2016 年 3 月吉日 ~突撃★ドメーヌ最新情報!!~ ◆VCN°33 ドメーヌ・ド・ベル・ヴュー 生産地方:ロワール 新着ワイン 2 種類♪ AC ミュスカデ キュヴェ・グラニット 2014(白) 2014 年は、グラニットもセーヴル・エ・メーヌ同様に当たり年!ジェローム曰く、2014 年のグラニット は例年よりもクオーツや火打石など鉱石の香りと味わいが全面に出ているとのこと!確かに、いつもよりもワ インに勢いと締りがあり、塩辛いミネラルの風味が長く余韻に残る。ちなみに、デンマークのレストラン 「Noma」もジェロームと取引があり、彼らはジェロームのワインの中でグラニットが一番のお気に入りなの だそうだ! ペティアン・ナチュレル キュヴェ ミャム・ミャム 2013(ロゼ) シャンパーニュのエクストラ・ブリュットを意識した本格的なペティアン・ナチュレル!前回のリリースと 同じワインだが、今回はさらに 12 ヶ月長く瓶内熟成させ、よりシャンパーニュに近いフィネスと細かい泡立 ちを引き出すことにチャレンジした!前回の初リリースの時点ですでに泡の勢いや適度な清澄度合い、ペティ アン・ナチュレルとしての完成度は十分高かったが、今回はそこにフィネスと繊細な泡立ち、複雑な味わいが 加わり、さらにレベルアップしている!味わいの中にミュスカデ地方特有の潮のようなミネラルの風味もはっ きりとあり、磯の香りが漂う魚介類との相性は抜群だ! ミレジム情報 当主ジェローム・ブレトドーのコメント 2013 年は、幸いにも霜や雹、ブドウの病気などの大きな被害がなく、収量平均は 37 hL/ha と、フランス全 体が 2 年連続厳しいミレジムだった中では、大いに健闘した年だった! 春のスタートは低温多湿で、寒さのため房になりかけたブドウが開花前に蔓になり、この時点で約 2 割ブドウ が減ってしまった。だが、開花が始まった 6 月中旬から天気は一気に回復し、最終的に収穫終わりまで良い天 候に恵まれた!収穫したブドウも見た目がきれいでどれも健全なものばかり取り入れることができた!ただ、 最初のスタートで成長にブレーキがかかってしまったためなのか、例年よりもブドウの粒は小さく、糖度の上 がり方も非常にゆっくりだった。9 月上旬の時点でミュスカデの潜在アルコール度数が 8 度にも達しなかった 時はかなり心配だったが、最終的に収穫時期を最大限に待ち 12 度前後まで持って行くことができた! 2014 年は、結果的に当たり年だった!スタートは順調で霜もなく、開花もうまく行ったのだが、6 月の終わ りから一転天候が崩れ、気温の上がらない雨がちな日が続いた。7 月に入り天気が一瞬戻ってきたが、8 月に入 ってからは再び雨の多い天候に悩まされた。通常は、8 月にはヴェレゾンが始まり、畑の散布も終わりなのだ が、2014 年は 8 月から畑にミルデューが蔓延し始めたため、バカンス返上でボルドー液散布を行なわなけれ ばならなかった。だが、9 月に入り再び太陽が戻ってきて、気温も夏日のように上昇し、ブドウの成長の遅れ も無事取り戻すことができ、結果しっかりと完熟したきれいなブドウを収穫することができた! 「ヨシ」のつ・ぶ・や・き 今年の 1 月の終わりに、モンペリエで開催されたシャソルネイやルネモスなどヴァンナチュール生産者の大 御所が集うワインサロン Les affranchis に初参加を果たしたり、2 月初めにはアンジェの自然派ワインサロン La dive bouteille に参加したりと、年初から何かと忙しく動き回わるジェローム!サロンに出ることによって 彼の注目が集まるのは、長く応援をしてきた我々にとってもプラスでとても喜ばしいことだが、一方で、肝心 のワインが人気のため年々品薄になっていくのが悩ましいところだ…。 