陣内 利博

視覚伝達デザイン、
環境デザイン、
メディア環境論
視覚伝達デザイン学科
教授
1997年4月着任
1955年福岡県生まれ
武蔵野美術大学大学院修了
陣内 利博
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JINNOUCHI, Toshihiro
じんのうち・としひろ
研究テーマ:「みること」
「み
せること」の歴史的・科学的
な検証を通した、
これからの
ヴィジュアルコミュニケーショ
歩く点:「点」という最も単純なカタチの動きから、幾人かの「歩く」という動作に加えて個人や性別、年齢といった細かい情報が知覚できる。
a
ンのあり方。
複眼体験の略歴
●グループ展
'92年セビリア万国博覧会(ス
1998年5月19日~5月31日
ペイン)日本館の展示企画、
ギャラリーそわか(京都)
J
「昆虫感覚館・そわか編」
新千歳空港館内CATVシス
I
テム企画、'93年NHK衛星放
N
送「インタラクティブTV」など
参加者:北直以・陣内利博・角孝政・細馬宏通
企画:オフィスバッテラ 中西美穂
制作・展示協力:福間祥乃・上田和秀
取材撮影:青島一成
を手がける。'96年武蔵野美
N
O
術大学田中誠治記念アトリエ
●複眼体験ワークショップ
派遣研究員として1年間渡仏
1998年7月16日
東京大学教育学部佐々木正人研究室
U
留学。'97年インターネットで
壁画を制作する「DEGITAL
C
MURAL PROJECT」
(サンフ
H
ランシスコ)
に参加。'99年
「震
I
災サバイバルキャンプ・イン
,
'99 1000人の仮設市街地づく
り」の「仮設環境体デザイン
「複眼を体験しよう」
参加者:勝井三雄・寺山祐策・野口靖・落合佐和子・
b
尾崎行欧・山口聡子・早出あずさ・山田高史・堀
口裕美ほか、東京大学教育学部佐々木研究室学生
複眼体験
制作協力・記録:福間祥乃・上田和秀
映像:夏川憲介
「複眼」をかぶると、
2000年11月19日
いつもとは全く異なる目を持つことになる。
狭山公園里山イベント「森のアトリエ」
参加者:宇佐見良恵・薮内新太・石橋裕次郎・
T
展」において、
学生との共同
作業により大賞受賞。現在は
o
アニメーションやドキュメント
s
による物語の伝達、
地域やそ
h
こに住む人々との関係づくり、
i
互いに知恵を共有する場とし
見えるのは複数の小さなスクリーンに現れる光だけ。
しかしよく視るとそれぞれの小さなスクリーンの中に、
有島直子・山田高史・堀江優子・鈴木利治・
垣内雪絵
2000年12月7日
h
自分を取り囲む光景が逆さまに映し出されている。
SFC慶応義塾湘南藤沢キャンパス
そして動いてみると、
参加者:後藤武+三嶋博之、デザインの生態学講座
ての展示計画など、
学生とと
自分の身体が覚えている動きと
もにさまざまなコミュニケー
i
ションのあり方について考え
「複眼」をとおして見える動きの違いに気づく。
r
o
ている。
このことを理解すると、
情報デザイン国際会議「ビ
あなたは新しい目を持って
ジョン・プラス7」
コアメンバー、
世界を再体験する事になる。
日本映像学会会員、
日本アニ
制作協力・記録:薮内新太・石橋裕次郎
2003年1月25日
「複眼体験」
制作協力・記録:松本有希子
2004年3月6日
「星を見る目、いろんな目」
制作協力・記録:馬渡なほ・杉原千賀子
●個展
行委員、
日本アニメーション
art space kimura ASK ?(京橋)
2005年7月19日~23日
学技術振興機構「デジタル
複眼体験 ― 虫になりに来ませんか? ―
メディア作品の制作を支援
制作協力・記録:山本尚樹・藤木裕介・中野聖也・
みる。 はじめは星 空のようなバラバラに
造形アトリエ」での活動記録を軸に、美術
まで広がりを持つ。
見える点が、動き出すと性別や年齢や表
館における教育普及のためのワークショッ
たとえば、2年次の「動きを意識化」し
情を持った「歩く点」の群れになる。こうし
「動きの 記 述」 を考 察 する授 業で、学 生
て皆で発 見し、確 認してきた事 象を他 者
達は「歩くこと」をモチーフにする。まずそ
に伝えるために展示というカタチにする。
プのあり方を提案しました。
モノをつくる時、人 はモチ ーフを自
する基盤技術」領域アドバイ
a:複眼体験 ― 虫になりに来ませんか? ―DM
デザイン:勝井三雄 撮影:青島一成
分の「みかた」で観察し、それにふさわしい
れぞれが創造した人物キャラクターをパ
1人ではできない作業を通して「自分たち
ラパラマンガで動 かす。よりスムーズな
で考え、やってみる」という自発的な共同
個別の「みかた」があり、おのおの別な「や
歩きをお互いに検討する。おのおのがビ
の創造活動が生まれている。
りかた」がある。私は「誰にでも表現がで
デオに撮って観察したり、地面との接点の
私は誰もが自分でテーマを見つけ出
きる」というあたり前のことを体験できる場
距 離を測ったり、一 歩の動きに必 要なコ
し、どう表現するかを選び、それを実現す
や仕掛けの重要性を、今でも考えている。
マ数を検討し、タイミングを工夫する。こ
るための方法を組み立てる力を持つこと
ワークショップの目的は評価し選び出
うして出 来 上 がったスムーズ な 歩く行 為
が重要だと考える。ワークショップはその
すことではない。ともにプロセスを共有す
のアニメーション から、頭・ 胴・ 両 手 両
ための仕掛けになる。
る事で、つくり手自らが自分の判断基準を
持てるようになることを理想としている。
人かの人が同時に参加して行うのが原則
だ。同じモチーフを大勢の人が違う視点
から見る。するとそこからそれぞれこだわ
りのあるテーマが 引き出される。 同じモ
チーフであるのに、それぞれテーマは異
なるのだ。自分とは違う「みかた」をする
他者を鏡に、自分の「みかた」や「やりか
た」をも探ることになる。授業でのモチー
フは単なるモノではない。1年時のモチー
映像:河村康佑
b:複眼体験 ― 虫になりに来ませんか? ―会場にて
撮影:橋本優子
c:複眼人間 撮影:青島一成
立体ゾートロープ
c
足などの17個の関節を「光点」に置き換え
「やりかた」で表現する。人にはそれぞれ
山元水景
ザー。
「カメレオンプロジェク
ト」メンバー。
や「玉川上水」など具体的な地域や社会に
用いる。ワークショップは 1人ではなく何
制作協力・記録:山田高史
協会会員、
独立行政法人科
る」、
「はかる」、
「動かす」、3年次は「小平」 る。さらに全員の作品を同時に動かして
橋区立美術館での 3 年間にわたる「子ども
●こどもと大人のワークショップ
2001年7月21日
ション・フェスティバル)実
私の修士論文の表題である。ここでは板
私は授業でもワークショップの手法を
「複眼体験」
(インター・カレッジ・アニメー
フは「線」、
「色」、
「空間」、2年次は「食べ
受講生
科学技術館:科学ライブショー「ユニバース」
メーション学会理事、ICAF
表現を引き出す
2年後期、西本先生と共同で開設する授業。視覚表現演習「動き
を記述する」立体ゾートロープ制作・撮影風景。撮影:中野正貴