SIDS in HPV programme & CCAP SIAM 29, 20/10/2009 初期評価プロファイル(SIAP) n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の市販混合品 市販混合品:約64 %のn-ペンタン酸と36 %の2-メチル-1-ブタン酸混合品 物質名とCAS No.:n-Pentanoic acid(109-52-4) 2-methyl-1-butyric acid(116-53-0) SIARの結論の要旨 類似物質の理論的根拠 このn-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の市販混合品は2つの脂肪酸異性体を含有している:n-ペンタン酸 (64 %)と2-メチル-1-ブタン酸(36 %)。2-メチル-1-ブタン酸は単離されておらず、n-ペンタン酸と2-メチ ル-1-ブタン酸の市販混合品の少量成分以外には製造されていない。 市販混合品と構造および炭素鎖長が類似している化学物質から得られるデータが、混合品のエンドポイン トを満たすため、または入手可能なデータの補足のために用いられている。n-ペンタン酸の類似物としての プロパン酸の使用は、プロパン酸がn-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の代謝物であり、in vivo でn-ペンタ ン酸と同様な刺激性を有するという事実に基づく。ブタン酸のデータも同様の物理化学的特性と in vivoでの 同様の刺激性に基づき類似物として使われた。 環境については、ヘンリー則定数、Log Kow、解離定数、光分解性、および環境コンパートのメントエンド ポイントにおける個々の分布は、構成成分すなわちn-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸について評価された。 ヒト健康の毒性エンドポイントに関して、プロパン酸(CAS No.79-09-4)のデータは反復投与および生殖毒 性のエンドポイントの裏付けとして使われる。共通の官能基を有する構造の類似性に基づき、プロパン酸(炭 素数-3のカルボン酸)を、n-ペンタン酸の類似物として用いることができる。いずれの物質も腐食性であり、 腐食性は反復投与試験での類似の毒性に寄与していると考えられる。最終的に、プロパン酸はn-ペンタン酸 と2-メチル-1-ブタン酸の細胞内酸化経路を介しての代謝産物でもある。プロパン酸のカルシウム塩である、 プロパン酸カルシウム(CAS No. 4075-81-4)は発生毒性のエンドポイントの裏付けとして使われた。プロパ ン酸カルシウムは、水中でプロパン酸イオンに解離する。胃の中では、プロパン酸カルシウムとプロパン酸 の双方は、イオン化していない酸として存在する。2-メチル-1-ブタン酸と構造的に類似している2-メチル-1プロパン酸(CAS No.79-31-2)は、遺伝子毒性のエンドポイントを補足するために使われる。代謝(β-酸化 を介して)の類似性と、n-ペンタン酸に比較して混合品の急性毒性の方が低いので、直鎖(n-ペンタン酸) が混合品の類似物として適切である。 1 一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター n-ペンタン酸は、米国によってSIAM 29に個別のケースとして提出されている。プロパン酸は、OECD HPV 化学物質プログラムのSIAM 25で既に評価されている。 物理化学的特性 n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の市販混合品は、融点が-44 ℃*、沸点が183.1 ℃*および蒸気圧が0.1 hPa*(20 ℃)の無色の液体である。市販混合品の分配係数(log Kow)の推定範囲は1.18 ~1.39(25 ℃) であり、水溶解度は32000 mg/L*(20 ℃)である。n-ペンタン酸の解離定数(pKa)は4.83であり;2-メチ ル-1-ブタン酸のpKaは4.80である。よって、市販のn-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸混合品は4.80と4.83 の間のpKaを有し、環境関連pH値では、解離状態で存在すると予期される。 *信頼性=4、データは製造企業により提供された;しかし、類似物質により裏付けられている。 ヒトの健康 n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸は、それぞれ67mMと1Mまでの濃度で脂肪酸の代謝における細胞内β酸化経路により、酢酸とプロパン酸の生成物を伴って代謝される。