前立腺がんの 診断と治療 泌尿器科 主任部長 寺井章人 前立腺癌の疫学 世界各地域における前立腺癌罹患率(1985年) 年齢調整罹患率(人口10万人対) 米国(アトランタ黒人) 米国(シアトル) 米国(コネティカット黒人) 米国(ハワイ白人) 米国(アトランタ白人) スイス(バーセル) スウェーデン ノルウェー オーストラリア(南部) フィンランド 米国(ハワイ日本人) デンマーク ドイツ(ザールランド) フランス(ドゥー) 英国(スコットランド) イタリア(バレーゼ) 日本(広島) ホンコン インド(ボンベイ) 標準人口:世界人口 日本(大阪) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 Parkin, D.M., et al.: Cancer Incidence in Five Continents. Vol. Vl, IARC Scientific Publications, No. 120, Lyon, 1992. 米国における癌の部位別罹患率(1997年) 男 性 女 性 前立腺癌 43% 乳 癌 30% 肺 癌* 13% 肺 癌* 13% 11% 結腸・直腸癌 8% 結腸・直腸癌 膀胱癌 5% 子宮癌 8% 非ホジキン リンパ腫 4% 卵巣癌 4% 非ホジキン リンパ腫 4% *肺・気管・気管支 Parker, S.L., et al.: Cancer J. Clin., 47(1), 5, 1997. 米国における癌の部位別死亡率(1997年) 男 性 女 性 肺 癌* 32% 肺 癌* 25% 前立腺癌 14% 乳 癌 17% 結腸・直腸癌 10% 結腸・直腸癌 膵臓癌 非ホジキン リンパ腫 9% 5% 4% 卵巣癌 5% 膵臓癌 5% 非ホジキン リンパ腫 4% *肺・気管・気管支 Parker, S.L., et al.: Cancer J. Clin., 47(1), 5, 1997. 西欧諸国における癌の部位別罹患率(男性) ● その他 36.4% 肺・気管・気管支 17.5% ● ● 胃 11.9% 前立腺 10.6% ● ● ● 直腸4.5% 膀胱5.7% ● 結腸5.9% 皮膚7.5% Prostate Cancer Questions and Answers by A. Colin Buck. Published by Merit Publishing International, 1995. わが国における癌の部位別罹患率の推移 大阪府の場合:3年単位の平均(1963~1989) 男 年齢調整罹患率(人口 万対) 10 性 女 全部位 全部位 性 300 胃 100 胃 肺 子宮 肝 10 乳房 結腸 肺 食道 肝 直腸 膵 胆囊・胆管 結腸 直腸 膵 前立腺 胆囊・胆管 1 ’63- ’66- ’69- ’72- ’75- ’78- ’81- ’84- ’87- ’63- ’66- ’69- ’72- ’75- ’78- ’81- ’84- ’87- (年) 大阪府環境保健部ほか監修:「大阪府におけるがんの罹患と死亡1963-1989」(篠原出版)、1993. 標準人口:世界人口 わが国における癌の部位別死亡率の推移 全国調査1950~1996 男 性 女 性 年齢調整死亡率(人口 万対) 300 全部位 100 全部位 胃 胃 肺 肝 食道 10 膵 子宮 結腸 肝 肺 結腸 直腸 乳房 直腸 胆囊・胆管 10 卵巣 1 胆囊・胆管 前立腺 0.3 ’50 ’55 ’60 ’65 ’70 ’75 ’80 ’85 ’90 ’95 膵 ’50 ’55 ’60 ’65 ’70 ’75 ’80 ’85 ’90 ’95 (年) 標準人口:1985年の日本人口モデル 厚生省大臣官房統計情報部編:「平成8年人口動態統計」、1998. わが国における前立腺癌の年齢階層別罹患率 1992年の全国推計 年齢階層別粗罹患率(人口 万対) 350 300 250 200 150 100 10 50 0 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85- 年齢(歳) 山形、千葉、福井、大阪、鳥取、長崎の各県及び広島市のがん登録(1991-1993)をもとに推計 がんの統計編集委員会編集(委員長 垣添忠生):「がんの統計」(財団法人がん研究振興財団発行)、 1997. わが国における前立腺癌の将来的予測 年齢調整罹患率又は死亡率( 人 口 万対) 