とうきしょうきょうようにくとう 当帰生姜羊肉湯

傷寒・金匱方剤解説 197 とー7
音順
とー7
方剤名
傷寒論・金匱要略条文
生薬構成 および製法・服用方法
読み および解訳・その他
当帰(甘温)3g・生姜(辛温)5g・羊肉(甘温)16g
上の 3 味を水 320mlを以って 120mlに煮詰め、滓を去り 4 回に分けて 1 日 3 回温服する。
冷えが特にひどい人は生姜を加えて 16gとし、水を更に 200mlを加えて 130mlに煮詰める。
腹満寒疝宿食病脈証併治第十第 19 条(金匱要略)
当帰生姜羊肉湯
つかさど
「寒疝腹中痛み及び脇痛して裏急の者は当帰生姜羊肉湯之を 主 る。
」
解訳 寒疝で、腹中が痛み、脇腹が痛んで、キューッと引きつる者に、当帰生姜羊肉湯が主治する。
血虚により、寒気が肝血室に侵入して、脇(肝)が筋痛し、裏(少腹)が攣急する。
当帰生姜羊肉湯は、当帰で補血し、生姜で胃の陽気を増し、羊肉で補血温和する。
当帰生姜羊肉湯加減方
痛みが強くて吐き気のする人には
当帰生姜羊肉湯 +橘皮(辛温)2g・白朮(苦温)1gとする。
痛みが強くて吐き気のする人は、心下蓄水の体質のよるものであり、心下蓄水を橘皮で散じ、白朮で利す。
当帰生姜羊肉湯証
新古方薬囊によれば「寒疝で腹中が痛み、及び脇腹が痛んできゅうーっと引き吊る者、又産後出血多かりし爲、腹中が冷え、劇し
く腹痛する者、又は平常虚弱にて血少なく、時々腹痛む者等。寒疝とは、腹中が強く冷ゆることに由りて生ずる劇しい腹痛のこ
と。
」と記されている。
婦人産後病脈証併治第二十一第 2 条(金匱要略)
こうつう
つかさど
」
「産後腹中疞痛 するは当帰生姜羊肉湯之を 主 る。併せて腹中寒疝虚労不足を治す。
解訳 産後に、腹の中が刺される様に痛むものは当帰生姜羊肉湯が主治する。この薬方は、腹中が冷えて、腹痛を起こしたり、労れた
ために、気血のめぐりが悪くなって起こす腹痛を治す。
寒疝とは、虚寒の証で、陽気が乏しく、また血虚して、腹中が冷えて血が内に凝集して、虚労のために腹痛を起こす病の
ことである。
「方剤決定のコツ」の注釈
腹中疞痛は、血虚と、裏寒によって生じている。