酢酸とプロパン酸はいずれも細胞の通常 の構成成分であり、イソロイシンの酸化分解中に生成される。 40 %コーンオイル中溶液として投与した際の、n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸市販混合品の経口LD50 値は、雌ラット4920 mg/kg bw、雄ラット > 4000 mg/kg bwである。毒性の徴候は、自発運動の低下、異常 または協調障害性の歩行、流涙、ゆっくりした呼吸と衰弱であった。試験で死亡している動物の剖検は、複 数の潰瘍形成部位を伴う胃の腺状部での出血を明らかにした。雌ウサギでの経皮LD 50は1070 mg/kg bw;市 販混合品は未希釈で適用され、適用された部位に浮腫、壊死、潰瘍形成および落屑を生じた。n-ペンタン酸 と2-メチル-1-ブタン酸の市販混合品の十分な飽和蒸気に6時間ばく露された雌雄ラットに、死亡または毒性徴 候は無かった。n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の市販混合品は皮膚と眼に腐食性であり、非可逆的な損 傷を生じる。ウサギで実施された皮膚刺激性試験で、重篤な刺激と潰瘍、その後の壊死、痂皮形成、脱毛、 および落屑が観察された。市販混合品は重篤な眼刺激性物質である。重篤な角膜損傷、虹彩炎と重篤な結膜 の刺激;出血、瞬膜の壊死および角膜血管新生がウサギで行なわれた眼刺激性試験で観察された。エアロゾ ルあるいは蒸気/エアロゾル混合品として製造された高濃度の市販混合品は、鼻および/または気道の刺激をも たらすことが予想される。市販混合品またはその成分の動物またはヒトにおける皮膚感作性に関する実験デ ータは入手できない。 n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の市販混合品の反復投与毒性試験はない。n-ペンタン酸と構造類似物 質のプロパン酸のデータは入手可能である。 n-ペンタン酸の入手可能な短期反復投与データが、ウサギの経皮ばく露、またラットの経口投与について ある。雌雄ウサギでの反復投与経皮毒性試験で、鉱油溶液の中n-ペンタン酸が500 mg/kg bwで14日間にわた り合計10回皮膚に適用された。死亡が1匹の雌ウサギで観察された;全ての被験動物は取り扱い時の啼鳴、摂 食量の低下、体重の低下および皮膚刺激性の重篤な徴候を示した。雌ラットでの反復投与経口毒性試験で、 コーン油中のn-ペンタン酸が胃管強制により、0、125、250、500、750、および1000 mg/kg bw/日用量で連 続10日にわたって投与された。呼吸困難またはラ音が全ての処理群で観察された。運動の低下、傾眠、不動 化が750と1000 mg/kg bw/日で観察された。用量250 mg/kg bw/日以上で死亡が生じ、1000 mg/kg bw/日で全 2 一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター 動物が死亡した。三番目の試験では、n-ペンタン酸が10匹のラットに10 %(w/w)餌中までの用量の米の餌 で投与された;半分は115日に、残りの半分は150日に屠殺された。胃は、目視で病変が観察された場合は、 顕微鏡検査が行われた。n-ペンタン酸は前胃部位に良性の過形成、過角化症、表皮肥厚および乳頭腫を引き 起こした。有害な変化は検出されず、また、胃の腺状部に変化はなかった。 イヌとラットでの、プロパン酸類似物質の反復投与経口毒性データは入手可能である。イヌ(4~8匹/性/ 用量)は0、0.3、1.0または3.0 %の飼料中プロパン酸(雄 約0、196、660および1848 mg/kg bw/日、雌 約 0、210、696、ならびに1832 mg/kg bw/日)に100日間ばく露された。死亡は無く、毒性の臨床徴候は無く、 また血液学的または臨床生化学的変化は無かった。組織の顕微鏡検査は高用量群の3匹のイヌで接触部位の食 道粘膜のびまん性上皮過形成以外の病変を明らかにしなかった。食道の病変の発生率は、低用量の動物と対 照で同様であった。高用量の動物において、6週間の回復期後の食道病変の発生率は対照と同様であった。食 道において認められた接触部位影響に基づき、イヌでのこの試験のLOAELは飼料中の3 %プロパン酸(イヌ 雄1,848 mg/kg bw/日、イヌ雌1832 mg/kg bw/日)であり、NOAELは1 %プロパン酸あるいは雄660 mg/kg bw/ 日、雌696 mg/kg bw/日である。反復投与経口毒性試験で、ラット(20匹/性/用量)は飼料中0、0.62 %、1.25 %、 2.5 %または5 %プロパン酸を91日の間与えられた。死亡は無かった。