データ

ブラッシュアップ(整形)
奥州市国民健康保険まごころ病院
高橋
和也
股関節・骨盤
• 骨折(骨粗鬆症に伴う骨折)
…大腿骨頸部骨折
大腿骨転子部骨折
恥骨・坐骨骨折
• 非骨折…炎症性関節炎
変形性関節症(OA)
阻血性骨壊死
骨折(骨粗鬆症に伴う骨折)
• MRIと単純写真との比較
非骨折
• 単純写真での読影
症例
62歳 女性
[いつから] 2週間前
[原因] ガラス拭きをした後から
[どこが] 左殿部から左股関節にかけて
[外科・整形主訴] 痛みがひどくなって
来て杖を使わないと歩くのにひどい
•
MRI
STIR
単純X線写真 骨盤正面
転位(-)
62歳女性
YAM86 %
0.414g/cm2
受診時
骨密度低下による脆弱性骨折
1か月後
症例
96歳 女性
[いつから] 昨日の夜から
[原因] 床で尻もちをついた為か?
[どこが] 右股関節
[外科・整形主訴]
痛く、歩く事ができない。
車イス使用
MRI
T1強調像
受診時
単純X線写真 骨盤正面
2週間後
受診時
96歳女性
YAM35 %
0.166g/cm2
2か月後
転位が大きい場合、骨癒合が遷延化、
さらに偽関節を形成し痛みが持続
症例
83歳女性
[いつから] 4~5日前
[原因] 自然と
[どこが] 腰から右足にかけて
[外科・整形主訴] 痛い、歩行できない
83歳女性
YAM51 %
96歳 女性
[いつから] 10日位前に
[どこで] 庭の土の所で
[原因] 転倒した
[どこが] 左臀部から左大腿にかけて
[外科・整形主訴] 痛くて力が入れら
れなくて、歩くのがひどい
96歳女性
YAM39 %
0.186g/cm2
過去画像
受診時
72歳女性
YAM39 %
0.186g/cm2
骨粗鬆症に伴う骨折
• 骨粗鬆症では不完全骨折や転位のない骨折を
きたす頻度が高く、単純X線写真で診断できない
潜在骨折の場合がある
• CTは通常の外傷性骨折の診断においては骨折線
や骨片の描出に有用性が高い。しかし、離解や
転位のない骨折は描出が困難で、特に骨粗鬆症
のために骨梁が減少している場合は、骨折に
よる骨梁の変化が捉えにくくなる。MRIは骨折の
描出に優れ、骨折以外の損傷を診断するにも
有用性が高い。
• 単純X線写真で異常がなくても、臨床的に骨折が
否定できない場合はMRIを行うことが望ましい。
臨床的に骨折が否定できない場合
• 痛くて、歩くことができない
潜在骨折の場合、痛いながらも
杖などついて歩いている場合がある
• 骨密度が低い
(測定上、単純X線写真上)
転位を生じ、完全骨折になる前に
早期に診断し、治療をする
単純写真の読影(股関節)
• ALIGNMENT
…骨の配置
• SOFT TISSUES…軟部組織の腫脹・石灰化
• BONES
…骨全体の密度 関節周囲の
骨密度低下・骨硬化
• CARTILAGE
…関節裂隙狭小化
骨びらん、骨棘
ALIGNMENT…骨の配置は正常か?
大腿骨頭
上部は滑らかな半円形か
寛骨臼の中央に収まっているか
SOFT TISSUES…石灰化
石灰化
寛骨臼と大腿骨頭の間に注目
骨盤正面写真では恥骨結合も確認
BONES…骨全体の密度
関節周囲の
骨密度低下・骨硬化
CARTILAGE…関節裂隙狭小化
骨びらん、骨棘
B
C
C
A
C
B
診断:変形性関節症
A大腿骨頭が卵円形に変形
B大腿骨頭と寛骨臼に骨硬化
C巨大骨棘形成
股関節の変形性関節症
関節裂隙は荷重面である
寛骨臼上面から狭小化
早期の変形性関節症
進行した変形性関節症
股関節の変形性関節症
関節裂隙は荷重面である
寛骨臼上面から狭小化
B
大腿骨頭への血流が滞るとX線上は…
壊死部から大腿骨頭が崩れる
壊死部分がまだら状に透過性亢進
C
外傷、大量ステロイド
投与、飲酒、過凝固、
血管炎、SLEなどが原因
で起こる
A
血流
診断:阻血性骨壊死
B
C
C
A大腿骨頭が不整形
B寛骨臼に軽度の骨硬化
B大腿骨頭に
まだら状に黒い部分
寛骨臼は軽症だが
大腿骨頭に大きな変化
C骨棘
B
C
C
A
B
診断:阻血性骨壊死
X線には早期には現れない
早期診断にはMRIが有効
A大腿骨頭が不整形
B寛骨臼に軽度の骨硬化
B大腿骨頭に
まだら状に黒い部分
C関節裂隙やや狭小化
軽度の骨棘
C
何らかの炎症性関節炎を疑う
最終診断は関節リウマチ
B
B関節周囲骨密度低下
C関節裂隙が
びまん性に狭小化
早期の関節リウマチ
数年後進行した関節リウマチ
股関節の関節リウマチ
関節裂隙は内側から狭小化
何らかの炎症性関節炎を疑う
最終診断は関節リウマチ
A大腿骨頭がやや卵円形
B関節周囲骨密度低下?
