この10年 96読者が選んだ10大ニュース(国内) 96/12/24 東京朝刊 特集面 06段 〈2〉北海道のトンネルで落盤事故、20人死亡 北海道古平町の豊浜トンネルで2月10日、長さ約40メートルにわたる落盤 事故があり、路線バスと乗用車が押しつぶされ、20人が生き埋めになった。 約2万7千トンもの巨大な岩盤と崩落再発の危険性に阻まれて救出作業は難 航。ようやく、4回目の発破で岩盤を除去したものの17日、全員が遺体で発見 される最悪の結果となった。 小樽・札幌両労基署はバス運転手ら5人について3月29日に労災認定。政府 も事故調査委から「崩落の予知予測は困難だった」との報告を受けながらも、遺 族感情に配慮し、国家賠償法に基づく補償を行うことを9月20日決めた。 事故以来不通となっていたトンネルは12月11日から暫定的に通行可能に なったが、北海道開発局は同17日、2001年春までに、同トンネルの出入り 口を利用したバイパストンネルを山側に建設すると決めた。これにより、事故個 所は閉鎖されることになる。 《関連記事》 ● 北海道のトンネル事故 落盤、バス埋まる 運転手生き埋め 乗客数人が中 に? (96/02/10) ● 北海道・豊浜トンネル崩落事故 岩盤を除去、救出作業入り 爆破4回目で 成功 (96/02/14) ● 北海道・豊浜トンネル崩落事故 乗用車6日ぶり発見 救出作業進む (96/02/16) ● バスの19遺体収容 豊浜トンネル崩落から1週間 全員即死の状態/北海 道 (96/02/18) ● パソコンネット上に無神経ゲーム流れる トンネル崩落事故を題材に (96/02/20) ● 北海道・豊浜トンネル事故 7遺族が国に賠償請求 「道開発局責任明確 に」 (96/12/20) http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/96/96n2.htm [2002/04/06 8:27:01] この10年 ●96読者が選んだ10大ニュース(国内) 96/02/10 東京夕刊 一面 05段 北海道のトンネル事故 落盤、バス埋まる 運転手生き埋め 乗客数人が中に? 十日午前八時十五分ごろ、北海道余市町と古平町の境にある国道二二九号線豊 浜トンネル(長さ千八十六メートル)内で、約四十メートルにわたって落盤事故 があり、積丹町余別発小樽行き北海道中央バスの路線バスと乗用車三台が巻き込 まれた。さらに古平側のトンネル出口で乗用車一台に崩れた岩の破片が当たり、 乗っていた一人が軽傷を負い病院に運ばれた。バスは前部を残して埋まり、運転 手が土砂の下敷きになっている。地元の消防によるとバスの乗客は途中の一停留 所だけでも五人が乗り込んでおり、トンネル内に閉じ込められたままと見られ る。(関連記事14面に) ◆乗用車3台も 1人軽傷 余市署の調べによると、落盤が起きた場所は古平町から四十一メートル入った ところで、トンネルの外壁がむき出しになった巻きだしと呼ばれる部分。がけ上 の岩盤一枚がそっくりはがれ落ちて、トンネルを直撃した。崩れた岩盤は数千ト ンで三階建てビルに相当する量だという。 現場では、岩盤を取り除くための大型工作機械が作業に入ったが、内部は電線 も切断され、停電で真っ暗の状態。道警では機動隊員三十五人を現場に向かわせ たが、現場は二次災害の恐れがあり、余市消防署、北海道開発局小樽開発建設部 とともに、状況を把握しながら復旧作業に取りかかりたいとしている。 同建設部によると豊浜トンネルは一九八四年に完成した。この日朝、除雪作業 員が、トンネルの入り口付近が上から崩れてきた岩石でふさがっているのを目 撃、余市署に通報した。北海道中央バス余市営業所の高島正次長によると、現場 には大きな岩が三つほど落ちており、すき間からバスの天井がのぞいているとい う。事故に遭ったバスは、平日は学生を中心に三十人程度が利用している。 http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/96/96n2a.htm [2002/04/06 8:27:05] この10年 ●96読者が選んだ10大ニュース(国内) 96/02/14 東京夕刊 一面 05段 北海道・豊浜トンネル崩落事故 岩盤を除去、救出作業入り 爆破4回目で成功 北海道古平町の国道二二九号線「豊浜トンネル」(長さ千八十六メートル)で 起きた岩盤崩落事故で、現地の対策本部は十四日午前十一時、四回目の岩盤爆破 を行った。この爆破で、大きな岩盤は上部が数個の塊となって海側に崩れ落ち た。対策本部では、「爆破は成功した」として、事故後四日ぶりに、生き埋めと なったと見られる路線バスの乗客ら二十人の本格的な救出作業に入った。 救出活動の最大の課題は、トンネル内に閉じ込められているバスと乗用車の搬 出。まず爆破作業で崩落現場にたい積した大量の砕石を大型重機で除去して、ト ンネルにかかる重量を減らし、トンネル内部での救助活動を行う。