高用量群(飼料中5 %)の雄は摂食量 の減少と体重増加の減少を示したが、他の毒性の臨床徴候は観察されなかった。観察された接触部位影響は、 高用量群のラットでの、前胃粘膜の上皮組織の表皮肥厚、過角化症および増殖であった;これらの変化は6週 間の回復期間後には観察されなかった。前胃で認められた接触部位影響に基づき、この試験の雄雌ラットの NOAELは飼料中の2.5 %プロパン酸であり、約1600 mg/kg bw/日である。 類似物質プロパン酸の胃における接触部位影響に焦点をあてた;他の組織は検査されなかった。雄ラット (6匹雄/用量)は、対照飼料または4 %のプロパン酸(約2700 mg/kg bw/日)を含むペレット状飼料を24週 間与えられた。胃の肉眼的および組織病理学的検査は、有害影響を明らかにしなかった。また、雄ラット(6 匹/用量)が粉末対照飼料または、4 %プロパン酸を含有する粉末飼料が12週間与えられた。ラットは、前胃 において重篤な過形成的変化と潰瘍形成を示したが、腺胃では示さなかった。 他の試験では、30匹の雄ラット群がラットの粉末飼料中0、0.4、または4 %プロパン酸を20週間または生 涯の間、与えられた。0.4 %プロパン酸(約270 mg/kg bw/日)を与えられたラットの内で、組織学的に前胃 で過形成および角化症が観察された。4 %のプロパン酸を与えられたラットの中に、20週で過形成および過角 化症のような前胃上皮の変化が報告され、ならびに、生涯ばく露で潰瘍を伴う過形成、異常角化症、および 乳頭腫の増加(一匹に不特定の「がん性」変化)が報告された。これらの試験で、腺胃において組織病理学 的変化は認められなかった。飼料濃度は明らかに観察された病変の発生に影響を及ぼしたように見えた。短 鎖脂肪酸の高用量給餌に対して、ラットの前胃で観察された接触部位影響は、重篤な刺激と炎症の結果と対 応する過形成的増殖性の修復反応でありそうである。 Salmonella typhimurium の複数菌株を用いる細菌による復帰突然変異試験、ならびにチャイニーズハム スター卵巣(CHO)細胞を用いるin vitro HGPRT前進突然変異試験において、n-ペンタン酸は代謝活性化系の 有無に係わらず、陰性であった。CHO細胞を用いるn-ペンタン酸でのin vitro 染色体異常試験は、代謝活性 化系の有無に係わらず、陽性であった。CHO細胞での in vitro 姉妹染色分体交換試験において、n-ペンタン 酸は代謝活性化無しで陰性、代謝活性化有りで陽性であった。測定されなかったので、これらの試験でpH影 3 一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター 響は不明確である。マウスでの in vivo 小核試験において、範囲決定試験で決定されたように、LD50の25 %、 50 %ならびに80 %の投与量で、n-ペンタン酸は腹腔内注入経由で陰性であった。範囲決定試験において、雌 (雄は無い)の200 mg/mLで細胞毒性(PCE/NCE比)が見られたが、濃度266 mg/mLまでの本試験では見 られなかった。これらのデータに基づき、n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の市販混合品は遺伝子突然変 異を誘発しないと予期されるが、 in vitro で染色体異常を誘発するかもしれない; in vivo で小核の誘発は 予期されない。 市販混合品またはその成分についての妥当な発がん性試験はない。明らかに方法論的に欠陥がある不適切 な(信頼度 3)マウスでの80週間経皮毒性試験で、未希釈のn-ペンタン酸の反復皮膚塗布(25 mg/匹または 950 mg/kg bwを2回/週塗布)は死亡(66 %)、重篤な皮膚の潰瘍、慢性的炎症、ならびに、瘢痕組織形成と 続く異形成、過形成および皮膚腫瘍を結果としてもたらした異常な細胞増殖を伴う再生性修復を生じた。対 照群も高い死亡率(48 %)を示した。反復ばく露の経皮毒性試験で観察された皮膚腫瘍ならびに in vitro 遺 伝子毒性の陽性結果に関して幾つかの不明確な点がある。しかし、これらの影響は試験溶液の低いpHに起因 するようであった。 n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の市販混合品またはその各成分の入手可能な生殖性試験はない。構造 類似物質、すなわちプロパン酸の生殖器官への影響に関するデータは入手可能である。反復投与経口毒性試 験において、生殖器官重量への影響は無く、飼料中5 %(約3300 mg/kg bw/日)までの用量でプロパン酸に 91日間ばく露された雌雄ラットで、生殖器官とその組織は正常であり、生殖器官毒性のNOAELは3300 mg/kg bw/日であった。