建設産業経営用語解説 130 ■ AHS ■ VFM ■格付け・等級 ■下請ボンド ■ ANI ■ VICS ■瑕疵(かし)担保 ■下請セーフティネット債務保証 ■ APEC(アジア太平洋経済協力会議) ■ VOC ■課徴金 ■市町村合併 ■ ASP ■ WTO ■合併 ■実質関与 ■ BEMS ■アカウンタビリティー ■株式交換制度 ■私的整理 ■ BLT ■アセットマネジメント ■環境アセスメント(環境影響評価) ■指名停止 ■ BOO ■アドプト制度 141 ■環境会計 147 ■重層下請構造 ■ BOS ■インフラストラクチャー ■環境管理士 ■住民参加型プロジェクト ■ BOT ■エコファンド ■環境管理責任者 ■主観点数・客観点数 ■ BTO ■オープンスクール ■環境計量士 ■主たる営業所 ■ CAD 136 ■オープンブック ■環境効率 ■性能発注方式 ■ CALS ■ガス化溶融炉 ■環境ビジネス ■施工体制台帳 131 ■ CI-NET ■キャッシュフロー経営 ■官公需法 ■選択と集中 ■ CI- NET LiteS ■グリーン庁舎 ■完全失業率 ■専門工事業イノベーション戦略 ■ CI- NETトランスレーター ■グリーン調達(購入) ■企業再生ファンド ■総価契約・単価合意方式 ■ CITIS ■コア・コンピタンス ■技術者の常駐 ■総合評価一般競争入札方式 ■ CM、PM ■コーポレートガバナンス ■技術者のプール制度 148 ■大深度地下 ■ CORINS ■コスト&フィー ■技術士 ■脱ダム宣言 ■ CPD ■コミットメントライン 142 ■逆スライド ■多能工型建築生産システム(多能工) ■ CRM ■コラボレーション ■京都議定書 ■多様な入札・契約方式 ■ CS ■コンソーシアム ■協力施工方式 ■地方交付税 ■ DB ■コンバージョンビジネス ■許可取り消し ■地方自治法 132 ■ EDI ■コンペ・プロポーザル ■口利きビジネス ■中央建設業審議会 ■ EMS 137 ■サーマルリサイクル ■経営事項審査制度(経審) ■中央防災会議 ■ ESCO ■サブコン ■経営事項審査のX、Y評点 ■定期借地権 ■ ETC ■サブリース方式 ■経営統合 ■定期―設計変更部分払い方式 ■ FAZ ■ジェンダー ■経済財政諮問会議 ■低入札価格調査制度 ■ FM ■ジオトープ ■経常JV 149 ■出来高 ■ GIS ■シックハウス症候群 ■建設ICカード ■電子国土・電子政府・電子自治体 ■ GMP ■ゼロエミッション 143 ■建設業退職金共済制度 ■電子入札 ■ GPS ■ゼロ国債 ■建設業構造改善プログラム ■淘汰の時代 ■ HACCP ■ソリューションビジネス ■建設業振興基金 ■道路特定財源 ■ ISO ■ディスクロージャー ■建設業法 ■特殊法人改革 ■ IT ■デューデリジェンス ■建設工事下請契約約款 ■徳政令 ■ ITS 138 ■ 7つの重点分野 ■建設国債 ■特定建築者制度 ■ JV(協定書) ■ナレッジマネジメント ■建設業労働災害防止協会(建災防) ■特別検査 133 ■ LC ■ 21世紀国土交通のグランドデザイン ■建設産業再編促進策 ■特命契約 ■ LCA ■バーチャルリアリティ ■建設産業再生プログラム ■独立行政法人 ■ LCC ■ハートビル法 ■建設産業政策大綱 150 ■特例容積率適用区域 ■ LCM ■バイオマス ■建設残土 ■都市再生 ■ LRT ■パブリック・インボルブメント ■建設マスター制度 ■土壌環境保全基金 ■ M&A ■パブリック・コメント ■建設リサイクル法 ■土壌地下水汚染 ■ NEDO ■バリアフリー ■減損会計 ■土地有効利用事業 ■ NGO ■ヒートアイランド現象 ■建築基準法 ■日本版REIT ■ NPM ■ビオトープ ■小泉構造改革 ■入学試験・面接方式 ■ NPO ■ファサードエンジニア ■公共工事入札契約適正化促進法 ■燃料電池 ■ ODA ■フィービジネス ■公共工事標準請負契約約款 ■廃棄物処理法 134 ■ P.P.P ■フィジビリティー・スタディ ■公共工事設計(3省)労務単価 ■排除勧告 ■ PCB ■フルターンキー方式 ■公共工事のコスト縮減 ■発注標準 ■ PFI 140 ■プロジェクトファイナンス 145 ■工事進行基準 151 ■引当金 ■ PPP ■プロパティマネジメント ■公募型指名競争入札 ■費用対効果分析 ■ PSC ■プロラタ返済 ■雇用セーフティネット ■歩掛り ■ PUBDIS ■ポストモダン ■債務の株式化 ■歩切り ■ QBS ■リースバック方式 ■債権放棄 ■不動産証券化 ■ RCCM ■リスクマネジメント ■最低制限価格(ロアーリミット) ■分離発注・一括発注 ■ RLT ■リテール事業 ■指値 ■編集設計 ■SI(単位) ■リファイン建築 ■産業再生法 ■法的整理 ■ SPC ■レトロフィット ■産業廃棄物 ■前払保証 ■ TDM ■ワークシェアリング ■産廃原状回復基金 ■民間都市開発推進機構 ■ TECRIS 140 ■営業停止 ■時価会計 ■民間建設工事標準請負契約約款(民間約款) ■ TMO ■屋上緑化 ■自己資本比率 ■民事再生法 ■ TOB ■会計基準 ■指示処分 ■持ち株会社 135 ■ VAN ■会計法 ■事前公表制度 ■有利子負債 ■ VE ■会社分割 146 ■下請け直払い ■履行保証制度(履行ボンド) 129 ■ AHS Advanced cruise-assist Highway System 建設−リース−譲渡 。事業主体は工事完成後、公共体に 施設をリース、運営させ、リース代を受け取って投下資 道路と車両の間で双方向通信を行い危険警告、衝突の回 避を支援する機能などを車にもたせるような走行支援道 金を回収した後、所有権を引き渡す。 ■ BOO 路システム。車の自動運転も目指す。 ■ ANI Build-Own-Operate 建設−所有−運営。BOTのように公共体への施設移転 を行わないプロジェクト推進方式。 Automatic Number Identification 自動番号識別。 着信呼の電話番号を示すサービスであり、 ■ BOS Build-Own-Sell さまざまな機能に用いられている。たとえば、電話会社 は、着信電話番号を受信するとその呼を市外交換機に接 建設−所有−売却。事業主体は自らの資金調達によって 施設を建設し、当該公共体に売却してその売却益を償還 続するが、その際発信側のアドレスを識別していること で応答速度を速めることができる。電話回線を使った伝 送に関する規格であるISDNもANIをサポートして 原資とする。事業主体は売却後、公共体とリース契約を 結んで施設貸与を受け施設の所有権は持たない。 ■ BOT いる。 ■ APEC(アジア太平洋経済協力会議) Build-Operate-Transfer 建設−運営−譲渡。 民間事業者(公共体とのジョイント・ Asia-Pacific Economic Cooperation 1989年1月、アジア太平洋地域の経済協力を目的にオー ベンチャーを含む)などのプロジェクト事業主体が建 設・運営を行い、一定期間経過後に公共体に施設を譲渡 ストラリアと日本が提唱した政府公式協議体。現在の参 加国は21カ国に達する。95年に大阪で開催された首脳 会議では加盟国の技術者を相互承認するための検討部会 するプロジェクト推進形態。 ■ BTO Build-Transfer-Operate が設置され、相互承認プロジェクト「APECエンジニ ア」が設置され、2000年に指針が策定された。 日本、オー 建設−譲渡−運営。プロジェクト事業主体は建設後、施 設の所有権を当該公共体に引き渡すが、引き続き施設を ストラリア、カナダ、香港、韓国、マレーシア、ニュー ジーランドの加盟7カ国は2001年から、工学系技術者 運営するプロジェクト推進形態。運用収入を公共体と分 配することもある。 を相互認証するためにAPECエンジニア登録を開始。 ■ CAD 日本では「土木分野(Civil) 」と「建築構造分野(S tructur-al)」の2分野で登録が可能となって Computer Aided Design コンピューター支援による設計。通常、コンピューター いる。日本の初回登録は2分野で約1500件。土木分野は 日本技術士会が、建築構造分野は建築技術教育普及セン を利用して、設計図を作成するシステムのこと。これま では高精度の設計には、大型コンピューターを使ってい ターが担当して随時、登録を受け付けている。 ■ ASP Application Service Provider たが、ワークステーションやパソコンの性能の向上に よって、比較的安価なシステムでもCADが実現できて ネットワーク経由でアプリケーション・パッケージの機 能だけを販売するサービス。または、それを提供する事 きている。また工業製品の設計などから建た。た。た。築 設計、 デザインの分野までCADの利用分野は広がった。 業者。企業があるアプリケーションソフトを必要とする 場合、そのソフトを人数分購入して、インストール作業 た。 ■ CALS Continuous Acquisition and Life-cycle Support やバージョンアップなどを自分で行うことが普通だが、 手間とコストがかかる。ASPでは、顧客ユーザーはパ ソコンや携帯端末があれば、最新のアプリケーションを 調達から設計、開発、生産、運用管理、保守に至る製品 のライフサイクルに関する情報を統合データベースで一 低コストで利用できるため、特に中堅・中小企業にとっ て有効となる。 元管理し、各工程をサポートしようという米国のビジョ ンを指す。技術情報や取引情報をネットワークを介して ■ BEMS Building Energy Management System 交換及び共有し、製品等の開発期間の短縮、コストの削 減、生産性の向上等を図ろうとする活動概念。異なる織 間でのデータ交換を行うため、国際標準の採用や情報の ビルエネルギーマネジメントシステム。ビルやビルで使 用するエネルギーの管理を効率的に行うために、コン 標準化がキーとなる。建設CALS/ECは、建設分野 において、設計・積算、入札・契約、施工、管理など各 ピュータによる情報処理機能を利用し、一元的な管理を 行うためのシステム。 ■ BLT 種情報を標準化・電子化し、インターネットなどのネッ トワーク上で電子メールや共有サーバを利用して作業を Build-Lease-Transfer 進めること。 130 ■ CPD Continuing Professional Development 資格取得後において最新の技術や知識を継続的に習得し、 自己の能力の維持・向上を目指すとともに、高い職業倫 理観の涵養に努めること。日本と海外の技術資格の最大 の相違は継続教育・学習とされている。このため、国際 社会で通用する資格者とするため、全国土木施工管理技 士会連合会が先行し、土木学会、日本技術士会、日本建 築家協会など各団体が一斉に講習会、講演会、見学会へ の出席や講義、機関誌や専門誌への投稿などの学習記録 を登録するCPDシステムをスタートさせている。 ■ CRM Customer Relationship Management 顧客関係管理。 企業が顧客毎に異なるニーズを理解して、 自社との関係を深めてもらうように働きかける顧客戦略 全般のこと。顧客一人一人から得る収益を最大化するの がねらい。 ■ CS Customer Satisfaction 顧客満足。すべてが「顧客とその期待」からはじまると いう考え方のもとに、顧客の満足を得るために何をどの ように提供していくのかを考え、それを達成するための 仕組みを作りあげる。 ■ DB Design Build 1 つの会社が設計と施工の両方の業務を行う生産方式。 発注者は1つの契約で全体をカバーすることができ、問 題が起こっても責任の所在を明らかにできる。設計が自 社内にある場合のほか、欧米では外部の設計会社と契約 して総合工事業者が発注者との間で1つのデザインビル ドの契約を行うことが多い。 ■ CI-NET Construction Industry Network 建設会社と専門工事業、資機材メーカーなどが、ネット ワークを介して資材の調達や見積りを行うためのデータ 交換規約。財団法人建設業振興基金の建設産業情報化推 進センターが推進している。 ■ CI- NET LiteS 建設業における電子商取引のための電子データ交換ツー ルで、購買見積依頼・回答・確定注文・注文請け・出来 高報告・請求の6業務を対象としている。従来のCI− NETがVAN(付加価値通信網)利用を前提としてい たものを、 インターネットを利用したツールとしたもの。 ■ CI- NETトランスレーター 自社固有の帳票データと標準的なデータ(CI-NET標準 に基づくデータ)の変換を行うために利用するソフト ウェアで、様々なコンピュータ用に市販されている。建 設業振興基金の試験に合格しているものを、 「CI−NE T登録トランスレーター」という。 ■ CITIS Contractor Integrated Technical Information Service 契約者統合技術情報サービス。アメリカにおいて、契約 者(受注者)が製品のライフサイクルを通じて必要とな る情報をデータベース化し、政府に対して提供する情報 サービス。特定の組織間で合意の上、特定した範囲の情 報を共有、アクセス可能にした情報サービス。 ■ CM、PM Construction Management , Project Management 建設プロジェクトの計画、 設計、工事の各段階において、 スケジュール、コスト、品質をコントロールしてプロ ジェクトを円滑に推進する業務。具体的には、設計図を 見直すことでより合理的なものづくりを追求し、VE (Value Engineering) 活動を行うことや、 ノウハウによ り各専門工事の価額をより細密に評価・査定すること、 各下請けへの発注や支払いを行うことで、金額の流れを スムーズかつ適正な管理をする。一方、PM(プロジェ クトマネジメント)は、建設プロジェクトの立案や、資 金スキームなど、CMより広義な範囲でマネジメントを 行うもので、建設に限らず、さまざまなプロジェクトに ついても使用される。 ■ CORINS Construction Records Information Service 財団法人日本建設情報総合センター(JACIC)が運 営している「工事実績情報サービス」 。国や自治体が発注 する2500万円以上の工事について、工事金額や専任技 術者・工事内容などが登録されているデータベース。公 共工事発注者は、契約時に配置予定技術者を確認し、す でに別の現場の技術者となっていて、専任性を確保でき ないとなれば、別の技術者を求めることができる。 131 ■ EDI ■ GPS Electronic Data Interchange Global Positioning System 電子データ交換。コンピュータ・ネットワークを介して 全地球測位システム。人工衛星と地上の制御局、利用者 の移動局で構成する。3つ以上の衛星と移動局との距離 電子的に、受発注、輸送、決済などのビジネス文書をや を計測することで、移動局自身の位置を知ることができ る。軍事目的で開発されたシステムだが、現在は民間の りとりすること。80年代中盤以後、欧米を中心に情報 ネットワークのインフラストラクチャの1つとして大き 利用も進んでいる。用途に自動車の走行位置を確認でき るカー・ナビゲーション・システムなどがある。 く注目されるようになってきた。 ■ EMS ■ HACCP Hazard Analysis Critical Control Points Environmental Management System 環境マネジメントシステム。環境マネジメントに関する 危害分析に基づく重要管理点方式。微生物による危害か 何種類かの規格を総集したISO14000シリーズの内、 ら食品の安全を確保するために開発されたシステム。適 正製造規準に基づき設計・建設された食品工場で製造さ 14001は環境マネジメントシステムの国際規格のこと。 ■ ESCO れる製品が、消費者の手にわたるまでの各工程で想定さ れる生物的・物理的・化学的危害を洗い出し、危害防止 Energy Service Company 省エネルギーに関する包括的なサービスを提供し、顧客 の省エネルギーメリットの一部を報酬として享受するE 方法を明確にして、全工程内に設けた重要管理点で連続 的に監視することにより危害を防止し、安全を確保する SCO事業を行う事業者。ESCO事業者は、事業の遂 手法のこと。 行にあたり、顧客との間において、エネルギーサービス ■ ISO International Organization for Standardization 契約を締結し、一定の省エネルギー効果を保証する。 国際標準化機構。国際規格や標準類を制定するための国 際機関であり、1947年に設立。本部はスイス・ジュネー ■ ETC Electronic Toll Collection System ブ。国際規格は加盟各国の投票(一国一票)で決定され る。品質マネジメントの9001、環境マネジメントの 無線通信を用いて有料道路などの料金精算を完全自動化 する電子料金徴収システム。2001 年3 月から本格導入。 14001 などは建設産業界でも取得が浸透している。ま ノンストップ自動料金収受システムともいう。 た、労働安全衛生のOHSMS18001や日本主導で標準 化を進めている高齢者・障害者のニーズに配慮するため ■ FAZ Foreign Access Zone のガイドライン「ガイド71」なども正式なISO規格を めざす動きが盛んである。 輸入促進地域。港湾や空港及びその周辺地域において輸 入の促進を図る地域。 ■ FM ■ IT Information Technology Facility Management 情報技術。情報通信技術からその応用利用場面まで広く 企業や団体の全施設及び環境を経営的視点から総合的に 使用され、コンピューターやインターネットの進化と広 がりで、工学的技術から企業経営、人文・社会科学、コ 企画・管理・活用する経営活動で、ファシリティ(施設) ミュニケーションまでその応用範囲を広げている技術・ 手法の総称。 をより効果的に利用することで生産性等を向上させ、利 益に結びつけることができる。 ■ ITS Intelligent Transport System ■ GIS Geographic Information System 高度道路交通システム。 最先端の情報通信技術を利用し、 地理情報システム。 地理的情報データを定量化して作成、 安全性・輸送効率などの最適化を目指す新しい道路交通 システムの総称。VICS、AHS、ETC などのさま 加工、管理、分析、表現、共有するための情報技術。3次 元モデルを使った都市計画、3次元での都市部の地価評 ざまなシステムで実現を図る。 ■ JV(協定書) 価や防災計画のためのシミュレーション、人口調査など さまざまな目的に利用される。 1つの建設工事を複数の企業で施工する場合、共同企業 体(JV=ジョイント・ベンチャー)が編成される。JVに ■ GMP Guaranteed Maximum Price 最大保証金額。アットリスク型CMの一種で、CMrが は甲型(共同施工方式) 、乙型(分割施工方式)がある。 また、工事ごとに編成される特定JVと、一定期間を通じ 工事の最高限度を保証する方式があり、その場合をGM て応札資格が認められる経常JVがある。JV協定書はJV P方式という。 を結成して請負するときに結ぶ協定書。協定書には代者 132 ■ NEDO New Energy and Industrial Technology Development Organization 新エネルギー・産業技術総合開発機構。石油代替エネル ギーの総合開発を主業務として、第2次石油ショック直 後の1980年に政府と民間の資金と人材、技術力を集結 して設立した研究機関。現在は、新エネルギー及び省エ ネルギーの開発と導入促進、産業技術の研究開発、石炭 鉱業の構造調整、アルコール製造事業、石炭鉱害賠償等 の5つが事業の柱になっている。 ■ NGO Non Governmental Organization 非政府組織。政府間の協定によらずに創立した民間の国 際協力機構。運営目的も多種多様で、公共事業の適正を チェックするものや、環境保護を目的としたものなどが あり、近年はODA予算の効率的な執行に向け、NGO が活用されるケースが増えている。 ■ NPM New Public Management 公共事業に企業経営的な手法を導入し、効率的で質の高 いサービスの提供をめざす行政運営の考え方。欧米諸国 で発達した考え方で、具体的には顧客重視や成果・業績 重視、現場への権限委譲などの発想に基づく一連の取り 組みを指す。 ■ NPO Non Profit Organization 非営利組織。市民事業体など、政府・自治体や私企業か ら独立し、市民・民間の支援のもとで社会的な公益活動 を行う組織・団体。非営利とは、利益を上げないという 意味ではなく、利益を団体の活動目的を達成するための 費用に充てる意味をさす。 ■ ODA Official Development Assistance 政府開発援助。先進国の政府機関から開発途上国に対す る支援(二国間援助)と、国際機関を通じてなされる援 助(多国間援助)があり、贈与・借款・賠償・技術援助 などの形をとる。 の名称、各構成員の出資比率、請負契約の履行に関し連 帯責任を負うことなどを明記する。 ■ LC Life Cycle ライフサイクル。人生の周期。生活周期。商品が市場に 登場してから他の商品に代替されるまでの過程。商品の 寿命。建設業界では、主に居住者の生活変化や建物の寿 命を指して使う。 ■ LCA Life Cycle Assessment 資源の採取から輸送、加工、利用維持、廃棄物処分に至 るまでのライフサイクルを通したトータルの環境負荷や エネルギー消費量の評価、またはその方法。特に、二酸 化炭素の排出量に注目した分析をライフサイクル二酸化 炭素、エネルギーに注目した分析をライフサイクルエネ ルギーということもある。 ■ LCC Life Cycle Cost 建設時の投資コスト(=イニシャルコスト)だけでなく、 供用開始後にかかる維持管理や改修・廃棄に必要なコス ト(ランニングコスト)も含め、構造物が寿命を終える までにかかるトータルコスト。 ■ LCM Life Cycle Management 建造物・製品・サービス等の環境負荷をライフサイクル を通じて管理し、最小限に抑えるため、従来の環境管理 システムやLCA等の環境活動を統合した意志決定手法。 同時に環境情報にコストや技術的要件といった情報をプ ラスして、 様々な側面からマネジメントする手法であり、 環境・コスト・技術的競争力を製品やサービスに付加さ せるためのものと言い換えられる。 ■ LRT Light Rail Transit 低床車両の導入、低騒音対策の実施、専用軌道による高 速化などを新技術導入により実現し、利便性を高めた路 面電車のシステム。 ■ M&A Mergers & Acquisitions 合併・買収。企業が他企業を吸収したり、傘下におさめ ることをいう。買収企業が存続会社として残り、被買収 企業が消滅するのが合併で、過半数の株式取得を通じて 被買収企業の支配権が買収企業に移行するのが買収であ る。目的には業界再編、競争力の強化、救済などがある。 建設業界でも生き残り手段として被買収企業として名乗 りを上げる(譲渡する)企業がでる可能性がある。 133 ■ P.P.P ■ RCCM 「Public&Private Partnershi Registered Civil Engineering Consulting Manager p」の略。公共と民間がパートナーシップを組み、民間 技術管理者又は技術士のもとに、建設コンサルタント等 が持っている技術力・経営力・資金力などを生かした社 業務に係わる責任ある技術者として、直接管理あるいは 会資本整備の手法。PFIが民間資金を活用した社会資 業務成果の照査の責任者となるための資格で、建設コン 本整備という、民間ファイナンスに力点をおいているの サルタンツ協会が試験を実施している。合格者は同協会 に対して、PPPは官民のパートナーシップという視点 に登録する必要がある。 が加わっている分、新たな社会資本整備手法としてPF ■ RLT I手法を含む広義の意味合いがある。PFI先進国の英 Rehabilitate-Lease-Transfer 国の場合、サッチャー・メー リハビリ−リース−譲渡。民間事業者が老朽化した施設 ジャーの保守党政権まではPFIの文言が使われていた の機能を回復して、公共にリースし、一定期間後に公共 が、現ブレア労働党政権になってPPPの文言が使われ に譲渡する方式。 ている。日本では全国建設業協会が初めてPPP導入の ■SI(単位) 必要性を団体として提言している。 Systeme International d'unites ■ PCB Polychlorinated Biphenyl メートル法による単位系の統一を目的として、国際度量 ポリ塩化ビフェニル。電気機器の絶縁油や蛍光灯などに 衡総会で採択された国際単位系。 使われていた有害物質。政府が無害化処理のための基金 ■ SPC を構想中。 Special Purpose Company ■ PFI 特定目的会社。ある特定の目的のためだけに設立する会 Private Finance Initiative 社。PFIや不動産投資などの分野で設立するケースが プライベート・ファイナンス・イニシアチブ。民間資金 多い。 を活用し社会資本を整備する手法。 ■ TDM ■ PPP Transportation Demand Management Polluter Pays Principle 交通需要マネジメント。政府の新交通政策の構想。駅周 汚染者負担原則。土壌汚染などで、汚染原因者が原状回 辺の駐車場を活用して,マイカーと公共交通機関の併用 復費用を負担するという考え方。 を促進させ都心部の車の量の削減を図る。 ■ PSC ■ TECRIS Public Sector Comparator Technical Consulting Records Information Service パブリック・セクター・コンパラター。通常の公共事業 財団法人日本建設情報総合センター(JACIC) が運営して 方式で事業を実施した場合の総支出、ライフサイクルコ いる「測量調査設計業務実績情報サービス」 。コンサルタ スト。PFI事業と従来型事業の総支出を比較する際の ントの業務実績や技術者・会社情報を登録したデータ 指標として使う。 ベース。500万円以上の業務が登録の対象で、主に公共・ ■ PUBDIS 公益機関が測量、地質調査、土木設計の発注・委託業務に際 Public Building Designers Information System して活用されている。 公共建築設計者情報システム。公共建築協会が設計事務 所等から提供された情報をデータベース化して、発注者 ■ TMO に提供することで、公共建築物の設計業務受託者を客観 Town Management Organization 的に選定するための支援システム。 タウンマネージメント機関。中心市街地整備改善活性化 ■ QBS 法に基づき、市町村が中小小売商業高度化事業構想(T Qualication Based Selection MO構想)を認定する。中心市街地の活性化やまちづく 資質評価方式。建築を設計するに相応しい設計者を、主 りの推進役となる。 催者側がさまざまなデータを使って選び出し、優先順位 ■ TOB を付けて順次交渉していく方法。公平性と透明性が Take Over Bid 保てると同時に、参加者の負担も少ない。米国で広く普 株式公開買付。株式の価格・数などを公表したうえで、証 及しており、世界建築家連合(UIA)が推薦するなど 券市場外で不特定多数の株主から株式を大量に買い取る 国際的にも認められた設計者選定方式。 こと。 134 ■ VAN Value Added Network データ通信用に大容量の回線を保有する業者が、その回 線を一般のユーザーに切り売りするサービス。LAN (ローカルエリアネットワーク) は企業内情報通信網のこ と。 ■ VE Value Engineering バリュー・エンジニアリング。価値工学。建築物や土木 構造物、製品などの本質的機能を得るための最小原価を 求める手法。 ■ VFM Value For Money バリュー・フォー・マネー。 資金の最も効果的な運用。 「同 一のコストであれば、より質の高いサービスを提供する こと」や「同一のサービスであれば、より低いコストで 提供すること」などを指す。 ■ VICS Vehicle Information and Communication System 道路上に設置したビーコンやFM多重放送によって、走 行中の一般自動車のナビゲーションシステムに渋滞状 況・交通規制などの情報を知らせる道路交通情報通信シ ステム。 ■ VOC Volatile Organic Compounds 揮発性有機化合物の総称。 ホルムアルデヒド、ベンゼン、 トルエン、キシレンなど、シックハウス症候群の原因と される化学物質も含まれる。 ■ WTO World Trade Organization 1995年 1 月に発足した世界貿易機関。前身のガット(G ATT)のウルグアイ・ラウンド最終合意文書に署名した 120か国以上が参加し、サービスや知的財産権をも含め た世界の貿易を統括する。加盟国間のルールとして調達 協定などがある。日本の公共工事も一定額以上の調達物 件は、協定の対象となっており、外国企業が入札に参加で きる。最近では中国のWTO加盟が話題となっている。 ■アカウンタビリティー 説明責任。公共事業を進めるにあたり、 広く社会に対し、 その事業を遂行するにあたっての説明を行う責任、およ び義務を指す。アカウンタビリティー向上の具体的な方 策としては、広報紙などによる情報提供の改善、相談窓 口の設置、公共工事の調達段階におけるコスト縮減の推 進や入札・契約の改善など広範囲におよぶ。 ■アセットマネジメント 個人や法人の資産(アセット)を運用・管理することで 手数料をもらうビジネスをいう。不動産の資金運用や事 業性の判断、マンションやビル投資のアドバイス、売却 による資金回収、 マンション経営のサブリース保証など、 総合的で専門性の強い役割を担う。 ■アドプト制度 道路や河川など公共施設の維持管理に民間のボランティ アを活用すること。ボランティアの代償として、その功 績を称える看板を掲示するケースが多い。清掃活動など も含まれる。