計算量的仮定に基づくノンユニバーサル 量子計算の研究-SBQPと多項式階層 (BQPのちょっと上とちょっと下) (25分) 森前智行(群馬大) 2015/5/30 ELC第一回領域会議@田町 BPPとBQP BPP:古典確率的TMで多項式時間で高い確率で解けるdecision problemの集合 BQP: 量子TM(回路)で多項式時間で高い確率で解けるdecision problemの集合 夢:BPP≠BQPを示したい! PSPACE PP AWPP しかし、これはPSPACE≠Pを意味するの で難しい! BPP=BQPだと変なこと(PHの崩壊等)が 起こる、というのも知られていない。 BQP BPP P 何らかの意味で量子計算機>古典計算機を示したい。 例: オラクルセパレーション Communication complexity Function problem Sampling problem ← 今回のテーマ BQPのちょっと下 ユニバーサル量子計算 測定 実際の測定は ノイジー 任意のユニタリ演算が実現できる。 Pure inputを好きなだけ用意できる。 NMRなんかでは難しい。Pure inputは 1個しか用意できないような弱いモデ ルを考えよう:DQC1 かなりむずい。特定のユニタリ演算しかできないよ うな弱いモデルを考えよう:IQP、Boson sampling このような、弱いモデルを非ユニバーサル量子計算と呼ぶことにする。 非ユニバーサル量子計算でも、「古典計算より速い」ものがあればうれしい。 BQPのちょっと下 X:ある非ユニバーサル量子計算モデル BQXP: Xモデルで多項式時間で高い確率で解けるdecision problemの集合 (イメージ) PSPACE PP BPP≠BQXP≠BQPを示したい! しかし、これはPSPACE≠Pを意味する! AWPP BQP BQXP BPP P (あくまでイメージ) オラクルセパレーション? Communication complexity? Function problem? Sampling problem? ← 今回のテーマ IQP 1.インプットは |+.....+> 2.ゲートは のみ 3.X基底で測定 明らかに、ユニバーサルでない。しかし、 古典サンプルできたらPHが3rdレベルで崩壊 [Bremner, et. al. Proc. Roy. Soc. 2010] IQPの出力確率分布=イジング分配関数 [Fujii and TM, arXiv:1311.2128] Boson sampling 光の粒子(Boson)を使った量子コンピューター 相互作用有り=ユニバーサル、相互作用無し=Boson sampling 古典サンプルできたらPHが3rdレベルで崩壊 [Aaronson and Arkhipov STOC 2011] DQC1モデル(one clean qubitモデル) U U I/2 I/2 I/2 通常の量子計算 DQC1 (Knill and Laflamme, Phys. Rev. Lett. 1998) NMR(Nuclear Magnetic Resonance)量子計算機モデル k個の測定を行う: DQC1_k 一見すると、全然量子パワーがなさそう。。。 ここかも BPP 明らかにここではない BQP PP 実際、 リーズナブルな仮定のもとではユニバーサルでないことは示された [Ambainis, Schulman, and Vazirani, STOC2000]. (対称性がありすぎて、多項式サイズの情報がレ ジスターに保持できない。) しかし、驚くことに、古典計算機よりは「速い」ように見える証拠がいくつも。。。 例:結び目不変量であるJones多項式の計算 古典:効率的に計算する方法が知られていない DQC1:効率的に計算できる!(Shor and Jordan QIC 2008) H H I/2 I/2 I/2 Open problem: DQC1は古典計算よりも真に速いのか? 「Jones多項式を効率的に計算できる」では不十分。 将来誰かが古典計算機でJones多項式を効率的に計算する方法を見つけるかも。 [TM, Fujii, and Fitzsimons, Physical Review Letters 2013]: もしDQC1_k (k>=3) の出力分布が古典計算機で効率的にサンプルできたら、polynomial hierarchyが3rdレベルで崩壊する。 Polynomial hierarchy: P, NPを一般化したもの。 NP, NP^{NP}, NP^{NP^{NP}},... 崩壊しないだろうと非常に強く信じられている。 k=1、 3rd level → 2nd level に改良された!! [Fujii, Kobayashi, TM, Nishimura, Tamate, and Tani (alphabetical order), arXiv:1409.6777] DQC1が古典サンプルできたらPHが2nd levelで崩壊。 [Fujii, Kobayashi, TM, Nishimura, Tamate, and Tani (alphabetical order), arXiv:1409.6777] NQP (= coC=P)というクラスを使用。 (NPの量子バージョン) L is in NQP iff there exists a QC s.t. If x is in L then P(o=1)>0 If x is not in L then P(o=1)=0 Assume L is in NQP P' = P(1-P)/2^n 測定値o x x x x x Therefore, L is in NP NQP ⊆ NP leads to the collapse of PH to 2nd level 注:SBQPでもいえる。NQPやSBQPがDQC1に制限しても不変なことが効いてる! x x x x x 今後の課題 1.multiplicative error approximationは厳しい → additive でできないか? Boson samplingではできる(Aaronson) 最近、IQPでもできることが示された[Bremner, et. al.] DQC1でもできないか? (Boson samplingはPermanentと、IQPはイジングと対応あるが、DQC1は何か対応あるのか?) 2.DQC1とBPP、BQPのオラクルセパレーションは? →いくつか結果はあるが、まだまだ分かっていない。 BQPのちょっと上 タイムトラベル(CTC) PSPACE PP=postBQP ポストセレクション、非線形量子力学、 p-norm確率ルール、等 SBQP AWPP BQP BPP この辺のものは無いの? →Lee and Barrett 2014, GPT CTC (Closed timelike curve) ρ’ U σ ρ Non-linearityをつかって 小さな確率を増幅できる。 →NP解ける。 BQP_CTC=PSPACE [Watrous and Aaronson] Open timelike curve U NP ⊆ BQP_OTC [Yuan, et. al. 2014] ポストセレクション 量子測定: 結果は確率的 a|0>+b|1> 0の出る確率は|a|^2 自分で好きな結果を出すことは無理。 もしできたら。。。 タイムトラベルが可能! 光速を超えて情報が伝わる! #Pが解ける (Lloyd and Adams, Phys. Rev. Lett. 1998) 自分の好きな結果が確率1でなぜか出せる、という架空の能力をポストセレクションという。 つまり、 a|0>+b|1> を常に|0> に射影できる! postBQP=PP [Aaronson] PostBQP A language L is in the class postBQP iff there exists 0 < d < ½ and a uniform family of BQP circuits such that U P O Post-BQP=PP (Aaronson Proc. Roy. Soc. 2005) ex. postBPP=BPP_path is in PH. postの世界ではBQP≠BPP! 制限されたPostBQPを考えると。。。 AWPP,APPの量子的解釈! WPPを含むのでBQPのちょっと上! [TM and Nishimura, arXiv:1502.00067] AWPP A language L is in AWPP iff there exists a GapP function g and FP function f s.t. If x is in L then 2/3 < g/f <1 If x is not in L then 0<g/f<1/3 A function g is a GapP function iff there exists a NDTM s.t. g(x) = # of accepting paths - # of rejecting paths Quantum probability = GapP/2^n (cf. Classical probability=#P/2^n ) BQP ⊆ AWPP ⊆ PP AWPPは、PPより良い上限であるものの、PPに比べて意味がよく分からん。 →今回、制限されたpostBQP=AWPPという、AWPPの量子解釈を初めて与えた! 今後の課題 1. AWPP=postBQP_FPにならないの?? 2. AWPPが制限されたポストセレクションで説明できる物理的、計算量的理由は? 3. 何か他のGeneralized quantum theoryで面白い計算量を持つものは? (特に、GPTで何か例がないか??) 4. BQP_pathのようなものはないの? postBQPの古典バージョン、postBPPというのも考えれる。これはBPP_pathと等価。 BPP_path: BPPにおけるNon-determinisitic計算の計算パスの長さが等しくないもの。 QMA (Quantum Merlin-Arthur) AWPPとは違う方向でのBQPのちょっと上。 Merlin: super power Arthur: BQP Witness: polynomial-size quantum state sent from Merlin to Arthur L is in QMA iff 1. if x is in L then Arthur accepts witness with probability >a 2. if x is not in L then Arthur accepts witness with probability <b Here a-b > 1/poly(n) PP SBQP AWPP QMA BQP End
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