同様に、飼料中3 %(約雄イヌ1848 mg/kg bw/日、雌イヌ1832 mg/kg bw/日)までの用量で プロパン酸を106日間まで与えられたイヌで、生殖器官への影響は無く、生殖器官毒性のNOAELは1832 mg/kg bw/日であった。 n-ペンタン酸の3つの発生毒性試験がある。胎児の奇形は観察されなかった。しかし、顕著な母獣の死亡は、 これらの試験から確実な結論を得る可能性を制限する。もっともしっかりした試験では、コーン油中のn-ペ ンタン酸が胃管強制経口によりSprague-Dawleyラットへ妊娠6日から15日に、0、50、100および200 mg/kg bw/日の用量で投与された。全投与群で母獣に投与中にラ音と啼鳴が報告された。全処理群で生じた母獣の死 亡は、100および200 mg/kg bw/日で、10 %より大きかった。試験で死亡している母獣の剖検は、気道の充血、 胃腸管の膨張、および胃の炎症を明らかにした。胎仔体重の減少が100と200 mg/kgで観察された。胸骨分節 の骨化減少の発生率の増加によって証拠立てられる発生毒性が50と100 mg/kg bw/日で観察された。発生影響 は母獣毒性によって混乱させられているかもしれない。 類似物質のプロパン酸カルシウムは非-腐食性のプロパン酸の塩であり、親物質の酸の典型である顕著な接 触部位毒性は生じない。プロパン酸カルシウムは妊娠マウスとラットに胃管強制経口で妊娠6-15日に0、3、 14、65、および300 mg/kg bw/日の用量で投与された。妊娠ウサギとハムスターはプロパン酸カルシウムを 胃管強制で0、4、19、86および400 mg/kg bw/日で妊娠6-18日(ウサギ)または6-10日(ハムスター)の間 に与えられた。全ての種で、母獣ならびに胎仔の生存、または胎仔または同腹仔数への影響は無かった。胎 仔の異常または骨格異常の増加は観察されなかった。母獣毒性と発生毒性の両方のNOAELは試験された最高 の投与量(マウスとラット300 mg/kg bw/日;ウサギとハムスター400 mg/kg bw/日)であった。 4 一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター n-ペンタン酸(64 %)と2-メチル-1-ブタン酸(36 %)の市販混合品はヒトの健康に有害性を示す特 性を有する(急性の皮膚および眼刺激性、接触部位影響に関連した反復投与毒性、母獣毒性がある状況 下で発生毒性の可能性)。OECD HPVプログラムの目的のために、ヒト健康の有害性を特徴付けるのに適 切なスクリーニングレベルのデータが入手可能である。 環境 n-ペンタン酸(64 %)と2-メチル-1-ブタン酸(36 %)の市販混合品は、加水分解可能な官能基が無いので、 環境中で加水分解すると予期されない。大気中で、ヒドロキシラジカルとの反応による、間接的な光-酸化は、 2.6 ~2.8 日(62.4 ~ 67.7 時間)の推定半減期を伴って生じると予期される。n-ペンタン酸について、大 気中光-酸化の半減期62.4時間が決定された。2-メチル-1-ブタン酸については、大気中光-酸化の半減期67.7 時間が決定された。市販混合品のOECD 301Dクローズドボトル試験は、28日後の72 %の生分解性の結果と なった。市販混合品は、好気的条件下で易生分解性である。 大気、水、土壌の各コンパートメントへの等量の継続的分配によるフガシティーモデルレベルⅢに基 づき、ほとんどのn-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸は、主に土壌(61.8 %、57.2 %)、および水(33.8 %、 36.8 %)のコンパートメントへ分布し、少ない量が大気のコンパートメント( 4.33 %、5.84 %)へ、 無視しうる量が底質コンパートメントへ分布すると予測される。水へ放出されると、この市販混合品は、 水コンパートメントに残る。n-ペンタン酸のヘンリー則定数は、4.48×10 -7 atm-m 3 /mol(0.045 Pa-m3 /mol)(25 ℃);2-メチル-1-ブタン酸のヘンリー則定数は、1.467×10 -6 atm-m 3/mol(0.149 Pa-m3 /mol)(25 ℃)である。これらの値は水相からの市販混合品成分の蒸発は高いとは予期されない。nペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸のKocは、それぞれ4.084および3.661 L/kgと推定された。 