傷寒論

傷寒・金匱方剤解説 120 しー9
方剤名
傷寒論・金匱要略条文
音順
しー9
生薬構成 および製法・服用方法
読み および解訳・その他
梔子(苦寒)1.4g・乾姜(辛温)2g
上の 2 味を水 140mlを以って煮て 60mlとなし、滓を去り 2 服に分けて温めて 1 服を服用させる。もし服して
後に吐する者は、後服を止める。
弁太陽病脈証併治中第六第 53 条(傷寒論)
梔子乾姜湯
もっ
くだ
つかさど
」
「傷寒、医丸薬を以て大いに下し、身熱去らず、微煩する者は梔子乾姜湯之を 主 る。
解訳 寒に侵されて風邪を引き、発汗すべきであるのに、医師が誤って下剤で大いに下してしまったので熱が中に入って、身体内の熱
が取れなくなってしまい、そのために少し苦しがる者は、梔子乾姜湯が主治する。
梔子乾姜湯証は、梔子豉湯証で足が冷えたり、胃が冷える。
「方剤決定のコツ」の注釈
丸薬の下剤は、利水剤を含むものであったと思われる。この様な丸剤は、陰気を傷られ損ずること多く、また内熱を除く力
弱し、ただ正気を損ずと言われ、邪熱が虚に乗じて胸中に留まりて、未だ深く入らずして身熱去らず、微煩を生ずるのであ
る。
梔子乾姜湯は、梔子の苦寒で内陥した胸中の熱気を除き、乾姜の辛温は、陽気を生じ内を温め、陰気を通ぜしめて潤いを
与えて、煩を吐し、気を益すのである。
梔子乾姜湯証
新古方薬囊によれば「本方の證は、上(胸中)に熱がありて、下に寒がある趣きあり、故に上(胸中)に熱はあれども、裏に寒の
心配あるが爲に、もっぱら普通の梔子剤にては如何かと思う様な時に便利なる方剤なり。本方も芯に熱ありて眠れぬ者あり、胸
中痛むものあり、手足が温かきものあり、下痢有る者もあり、外に熱気ありて裏になんとなく寒がある様な感じのする者等によ
い。
」と記されている。