アメリカでは、地元企業の社員がボラン ティアで清掃するかわりに、企業広告の看板を路側に掲 示している光景が見られる。アドプトとは養子縁組とい う意味で、道路などを養子、参加者を里親に例えている。 通常のボランティアと違う点は、参加団体が公共施設管 理者と合意書を締結することとなどが挙げられる。 ■インフラストラクチャー インフラとも呼ぶ。直訳すると「産業基盤」で、産業や 社会生活の発展を支える基盤構造のこと。道路、港湾、下 水道など社会資本施設を指す。 ■エコファンド 1999年8月に日興證券が売り出した商品「日興エコ ファンド」の名称が一般化した。投資信託会社が個人や 法人から集めた資金を、証券会社などを通して企業の株 式などに投資する「信託投資」の一種。財務内容などの 従来からの経済的銘柄選択に加え、企業の環境に対する 配慮を評価に加え、投資する銘柄を選定する。環境マネ ジメントシステムの導入、グリーン調達、リサイクルの 実施、省資源・省エネルギーへの対応、環境報告書など、 企業の環境に対する情報開示などがチェック項目。環境 対策への取り組みなどを尺度とする投資家層のすそ野が 広い欧米では、 間接的な社会貢献になるということから、 市民権を得ており、大きな市場規模へと成長している。 ■オープンスクール 間仕切りない教室で構成された学校。開放的で明るい 広々と感じるのが特徴。そのオープンさが、子どもたち の人間関係を豊かにすると言われている。新しい学校建 築の一つとして注目を集めている。誰でも自由に参加で きる、学校や講座という意味もある。小・中学校の教室 などを開放し、地域住民が指導者となって、さまざまな 活動を体験させることで、教育、学校と地域社会との連 携意識を強め、地域社会の教育力の活性化を図る。 135 ■コスト&フィー ■オープンブック CM(コンストラクション・マネジメント)方式でCM 外注費、材料費、労務費などの施工者のコストとフィー R(コンストラクション・マネジャー)が専門業者と「工 (報酬)をガラス張りで開示する支払方法で、米国で定着 している。コスト&フィーをベースにCM(コンストラ 事請負契約」を結ぶ際、契約金額を発注者に明らかにす クション・マネジメント)を採用することで、発注者は コストの内容を把握することが容易になるといわれる。 る方式。発注者がリスクを軽減するため、CMRに施工 のリスクも負わせる「アットリスク型」CMの場合、発 コストオン方式がそれぞれの工事費に現場管理などの経 費を加えた(オンした)金額であるのに対し、コスト& 注者の利益を確保するため、CMRが施工業者と交わす 契約などについて、発注者の事前の同意を得ることが必 者に開示(オープン)する。 フィー方式では工事費がフィーとコストに大別され、コ ストはさらに工事種別ごとの施工業者への発注額、共通 ■ガス化溶融炉 仮設費など契約ベースで規定されるものに分類される。 ごみを蒸し焼きにしてガス化し、このガスを燃やすこと ■コミットメントライン 特別融資枠の契約をむすぶこと。企業が銀行との間であ 要とされており、CMRと施工業者との契約金額を発注 で1000∼1300度の高温で燃やす焼却炉のこと。低温焼 らかじめ借入れ限度額を設定しておくことで、企業はこ の枠内で必要な時に必要な額だけ資金を借り入れること 却で発生するダイオキシンや、焼却灰を軽減する焼却方 法として注目されている。 ができる。企業にとっては、資金を確保しておく必要が ないため、ほかの必要な資金にキャッシュフローを回す ■キャッシュフロー経営 経営の主眼を会計上の売上高や利益の拡大ではなく、裸 ことができるうえ、銀行側には手数料が入るなど、双方 の利益であるキャッシュフロー(現金収支)の拡大を重 にメリットがある。 ■コラボレーション 視する手法。会計上は黒字でも資金繰りに行き詰まる、 “勘定あって銭足らず” が避けられる。会計基準の変更で 協働(共同)作業という意味。官民一体となった作業や、 業種や会社の枠を超えて協力すること。同一企業内でも キャッシュフロー計算書の提出が義務付けられたことで も脚光を浴びた。 同じ目的意識を持って他部署、たとえば、営業部隊と設 計・施工部隊が協力することをいう。従来、建築家や設 ■グリーン庁舎 環境配慮型官庁施設が正式名称。運用段階の省エネル 計者に頼っていた建築設計を工業デザイナーやグラ ギー・省資源、環境負荷の少ない材料(エコマテリアル) フィックデザイナーに依頼するデザイナーズマンション や、土木構造物の設計を建築設計者に依頼するケースも の採用などの観点から環境負荷低減対策を講じた、環境 保全に配慮した官庁施設のこと。ライフサイクルを通じ 増えている。 ■コンソーシアム た二酸化炭素排出量の削減量を主たる指標とし、評価し ている。 ■グリーン調達(購入) 協会、組合、連合を意味する。建設関連では、海外のプ ロジェクトや異業種との開発プロジェクト、PFI(プ 循環型社会を構築するために、廃棄物をリサイクルした ライベート・ファイナンス・イニシアチブ)事業では、複 製品や環境に配慮したサービスを、企業や個人が購入す 数の企業、団体で組織される事業主体をコンソーシアム と呼んでいる。 ること。環境マネジメントシステムの国際規格であるI SO14001の認証を取得するために、環境方針の一環と ■コンバージョンビジネス またはコンバーションビジネス。Conversion してグリーン調達(購入)を実施している企業も増えて いる。 ■コア・コンピタンス は、変換する、交換する、改造するなどの意味で、かつ て、冷戦後の経済システムで軍需の民需への転換をいっ 新しい技術や事業分野の成否などを担ってきた各企業が、 た。基本となる業態やシステムを、たとえば、IT(情 長年にわたって蓄積してきた固有の技術やノウハウ。 「顧 報技術)などを駆使し、新たな付加価値やビジネスモデ ルに活かすことをいうほか、オフィスビルの過剰供給に 客に特定の利益をもたらす一連のスキルや技術をいう」 。 文字通り中核(コア)的なコンピタンスで、他社に対し 伴い、住宅などに転換する建物の用途転換などのビジネ スをいう。 て圧倒的に有利な企業独自の究極の能力をさす。 ■コーポレートガバナンス ■コンペ・プロポーザル ともに設計者選定の手法。コンペは「設計競技」で、設 企業統治。バブル崩壊後の企業不祥事で、経営者に対す るチェック機能の再構築が必要として打ち出された。企 業の保有者である株主の権限強化、監査役制度の充実・ 計案の良否を検討して選ぶ。一方、プロポーザルはプ ロジェクトにのぞむ体制などを含めたプロポーザル(提 強化、情報開示の徹底など経営者の暴走をチェックする 案書)を提出してもらい、 「設計案」ではなく、設計を委 のが目的。 託すべき「人(設計者) 」を選ぶ。 136 ■ゼロエミッション 廃棄物がゼロの意味。国連大学が1994年に提唱した。各 産業が単独でゼロエミッションを実現することは簡単な ことではないので、ある産業からの廃棄物を、別の産業 の資源として活用することで実現させるのが現実的。す でに一部の工業団地で、この考え方が取り入れられた構 想が練られている。建設業の場合は現場間で応用できる 可能性がある。 ■ゼロ国債 予算的には次年度以降の支払いとする国庫債務負担行為 (国債)のこと。予算的裏付けはゼロだが、前年度に先食 いして契約できるようにしたもの。前払い金は次年度予 算成立後に支払われる。当初は積雪寒冷地で年度末に契 約し、4月からすぐ工事にかかれるようにした制度だが、 その後景気対策として、切れ目のない事業執行するため に工夫された制度。 ■ソリューションビジネス 顧客が抱えるさまざまな問題を解決する支援ビジネスの こと。IT(情報技術)や環境、ビジネスモデル、教育 など、支援、運用までを提供する。 ■ディスクロージャー 企業が、投資判断に十分な情報を開示すること。財務内 容や、株価に影響を与えるような業績の変化など、適宜 開示することになっている。 ■デューデリジェンス Due Diligence 投資を集めることを目的に証券化された不動産に対して 「投資をする側」の利益を確保するため、さまざまな角度 から調査し、適正な評価を与えること。賃貸ビルを証券 化する場合では、 その設計や設備、管理運営のあり方、 賃 貸契約内容、物件の市場価値、賃料相場に照らした収益 性と行った事柄まで調査を行い、その価値について評価 を行う。 ■サーマルリサイクル 廃プラスチックなどをリサイクルする際に、素材として リサイクルするマテリアルリサイクルに対して、燃焼し てその熱エネルギーを利用することをいう。 ■サブコン サブコンはゼネコンに対比する言葉であり、ゼネコンが General constructor(総合元請) 、General constructor (総合建設業)の2つの意味を持つのと同様に、サ ブコンは「専門(職別)工事業者」と「下請」の2つの形を 表現する。一般的にサブコンは元請と下請の関係で使用 される場合が多いが、ゼネコンは「総合工事業者」として 使用されるケースが多く、使用方法が混同されている。 ただし、職別業者の中には設備工事業のように、発注者 と直接元請契約を行い、その一部を別の設備関連業者に 外注する場合もあり、この場合は総合元請となる。 ■サブリース方式 建物の企画・建築から完成後の運営・管理までデベロッ パーなどが受託する場合に、土地所有者(オーナー)に とって賃料が安定収入となるよう、ディベロッパーが建 物の転貸を条件として一括して借り上げること。オー ナーに対し、最低収入を保証する賃料保証方式と、実収 入に応じて一定割合の賃料を支払うマネジメント方式が ある。 ■ジェンダー 生物学的な違いではなく、社会や文化によって規定され た男女の差。 「作られた性差」 ともいう。 「男は力仕事」 「女 性は家庭を守るべき」というのもジェンダーの1つ。男 女の差をなくそうという運動の高まりのなか男女雇用機 会均等法が制定された。同法の制定されて以来、建設現 場にも、少ないながらも、女性の姿が見受けられるよう になった。 「男の世界」だと言われてきた建設業も変わり つつある。 ■ジオトープ 地理的区分の最小単位を追求するなかで生まれた考えで、 地形・地質的な内容を主としたもの。その後、地形や地 質の条件を反映する要素として、その上に生じる植物群 が注目されるようになった。 