マシンツール ジャーナル 2013年4月号 Inter Factory Machinery Journal issued by Mile Mark Zero Studio MMZ工作機械センターから 工作機械技術の一哩塚となったマスターピースのかずかず Master Piece of Machinetools Warner & Swasey 1SC N/C multi station Turret Lathe ワーナー&スウェージー/USA マルチステーションNCタレット旋盤1SC 桜が満開です、松本ではまだ雪を頂いた北アルプスを背景にお城に桜と美しいかぎりです、工場の桜はどうでしょうか 円安に振れて、すこし雰囲気が変わってきましたが実体経済は「まだしも」です、ここが踏ん張りどころではないでしょうか さて、今月の機械は小生が機械屋としてまた技術屋としての仕事で、最も大きな影響を受けた1台の機械、まだ私の「イコン」 であるワーナー &スウェージーのNC旋盤 1SCをとりあげてみようと思います 今を遡る約40年前、小生は生まれてはじめて海外に出た、1973年のハノーバーメッセIHA’73である、1週間滞在しました 当時、世界最高水準と言われたドイツの工作機械見本市、そこでの体験が今日の私の原点となっているのですが 会場で最も強い衝撃を受けたのが1SCなのです 黒山の人だかりという表現があるけれども、大勢の技術屋がこの機械を 囲んでいた、ものすごい削りである、カバーに切り粉がぶつかる音、早送りの速さ、アプローチとリトラクトのすばやさ 近廻りで割り出す大きなタレット、タレットに絡んだ切り粉をタレットを左右にグルグル旋回させて振り払う位だ、サイレンのよう な主軸の加減速音、実はこの時はじめて周速一定制御をみたのだが、実は、周速一定という技術が分かりませんでしたガ ワーナー&スウェージーのカタログにレボリューショナリーと表現されていますが、1SCはこれまでの旋盤の概念を書き換えま した(詳細次ページ) 1972年にシカゴショウでデビュー、会期中に200台を売ったという伝説が残っています。 もし、NC旋盤の最高峰は?と聞かれたら私はこの機械を挙げたい、40年も前の機械が最高峰、そんなことはないデショウ こうおっしゃる方も多いかも知れません、でも、考えて欲しいのです、工作機械は何のために造られているのでしょうか? 私は「工作機械とは許される精度で切り粉をつくるための機械」だと思っていますから、その意味で1SCはいまだに最高の 水準にあると考えられます、もし1SCに現在の制御技術をもってすれば、間違いなく世界最高の旋盤の1台と言えるでしょう W&S1SCをとりあげて、解説することによって、小生が長年、機械のプロとして考えて来た世界一の旋盤とは何であるかを お示しするのが今回の目的です、多少長くなりますが工作機械を研究される諸君には何らかの役に立つことでしょう 工作機械の使命とは 連続して、あるいは非連続で一定の許容差内の精度をもった製品を能率的に削り出すことです そのために求められる性能は 1 削る時間を短くする性能 2 削らない時間を短くする性能 この2つです 1 まず1個あたりの加工所要時間は短い方がよいはずです、そのためには実際に切り粉を出している時間が短いこと、 つまり工具の最高の能力で削れる機械であること、剛性はもちろん追従性が良く、刃先の持ちがよいこと、切り粉の はけがよいこと、すばやいこと、無駄な動きがないことです、無論、切削時間中の人手の介入は無い方がよいにきまっ ています 2 一方どうしても避ける事が出来ない段取りなどの切り粉を出していない時間、これがどれだけ短いかです、つまり、 使いやすく、段取り時間が短いこと、壊れにくいこと、壊れてもすぐ復旧できることです はっきり言いましょう、工作機械に求められる基本性能を突き詰めると、それは精度を条件にした切り粉率なんだ ここのところを是非叩きこんでおいてほしいのです 切り粉率、ただそれだけのために知恵を絞り、経験を活かし、どこにもない理想の設計をして造る そのパフォーマンスが 技術者だけに即座に理解される、その機械の良さを理解して使う人と、造った人が儲かる素人をよせつけない機械、 これが本物の機械だ小生は長い長い機械屋という家業の果てにこう考えるに至りました さらに工作機械は耐久性が高く長寿命でなくては採算がとれません、また、幅広い用途に適合する汎用性も重要です 寿命と汎用性この2つは工作機械の設備投資の面に深くかかわってくる性能です 1973年私がドイツから持ち帰ったW&S 1SC旋盤のカタログ Revolutionary!! Revolutionary チャック径10インチ バーワーク能力60Φ 同時2軸輪郭制御 クローズドループ制御 設定単位0,001mm 早送り速度 XY軸 7,600mm/Min 主軸 ASA A2-6 11/16,5Kw 回転数 Hi261-2014rpm / Low 84-651rpm SCR制御50段自動変速 *内外径 端面切削どこでもS45C素材なら切削速度100mで切り込み10mm送り0,5mm/Revで削ることができる 強大な軸方向推力 スラスト2,3t(トン) *超硬スペードドリルで60Φ の孔加工で送り0,3mm/Revが可能 切削速度(周速)一定制御 チャックの径まで干渉しないツーリングが可能な大きなタレット 12ステーションタレットでタレットがチャックに最も近づいた位置でも隣接工具の干渉の心配がない 立て型タレット 割出誤差が直径精度に及ぼす影響を最小にする 割出(サーボ)Z軸と連動 *12ステーションタレットで最も遠い割出しの所要時間はわずか3秒 *割り出しながら軸が動く 指令値に対する応答性 近廻りタレット割出 サーボモーターによる割出 スキップ タレット旋回をあたかも1つの軸のように行う シングルプレーンツーリング パーマネントツーリング 工具刃先のセッティングポスト 割り込み可能な芯押し台 ビルトイン芯押し軸 完全なチップフロー 集中自動潤滑であって、しかも、スライド浮上などの影響を避けるため切削中には潤滑油を出さない レベル出し不要の工作機械 バーマシンとチャッカー センターワークのスイッチ 大量のクーラント 3ツ爪ユニバーサルチャック バーワーク/チャックワーク兼用のコレットが内装できるパワーチャック ハイロウ切り替え式チャッキング装置
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