癌罹患率の予測(男子) 癌死亡率の予測(男子) 全部位 全部位 300 100 肺 肺 胃 肝 結腸 肝 胃 結腸 直腸 膵 10 前立腺 10 2 1970 1985 2000 前立腺 2015 1990 1995 2000 2005 2010 2015 (年) 罹患率:標準人口は世界人口 死亡率:標準人口は1985年の日本モデル人口 冨永祐民ほか編:「がん・統計白書-罹患/死亡/予後-1993」(篠原出版), 1993. わが国における部位別癌罹患率増加の予測(2015年:男性) -1985年の粗罹患率を1とした場合- 前立腺 結腸 胆 4.6 4.2 4.1 肺 膵臓 膀胱 3.9 3.3 3.2 直腸 リンパ系 肝臓 白血病 食道 胃 3 3 2.7 2.3 1.9 1.5 0 1 2 3 4 5 津熊秀明ほか:「がん・統計白書-罹患/死亡/予後-1993」(冨永祐民ほか編:篠原出版), P168, 1993をもとに算出. 前立腺癌の診断 前立腺癌の診断手順 スクリーニング 確定診断 臨床病期診断 ●直腸診(DRE) ●腫瘍マーカー:PSA ●経直腸的超音波断層法(TRUS) ●前立腺針生検 ●MRI ●CT ●骨シンチ、骨単純X線など 前立腺上皮細胞からのPSAの分泌 PSA濃度 PSA濃度 0.3~ 5mg/mL 通常 3.0ng/mL未満 (70%が活性型) 前立腺上皮細胞 参考:Lilja, H.:泌尿器外科, 11(8), 902, 1998. Probability of PC based on PSA and DRE Probability of Cancer on biopsy (%) PSA <4.0 Study Cooner Huland Ellis Catalona DRE(-) 9 4 6 - PSA >4.0 DRE(+) 17 21 13 10 DRE(-) 25 12 24 32 DRE(+) 62 72 42 49 PSAが正常でもDREが異常であれば 10~21%にPC DREで疑いなくともPSA異常であれば 12~32%にPC (T1c) 経直腸的超音波ガイド下前立腺生検 経直腸的生検 当院における生検数、癌発見数 67 86 239 260 (28%) (33%) 95 258 (37%) 113 275 (41%) 141 373 (38%) 156 322 (48%) 400 350 300 250 200 150 67 100 86 95 113 141 50 0 '99 '00 '01 '02 '03 '04 当院におけるPSA値別の癌検出率 PSA (ng/ml) <10 ≧10 234 / 901 (26.0%) 268 / 462 (58.0%) 前立腺がん検診システム 1次検診 (基本健康診査との同時施行) PSA ≦4.0 PSA測定 PSA 4.1~10.0 (Gray zone) PSA ≧10.1 精密検査 (泌尿器科専門医が実施) 異常なし (原則として逐年受診) DRE・TRUSなど TRUSガイド下 生 検 泌尿器科専門医 による経過観察 前立腺癌 前立腺集団検診全国集計(1998年) 41093人中、前立腺癌381人(0.93%) D 13% C 21% B 66% 前立腺癌診断の面から見たPSAの評価 z 感度が極めて高い反面、前立腺肥大症での偽陽性 率が高く、早期癌との鑑別が困難 z 測定法によるバラツキが大きく、結果の解釈には どの測定系を用いているかに留意する必要がある z 前立腺癌スクリーニングの診断精度を上げるため、 特にグレーゾーンにある患者の特異性を向上させる ための方法が種々検討されている PSA≦4.0 における前立腺癌検出率 30 25 PPV (%) 20 15 10 5 0 ≦0.5 0.6-1.0 1.1-2.0 2.1-3.0 3.1-4.0 Total PSA (ng/mL) No. of cases CAP 32 80 170 115 52 NEM 454 711 828 367 141 (n=2950) Thompson et al. (2004) N Eng J Med 年齢階層別PSAカットオフ値 年齢 PSAカットオフ値 50~64歳 ≧3.0 65~69歳 ≧3.5 70歳以上 ≧4.0 倉敷市前立腺がん検診 前立腺のMRI診断 zT2強調像 z前立腺のzonal anatomyを描出する基本的な シーケンス z拡散強調像 (ADC map) z微視的な水分子の運動を画像化 