その考えがさらに発展して、 現在いわれている「ビオトープ」 (別掲)という考えが誕 生した。 ■シックハウス症候群 内装材などに含まれる揮発性有機化合物(VOC)に よってめまい、吐き気、頭痛、平衡感覚の喪失、呼吸器 疾患などの症状を起こすこと。ホルムアルデヒドに代表 される化学物質が原因だとされている。このため建材 メーカー各社では「ノンホルムアルデヒド」化を進めて いるほか、国土交通省では「設計・施工マニュアル」を 策定したほか、厚生労働省でも全VOCの室内濃度を定 めている。 137 ■7つの重点分野 ■パブリック・インボルブメント 「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基 行政機関が政策の立案する際、その案を公表し、広く市 本方針」で公共事業予算の非効率、省庁間既得権を是正 民や関係業界団体などから意見を受け付ける機会を設け、 するため、政策効果の高い事業に重点配分を推進するこ 提出された意見を考慮して最終的な意思決定を行うこと。 とにした。2002年度予算から採用されたもので、都市再 ■パブリック・コメント 生、環境、少子・高齢化、地方活性化・まちづくり、I 規制の制定、改廃に当たって、政省令などの案を公表し、 T、科学技術、教育の分野とされている。 その案に対し国民から出された意見を考慮して意志を決 ■ナレッジマネジメント 定する手続き。 過去の経験から得たり、個人の持つ知識(ナレッジ)や ■バリアフリー ノウハウ、情報などを組織全体で共有し、有効に活用す 障害者や高齢者の諸活動に不便な障害(バリア)を取り ることで新しい価値に変えたり、業績を上げようという 除くことの総称。もともとは、段差をなくしたり、手す 経営管理・手法。この場合の知識や情報は、単なるデー りを付けるなどの工夫や配慮を施した設計を意味する住 タではなく、経験則や仕事のノウハウまで幅広いものを 宅・建築用語として登場した。建築関係では、 「ハートビ さす。ナレッジマネジメントを浸透させることにより、 ル法」が、また、公共交通機関利用に伴う移動の利便性・ 個人の能力の育成や、組織全体の生産性の向上、意思決 安全性の向上を図るため、2000年に「高齢者、身体障害 定スピードの向上、業務の改善や革新の場の提供が実現 者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関 できるといわれている。 する法律」 (交通バリアフリー法)が制定された。 ■ 21世紀国土交通のグランドデザイン ■ヒートアイランド現象 扇国土交通大臣が、社会資本の将来像である新しい国土 人間活動の活発な都市部で等温線を引くと、島状に気温 づくりの青写真として提唱した。それを受け国土交通省 の高い部分が現れること。 ビルの冷房に伴う排熱に加え、 が2001年6月に素案をまとめ、自立した個人の生き生 地表がコンクリートやアスファルトに覆われたことで地 きとした暮らしの実現、競争力のある経済社会の維持発 表面の温度が上がり、さらにそれがビルの冷房の需要が 展、安全の確保、美しく良好な環境の保全と創造、多様 増し排熱を増やすという悪循環を招いている。すでに19 性のある地域の形成、という5つの政策目標を打ち出し 世紀から国内外で確認されているという。 た。また全国10ブロックごとに社会資本の現状と10年 ■ビオトープ 後の整備状況を地図で示した。 ドイツ語で「生物」を意味する「Bio」と、場所を意 ■バーチャルリアリティ 味する「Top」を合成した言葉で、本来の意味は「自 仮想現実感。コンピューターで映像や音を合成し、人工 然な状態で多様な動植物が生息する環境の最小単位」を 的な空間を生み出して視覚、聴覚に情報を与える。オ さす。各種事業に際して、積極的に創出される野生生物 フィスや住宅、環境を擬似体験できる。 の生息・生育環境を意味することも多い。近年では、ビ ■ハートビル法 ルの敷地内や屋上空間を利用してつくられることもある。 正式名称は「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる ■ファサードエンジニア 特定建築物の建築の促進に関する法律」 。高齢者などが使 ファサードとは、建物の正面外観のことだが、古い建物 いやすい建築物とすることを目的としている。対象は、 の機能をいかすことをファサードエンジニアリングとい 病院やホテル、銀行、飲食店など不特定多数の人が利用 う。 する建築物。廊下は幅120 といった基礎的基準と、幅 ■フィービジネス 180 以上などの誘導的基準がある。通常国会でこれま 報酬、手数料といったフィーで収入を得ること。設計報 での努力義務が特定の建築物を対象に義務化された。 酬を始め、アセットマネジメントやプロパティマネジメ ■バイオマス ント、太陽光発電や風力発電の立地可能性調査など、多 生物資源と訳す。植物や動物、微生物で燃料や化学原料 様化しているほか、従来はサービスと捉えられていた業 として使われるものをいう。現在は、これらを有効に使 務を明確に報酬業務として打ち出すケースが増えている。 うためのさまざまな技術開発が進められている。生ごみ ■フィジビリティー・スタディ を燃やすのではなく、メタン発酵させて発生したガスを FSと略す。プロジェクトや事業を起こす際の実行可能 燃料電池の燃料として使う技術なども開発されてい 性調査、採算性調査、企業化可否調査などをいう。 る。将来的にはわが国のエネルギー消費量の10%(現 ■フルターンキー方式 在は1%未満)をまかなう潜在能力があると推定されて プラントや工場などの施設の設計から施工、設備機械の いる。 据付、試運転指導・保証責任までの全てを請け負う方式。 138 施設が完成しキーを回せば運転が可能となる状態にする スをいう。たとえば、メンテナンスやリニューアルを事 までの責任を負う。 業化するゼネコン、メーカーが出始めている。 ■プロジェクトファイナンス ■リファイン建築 大きなプロジェクトなどで使われてきた資金調達手段で、 老朽化した建物をまったく新しい建物として蘇らせる増 事業自体のキャッシュフローを主 改築手法。施工時に大胆な意匠転換、用途変更、耐震補 な返済原資とする事業融資方式、基本的にはプロジェク 強などを施し、新築なみの強度と耐用年数を与える。建 ト破綻時の負担が限定される。また、プロジェクト事業 物の基礎や躯体など使える部分をそのまま再利用するた 体が契約に基づく確実な支払いを受けていることにより、 め、建設廃棄物の軽減にも繋がる。 プロジェクトが安定する結果、長期にわたってサービス ■レトロフィット 提供の安定的確保が期待できる。 歴史的建造物などの外観や内装をそのまま保存して耐震 ■プロパティマネジメント 補強を施すこと。建物の機能と構造を近代化し、かつ外 不動産の最適な管理・運営。収益性や資産価値の向上、 つ 観を建設時のまま残すことができるため、建設時の用途 まり運営のキャッシュフロー向上を多岐にわたって支援 では再利用しづらい歴史的建造物を時代に合わせて博物 する業務で、ソフト(メンテナンス)とハード(建物管 館やホテルなどに改築することが可能となる。 理業務)のノウハウを提供して、その対価としてフィー ■ワークシェアリング を受け取る。従来別々だった、テナント誘致・テナント ひとり当たりの就労時間と賃金を引き下げ雇用を増やす 管理と建物管理業務(メンテナンス)をソフト(テナン 仕組み。企業のリストラが加速し日本の失業率も高まっ ト業務)とハード(建物管理業務)双方の専門知識から、 てきたことから、労使双方で導入の動きがある。一時的 レンダー(融資者)や出資者の視点に立って、不動産投 な景気悪化時の雇用を吸収したり、パートなどの雇用形 資を総合的にマネジメントする。 態を増やして女性などの就業機会を増やしたり、年金受 ■プロラタ返済 給開始年齢までの雇用を確保する手段として採用する。 複数の金融機関が協調融資団 (シンジケート)を組成し、 しかし、経営者側からは「人件費抑制につながらない」 と 協調して融資するシンジケート・ローンで返済遅延や債 の意見もある。 務を繰り延べしなければならない事態が発生したときに、 借り手の負担は融資額の比例配分とすること。スムーズ なファイナンスを下支えする。 ■ポストモダン 建築に始まり、芸術一般やファッション、思想の領域で 近代主義を超えようとする傾向。ユニバーサルデザイン 障害者・高齢者・健常者など全ての人が使いやすいよう にデザインすること。もともとある障壁を除去するバリ アフリーと異なり、ユニバーサルデザインは最初から障 壁が取り除かれている状態をいう。 ■リースバック方式 公共施設などをリース会社など民間企業が買 い取り、 自 治体が賃貸料を支払う仕組み。新しい公共施設の整備の 一つとして注目を集めている。 ■リスクマネジメント 将来発生が予想される危機や危険を管理すること。地震 を始めとする自然災害や火災、テロといった災害を予想 して、保険などでリスクを回避したり、営業活動に伴う リスクを最小のコストで食い止める管理活動のこと。 ■リテール事業 リテールとは一般に、金融用語で「個人などを相手とし た小口金融業務」や「融資」を指す。建設産業の場合は、 同じような意味でエンドユーザーへのきめ細かなサービ 139 ■営業停止 位付けされ、ランクにより入札に参加できる金額が決ま 建設業法28条で定められた監督処分のひとつで、処分の る。公共工事受注希望者は経営事項審査の受審が義務付 最長期間は1年。全国、または指定された地域での営業 けられており、この経審結果が客観点数となり、発注者 行為が一時停止される。監督処分にはこのほか、不適正 ごとに独自に技術力などを審査する主観点数とあわせ、 な事実是正を命ずる行政命令の指示処分と建設業許可の 総合点数が決められる。主観点数では、その発注者の施 取り消しがある。 国土交通省は、経審の虚偽記載申請、 一 工実績などをみるほか、企業のISO9000シリーズ、I 括下請負、主任技術者等の不設置は15日以上の営業停止 SO14001の認証取得を加点対象とする発注者も数多く 処分の明確化を示したほか、複数の不正行為の繰り返し でてきている。 には営業停止期間を1.5倍に、独禁法にもとづく排除勧 ■瑕疵(かし)担保 告を応諾した場合には15日から30日に2倍に引き上げ 工事目的物に瑕疵がある場合、発注者が施工者にその瑕 るなどの新たな監督処分基準を作成している。 