n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸のそれぞれの選択されたLog Kow値1.39と1.18 に基づき、生物蓄積性 は低い。BCFWIN(v3.00)による推定BCF値は市販混合品の両成分とも3.162である。 n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の市販混合品は、2つの脂肪酸異性体からなる:すなわちn-ペンタン酸 (64 %)と2-メチル-1-ブタン酸(36 %)である。 下記の市販混合品の急性毒性試験結果*が、以下の水生生物種について決定されている: 魚 魚 Oncorhyncchus mykiss Pimephales promelas OECD TG 203 止水試験系 水生無脊椎動物 藻類 Daphnia magna Straus Pseudokirchnerilla subcapitata OECD TG 202 OECD TG 201 96 時間 LC50 = 75.9 mg/L 96 時間 LC50 = 29 mg/L 96 時間 LC50 = 34 mg/L 48 時間 EC50 = 88.1 mg/L 96 時間 EbC50 = 51.8 mg/L (バイオマス) 96 時間 ErC50 = 66.2 mg/L (生長速度) 96 時間 NOEC = 12.8 mg/L (バイオマスと生長速度) *結果は全て緩衝化されていない試験溶液で測定された試験濃度に基づく。 n-ペンタン酸(64 %)と2-メチル-1-ブタン酸(36 %)の市販混合品は、環境有害性を示唆する特性 (緩衝化されていない系における急性水生毒性値が 1と100 mg/Lの間である)を有する。しかし、この 市販混合品は易生分解性であり、生物蓄積性が低い、また、観察された水生毒性は pH低下によるもので 5 一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター ある。OECD HPVプログラムの目的のために、環境有害性を特徴付けるのに適切なスクリーニングレベル のデータが入手可能である。 ばく露 n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の世界的な製造は、2004年に約30,000トンと推定された。2004年の消 費量は、米国で17,000トン、西欧で10,000トンと予測された。n-ペンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の市販混 合品は、閉鎖、連続工程でバレルアルデヒドと2-メチルブチルアルデヒド混合品の空気酸化反応により製造 される。 市販混合品は、冷却用途、難燃性油圧作動油、ならびにジェットエンジンで使われる工業潤滑油の製産の ためのネオポリオールエステル製造で産業中間体として使われる。幾つかの特別な用途は、医薬品中間体と しての、またバレル酸イソアミル(エステル系溶剤) 、金属塩、ならびに可塑剤の製造中の使用を含む。n-ペ ンタン酸と2-メチル-1-ブタン酸の二つの成分は、食品中で自然に発生する揮発物質として同定されており、 双方とも、食品への直接使用が認められた食品添加物である。2つの成分は哺乳動物と微生物の細胞内代謝の 生成物である。 米国における製造および加工プラント内のモニタリングデータは入手できない。市販混合品は閉鎖、連続工 程で製造される。製造、移送、および荷積み作業の間に、工学的管理法および蒸気捕集システムが使われる。 これらの措置は、職場のばく露および臭気の苦情を制限するために使用される。 その不快臭の故に、この市販混合品の製造および使用中の放出を最小限にするために、通常、さらにガス 洗浄機(スクラバー)や他の放出管理法が採用される。しかし、この市販混合品は、製造と使用中に環境中 へ逸散排出として放出されるかもしれない;この個々の成分は食品、微生物、動物の排泄物、ならびにジー ゼル排気からの自然発生の放出として環境中で検出さるかもしれない。 [著作権および免責事項について] [著作権] 本資料の著作権は弊センターに帰属します。引用、転載、要約、複写(電子媒体への複写を含む)は著作権の侵害となりますので御注意下さい。 [免責事項] 本資料に掲載されている情報については、万全を期しておりますが、利用者が本情報を用いて行う一切の行為について、弊センターは何ら責任を 負うものではありません。また、いかなる場合でも弊センターは、利用者が本情報を利用して被った被害、損失について、何ら責任を負いません。 6 一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター
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