株式会社神恒組 産業廃棄物のリサイクルによる 低温セラミック基材の開発 リフォーム・リニューアル かみがき 株式会社神恒組(福岡県福岡市) No.02-40-06 / 0201 住宅のプレハブ化等で進み、左官業の役割の縮小傾向が出てきた。本業の低落を補うために新建材「ノラクル」を 開発した。ノラクルは高温焼結が不要な水だけで反応、生成される低温セラミックである。骨材には産業廃棄物やシラ スなど天然材料など何でも利用できるという特長がある。脆弱な骨材もノラクルによって強度のある構造材として利用 でき、多様な製品と応用が期待されているが、決定的な商品はまだ出ず、足踏み状態である。 環 境 分 野 1 取組の概要 背景・きっかけ 住宅のプレハブ化等で進む左官業の役割の縮小傾向に対 し、左官業の業務拡大を思考する過程で、低温セラミックの商 農林水産業 品化を思い立ち、「ノラクル」の開発に成功した。 低温セラミックは水との反応で硬化する焼かないセラミック である。石油燃料等を使用することがないため、自然硬化によ る製造が可能であり、地球温暖化の原因となるCO2 等の排出 がない。骨材として、いろいろな産業廃棄物等が使用可能であ る。低温セラミックが脆弱な骨材の材料を高強度に変え、構造 護岸ブロック 材として使用可能にする。 高い耐久性と強度で、様々な色や模様が再現でき、多様な応用がある新建材として大きな期待をか 福祉・介護 けた。 取組の概要 ノラクルの特長は次の通りである。 ① 材質は環境にやさしいアルミナセメントである ② 微粒子の持つ意匠性の高さ(転写能力)を生かして擬木、擬石等々の 製作が可能。 そ の 他 ③ 産業廃棄物を用いた付加価値の高い骨材が製造できる。 ④ 竹炭の吸着能力や珪藻土の調湿機能と組み合わせることで、河川の 浄化や室内の結露防止等に効果のある製品の製造も可能。意匠性に 勝り(指紋の転写も可能)、且つ、セメントの強度より強い特性を有する 特長がある。 シラス骨材のピラミッド ⑤ 化石燃料を使わないで固形化できるので省エネに勝れている。 ⑥ 産業廃棄物を素材にした付加価値の高い骨材を作ることができ、資源の再利用が可能となる。 ⑦ 無機物であるので有毒ガス等の発生が無く、環境面での問題が無いこと。 新分野進出事例集 1 産業廃棄物のリサイクルによる低温セラミック基材の開発 これらの特長を生かすような様々な材料を開発した。具体的なノラクル応用製品として開発したもの は、護岸ブロック、木目風パネル、窓枠材などがあるが、大ヒットした商品はない。 リフォーム・リニューアル 実施体制 ノラクルの技術開発から営業に至るまで社長が全面的に関与した。従来からの社員を 1 人教育して 開発に当らせると共に、1 人技術者を新規採用した。 ① 当初は独自開発でスタートしたが、その後製法等に関し他社と特許権を共同所有するに至った。 ②福岡県の技術試験場等の協力及び提携会社の協力があった。 ② 大手ゼネコン(清水建設他)の民間工事に導入済み。 環 環 境 境 分 分 野 野 ③ 現在、設計コンサル会社を中心に営業展開中である。 2 2.ここ2年間の状況 開発開始から 11 年経過した。売上は次第に伸びつつあるも、大幅 な利益計上には至っていない。そのため、資金調達面で苦労した。 新製品の特性があまりにも多様なため、逆に製品化が絞り切れず、 農林水産業 大ヒット商品になりきれていない面がある。 3 木目風パネル 取組の成果、本業への影響 ① 技術面において類似商品との間に大きな差別化が実現できたこと。 福祉・介護 ② 独自製品を持つ会社と見られること ③ 「ノラクル」のブランドが定着する可能性があること などが、大きな成果であり、左官業の本業にも好影響を与えている。 4 現在の課題と今後の展望 ① 販売促進のための大手との提携を実現させること。 そ の 他 ② 大量生産によるコストダウンを実現するための製造会社との提携。 (現在の製品価格は 1 袋 25kg 5,600 円) ③ 場合によっては、特許権等の譲渡も考慮している。 ④ ノラクルならではの競争力のある主要看板製品を実用化すること などが、大きな課題となっている。 ⑤ 炭を利用した水質浄化機能があるコンクリートである炭入コンクリートも開発しているが、これの事 業化も急務である。 K 2 財団法人建設業振興基金 株式会社神恒組 事業者プロフィール 会社概要 代表者名 神垣 三次(59 才) 所在地 福岡県福岡市 会社創業時期 昭和 26 年 10 月 業 種 ■専門工事業 主要受注先 ■民間発注者 建設業許可番号 建設業許可番号:40-006186 役職員数 62 人(うち建設業従事 約 60 人) 資本金額 23 百万円 直近年度の売上高 480 百万円(平成 13 年度) 環 境 分 野 株式会社神垣組 リフォーム・リニューアル 会社名(団体名) 新分野・新市場への取組又は先進的な取組の概要 ■リフォーム・リニューアル(住宅、非住宅建物、その他) ■環境分野(廃棄物処理、省エネ、リサイクル、その他) 取組の類型 ■新製品の開発 ■新技術・工法の開発 事業の段階 ■事業展開段階(既に展開している) 取組体制 ■自社単独 ■業務提携(同業又は関連業種と) 工業所有権の有無 ■特許権取得(申請中) ■実用新案権取得(申請中) 農林水産業 取組分野 福祉・介護 問い合せ先 会社名(団体名) 株式会社神垣組 担当者氏名(役職) 神垣 三次(代表取締役) 所在地 福岡市西区今津 5413-10 電 話 092-806-6070 eメール [email protected] URL http://www.kamigakigumi.co.jp 新分野進出事例集 そ の 他 平成 17 年 8 月 19 日現在 3
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