z細胞密度、組織の構築などを反映した画像 z造影ダイナミックMRI z多くの前立腺癌は早期に急峻に強く濃染される 62歳 T2WI PSA 8.5 ADC map Dynamic 58歳 T2WI PSA 13.633 ADC map Dynamic 61歳 PSA 17.0 過去1回経直腸的生検 no malignancy T2WI ADC map Dynamic 67歳 PSA 11.5 過去1回経直腸的生検 no malignancy T2WI ADC map Dynamic 前立腺の領域区分と前立腺癌の発生頻度 矢状割面 水平割面 Transition zone=25% 腹側 Central zone=5% 腹側 Peripheral zone=70% McNeal, J.E., et al : “Anatomy of the prostate. Implication for disease” (edited by Bostwick, D.G. :Churchill Livingstone). P1-14. 1990 当科での前立腺生検方法(2004年~) 原則として全例、生検前にMRI撮影 MRIで癌を疑う部の + 標的生検(適宜) ②③ ③② PZ 10ヶ所生検 前立腺癌の治療 前立腺癌患者は 前立腺癌で死ぬのか? Host側の要因 Virginia州における死因(1987-89に診断) 前立腺癌患者 67歳以上男性 (1207人死亡/1996人) 脳血管障害 6% 呼吸器疾患 6% 他の癌 12% BPH患者 (2877人死亡/6586人) その他 14% その他 24% 前立腺癌 心疾患 37% 38% 脳血管障害 9% 心疾患 24% 他の癌 呼吸器疾患 11% 19% A,B:59% C: 13 D: 28 (Newschaffer et al. J.Natl.Cancer Inst.2000;92:613) 限局性前立腺癌に対する 前立腺全摘除術 vs 無治療 ● T1b、T1c、T2 695例 ● RCT(前立腺全摘 or 無治療) ● Median F/U 6.2年 ● 癌死 4.6% vs 8.9%, HR 0.50, P=0.02 ● 遠隔転移 9.8% vs 15.5%, HR 0.63, P=0.03 ● 全生存率 84.7% vs 82.2%, HR 0.83, P=0.31 Holmberg et al., NEJM 347: 781, 2002 A B C A 癌死 B 遠隔転移出現 C すべての死亡 前立腺癌の臨床病期分類 A 切除組織の≦5% 切除組織の>5% B 片葉の腫瘍 両葉にわたる腫瘍 (被膜を含む) 触知不能 PSA高値等のために 行った針生検で発見 C 片葉又は両葉の被膜をこえる腫瘍 精嚢に浸潤 D 固定又は精囊以外の 隣接臓器に浸潤 (膀胱頸部、外尿道括 約筋、直腸、肛門括約 筋又は骨盤壁) 所属リンパ節 への転移 所属リンパ節以外の リンパ節、骨、その他の 臓器への転移 前立腺癌の組織学的分類 Gleason分類と本邦規約分類の対比 1 本邦規約分類 2 高分化 3 中分化 4 5 低分化 前立腺癌の臨床病期別生存率 厚生省前立腺研究班 9施設統計(1988) % 100 A1 89.2%(n=20) 実測生存率 ( %) A1 B A2 66.1% A2 (n=16) C 51.0% C (n=101) D1 47.5% D1 (n=37) D2 D2 高分化+中分化 39.6%(n=98) D2 (n=211) D2 28.0% D2 16.0%(n=83) D2 低分化 B 72.7%(n=73) 50 0 0 1 2 3 4 5 (年) 赤倉貢功一郎ほか:泌尿紀要, 34(1), 123, 1988. 前立腺癌の組織学的分化度別生存率 (%) 100 高分化(n=161) 90 80 生存率 70 60 中分化(n=550) 50 40 30 低分化(n=320) 20 10 logrank test: p<0.0001 0 100 200 観察期間(ヵ月) 原田昌興:臨泌, 50(4), 153, 1996増刊 前立腺癌の病期別治療方針 A A1 B A2 B1 C B2 D1 術前内分泌療法 前立腺全摘除術または放射線療法 無治療 経過観察 D 術後内分泌療法 D2 内分泌療法 補助療法 手術療法 放射線療法 化学療法 腫瘍の進展速度と患者の年齢、全身状態を考慮して決定 前立腺癌の治療法 ● 