サンヨウー建設株式会社 建物全体に備長炭等の自然素材を使った 安全安心健康住宅の事業化 リフォーム・リニューアル サンヨウー建設株式会社(愛知県岡崎市) No.02-20-03 / 0146 時代のトレンドである健康と安全の環境に優しい住宅供給こそサンヨウー建設(株)の方向と考えた。(株)夢ハウス が開発した無垢の杉材を人工乾燥した構造材を使用した SD 工法に魅せられた。このノウハウを導入し、長年取り組 んできた備長炭を床下に、松や桐の素材、珪藻土や天然紙を内装に使うなど徹底したエコロジーハウス「森の木ハウ ス」を商品開発した。森の木ハウス事業は、平成 14 年度から立ち上げたばかりで、16 年度売上約 1.6 億円程度を達 1 環 境 分 野 成し、利益もわずかに出ている。今後一層技術的な改善を検討し、拡大販売してゆくことが課題である。 取組の概要 背景・きっかけ 数年前から備長炭の優れた健康安全効果に着目して社長が自宅でも実際に体感し、よい結果を確 農林水産業 認していた。備長炭にはホルムアルデヒド等の揮発生有毒ガスや悪臭を吸着分解するマイナスイオン 効果・調湿効果・防虫防カビ効果・電磁波吸収効果・脱臭効果 が実証されており、住宅用の床下環境に極めて優れた効果が あった。 また、備長炭のマイナスイオンは膠原病にも効果があり住宅 の健康と安全に寄与する材料として顧客に勧められる自然材 集成材製造工場 料であった。 これにより、備長炭の利用工事や自然材料の商品販売を行った。 福祉・介護 住宅建築については厳しい経済環境の中で、住宅のチラシ配布や誘客のための各種イベントをして も、エンドユーザーの反応は鈍く、広告の効果が上がりにくい状況であった。 今後の時代のトレンドをみると、新建材を多く使った一般的な在来木造住宅には展望がなく、健康と 安全をテーマとした環境に優しい住宅供給こそサンヨウー建設(株)の方向であると考え、そのような住 宅開発をいろいろと模索した。 このようなときに経営セミナーで新潟の(株)夢ハウスの健康住宅を知り、備長炭を用いた「森の木ハウ ス」を開発、商品化した。 そ の 他 取組の概要 (1)ノウハウの導入から商品開発へ (株)夢ハウスの SD 工法は、木造軸組工法とパネル工法を組 み合わせた工法で、構造体には集成材でなく技術的に難しいと いわれている無垢の杉材を高熱人工乾燥したものを使用して いた。 杉のソリッドな人工乾燥材を構造軸組みとした構造システム 木造建築技術 新分野進出事例集 1 建物全体に備長炭等の自然素材を使った安全安心健康住宅の事業化 と自然素材の内装を取り入れていた。材料が耐震・耐久・防蟻・省エネ・そして現在大きな問題になっ ているシックハウス対策にもなる自然素材であることは、年来捜し求めていた工法・材料であると共感を リフォーム・リニューアル 覚えた。 そこで、直ちに、このノウハウを導入し、基本の躯体部分の自然素材の供給を受けることとした。 そして、この躯体を使い、長年取り組んできた健康材料である備 長炭を床下に敷きこむことや、床・壁の羽目・天井等内装に北洋赤 松や桐の素材を使った建材を使用したり、さらに壁面にホルムアル デヒドや VOC を良く吸収するエコ材料の珪藻土や天然紙のエコシ ートを使うなど、徹底したエコロジーハウスを商品開発した。 このエコロジーハウスを「森の木ハウス」と名付け、サンヨウー建 環 境 境 分 分 野 野 環 土地活用提案 設に新事業部「森の木ハウス事業部」を平成 14 年 8 月に立ち上げ、 新モデルハウスを平成 15 年 1 月にオープンした。 環境にやさしく健康安全をテーマに、構造材から内装・床下にいたるまで自然素材に徹底的にこだわ った住宅を開発したことが、顧客満足に繋がった。 森の木ハウス展示場のオープンイベントには 28 組の来場者があり、その内 6 件が商談につながった。 この数字はモデルハウスのオープンイベントとしては非常に高率な商談率で、エンドユーザーの天然素 材である木への信頼と環境安全に対する関心の高さがうかがわれ、商品企画の成功を確信できた。 農林水産業 (2)新事業の展開 新事業として、住宅の床への備長炭の敷設工事、枕・浴室・台所用のセット商品の販売とゆうパック での地方販売を行った。また、前述したように、建物全体の自然素材化をエコロジーハウスとして開発商 品化し、新規事業の業績評価を明確にする為に新事業部を発足させた。 技術的に、在来木造軸組みの一般流通材料では、含水率20%以下を定常的に確保実現するのはな かなか困難であった。しかし、主要資材供給で連携している(株)夢 ハウスは、山林買い付けから製材製品まで一貫した生産体制をとっ 福祉・介護 ており、含水率 18%以下を天然無垢材の人工高熱乾燥(ドライキ ービット)で実現した材料を供給していた。 これは、住宅品質確保促進法時代の住宅品質管理上非常に重 要な、基本的な要件となり、在来木造に対して大きな差別化ができ た。 商圏は、当初岡崎市を中心として岡崎・安城・刈谷の西三河地 域をとした。