C関節裂隙が
びまん性に狭小化
C寛骨臼に骨びらん
C
S
S
股関節を見るときは
恥骨結合の石灰化も確認
診断:偽痛風
S寛骨臼と恥骨結合に石灰化
C関節裂隙が
びまん性に狭小化
仙骨翼と
腸骨の
線維結合
真の関節
(滑膜が存在)
仙腸関節の読影
真の関節がある
下半分に注目する
仙腸関節の読影
CARTILAGE…関節裂隙狭小化
骨びらん、骨棘
仙腸関節炎
Grade1
Grade2
Grade3
関節面不整化 びらん
関節裂隙の開大
軟骨下骨の反応性骨硬化
(特に血清反応陰性脊椎関節症で)
Grade4 関節癒合
正常
C
Grade1
Grade2
Grade3
Grade4
関節面不整化 びらん
関節裂隙の開大
軟骨下骨の反応性骨硬化
関節癒合
診断:仙腸関節炎
Grade2
C関節面の不整化
関節裂隙やや開大
仙腸関節炎
grade3
grade4
骨びらん、骨硬化で
関節がきえかけている
関節が癒合して
消えている
診断:変形性関節症
C
C骨棘形成
股関節の読影
炎症性関節炎
変形性関節症
(OA)
A
大腿骨頭の変形
内側偏位
進行すれば
大腿骨頭の変形
大腿骨頭の変形
S
B
偽痛風で石灰化
正常
正常
関節周囲の
荷重面の骨硬化
骨密度低下
偽痛風や乾癬では
比較的保たれる
大腿骨頭に
まだら状の
透過性亢進
軽度の骨硬化
C
びまん性の
関節裂隙狭小化
骨びらん
大腿骨頭の
関節面不整
寛骨臼上面から
関節裂隙狭小化
骨棘
阻血性骨壊死
仙腸関節の読影
C
仙腸関節炎
変形性関節症
(OA)
関節面不整
骨びらん
反応性骨硬化
癒合
骨棘形成
何らかの炎症性関節炎を疑う
股関節の所見だけで
鑑別は絞れない
(OAの否定はできる)
股関節
A大腿骨頭が不整形
C関節裂隙が
びまん性に狭小化
大腿骨頭に骨びらん
C
RAは通常、仙腸関節を侵さない…
血清反応陰性脊椎関節症を疑う
(RAに類似するが血清リウマチ因
子が陰性で、HLA-B27が高頻度に
陽性の疾患群)
強直性脊椎炎、乾癬性脊椎炎
反応性関節炎、腸炎性関節炎
股関節
仙腸関節
C関節面の不整、癒合
A大腿骨頭が不整形
C関節裂隙が
びまん性に狭小化
大腿骨頭に骨びらん
• 血清反応陰性関節炎(=脊椎関節炎)とは
•
主に背骨(脊椎)、腰(仙腸関節)の関節や腱付着部(アキレス腱、
足底)に炎症を来す疾患群であり、これには強直性脊椎炎・反応性関節
炎・乾癬性関節炎・炎症性腸疾患に伴う関節炎などが含まれます。これ
ら疾患では白血球の型(HLA)のうちB27と呼ばれる型が陽性であることが
多く、リウマチ因子が陰性であることから「血清反応陰性脊椎関節炎
(SNSA)」または「HLA-B27関連脊椎関節炎」とも呼ばれます。 原因、
症状いまのところ原因は不明ですが、このHLA-B27が疾患と強い相関を
示すため何らかの遺伝的要素が関与していると考えられてます。ただし
日本人での HLA-B27の陽性率は極めて低いため必ずしもHLAの型が陽性
とは限りません。男女比は約3~5:1と言われ、男性が女性に比べて多い
のも特徴です。一般に10~20歳ころより腰背部の痛み、こわばりが出
現し、この痛みは安静によって悪化、運動によって改善する特徴があり
ます。痛みが軽減すると脊椎や仙腸関節の運動制限(強直)が出現するこ
とが多くの症例に見られます。この強直の進行の度合いは人それぞれで
あり、20歳代のうちに背骨が硬く強直が見られる場合、40歳以降でも
強直が軽度または見られない症例も見受けられます。発症約20年の経過
で沈静化を認めることもあります。 診断、治療
•
脊椎の可動域測定を行い、血液検査では炎症反応(CRP・赤沈)を確認
します。また、レントゲンでは、仙腸関節の炎症像、強直像や脊椎の強
直像、すなわちbamboo spine(竹節様脊椎)像がみられることもあります