局所療法 ① 根治的前立腺全摘除術 ② 放射線療法 ● 全身療法 ① 内分泌療法 ② 化学療法 早期前立腺癌は予後良好 治療法の多様化 z前立腺全摘除術 z 恥骨後式、会陰式、腹腔鏡手術 z放射線療法 z 外照射(3次元原体照射、IMRT、粒子線) z 密封小線源(125I、192Ir) z無治療経過観察 z(内分泌療法) 前立腺癌の局所療法 前立腺周囲の解剖(腹面) 恥骨前立腺靱帯 深陰茎背静脈 の浅枝 前立腺 下腹壁動静脈 精管(切断後) 閉鎖神経 内腸骨動静脈 上膀胱動脈 外腸骨動静脈 膀胱 総腸骨動脈 参考 鳶巣賢一:「癌の外科-手術手技シリーズ 泌尿器癌」(垣添忠生編), メジカルビュー社, 1992. 前立腺周囲の解剖(側面) 恥骨前立腺靱帯 深陰茎背静脈 膀胱 前部尿道 精 嚢 骨盤神経節 参考 神経血管束 鳶巣賢一:「癌の外科-手術手技シリーズ 膜様部尿道と外尿道括約筋 泌尿器癌」(垣添忠生編), メジカルビュー社, 1992. 根治的前立腺全摘除術の概略 サントリーニ静脈叢の処理 尿道の切断 恥骨後式逆行性 R. Kirby, 1997 精嚢、精管膨大部の剥離切断 膀胱との切断 恥骨後式逆行性 R. Kirby, 1997 尿道膀胱吻合 摘出標本 精 嚢 精管膨大部 前立腺 恥骨後式逆行性 R. Kirby, 1997 前立腺全摘除術に伴う合併症 ●勃起不全 z 神経温存を行わなかった場合は必発 z 神経温存を行った場合、十分な勃起能が回復するまでに 数カ月~約1年位を要する(回復しないこともある) ●尿失禁 z 多くはカテーテル抜去後の一過性のもの ●その他 z 尿道狭窄、直腸損傷 z 尿道損傷、リンパ膿腫と感染 荒井陽一:臨泌, 50(4), 195, 1996年増刊 術中電気刺激による勃起神経温存の確認 陰茎海綿体 内圧測定装置 膀胱 + - 前立腺 電気刺激装置 神経刺激シェーマ 摘出前 ④ ③ ② ① ⑥ ① ③ ① ⑥ ⑤ ④ 摘出後 (左神経温存、右神経切除) ⑥ ③ ① ② 根治的前立腺全摘除術後の成績 評価対象:臨床的局所限局性前立腺癌(T1、T2)955例 病理学的病期別PSA非再発率(PSA 0.2ng/mL未満) 1.00 限局癌 被膜局所浸潤 被膜外浸潤 Gleason<7 被膜外浸潤Gleason≧7 非再発率 0.75 0.50 精嚢浸潤 0.25 リンパ節転移 0.00 0 2 4 6 追跡期間(年) 8 10 Johns Hopkins Hospital Walsh, P.C., et al.: J. Urol., 152, 1831, 1994. 前立腺全摘後PSA再燃症例の経過 前立腺全摘 PSA再燃 追跡期間 1997例 315例(15%) 0.5~15年(平均5.3年) 治療 PSA再燃 8年 転移出現 癌死 5年 (Pound C.R., et al., JAMA, 1999) 前立腺全摘後PSA再燃症例 に対する治療 z 放射線療法 z 内分泌療法 前立腺全摘後PSA再燃に対する放射線療法 (n=37) (n=501) 3y 74% 5y 54% (当院) (Stephenson AJ, et al., JAMA, 2004) 前立腺全摘後PSA再燃に対する 内分泌療法後の骨転移出現率 PSA再燃 1352例 内分泌療法開始 355例 Moul J, et al., J Urol, 2004; 171: 1141 放射線療法 ● 体外照射法 種類 方法 高エネルギーX線(リニアック)、重粒子線 多門BOX照射、原体照射 強度変調放射線治療 (IMRT) ● 組織内照射法 種類 方法 密封小線源 (192Ir、125I) アフターローディング (192Ir) 永久留置 (125I) 当院の旧ライナック装置 4門対向照射 照射線量 66 Gy (内分泌療法併用) 60 Gy (全摘後PSA再発) 当院の新ライナック装置 多分割しぼり (multileaf collimator) 照射野確認 (ライナックグラフィー) 治療時の患者固定 (バックロック、体幹部シェル、足枕を用いて固定する) 3次元原体照射法 照射線量 (3D-CRT) cT2-T3 内分泌療法併用 70 Gy (2 Gy×35回) 経験蓄積とともに徐々に線量増加予定 全摘後PSA再発 64.8 Gy (1.8 Gy×36回) 従来の一様なビーム IMRT 強度に変化のあるビーム 粒子線治療 粒子線医療センター 高線量率線源(HDR) アフターローディング法 