豊浜トンネル の古平側の入り口付近では、パワーショベルや砕石機がずらりと並んだ。その後 方には、自衛隊や消防などの車両が約二十台待機している。巨大な岩盤が突き刺 さっていたトンネルの巻き出し部分では、パワーショベル四台がフル稼働し、た い積した土砂の除去作業に全力を挙げている。 爆破の成功後の同日午後零時二十分、トラック二台を含む陸上自衛隊の車両四 台が余市側トンネル口から内部に入った。これに先立ち現地対策本部は、調査ス タッフをトンネル内の崩落現場に派遣しており、乗客らの救助活動は、早ければ 同日夕にも開始することができそうだ。 四回目の爆破について北海道開発庁・北海道開発局などの対策本部は十三日、 建設省が派遣した岩盤除去専門家チームと火薬装てん位置を再検討した結果、こ れまで三回の余市側(海から向かって左側)下部への装てんだけでは、軟弱な岩 にクラック(割れ目)を発生させるだけと判断。破砕されていない古平側の岩盤 下部(同右側)にも仕掛けるよう爆破方法を変更した。 徹夜で二十本の穴を掘り、火薬四百キロを装てんする準備作業を行ったが、岩 盤には多数の亀裂が入っており、小規模な岩石崩落が起きるなど危険も大きく、 準備作業は難航。 このため、対策本部は爆破を一時、昼過ぎに延期することを決めたが、緊急協 議した結果、それまでに開けた十二本の穴に火薬百六十キロを装てんし爆破作業 を行うことを決定した。 (関連記事15面に) http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/96/96n2c.htm [2002/04/06 8:27:28] この10年 ●96読者が選んだ10大ニュース(国内) 96/02/16 東京夕刊 一面 05段 北海道・豊浜トンネル崩落事故 乗用車6日ぶり発見 救出作 業進む 北海道古平町の「豊浜トンネル」の岩盤崩落事故で、十六日午前十一時五十一 分、埋まった岩と土砂の中からワインレッド色をした四輪駆動の乗用車の右ドア が見つかった。車種、車体の色などから、車は積丹町の釣具店員(20)のもの とみられる。事故当日の十日、余市町の勤務先に向かう途中だった。(関連記事 15面に) 乗用車が見つかった場所は、古平側のトンネル口から約四十メートル入った道 路の中央付近。発見した道警のレスキュー隊員らによると、車は大きな二つの岩 石に挟まれた形。車の上には大きな岩石が載っており、岩のすき間から、右ドア を確認した。 道警は発見後、直ちにレスキュー隊長らを現場に派遣。土砂や岩石の撤去後、 乗用車の車体を電動切断機などで切断し、釣具店員の安否を確認する。救助活動 を迅速化するため、現場検証も簡単にして、トンネル外へ運び出す予定。 対策本部は、同じく生き埋めになったバスの乗客と運転手十九人の救助活動も 並行して進めているが、生存者は確認されていない。 事故現場では、十五日午前四時半から北海道開発庁道開発局、自衛隊などの手 で、古平側から救出作業が行われていた。 対策本部によると、古平側の崩落現場では、十六日朝には八メートル奥まで完 全に土砂などを取り除き、天井部は、あと十メートルで余市側と貫通するまで順 調に作業が進んだ。「進ちょく状況は五〇%まできた」(新山惇・現地対策本部 長)という。 トンネル内を埋めた岩、土砂の総量は約二千五百立方メートル。同日午前九時 までの二十八時間余に、五六%の約千四百立方メートルをトンネル外に搬出し た。しかし、午前五時―同六時の一時間当たりの搬出量は約四十立方メートル で、十五日午後九時―同十時の搬出量約百立方メートルから半減、岩に阻まれて いる状況。対策本部は「掘り進むにつれ、大きな五つの岩が不安定になってお り、慎重に作業を進めている」と説明している。 http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/96/96n2d.htm [2002/04/06 8:27:37] この10年 ●96読者が選んだ10大ニュース(国内) 96/02/18 東京朝刊 一面 07段 バスの19遺体収容 豊浜トンネル崩落から1週間 全員即死 の状態/北海道 ◆犠牲者合計20人 北海道古平町の国道二二九号線「豊浜トンネル」(延長千八十六メートル)の 岩盤崩落事故で、現地対策本部は十七日午後九時二分までに、トンネルのコンク リート塊に埋まっていたバスから乗客、運転手の計十九人の遺体を確認、収容し た。午後三時二十六分に男性の一遺体、さらに同五時十五分までに十六人の遺体 を相次いで発見した。残る二人も岩盤の下で死亡しているのが確認された。これ で乗用車の釣具店員(20)を含め、犠牲者二十人全員の死亡が確認されたこと になる。乗客らの遺体の損傷は激しいが、十八日午前零時三十六分までに十九人 全員の身元が判明した。事故は発生から丸一週間で最悪の結末を迎え、救出活動 に期待を込めていた家族の望みは断ち切られた。(関連記事2・3・30・31 面に) トンネル内のコンクリート塊、土砂の搬出作業は順調に進んだものの、バスの 掘り出し作業は、予想外に難航した。 