 率 の 軽 減 )
生後5日齢の乳飲みマウスへヒトロタウイルスMO株(2×10
7
FCFU)を経口接
種させ、その1日後に感染を確認してから経口摂取させた試料による下痢からの回復期間
の短縮を評価した。すなわち、感染後24、48および72時間の時点で50μlのβ−
ラクトグロブリン試料(未変性のβ−ラクトグロブリン二量体又はそのSDS安定性二量
体/オリゴマー)溶液(50mg/ml)を経口投与した。ウイルス投与後96時間まで
の各時点での糞便を検査し、下痢の発症を観察した。コントロールは生理食塩水投与マウ
40
スである。
【0023】
その結果を図4に示す。未変性のβ−ラクトグロブリン二量体の経口投与群(図中では
処理前と示されている。)では、72時間後の時点で下痢発症率が20%以下のレベルま
で急激に低下し、96時間後には全く観察されなかった(コントロール群は72時間後で
6 0 % 、 9 6 時 間 後 で 3 0 % ) 。 β − ラ ク ト グ ロ ブ リ ン の S D S 安 定 性 二 量 体 /オ リ ゴ マ
ーの経口投与群(図中では処理後と示されている。)では、72時間後の時点で下痢発症
率が40%以下のレベルまで低下し、96時間後には全く観察されなかった。
【0024】
[試 験 例 3 ]: ロ タ ウ イ ル ス 感 染 か ら の 回 復 促 進 効 果 ( 感 染 率 の 軽 減 )
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生後5日齢の乳飲みマウスへヒトロタウイルスMO株(2×10
7
FCFU)を経口接
種させ、その1日後に感染を確認してから経口摂取させた試料による感染状態からの回復
期間の短縮を評価した。すなわち、感染後24、48および72時間の時点で50μlの
β − ラ ク ト グ ロ ブ リ ン 試 料 溶 液 (5 0 m g / m l )を 経 口 投 与 し た 。 ウ イ ル ス 投 与 後 9 6 時
間までの各時点での糞便を検査した。下痢、軟便、正常便のスコアをそれぞれ2、1、0
とし、各群中のマウスすべてが下痢を起こしているとした場合のトータルスコアを100
とした場合の実際のトータルスコアの割合を感染率として求めた。コントロールは生理食
塩水投与マウスである。
【0025】
その結果を図5に示す。未変性のβ−ラクトグロブリン二量体の経口投与群(図中では
10
処理前と示されている。)では、72時間後の時点で感染率が23%まで低下し、96時
間後には0%となった(コントロール群は72時間後で63%、96時間後で34%であ
った)。β−ラクトグロブリンのSDS安定性二量体/オリゴマーの経口投与群(図中で
は処理後と示されている。)では、72時間後の時点で感染率が43%まで低下し、96
時間後には7%となった。
【0026】
このように、未変性のβ−ラクトグロブリン二量体及び/又はβ−ラクトグロブリンS
DS安定性二量体/オリゴマーは、ロタウイルス感染からの回復を促進させると共にロタ
ウイルス感染による下痢症状の回復をも促進した。
【産業上の利用可能性】
20
【0027】
本発明により、ロタウイルス感染による下痢からの回復促進効果を有する下痢回復促進
剤が提供される。該回復剤は、その有効量を飲食品や医薬組成物、家畜飼料の原料として
利用することができ、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】低分子量乳清タンパク質濃縮物(LWPC)からのβ−ラクトグロブリン二量体
(ネイティブ)の分離を示すクロマトグラフである。
【 図 2 】 Sephacryl S100で 分 離 し た S 1 ∼ S 5 フ ラ ク シ ョ ン ( 図 1 参 照 ) の S D S − P A
GE/イムノブロッティングパターンを示す図である。
【図3】TFE含有バッファー処理前後のβ−ラクトグロブリン二量体のSDS−PAG
E/イムノブロッティングパターンを示す図である。
【図4】TFE含有バッファー処理前後のβ−ラクトグロブリン二量体の経口投与がロタ
ウイルスによる乳飲みマウスの感染に影響を示す図であって、下痢発症率の軽減を示す。
【図5】TFE含有バッファー処理前後のβ−ラクトグロブリン二量体の経口投与がロタ
ウイルスによる乳飲みマウスの感染に影響を示す図であって、感染率の軽減を示す。
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【図1】
【図3】
【図4】
【図2】
【図5】
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