192Ir 125I シード線源永久挿入 前立腺癌の内分泌療法 前立腺癌の主な内分泌療法 内分泌療法 薬 剤 主な作用機序 去勢 抗アンドロゲン剤 精巣摘出術 (除睾術) - テストステロン産生臓器の摘出 薬物的去勢 (LH-RHアゴニス ト) 酢酸ゴセレリン 酢酸リュープロレリン 下垂体LH-RH受容体のdown regulation (テストステロン低下) ステロイド性 酢酸クロルマジノン アンドロゲン受容体との結合阻害 間脳へのnegative feedback作用 (テストステロン低下) 非ステロイド性 ビカルタミド フルタミド アンドロゲン受容体との結合阻害 エストロゲン剤 副腎皮質ステロイド 間脳へのnegative feedback作用 ホスフェストロール (テストステロン低下) エチニルエストラジオール 癌細胞への直接効果? デキサメタゾン プレドニゾロン 副腎由来アンドロゲンの抑制 各種内分泌療法の作用機序 視床下部 LH-RHアゴニスト エストロゲン剤 抗アンドロゲン剤 (ステロイド性) 副腎皮質ステロイド 下垂体 精巣摘出術 精 巣 副 腎 抗アンドロゲン剤 (ステロイド性、 非ステロイド性) 前立腺 前立腺癌のホルモン抵抗性の獲得 内分泌療法の選択 ● 1st line 去勢術 LH-RHアゴニスト LH-RHアゴニスト+抗アンドロゲン剤 (Combined androgen blockade; CAB) 抗アンドロゲン剤 Antiandrogen withdrawal syndrome (AWS) ● 2nd line エストロゲン剤 副腎皮質ステロイド MAB療法 対 去勢単独 ■NCI INT-0036:全例の生存率 100 生存期間 中央値 80 酢酸リュープロレリン +フルタミド 303例 35ヵ月 酢酸リュープロレリン +プラセボ 300例 29ヵ月 病期D2 生存率(%) 60 酢酸リュープロレリン a) 40 +フルタミドb) 酢酸リュープロレリン 20 a) +プラセボ p=0.03 0 0 24 48 72 96 120 追跡期間(月) a)酢酸リュープロレリン1.0mg/日(本邦の承認用量3.75mg/4週) b)フルタミド750mg/日(本邦の承認用量375mg/日) Crawford, E.D.: Eur. Urol., 29(Suppl. 2), 54, 1996. MAB療法 対 去勢単独 ■EORTC-30853:全例の疾患特異生存率 生存期間 中央値 100 90 酢酸ゴセレリン +フルタミド 163例 42ヵ月 除睾術 163例 29ヵ月 病期D2 80 70 生存率(%) 追跡期間の中央値7.2年 60 酢酸ゴセレリンa) +フルタミドb) 50 40 30 除睾術 20 10 p=0.0008 0 0 2 4 a)酢酸ゴセレリン3.6mg/4週 b)フルタミド750mg/日(本邦の承認用量375mg/日) 6 8 10 追跡期間(年) Denis, L.J., et al.: Eur. Urol., 33, 144, 1998. Antiandrogen withdrawal syndrome 間欠的アンドロゲン除去療法の考え方 PSA検診は最終的に 前立腺癌死亡率を 減少させ得るか? 米国における前立腺癌の推移 発生率 死亡率 PLCO trial (The Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian Cancer Screening trial) z 米国NCI、1993~2009年の16年計画 z 55~74歳の男女155,000人を介入群と対照群に 無作為割付け(2001年7月に症例組入れが終了) z 前立腺癌 直腸診(組入れ時) PSA(組入れ時と年1回5年間) z 直腸診とPSAで検出した前立腺癌の死亡率減少 効果と本法の感度・特異度・PPV・罹患率・病期・ 生存率 ERSPC trial (European Randomized Screening for Prostate Cancer trial) z ヨーロッパ 7カ国 z 55~69歳男性18万人を介入群と対照群に無作 為割付け(2001年末で16.3万人組入れ済) z PLCO trialとほぼ同様の方法 PSAによるスクリーニングが主体 z 2010年頃までに結果が判明する予定
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