残されたコンクリート塊は、バスの天井部分の大きなアーチ形の塊だけだった が、バスの屋根をすっぽり覆っていた。塊にはH形鋼と網の目状の太い鉄筋が含 まれており、小型の削岩機で塊を崩し、カッターで鋼材を切断。自衛隊員が人海 戦術で、コンクリート片を運び出す作業を繰り返した。バス右側の土砂はほぼ除 去されたものの、左側の土砂は予想以上に厚く、こうした状況が作業を手間取ら せた。 この結果、十七日午後三時過ぎには、バスの屋根の中央部を前部から後部にか けてまっすぐに切れ目を入れ、屋根を「観音開き」にして押し上げ、レスキュー 隊員が車内に進入、遺体を発見した。全員の遺体は古平町の海洋センターに収容 され、検視と遺族による身元の確認が行われた。 ◇ 現地対策本部によると、収容された遺体は全員圧死による即死の状態だった。 対策本部は、歯形や所持品、着衣などを手掛かりに身元を確認した。 対策本部は、〈1〉全長約十一メートルのバスが、衝撃で押しつぶされて伸 び、約十二メートルになっていた〈2〉高さ約三メートルのバスが、地面から一 メートル前後につぶれている部分があった〈3〉遺体のほとんどは座っていたと みられる座席で発見された――などの状況から、岩盤崩落の衝撃で、巨大なアー チ形のトンネル天井部分が突き破られてバスを直撃、乗客らは一瞬のうちに死亡 したとみている。 http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/96/96n2e.htm (1/2) [2002/04/06 8:27:45] この10年 http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/96/96n2e.htm (2/2) [2002/04/06 8:27:45] この10年 ●96読者が選んだ10大ニュース(国内) 96/02/20 東京朝刊 社会面 01段 パソコンネット上に無神経ゲーム流れる トンネル崩落事故を 題材に 北海道古平町の豊浜トンネル崩落事故を題材にしたパソコンゲームが、東京を 拠点にした複数のパソコン通信ネットに流されていることが十九日、わかった。 岩盤に仕掛けた火薬を爆発させて破壊力を競い、失敗すると北海道開発局長を解 任されるという内容で、アクセスした人からはあまりにも非常識との声が出てい る。 http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/96/96n2f.htm [2002/04/06 8:27:52] この10年 ●96読者が選んだ10大ニュース(国内) 96/12/20 東京夕刊 社会面 04段 北海道・豊浜トンネル事故 7遺族が国に賠償請求 「道開発 局責任明確に」 ◆総額6億4千万円 北海道・積丹半島で今年二月に起きた「豊浜トンネル岩盤崩落事故」で、被災 者七人の遺族が二十日、総額六億四千百五十五万円の国家賠償を求める訴訟を札 幌地裁に起こした。政府は九月二十日、被災者の遺族に補償を行うことを決めた が、遺族側は「事故原因と北海道開発局の責任を明らかにしたい」として提訴に 踏み切った。 訴えたのは、事故で亡くなった中学・高校生六人の両親と、母親を失った遺族 四人の計十六人。訴えによると、被災者らは二月十日、古平町の国道二二九号線 の豊浜トンネル古平側出口付近を路線バスで通過中、高さ約七十メートル、体積 約一万千立方メートルの岩盤が崩落し、トンネルごと押しつぶされた。 遺族側は、独自調査や開発局が設置した事故調査委員会の報告などから、 〈1〉崩落した岩はがけに接する部分に亀裂があり、トンネル掘削で宙づりに近 い状態になった〈2〉現場付近は岩盤崩落が頻発し、一九八四年に現トンネルが 出来る前にも二度にわたってトンネルを造り替えている――などとして、トンネ ル出口の場所選定や岩盤脚部を補強しなかったことなどで落ち度(瑕疵(か し))があったと主張。 事故の約三十分前、トンネルの天井に亀裂を発見したドライバーがいたが、ト ンネル内に非常通報装置があるのを知らず、結果的に事故回避措置をとれなかっ た点については、「設備の利用方法を周知徹底しなかった道開発局に道路管理上 の瑕疵があった」としている。 事故調査委員会は九月十四日の最終報告で「岩盤崩落の予知は困難だった」と して道開発局の責任には言及せず、犠牲者二十人のうち、七人の遺族が提訴を準 備していた。 提訴について稲垣北海道開発庁長官は二十日、閣議後会見で「(現時点では提 訴に至った)経緯を聞いていないが、遺族の方々の気持ちを斟酌(しんしゃく) し、真剣に対応していきたい」と話した。 http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/96/96n2g.htm [2002/04/06 8:27:58]
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