疵の補修を請求できる仕組み。 公共工事の場合、 原則、木 ■屋上緑化 造建物などの建設工事は、工事目的物引き渡し日から1 新たな緑化、ガーデニング空間を地上部につくることが 年以内、コンクリート造などの建物や土木工作物などの 難しい都市部で、集合住宅やオフィスビルの屋上空間を 建設工事は2年以内、設備工事などの場合は1年以内と 利用し、そこに植物を植えて庭をつくることをいう。都 なっている。ただ、瑕疵が故意か重大な過失により生じ 市景観の向上や夏季の室内温度上昇抑制効果による省エ た場合は10年間となっている。 新築住宅の場合は住宅品 ネルギー化、都心部が周辺部より暑くなるヒートアイラ 質確保促進法により、躯体構造物の瑕疵担保責任を最低 ンド現象の緩和に役立つが、その一方で屋上防水や躯体 10年間と義務付けられている。 への荷重軽減といった課題もある。日本政策投資銀行に ■課徴金 よる低利融資のほか、東京都など独自に屋上緑化促進策 法令に基づき、行政手段として国が徴収する金銭。談合 を設けている自治体もある。 などによって得た不当な利得を独占禁止法に基づいて徴 ■会計基準 収する場合などがある。罰金としての意味合いはなく、 日本の企業会計を国際会計基準を参考にしながら再編成 あくまで「不当利益の徴収」が目的。 する会計ビッグバンとして注目を集める。個別企業の単 ■合併 独決算からグループ全体の内容を示す連結決算、現金や 買収を行う企業が被買収企業である他企業を吸収または 預金の増減を示すキャッシュフロー会計、企業年金債務 傘下におくこと。買収企業が存続会社となり、買収され を開示する退職給付会計のほか、資産を取得価額(簿価) た企業は消滅する。ただ、買収された企業自体は消滅し から時価で評価する時価会計が今後本格導入される予定。 ても企業名がブランドとして価値がある場合、ブランド ■会計法 名が残るケースもある。このほか、経営統合として、経 国の契約手続きなどについて規定している。予定価格の 営権だけを統合させ営業権、ブランドなどをそのまま生 範囲内でなければ契約できないという、現在の制度の根 かすケースもある。 拠となっている。さらに詳しく定めているのが予算決算 及び会計令。通常は予決令と呼ばれる。 公共工事の入札・ ■株式交換制度 契約の実態や、時代の変化に対応していないことから、 企業の合併・買収や持ち株会社を設立する場合に、双方 改正論議が度々出されるが、実現していない。 の企業の株式移転をスムーズにする制度。買収の場合、 ■会社分割 買収される企業の発行済み株式を買収企業が発行する新 企業が組織を再編し効率的経営できるように、事業部門 株と交換する。既存株主に税負担がかからないように、 を分離・独立させる手法。新会社をつくり事業を移す “新 株式交換時に発生する譲渡益への課税繰り延べができる 設分割”と既存の会社に移す“吸収分割”の2種類があ ほか、少数株主の反対があっても交換できるのが主な特 る。部門を子会社化する分社化とは違い、資産や負債を 徴。 完全に切り離し資本関係もなくすことで、事業の再構築 ■環境アセスメント(環境影響評価) がしやすい。持ち株会社、株式交換制度、会社分割制度 大規模な事業を行うにあたって、その事業が周辺環境に が企業・事業再構築への3本柱と期待されている。 与える影響を事前に調査。その結果によっては事業計画 ■格付け・等級 の変更も求められる。わが国では1972年6月の閣議決 公共工事の発注者が、公共工事の受注を希望する企業が 定で環境アセスメントに関する本格的な取り組みが始 提出する競争入札参加資格申請書類を審査し、その結果 まった。1993年には「環境基本法」が成立し、環境アセ をランク付けする制度。発注者が定める発注標準にもと スメントが、国全体の施策として、法律上に位置付けら づき、Aランクで何番、Bランクの何番と工種ごとに順 れた。 140 ■環境会計 ■完全失業率 事業活動のなかの環境保全のためのコストと、その活動 労働力人口に占める完全失業者の割合。完全失業者とは によって得られた効果を、 定量的(貨幣単位か物量単位) 満15歳以上で求職活動している失業者を指す。労働する 意思の無い者は失業者に含まない。総務省が毎月末に全 に把握・測定し、さらに分析して公表するための仕組み。 国の約4万所帯(約10万人)を対象にして実施している 「労働力調査」に基づく推計値として発表している。長引 環境保全のための取り組みを、より効率的で効果の高い ものにしていくための経営上の手段であり、統一的な枠 く景気低迷や産業の空洞化などにより雇用環境は悪化し ており、1999年以降増加の一途をたどり、2001年半ば 組みを通じて、企業などの環境保全への取り組みを広く 理解させる情報手段となる。 からは5%を超す高水準で推移している。 ■企業再生ファンド ■環境管理士 日本環境管理協会が実施する民間資格。協会の定める、 過剰債務を抱えた企業の再建を通じて金融再生と産業再 環境管理についての一定の基礎知識(理解度) 、専門的職 生の一体的解決を推進するのが目的。投資家から集めた 資金で経営不振や倒産に陥った企業の株式や営業権を取 業知識(判断力) 、学術的知識(応用力)について、専門 的な識見を有する人をさす。地域住民の生命と財産を守 得し、企業価値を高めたあとで、配当して利益を投資家 に還元する。一方、金融機関は再生対象企業の債務圧縮 ること、企業における公害防止のふたつの使命を持つ。 ■環境管理責任者 環境マネジメントシステムを統括する責任者。環境マネ へ債権放棄や債務を株式に転換する“債務の株式化”な どで支援する。 ジメントシステムとは、国や地方自治体、企業等の事業 ■技術者の常駐 組織が、法令などの規制基準を遵守するだけにとどまら 建設業許可を受ける基準のひとつとして、企業が設置す る営業所ごとに、一定の要件を満たす専任の技術者を配 ず、自主的、積極的に環境保全のためにとる行動を計画・ 実行・評価することをさす。環境保全のための努力を評 置することが義務付けられている。地方公共団体が発注 条件としてその管内(県内や市内)に営業所があること 価し、その結果に基づいて新しい目標に取り組んでいく 自立的システムのひとつ。 ■環境計量士 を要件とするケースが多く、地場業者でない企業にとっ て負担となり、営業所に専任の技術者を常駐させず建設 経済産業省が「計量法」に基づいて実施する国家資格。 業法違反で監督処分を課された例もある。現在、営業所 専任技術者について廃止するかどうかの議論がスタート している。 「環境計量士」には濃度と騒音・振動の2種類があり、受 験資格の制限はない。計量に関する専門的知識と技術を ■技術者のプール制度 持株会社など企業経営の多様化に伴い、経営合理化の観 持ち、かつ経済産業大臣に登録した者に「計量士」資格 が与えられる。 企業の場合には製品やサービス、国の場合には国内総生 点から技術者を企業グループ内で流動化させたい、との 業界側の要望がある。現在は、不良不適格業者排除の観 産を得る場合、自然からの資源の採取、エネルギー使用、 点から、技術者は所属会社との常勤雇用でなければなら 有害物質の排出などの環境負荷を与えることになる。こ ないという規制をかけている。ただ、企業がグループ経 営を進める場合は、グループ経営の足枷になることが考 ■環境効率 の環境負荷をできるだけ減らしながら、製品やサービス えられ、国土交通省では㈰持株会社による経営統合を行 う場合、持株会社が建設業の元請とならないとき㈪会社 を提供すること。 ■環境ビジネス 分割か共同子会社設立の場合、子会社が元請とならない とき――の2ケースに限り、技術者の移動を認める予定。 大気汚染や水質環境汚染、土壌環境汚染、ごみ処理問題 といった環境問題を解決するための事業活動。省エネル ■技術士 ギー化促進や環境診断といった分野も含まれる。環境問 技術士法に基づいて行われる国家試験(技術士第二次試 験)に合格し、登録した人に与えられる称号。国はこの 題がクローズアップされ、また関連法規が整備されるの に伴い、今後いっそうの市場拡大が期待されている。 称号を与えることによって、その人が科学技術に関する 高度な応用能力を備えていることを認定することになる。 ■官公需法 正式名称は「官公需についての中小企業者の受注の確保 一方、技術士補は、同じく技術士法に基づく国家試験(技 術士第一次試験)に合格し、登録した人だけに与えられ に関する法律」 。官公需とは国や地方自治体などが実施す る物品の購入、工事の発注をいう。大企業と比べて競争 力が弱い中小企業の保護育成を目的に、受注機会の確保 る称号。技術士となるのに必要な技能を修習するため、 技術士を補助することになっている。また、技術士と技 を目的としている。政府は毎年度、中小企業向けの契約 術士補は、技術者倫理を十分に守って業務を行うことを 目標を決める。 法律によって課されている。 141 ■逆スライド ■経営事項審査のX、Y評点 賃金、物価の変動にもとづく工事請負代金額の変更のう 経審の評価項目。X1(完成工事高) 、X2(自己資本及 ち、発注者が請負者に対して当初請負金額の減額を請求 び職員数) 、Y(経営状況分析) 、Z(技術力) 、W(労働 し、発注者と請負者が協議をして契約変更すること 福祉など社会性)の各項目にそれぞれ一定数値をかけた の通称。工事請負契約書にはスライド条項が明記されて ものが総合評点となる。近年の公共工事縮小傾向で各企 おり、これまでは増額請求ばかりだったが、1999年度以 業の完成工事高が軒並み下がるなかで、制度当初のX1 降、労務費の低下などを要因に減額請求のケースが多発 平均点と乖(かい)離したため、経審の見直しの一環と している。 してX1点の修正が行なわれた。また、Y点についても ■京都議定書 企業の経営状況を正確に反映していないとの指摘がある 1997年12月、京都市で開かれた「第3回国連気候変動 ほか、3月期決算企業の場合、完成工事未収入金が多く 枠組条約締結国会議」 (地球温暖化防止京都会議、 COP なり、結果的にY点が下がるとの指摘もある。 3)で採択された議定書。90年を基準に、08年から12年 ■経営統合 の5年間に、締結国全体で二酸化炭素などの温室効果ガ 経営権が異なる企業同士で、経営権を統合すること。