2013 年 8 月吉日 ~突撃★ドメーヌ最新情報!!~ ◆VCN°33 ドメーヌ・ド・ベル・ヴュー 生産地方:ロワール 新着ワイン 3 種類♪ ジェローム曰く、2012 年は、全体の収量は少ないが、ブドウの中身がしっかりとあり、全てにテロワー ルを感じるワインに仕上がっているとのこと! AC ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ 2012 ガブロと言われる斑レイ岩は、俗に「冷たい岩石」と言われ、ワインにフレッシュさと酸のキレ、潮のミネ ラルの風味を与える!2012 年はこの特徴が良く出ていて、いつもよりも長熟に耐えるワインに仕上がっ たとのこと!生ガキにはピッタリのワインだ! AC ミュスカデ・キュヴェ・グラニット 2012 グラニット(花崗岩)は、逆に「温かい岩石」と言われ、太陽の熱を吸収しやすく、セーヴル・エ・メーヌに 比べて、ワインにふくらみとボリューム感が備わる!口当たりが優しくバランスがとても良いので、ついク イクイ行ってしまう!黙っていたら一人で軽く 1 本は空いてしまいそうだ! IGP ヴァル・ド・ロワール赤 キュヴェ・ミャム・ミャム 2012 カベルネ・フランをマセラシオンカルボニックで仕込んだ新しいキュヴェ!ヴァン・ド・ソワフの赤をつくりた いとの思いから、試につくってみたそうだが、これが何とも言えないくらい喉越しがよく、美味しい! ワインがフルーティで白ワインくらいに冷やしても十分美味しく、アペリティフとしてももってこいだ! 2012 年ミレジム情報 当主ジェローム・ブレトドーのコメント 4 月初めの 3 週間は天気も良く、新芽も一気に成長し始めたのだが、その後は一気に気温が落ち込み、 雨の多い不安定な天候が続いた。この時すでに、新芽には小さなブドウの房の原型が付いていたのだが、 房が十分に育つ日照量が足りなかったため、その多くがブドウのツルに変わってしまった…。 結局、不安定な天候は 7 月の終わりまで続き、この間、花流れや結実不良、そしてミルデューの被害など にも遭った。この時点で、ブドウの房は例年の半分以下に減っていた。 8 月に入りようやく天気が回復に向かい始めた!本来の気温に戻ると同時に、ブドウも再び勢いを取り 戻す。不幸中の幸いか、ブドウの房が極端に減ったおかげで、あとの完熟は早かった!そのまま天気は崩れ ることなく 10 月初めまで安定し、白ブドウはベストな状態で収穫ができた!ただ、10 月中旬、収穫の最後 となる赤については、雨の中で行なった。 「ヨシ」のつ・ぶ・や・き 去年、念願だったカーブを新設し、同時に新しく「たまご型のセメントタンク」を導入した!また、今年 から一部赤ワインの仕込みに「アンフォラ」を取り入れるなど、進化を続けるジェローム!2013 年は、新 しく従業員を 1 人雇い、新たに 1.5ha の畑を手に入れ、全ての畑をビオディナミに変えるなど、ワインの 品質向上に邁進している!実際、 ここ最近の彼のワインの評価はうなぎのぼりで、アメリカや北欧はも ちろん、特にフランス国内の引きが増えている!人気が出て嬉しい反面、今までの数量確保が、既に難 しくなりつつある。。まずは 2013 年の豊作を祈る事にしよう! (2013.4.30.のドメーヌ突撃訪問より) テロワールを感じるワインの真髄は土壌をしっかりと耕すところにある! ジェローム・ブレトドー (ドメーヌ・ド・ベル・ヴュー) 生産地 ロワール河左岸、ナント市から南東へ 40km ほど下ったセーヴル川沿いの町クリソン。セーヴル・エ・メーヌの地区の中でもヴ ァレに次いで「復活祭を祝うワイン」をつくることで有名なミュスカデの主要産地だ。そのクリソンの隣のこじんまりした村ジ ェティニエにジェローム・ブレトドーのカーヴがある。彼の所有する畑はヴァレの町からジェティニエ村の間に所々点在し、総 面積 8ha のうち 4ha がミュスカデの畑、他はヴァン・ド・ペイ(val du Loire)の畑で、全て南向きの日照に恵まれた場所に位 置している。この地域の気候は、大西洋から 100km ほどしか離れていないため、海洋性気候の影響を受けやすい。そのため、 気温は穏やかに安定しているが、他のワイン産地に比べて比較的雨が多く、毎年ベト病の心配がある。 歴史 現オーナーであるジェローム・ブレトドーは、ヴィニョロンとは全く無縁の家系で育ったが、彼の父親が大のワイン好きという こともあって、なんと!5 歳の時から毎回食事の時に彼の父親からワインを味見させてもらっていていたそうだ!