2015 年は、例年よりも豊作だったことから、彼は通常ワインのつなぎとして「ワンショット・グラニット」 というミュスカデの新酒を 1500 本ほどリリースしたのだが、何とクリスマス前のものの 1 週間で完売!幸い 通常のミュスカデなど前もって主要なワインの予約を予め済ませていたおかげで、どうにか今年もワインをあ る程度確保できそうだが、2015 年が豊作にもかかわらずサロン後にワインのオファーをしたクライアントはす でに数調整に入っているという状態のようだ。現在はデンマークやスウェーデン、フィンランドなどの北欧諸 国、アメリカ、オーストラリア、カナダが彼に熱烈なラブコールを送ってきているそうだ。中でも特に、卵型 セメントタンクで仕込んだミュスカデ「ガイヤ」 、アンフォラで仕込んだシャルドネ「ジュスティス」 、樽熟の ピノノワールなどワンランク上のワインが彼らに大人気なのだそうだ!(このワインの確保が実に困難) 「私のワインはナチュールでありながら洗練された味わいを目指しており、ビストロだけでなくガストロノ ミーにも受け入れてもらうことができている。今そのような味わいのワインをたまたま多くのお客さんが求め ているのだと思う」と自らのワインの動きについて語ってくれた。確かに、今回のミュスカデ・グラニットに してもペティアン・ナチュレルにしても、ものすごく完成度が高くきれいなワインだ!ナチュールでこのパフ ォーマンスの高さ…人気が出ないわけがない! 今年、さらにミュスカデの畑を 1 ha 拡大し、さらなる進化を遂げるジェローム!今後の活躍に目が離せな い! (2015.11.18.のドメーヌ突撃訪問&2016.2.1.ワインサロン「ディーヴ」より) テロワールを感じるワインの真髄は土壌をしっかりと耕すところにある! ジェローム・ブレトドー (ドメーヌ・ド・ベル・ヴュー) 生産地 ロワール河左岸、ナント市から南東へ 40 km ほど下ったセーヴル川沿いの町クリソン。セーヴル・エ・メーヌの地 区の中でもヴァレに次いで「復活祭を祝うワイン」をつくることで有名なミュスカデの主要産地だ。そのクリソンの 隣のこじんまりした村ジェティニエにジェローム・ブレトドーのカーヴがある。彼の所有する畑はヴァレの町からジ ェティニエ村の間に所々点在し、総面積 8 ha のうち 4 ha がミュスカデの畑、他はヴァン・ド・ペイ(val du Loire) の畑で、全て南向きの日照に恵まれた場所に位置している。この地域の気候は、大西洋から 100 km ほどしか離れて いないため、海洋性気候の影響を受けやすい。そのため、気温は穏やかに安定しているが、他のワイン産地に比べて 比較的雨が多く、毎年ベト病の心配がある。 歴史 現オーナーであるジェローム・ブレトドーは、ヴィニョロンとは全く無縁の家系で育ったが、彼の父親が大のワイン 好きということもあって、なんと!5 歳の時から毎回食事の時に彼の父親からワインを味見させてもらっていていた そうだ!彼が本格的にワインに興味を持ち始めたのは 15 歳の時!彼の誕生日に、父親から何気なくプレゼントされ たボルドーワインの教本が彼のワイン人生に火をつけた。以来、アルバイトで貯めたお金を全て、本に掲載されてい るボルドーワインに注ぎ込み、独学でワインをマスターしていく。18 歳の時に、ヴァレの隣村ランドローにある醸 造学校で 2 年間醸造学を勉強し、そして卒業後、今度はナントのワイン学校で 2 年間栽培学を学ぶ。ナントの学校 を出た 1995 年~2005 年までヴァレにあるワイン農協(アランゴベール)で栽培醸造責任者として働く。当初から 「自分のワイナリーを立ち上げる!」という確固たる目標をもっていたジェロームは、農協でサラリーマンをしなが ら、同時に自らのワイナリー立ち上げの準備を着々と進めていく。1996 年~1997 年には親の所有していた土地に VDP のブドウを植樹し、また、暇を見つけてはミュスカデ自然派ワインの大御所ジョー・ランドロンのドメーヌで スタージュをしてビオロジックの実践を積む。