広 スを5%以上削減することなどが盛り込まれた。各国の 義では合併も含まれるが、持ち株会社の設立によって異 削減率は、日本が6%、米国が7%、EU(ヨーロッパ共 なる事業形態はそのままにして、経営権だけを統合する 同体)が8%など。 場合に使われる。 合併と違い、経営権だけの統合では、 統 ■協力施工方式 合企業の人事・給与体系を統一しなくてもよく、スムー 元請企業が、他企業から技術、労務、材料、機械などの ズな統合が図れるメリットがある。 提供を受けて、工事全体を協力して施工する方式。あく ■経済財政諮問会議 まで下請け施工のひとつとして位置付けを明確化し、 2001年1月6日、内閣府に設置された合議制機関。議長 1983年に建設省(現国土交通省)が「下請契約の明確化 は首相で、首相の諮問に応じ経済政策、財政などのあり について」と題した通達をしていた。下請契約は、部分 方を審議してきた。民間選出議員は議員全体の10分の4 工事の下請が一般的で、工事全体を協力して施工する形 人以上選出しなければならないとされ、 現在は牛尾治朗、 態については、解釈上の位置付け、権利義務関係などが 奥田碩、本間正明、吉川洋の各氏が参加。竹中平蔵経済 必ずしも明確になっていなかった。同方式の位置付けを 財政相が議事を進行し、骨太の方針、公共事業の見直し、 明確にした背景には当時、JVに参加しない企業が工事 予算編成の重点7事項、補助金・地方交付税見直し、中 に参加するいわゆる裏JVや、下請け契約を正式に締結 期経済財政ビジョンなどをまとめた。 しない不適正な元下契約の横行があった。ただ、入札契 ■経常JV 約適正化法の施行に伴い、元下関係を契約金額まで明示 中小・中堅建設業者が継続的な協業関係を確保すること する施工体制台帳の義務化や、施工体系図の表示義務な によって、その経営力・施工力を強化する目的で結成す どにより、協力施工方式の廃止を視野にした議論も現在 る建設共同企業体。公共工事の入札参加資格申請時に経 進んでいる。 ■許可取り消し 常JVとして結成し、単体の企業と同様に、一定期間有 建設業法第29条に明示。 国土交通大臣または都道府県知 資格業者として登録される。 事は、建設業許可を受けた建設業者が許可取り消し要件 ■建設ICカード に該当した場合に許可取り消しをしなければならない規 クレジットカードと同じ形状のプラスチックカードにI 定。取り消しに該当するかどうかは、許可行政庁が判断 C(集積回路)チップを内蔵させ、建設現場の施工管理 する。営業停止処分期間中に営業を行った場合にも許可 の効率化につながる情報を蓄積させるもの。いくつかの 取り消しとなる。 種類のカードの中に、個人の氏名、性別、住所、年金・ ■口利きビジネス 保険、免許・資格などの情報を記憶し日本全国共通利用 仕事の紹介など、仲介によって手数料をとるビジネス。 を想定した個人カードがある。様々な業種の作業員が出 代議士秘書が、公共工事で事前に特定企業に受注できる 入りする建設現場では、個人カードを読みとるだけで労 ように、仲介料をとって発注者に働きかけた事件で注目 務安全や就労の管理に必要な各個人の情報を取り出せる を集めた。 ことから、労務管理にかかわる事務量を大幅に軽減でき ■経営事項審査制度(経審) ると期待されている。このほか、建設機械の稼働データ 建設業法に基づいて公共工事の入札に参加する企業の経 などをICカードに記録し作業日報を自動作成したり、 営・財務内容、技術力などを客観的に審査し、点数化す 納入資材データを記録したカードを利用する施工管理シ る制度。 ステムの開発についても検討が進んでいる。 142 ■建設業退職金共済制度 の記載を求めている。最近では、公共事業で一括下請負 が禁止されたり、住宅の瑕疵担保期間が10年に延長さ れたことから、下請契約もあらためられている。 ■建設国債 財政法4条但し書きに規定された、投資的経費のために 発行される国債。これに対して赤字国債とは、財政法で は認められていない歳入を補填するための国債。赤字国 債は財政法で認められていないため特別法を成立させ発 行するため特別債ともいう。建設国債は、社会資本整備 により財産として残ることから、赤字補填のための赤字国 債と厳格に区別すべきだという意見もある。 ■建設業労働災害防止協会(建災防) 労働災害防止団体法に基づく厚生労働大臣の認可団体。 建設業の事業主とその団体が会員となり、建設業におけ る労働災害防止活動を自主的に推進している。建設労働 災害を無くすため、労働者向けの教育、広報・出版、調 査研究、国からの付託事業などに取り組んでいる。労働 安全衛生法など関係法令が定める講習会の実施や有資格 者の養成、安全衛生思想の普及活動、技能講習用テキス トの出版などを実施している。 ■建設産業再編促進策 政策大綱、再生プログラムの後、技術と経営に優れた企 業が生き残るための新たな対策が必要として、具体的施 策の基本的方向が示された。再編をする企業には経審上 のインセンティブを与えるなどの"アメ"施策と、履行保 証割合の引き上げなど"ムチ"的施策を合わせた施策内容 となっている。 ■建設産業再生プログラム 建設産業政策大綱を踏まえ、重点的な課題整理を行った もの。大手総合建設会社の今後に焦点を当てた。具体的 には、企業戦略の方向として、選択と集中を通じて利益 率の向上を目指すことが必要としたうえで、体力、規模、 特色に対応した早急な企業戦略を課題とした。 建設現場労働者のための退職金制度。中小企業退職金共 済法に基づき創設され、厚生労働省所管の特殊法人、勤 労者退職金共済機構が運営している。建設業の事業主は 機構と退職金共済の契約を結び共済契約者となる一方、 現場労働者は被共済者となる。被共済者である現場労働 者は建設業界での労働をやめると、機構から直接、退職 金の支払いを受けられる。労働者には共済手帳が交付さ れる。手帳には労働日数に応じて共済証紙を貼る。労働 者が現場を次々と移動し事業主が変わっても、労働日数 を通算した退職金の支払いを受けることができる。また 公共事業の入札参加条件である経営事項審査はこの制度 の加入者を加点評価するなどして制度の普及を支援して いる。 ■建設業構造改善プログラム 建設産業は、国民生活と産業活動の基盤づくりを担う基 幹産業であり、より豊かな経済・社会の創造に一層の貢 献を果たすべく、活力と魅力にあふれた産業としての発 展が期待されている。しかし、現状は単品受注生産、現 地屋外生産、総合組立生産といった生産特性を背景に、 元下関係、重層化した施工形態、雇用労働条件、生産性 の面等で問題点を抱えている。こうした現状と課題を改 善するための具体的行動計画として、 「第1次構造改善プ ログラム(1989年度―91年度) 」 、 「第2次構造改善 プログラム(92年度―94年度)」が示され、これに よって各種の事業が展開されたが、 「雇用労働条件の改善 と人材の確保育成」や「経営基盤の強化」などの重点課 題が十分に達成されていないため、95年に策定された 「建設産業政策大綱」を踏まえて、 「構造改善戦略プログ ラム」が引き続き策定され構造改善事業に取り組んでい る。 ■建設業振興基金 建設産業の近代化や合理化を図るため、中小建設業の金 融の円滑化、建設産業の構造改善や情報化などを推進し ている。官民共同出資で設立した財団法人。下請セーフ ティーネットなど債務保証事業、建設業経理事務士や電 気工事施工管理技術検定など試験・研修・講習事業など を行っている。 ■建設業法 建設業者が建設活動をするために必要な建設業許可の要 件や手続き、工事の請負契約に明記する内容、経営事項 審査の評価基準などについて規定している。法律に違反 したり、重大な公衆災害などを起こした場合などに対し ては営業停止や許可の取り消しといった監督処分もある。 ■建設工事下請契約約款 複雑、多岐にわたる建設工事の当事者間の権利義務を明 確にし紛争を防止するための標準的な契約様式。民法で 規定する請負契約は口答でも成立する(諾成契約) 。た だ、建設業法第19条では一定の条項については書面へ 143 ■建設産業政策大綱 ■建築基準法 建設産業の健全な発展を促し、"技術と経営に優れた企 建築物を設計、施工する際に守るべき最低限の基準を定 業"が適正な市場競争を通じて成長できる枠組みをつく めている。大きく分けると、個別の建築物について敷地 る目的で、1995年に、2010年までの市場予測を踏まえ や構造、設備、安全基準などを決めている単体規定と、一 た政策の大きな基本方向として建設省(現国土交通省) 定の区域内について用途、建ぺい率、容積率、高さ制限 が作成した。不良・不適格業者の排除などによる適正な などを内容とする集団規定がある。ジェットコースター 競争の土俵づくり、産業発展の共通基盤の積極的整備、 などの遊具も対象となる。 優良な中小企業育成など社会経済政策的配慮などを基本 ■小泉構造改革 的視点にして、 「良いものを安く」と新しい競争の時代を 小泉首相が掲げている政策方針。 「構造改革なくして成長 全面に打ち出した。 なし」がキャッチフレーズ。行財政の既得の規範や仕組 ■建設残土 みを、規制緩和や予算・税制改革により抜本的に変えよ 建設工事で土地を掘削することなどで発生する土砂や岩 うという考えで、英国のサッチャーイズムがモデルに 石のことをいう。 産業廃棄物である汚泥と区別するため、 なっている。特に公共事業や不良債権は緊急に改革すべ コーン指数が2以上(上を人が歩ける程度の硬さ)であ き対象とされ、反対の主張は「守旧派」 「抵抗勢力」と見 なされている。 ることが決められている。産業廃棄物は政令で定められ ■公共工事入札契約適正化促進法 ており、アスファルト塊、コンクリート塊は産業廃棄物 「公共工事の入札および契約の適正化の促進に関する法 と定義されているが、建設残土は含まれていない。ただ 律」 。国、特殊法人、地方自治体など公共工事のすべての し、標準仕様ダンプトラックに山積みできるものであっ 発注者を対象に、国民の信頼性確保を目的に、2001 ても、運搬中に流動性を呈するものは残土ではなく汚泥 年4月1日に施行された。本体、政令と指針までの3部 にあたる。 構成。工事名、発注時期など年度ごとの発注見通しの公 ■建設マスター制度 表、入札結果の公表などを義務付けている。また、従来 財団法人建設産業教育センターが実施している現場労働 は発注者が認めれば違法ではなかった公共工事での一括 者の顕彰制度。