彼が本格的に ワインに興味を持ち始めたのは 15 歳の時!彼の誕生日に、父親から何気なくプレゼントされたボルドーワインの教本が彼のワ イン人生に火をつけた。以来、アルバイトで貯めたお金を全て、本に掲載されているボルドーワインに注ぎ込み、独学でワイン をマスターしていく。18 歳の時に、ヴァレの隣村ランドローにある醸造学校で 2 年間醸造学を勉強し、そして卒業後、今度は ナントのワイン学校で 2 年間栽培学を学ぶ。ナントの学校を出た 1995 年~2005 年までヴァレにあるワイン農協(アランゴベー ル)で栽培醸造責任者として働く。当初から「自分のワイナリーを立ち上げる!」という確固たる目標をもっていたジェローム は、農協でサラリーマンをしながら、同時に自らのワイナリー立ち上げの準備を着々と進めていく。1996 年~1997 年には親の 所有していた土地に VDP のブドウを植樹し、また、暇を見つけてはミュスカデ自然派ワインの大御所ジョー・ランドロンのド メーヌでスタージュをしてビオロジックの実践を積む。2005 年に 4ha のミュスカデ畑を購入し、その年の 12 月からドメーヌ・ ド・ベル・ヴューをスタートさせる。 生産者 現在、ジェロームは 8ha の畑を1人で管理している。(繁忙期は季節労働者が 2~3 人を雇う。)彼の所有するブドウ品種は、ミ ュスカデ、グロ・プラン、ソービニヨン・グリ、ピノグリ、シャルドネ、ガメイ、カベルネソービニヨン、カベルネフラン、メ ルロ、ピノノワールで、樹齢は VdP で 7~12 年。ミュスカデは 20 年平均、古樹のミュスカデは樹齢が 50 年を越える。彼には たいへんユニークなアイデアがあって、ミュスカデ以外の品種でその土地のテロワールの特徴や可能性を引き出すという試みを 10 年前から続けている。4ha しかない VdP の畑面積に 9 種類もの異なる品種を植えているのはそのためで、今後も積極的に新 しい品種を植えて、将来的にはミュスカデの産地でアッと驚くようなスーパーVdP ワインをつくることを夢みている。 ドメーヌ・ド・ベル・ヴューの+α情報 <もっと知りたい畑のこと> 土壌:アルジロ・グラニット(花崗岩) 総面積:8 ヘクタール 品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ)、グロ・プラン、ソービニヨン・グリ、ピノ・グリ、シャルドネ、ガメイ、カ ベルネソービニヨン、カベルネフラン、メルロ、ピノノワール 樹齢:7~70 年 剪定方法:ギュイヨ・ナンテ(左右真ん中と 3 つの短い新梢を残すゴブレの変形版) 生産量:45hl(1 ヘクタールあたり) 収穫方法:収穫者 15 人前後で手摘み。畑で房レベルの選果 (VdP は機械収穫) ビオの認証:無し <もっと知りたい醸造のこと> 醸造方法:白はシュール・リー。(ヴィエイユ・ヴィーニュはバレルファーマンテーション) 、赤はトラディショナル。 ・ 白は手摘みで収穫。畑で房レベルでの選果後、プヌマティック圧搾機で 2 時間かけて圧搾。圧搾されたジュースをいったん イノックスタンクに移し、温度 10 度の状態で 24 時間かけてデブルバージュを行なう。澱引き後、清澄されたジュースを 別のイノックスタンクに移し自然発酵。 (ヴィエイユ・ヴィーニュは古樽へ移し自然発酵。 )発酵後は澱引きせずシュール・ リーの状態で約 7 ヶ月熟成。 (ヴィエイユ・ヴィーニュはその後イノックスタンクに移し、再び 10 ヶ月、合計 17 ヶ月近く 熟成させる)熟成後、澱引きをして瓶詰め。 ・ 赤は、機械収穫後、除梗破砕にかけそのままイノックスタンクへ。マセラシオンの期間は 10 日~14 日間。その間、1 日 1 回のルモンタージュを施す。フリーランとプレスをアッサンブラージュし、タンク熟成のワインは再びイノックスタンクへ。 また樽熟成のワインは古樽に移し、共に約 1 年の熟成を経て瓶詰め。 酵母:自然酵母 発酵期間:赤はイノックスタンクで 10~14 日間。白はイノックスタンクまたは古樽で約 30 日間。 熟成方法:VdP と普通のミュスカデ白はともにイノックスタンク。ヴィエイユ・ヴィーニュは古樽。 SO2 添加:プレス時、マロラクティック醗酵終了時、ビン詰め時に少々。 