ばんせきとう 礬石湯

傷寒・金匱方剤解説 216 はー16
方剤名
傷寒論・金匱要略条文
音順
はー16
礬石湯
生薬構成 および製法・服用方法
読み および解訳・その他
礬石(酸寒)20g(焼明礬 10gに相当する)
上の 1 味を酢 300mlと水 2700mlと混合したもの(漿水)の中に、焼明礬 10gを入れて火に掛け、ブツブツと
3・5 沸した時に火より下ろして脚を浸し、足首を温湯中につける。
中風歴節病脈証併治第五第 16 条(金匱要略)
かっけ しょうしん
」
「礬石湯 脚気 衝 心 を治す。
かっ け しょうしん
解訳 礬石湯は、脚気 衝 心(脚の陽気(熱気)が突き上げて、心を突く様なもの)を治す。
「方剤決定のコツ」の注釈
礬石湯は、足が冷えて、気が心臓方まで突き上げて、意識不明になった場合に用いるのである。
参考 脚気衝心とは、脚気病の一種で、邪毒が心胸に攻め上がったもので、心悸、気喘、嘔吐などの症状を来たし、甚だしいものは
精神異常、言語錯乱を起こす。
脚気衝心には、次の 2 種類がある。
湿脚気は、湿毒が、心、胸に攻め上がったもので、この場合は、温陽散寒、逐湿泄毒の治方を用いる。
乾脚気は、湿火が、心、胸に攻め上がったもので、この場合は、宣壅逐湿、凉血清火の治方を用いる。
脳充血とか、脳溢血で、顏が赤くなっている様な時は、陽気が衝脈を伝わって心、胸に上り、心血が欝熱して、足が氷の様に
冷たくなっているので、礬石湯で足を温めて、上衝している陽気を下に引き戻してやる。
気絶したとか、脳内出血で倒れたとか、その他意識不明になった時、救急法として、礬石湯を用いると非常に効果がある。