2005 年に 4 ha のミュスカデ畑を購入し、その年の 12 月からドメー ヌ・ド・ベル・ヴューをスタートさせる。 生産者 現在、ジェロームは 8 ha の畑を1人で管理している。 (繁忙期は季節労働者が 2~3 人を雇う。)彼の所有するブド ウ品種は、ミュスカデ、グロ・プラン、ソービニヨン・グリ、ピノグリ、シャルドネ、ガメイ、カベルネソービニヨ ン、カベルネフラン、メルロ、ピノノワールで、樹齢は VdP で 7~12 年。ミュスカデは 20 年平均、古樹のミュス カデは樹齢が 50 年を越える。彼にはたいへんユニークなアイデアがあって、ミュスカデ以外の品種でその土地のテ ロワールの特徴や可能性を引き出すという試みを 10 年前から続けている。4 ha しかない VdP の畑面積に 9 種類も の異なる品種を植えているのはそのためで、今後も積極的に新しい品種を植えて、将来的にはミュスカデの産地でア ッと驚くようなスーパーVdP ワインをつくることを夢みている。 ドメーヌ・ド・ベル・ヴューの+α情報 <もっと知りたい畑のこと> 土壌:アルジロ・グラニット(花崗岩) 総面積:8 ha 品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ)、グロ・プラン、ソービニヨン・グリ、ピノ・グリ、シャルドネ、 ガメイ、カベルネソービニヨン、カベルネフラン、メルロ、ピノノワール 樹齢:7~70 年 剪定方法:ギュイヨ・ナンテ(左右真ん中と 3 つの短い新梢を残すゴブレの変形版) 生産量:45 hL/ha 収穫方法:収穫者 15 人前後で手摘み。畑で房レベルの選果(VdP は機械収穫) ビオの認証:無し <もっと知りたい醸造のこと> 醸造方法:白はシュール・リー(ヴィエイユ・ヴィーニュはバレルファーマンテーション)、赤はトラディショナル。 白は手摘みで収穫。畑で房レベルでの選果後、プヌマティック圧搾機で 2 時間かけて圧搾。圧搾されたジュース をいったんイノックスタンクに移し、温度 10 度の状態で 24 時間かけてデブルバージュを行なう。澱引き後、 清澄されたジュースを別のイノックスタンクに移し自然発酵。 (ヴィエイユ・ヴィーニュは古樽へ移し自然発酵。) 発酵後は澱引きせずシュール・リーの状態で約 7 ヶ月熟成。 (ヴィエイユ・ヴィーニュはその後イノックスタン クに移し、再び 10 ヶ月、合計 17 ヶ月近く熟成させる)熟成後、澱引きをして瓶詰め。 赤は、機械収穫後、除梗破砕にかけそのままイノックスタンクへ。マセラシオンの期間は 10 日~14 日間。その 間、1 日 1 回のルモンタージュを施す。フリーランとプレスをアッサンブラージュし、タンク熟成のワインは再 びイノックスタンクへ。また樽熟成のワインは古樽に移し、共に約 1 年の熟成を経て瓶詰め。 酵母:自然酵母 発酵期間:赤はイノックスタンクで 10~14 日間。白はイノックスタンクまたは古樽で約 30 日間。 熟成方法:VdP と普通のミュスカデ白はともにイノックスタンク。ヴィエイユ・ヴィーニュは古樽。 SO2 添加:プレス時、マロラクティック醗酵終了時、ビン詰め時に少々。 熟成樽:2~3 年樽(樽はシャトー・マルゴーとスミス・オー・ラフィットから直接購入) フィルター:白は目の粗いメンブランシート、赤は卵白でコラージュ&テールブランシュ。 ちょっと一言、独り言 「僕は 5 歳の時から、食事中に飲む親父のワインを毎日味見させてもらっていたよ。そして、その頃からすでにワ インは美味しいと思っていた!」 これは私が、最初にワインに興味を持ったきっかけについてジェローム・ブレトドーに質問した時に返ってきた答 えだ。「ん~さすがはフランス人!」