熟成樽:2~3 年樽(樽はシャトー・マルゴーとスミス・オー・ラフィットから直接購入) フィルター:白は目の粗いメンブランシート、赤は卵白でコラージュ&テールブランシュ。 ちょっと一言、独り言 「僕は 5 歳の時から、食事中に飲む親父のワインを毎日味見させてもらっていたよ。そして、その頃からすでにワインは美味し いと思っていた!」 これは私が、最初にワインに興味を持ったきっかけについてジェローム・ブレトドーに質問した時に返ってきた答えだ。「ん~ さすがはフランス人!」と素直に感心してよいのかどうかは…年齢が年齢なので迷いどころだが、でも当時から本当にワインが 好きだったのだろう。極めつけは、彼が 15 歳の時にボルドーワインに興味を持ち、以来、バイトで稼いだお金を全てボルドー ワインに注ぎ込んだことだ!彼の話では、ボルドーのクリュクラスのワインのほとんどを自腹でテイスティングして学んだそう だ。15 歳といえば…えっまだ中学生じゃないの!!?って!こんなに若い頃からお酒に味をしめるなんてさぞかし不良少年だっ たのでは!?と思いきや、実際は逆で、16 歳の時にはすでに自分のワイナリーを持つことを目標に決めていたような至ってまじ めな青年だったようだ。若い頃から「とにかくたくさんの地域のワインを知りたかった」という彼。ワインの学校に入ってから は、本を読みつつ、他国のワインなども含めて貪欲にテイスティングして違いを学んだそうだ。そして、ナントのワイン学校で 栽培学を学んで以降、彼は、醸造学よりもむしろブドウ品種や土壌、テロワールの可能性にどんどん傾倒していくようになる。 「基本的に、ブドウの栽培できる地域であればどんな品種であれ、土壌次第では偉大なワインたり得る可能性があると思ってい る」。現在、ミュスカデの他に VdP で約 9 種類もの異なる品種を植えているのも、この考えがベースにあるようだ。彼にとって、 ワインづくりで一番大切なもの、いや、興味のあるものはスバリ土壌で、「しっかりと耕された健康な畑に、しっかりとしたブ ドウの根が根づけば、すばらしいブドウができる。そして、すばらしいブドウからは上質のワインができる」と確信している。 現に、彼のつくる VdP ワインはフランス国内で全て即完売という人気ぶりで、また、近年はこの VdP を購入したクライアント がジェロームのミュスカデを初めて知り、そして、彼のミュスカデを通じてあらためてミュスカデ本来の良さを再認識し始める という相乗効果を生んでいるそうだ!(格下げした VdP ワインが本来の AOC ワイン評価を牽引するなんて…自然派ワインでは 良く起こりがち!?) 当時、彼がまだ農協で働いていた時、彼はありとあらゆるミュスカデを試飲し、気になるドメーヌがあれば直接自分の足で訪問 してまわった。その結果、彼の中で明らかにテロワールの違いを感じとれたワインがひとつあったそうだ。それが、以降、彼に 多大な影響を与えるジョー・ランドロンのミュスカデだった。今では自然派ワインの直接の先輩にあたるジョー・ランドロンも、 当時、彼に教えたことはこの「土壌を耕すこと」の大切さだった。 「ジョーのワインづくりは自分の考えを一歩確信に近づけた」 というジェローム。彼が言うに、「このミュスカデという地域の土壌は二重構造になっていて、大陸から来る花崗岩とその下に 大西洋プレートから来る片麻岩が重なり合っている。土壌がしっかりと耕され、ブドウの根が地中奥深くにあるミネラルをたっ ぷり含んだ片麻岩に届いた時に、初めて複雑なテロワールの個性がワインに反映される」とのことだ。確かに、彼のつくるワイ ンは、ミュスカデにしても VdP にしても、味わいの中になにかやさしい海のミネラルを想像させるようなある共通した個性が 感じられる。この共通した個性はもちろん彼自身が一番実感していることで、また、土壌から来るテロワールの可能性を追求す る彼の動機にもなっている。 「僕のミュスカデはまだまだポテンシャルを引き出せる!」と最後まで情熱的に語ってくれた若干 32 歳の若きビニョロン、ジ ェローム・ブレトドー!これからも彼は、+αのポテンシャルを引き出すためにビオディナミの導入等、貪欲に新しい方法をと り入れていこうと考えている。 たかがミュスカデ…とお思いの皆さん!彼のコストパフォーマンス高い「テロワールを感じる」ワインをとくとご賞味あれ!
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