顧客の80%はトヨタ・日本電装・アイシン精機等大手メ そ の 他 ーカーの社員で安定した顧客層となっており、地元の顧客が残りの 宅地分譲 20%であった。 森の木ハウスの商品企画である二世代住宅では、顧客の感動を引き出して指名受注の形になるな ど、引き合いが地元顧客に出て、顧客層が一層広がった。それが、受注規模と受注金額の増加につなが った。 実施体制 社長は常に役割変化に対応出来るようにバランスのとれた健全経営を目指してきた。社長が経営方 針を定め、社員が安心して働ける環境づくりをしてきた。 2 財団法人建設業振興基金 サンヨウー建設株式会社 社内の実行体制では、新開発した自然素材住宅を「森の木ハウス」と名付け、業績評価を明確にす る為に在来木造住宅部門、ツーバイフォー住宅部門と別に森の木ハウス事業部を新設した。 リフォーム・リニューアル そして、森の木ハウス事業部は営業をおかず、技術者が営業接客から工事引渡しまでを一貫して行 う体制とした。これによって技術営業の質の向上を目指した。 (株)夢ハウスより工法のノウハウを得て、主要資材である構造材の購入をしてきた。 人材の育成については、スキルアップのための各種講習会に社員を積極的に参加させた。新規の人 材確保の方法としては、事業展開を見ながら地域の工業専門学校・工業大学の新卒者を採用した。 宣伝については、経営上の経費を固定費と戦略的な経費に分けて考える中で、費用を教育費ととも に後者に位置付けして、重点的に投入した。 備長炭(寝具やその他の企画商品)の売上は、年間約 1,500 万円ほどである。利益率は高い。 森の木ハウス事業は、平成 14 年度から立ち上げたばかりで、16 年度で 8 件約 1 億 6 千万円程度で 環 境 境 分 分 野 野 環 2 2.ここ2年間の状況 あった。利益もわずかに出ている。17 年度は、15 件程度の予定をしている。 取組の成果、本業への影響 農林水産業 3 森の木ハウスは商品企画力が強く差別化が出来ているため、営業マンを要せずに事業推進が可能 となった。 事業部では技術者が営業から工事引渡しまで一貫して実施できるので、技術者によって顧客満足 度を高めるモデルケースとなり、厳しい経営環境下で、会社全体の活性化に寄与した。当社の社是は 「顧客第一主義で顧客も社員も会社も幸せになる」ことである。 もし、他社と同じような住宅を建築を続けたならば、競合烈火の時代の常で競争に巻き込まれ、「労 4 福祉・介護 多くして利少なし」の経営を強いられることになったと考える。 新事業の本業に対する割合は1/3 程度になった。さらに大きな効果を期待している。 現在の課題と今後の展望 一層技術的な改善を検討していくこと、森の木ハウスを拡大販売してゆくことが、課題である。 現在は、主要構造材料を新潟から遠距離配送しており、コストも高い。使用量が増大すれば出来る だけ本社の近接地域に木材人工乾燥設備を整備して、生産・供給・デリバリー体制の強化を図れるよ うに検討したい。 そ の 他 新たに、マイナスイオン実験コーナーを展示室内に設けて研究しており、今後これについても事業を 進めたい。 K 新分野進出事例集 3 建物全体に備長炭等の自然素材を使った安全安心健康住宅の事業化 事業者プロフィール 会社概要 リフォーム・リニューアル 環 境 分 野 会社名(団体名) サンヨウー建設株式会社 代表者名 代表取締役 日高 茂 (77 才) 所在地 愛知県岡崎市 会社創業時期 昭和 45 年 12 月 業 種 ■総合工事業(建築) 主要受注先 ■市町村及びその機関 ■民間発注者 建設業許可番号 建設業許可番号:愛知県知事許可(特-13)第 23340 号 役職員数 22 人(うち建設業従事 20) 資本金額 20 百万円 直近年度の売上高 1,350 万円(平成 16 年度) 新分野・新市場への取組又は先進的な取組の概要 農林水産業 福祉・介護 取組分野 ■リフォーム・リニューアル(住宅) ■環境分野(省エネ) ■その他(自然素材と備長炭活用による健康住宅と備長炭活用寝具等販 売) 取組の類型 ■新製品の開発 ■既存技術の応用 ■既存人材の有効活用 ■その他(構造造作自然素材,備長炭活用による健康住宅の事業化 ) 事業の段階 ■事業展開段階(既に展開している) 取組体制 ■自社単独 ■業務提携(同業又は関連業種と) ■その他(主要資材の高温乾式乾燥木材の供給購入について(株)夢ハウ スと提携) 工業所有権の有無 − 問い合せ先 そ の 他 会社名(団体名) サンヨウー建設株式会社 担当者氏名(役職) 日高 茂 (代表取締役社長) 所在地 愛知県岡崎市赤渋町字郷東 22―1 電 話 0564 ー 52 ー 1625 eメール [email protected] URL http://www1.odn.ne.jp/ ccv47290/tate_light/kaisya/annai/k_top.html 平成 17 年 9 月 14 日現在 4 財団法人建設業振興基金
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