と素直に感心してよいのかどうかは…年齢が年齢なので迷いどころだが、でも 当時から本当にワインが好きだったのだろう。極めつけは、彼が 15 歳の時にボルドーワインに興味を持ち、以来、 バイトで稼いだお金を全てボルドーワインに注ぎ込んだことだ!彼の話では、ボルドーのクリュクラスのワインのほ とんどを自腹でテイスティングして学んだそうだ。15 歳といえば…えっまだ中学生じゃないの!!?って!こんな に若い頃からお酒に味をしめるなんてさぞかし不良少年だったのでは!?と思いきや、実際は逆で、16 歳の時には すでに自分のワイナリーを持つことを目標に決めていたような至ってまじめな青年だったようだ。若い頃から「とに かくたくさんの地域のワインを知りたかった」という彼。ワインの学校に入ってからは、本を読みつつ、他国のワイ ンなども含めて貪欲にテイスティングして違いを学んだそうだ。そして、ナントのワイン学校で栽培学を学んで以降、 彼は、醸造学よりもむしろブドウ品種や土壌、テロワールの可能性にどんどん傾倒していくようになる。 「基本的に、ブドウの栽培できる地域であればどんな品種であれ、土壌次第では偉大なワインたり得る可能性があ ると思っている」 。現在、ミュスカデの他に VdP で約 9 種類もの異なる品種を植えているのも、この考えがベースに あるようだ。彼にとって、ワインづくりで一番大切なもの、いや、興味のあるものはスバリ土壌で、「しっかりと耕 された健康な畑に、しっかりとしたブドウの根が根づけば、すばらしいブドウができる。そして、すばらしいブドウ からは上質のワインができる」と確信している。現に、彼のつくる VdP ワインはフランス国内で全て即完売という 人気ぶりで、また、近年はこの VdP を購入したクライアントがジェロームのミュスカデを初めて知り、そして、彼 のミュスカデを通じてあらためてミュスカデ本来の良さを再認識し始めるという相乗効果を生んでいるそうだ!(格 下げした VdP ワインが本来の AOC ワイン評価を牽引するなんて…自然派ワインでは良く起こりがち!?) 当時、彼がまだ農協で働いていた時、彼はありとあらゆるミュスカデを試飲し、気になるドメーヌがあれば直接自 分の足で訪問してまわった。その結果、彼の中で明らかにテロワールの違いを感じとれたワインがひとつあったそう だ。それが、以降、彼に多大な影響を与えるジョー・ランドロンのミュスカデだった。今では自然派ワインの直接の 先輩にあたるジョー・ランドロンも、当時、彼に教えたことはこの「土壌を耕すこと」の大切さだった。「ジョーの ワインづくりは自分の考えを一歩確信に近づけた」というジェローム。彼が言うに、「このミュスカデという地域の 土壌は二重構造になっていて、大陸から来る花崗岩とその下に大西洋プレートから来る片麻岩が重なり合っている。 土壌がしっかりと耕され、ブドウの根が地中奥深くにあるミネラルをたっぷり含んだ片麻岩に届いた時に、初めて複 雑なテロワールの個性がワインに反映される」とのことだ。確かに、彼のつくるワインは、ミュスカデにしても VdP にしても、味わいの中になにかやさしい海のミネラルを想像させるようなある共通した個性が感じられる。この共通 した個性はもちろん彼自身が一番実感していることで、また、土壌から来るテロワールの可能性を追求する彼の動機 にもなっている。 「僕のミュスカデはまだまだポテンシャルを引き出せる!」と最後まで情熱的に語ってくれた若干 32 歳の若きビ ニョロン、ジェローム・ブレトドー!これからも彼は、+αのポテンシャルを引き出すためにビオディナミの導入等、 貪欲に新しい方法をとり入れていこうと考えている。 たかがミュスカデ…とお思いの皆さん!彼のコストパフォーマンス高い「テロワールを感じる」ワインをとくとご 賞味あれ!
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