正式名称は「優秀施工者国土交通大臣顕 下請負(丸投げ)を全面的に禁止した。発覚した時には 彰者」 。建設の現場で実際にものづくりに携わる労働者の 営業停止になる。さらに、施工体制台帳の写しを発注者 社会的評価や地位の確立をめざしている。技能の優秀さ に提出することも義務付けられ、不良・不適格業者排除 だけではなく、後進の指導・育成への取り組み姿勢、安 の徹底を図っている。 全・衛生への配慮、模範的な人格かどうかなども評価の ■公共工事標準請負契約約款 ポイントとなる。毎年1000人を超える建設マスターが 公共工事の請負契約について、基本的な項目を定めた約 誕生している。 款。 ■建設リサイクル法 ■公共工事設計(3省)労務単価 「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」 。コン 公共工事の工事費を積算する際の参考とするため、農林 クリート、コンクリート・鉄の資材、アスファルトコン 水産省と国土交通省(統合前は建設省、 運輸省のため3省) クリート、木材の4つを特定建設資材として指定し、分 が賃金の支払い状況を毎年10月調査し、財務省の承認を 別解体、再資源化を義務付けた。2010年には再生利 得て決定している。物価変動が激しい時には臨時に6月 用率を95%にするという目標を掲げている。法施行に伴 調査を実施、その結果を年度後半の積算に反映させるこ い、解体工事を請け負うことができる企業の登録制度が ともある。最近では、急激な単価下落に対応して、2021 創設された。 年に実施された。 ■減損会計 ■公共工事のコスト縮減 帳簿価額が時価と比較して切り下げた分だけの損失計上 日本の公共事業は、国際比較から高すぎるという批判に を求めたもの。現在、従来は簿価評価だった固定資産へ 応え、1977年9月に政府が行動指針を定め、設計段階か の減損会計導入が企業会計審議会で議論されている。時 らコストパフォーマンス(費用対効果比値)を追求しよ 価会計は簿価との比較で切り上げも切り下げも求めてい うという施策。 コストをカットするコスト削減と区別し、 るのに対して、減損会計は切り下げ分だけを求めている 設計基準変更など技術的なムダを省き合理的コスト低減 点で大きく違う。国際会計基準や米国会計基準でも採用 を追求するという意味で「縮減」という表現が使われて されているが、販売を目的としない事業用資産評価をな いる。行動指針は2000年に新たに策定され、国土交通 ぜ時価まで切り下げる必要があるのかとの疑問の声も根 省によると、2000年度には全府省・全公団で10.2%、 強い一方、保有資産を再評価する企業も多い。 7276億円を縮減した。 144 ■工事進行基準 請負工事の収益を算出する基準のひとつで、進行基準の ほかに工事完成基準がある。工事進行基準は、決算期末 に工事進行程度を見積り、適正な工事収益率によって、 工事収益の一部を当期の損益計算に計上するもの。大規 模工事では進行基準、それ以外は完成基準を採用する併 用型が多い。 ■公募型指名競争入札 指名競争入札の参加者を決定する際に、個別工事ごとに 指名を希望する者を募り、応募者の中から指名業者を選 定して指名競争入札を行う入札方式。 ■雇用セーフティネット 日本経済の低迷と構造改革を進めるうえで、労働者の供 給過剰を整理する過程で、多くの失業者がでた場合の安 全網。具体的には、他産業への労働移動をスムーズにす る、労働者のお見合いともいうべきマッチングシステム の強化や、新たな能力開発や教育への金銭的支援など、 産業間移動と財政支援が大きな2本柱。 建設業の場合、 全 国建設業協会が実施している新規雇用と企業からの送り 出し情報の新たなネットワーク構築が代表例。 ■債務の株式化 企業が抱える債務の免除と引き換えに、債務分を自社の 株式に転換して金融機関がその株式を保有することで、 事実上の債権放棄に応じる手法。ただ、金融機関には大 口株式保有制限があるため、企業は金融機関の株式保有 制限の適用除外となる産業再生法の申請を同時に行う ケースがほとんど。経営者のモラルハザードをもたらす 懸念を指摘する声もあるが、企業にとっては過剰債務の 削減が、金融機関にとっても不良債権処理が進むと同時 に、将来株価が上昇すれば売却益が見込めるメリットも ある。 ■債権放棄 金融機関が融資先の債権を一部放棄すること。企業側か らすれば債務の免除となる。ただ、相次ぐ債権放棄(債 務免除) は企業のモラルハザードを招くとの批判を受け、 現在は債権放棄をする企業は原則3年以内に黒字に転換 することを条件にするなどの指針である、 「私的整理ガイ ドライン」が作成されている。 ■最低制限価格(ロアーリミット) 予定価格の制限の範囲内の価格で入札しても、最低制限 価格に満たない価格で入札した者は失格となる制度。基 準の設定は発注者や工事ごとに異なるが、予定価格の78割に設定するケースが多い。 ■指値 取引の際に依頼者側が価格を指定すること。 ■産業再生法 正式名称は、産業活力再生特別措置法。設備、債務、雇 用の3つの過剰を抱えた企業のリストラを支援する目的 で、99年に施行された。分社化や合併、設備廃棄をした 場合に法人税や不動産取得税など税制面で軽減される。 申請企業は、期間3年以内の事業再構築計画を担当官庁 に提出する。 ■産業廃棄物 産業活動に伴って発生する無価物で「廃棄物の処理及び 清掃に関する法律(廃棄物処理法) 」施行令で指定されて いるものをいう。具体的には燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、 廃アルカリ、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維 くず、動植物性残渣、ゴムくず、金属くず、ガラス及び 陶磁器くず、鉱さい、がれき類、動物のふん尿(畜産農 家から排出されるもの) 、動物の死体(同前) 、ばいじん 類などが、それにあたる。通常、収集・運搬、中間処理、 最終処分の許可を取得した業者に委託して処分する。処 分委託違反や不法に投棄した場合には廃棄物処理法に よって罰せられる。 ■産廃原状回復基金 産業廃棄物不法投棄原状回復基金の略。1998年6月以降 に生じた不法投棄案件に対し、都道府県が除去事業(原 状回復)を行う際、不法投棄者が不明か摘発しても資金 力不足で事業費を徴収できない場合などに、都道府県に 対して費用の4分の3の資金補助を行うための基金。建 設業界は出えん金の7割を負担することが求められてい る。 ■時価会計 企業が保有する資産・負債を原則として時価に基づいて 評価する会計手法のことで、2000年4月1日から導入さ れた。 ■自己資本比率 企業の総資本の中に占める自己資本の割合。総資本は自 己資本と他人資本(借入金や支払手形、買掛金などの負 債)とで構成されており、自己資本の比率が高いのは他 人資本すなわち負債の少ないことを意味している。自己 資本比率は企業の財務状態の健全性を示す指標の1つと して用いられている。 ■指示処分 建設業法の第28条で規定されている。 国土交通大臣また は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が法律の 規定に違反した場合、当該建設業者および特定建設業者 に必要な指示処分ができる。具体的には、建設業者等が ㈰不適切な施工をして公衆に危害を及ぼすかその恐れが 大きい㈪請負契約で不誠実な行為をした㈫法令違反を犯 すなど、建設業者として不適切と認められる㈬主任また は監理技術者の管理が著しく不適当と認められる――な どの場合である。 ■事前公表制度 入札前に建設工事などの設計金額、予定価格、最低制限 価格を公表すること。いずれも、従来はマル秘とされて いたが入札における競争性、透明性、客観性を高めるこ とを目的に導入されだした。地方公共団体では、かなり 145 実施しているが、落札率が高止まりすることから、中止 注者より工事代金の支払いを受けた後、事業協同組合等 した機関もある。 なお、国は会計法で公表できないが、 公 は貸付金を精算して、 残金があれば元請企業に返還する。 社・公団で一部試行されることになった。 また、元請企業が施工途中で倒産等の場合、事業協同組 ■下請け直払い 合等は発注者より受けた出来高相応分の工事代金の中か 元請企業が倒産した場合に下請企業の連鎖倒産を防止す ら貸付金を精算し、残金については、元請企業に代わっ る目的で、浮上した考え方。具体的には、発注者が工事 て下請企業に下請代金を支払うことができる。また、こ 請負契約に、元請企業が下請企業に代金を支払う時期に の制度を活用した企業がその後の入札参加に制限を加え 代金が支払われない時に、発注者が直接その代金を下請 られること等のないよう、国土交通省では発注機関に対 けに支払うことができる特約を設けるもの。ただ、発注 して指導している。 者が未払い金を下請けに直接支払うことの法的問題や、 ■市町村合併 結果的に発注者の二重払い防止策に難しさが残るといっ 地方分権の流れの中で、その受け皿となる組織再編とし た課題が指摘されているほか、元請団体からも元請・下 て注目され、最近では大宮、浦和,与野の3市が合併し 請取引への介入となるなど反対意見が相次いでいた。一 政令指定都市をめざしている 「さいたま市」が顕著な例。 方、アメリカでは中小企業に対する直接下請契約が、ド 2000年4月1日施行の改正自治法は、95年の地方分権 イツでも発注者の特別権限として、 下請直接払い制度が、 推進法以来、地方分権推進委員会の勧告を受けて改正さ れたもので機関委任事業の廃止などが盛り込まれた。旧 弱者救済策として存在している。 自治省は99年8月に「市町村合併の推進のための指針」 ■下請ボンド を都道府県に通知している。 99年の市町村合併特例法改 アメリカの支払いボンドと同義語。ボンドとは"保証"の 正で合併促進策として合併特例債が設けられ、2005年3 意味で、予め何らかの瑕疵が起きたときの一定範囲内で 月までに合併による新市建設事業の財源に特例的な地方 支払う資金を最初から集める"保険"とは違う。日本では 債を充てることができるようになった。起債充当率95 工事完成保証人制度を廃止し新たな履行保証制度が導入 %、償還財源の70%を交付税で措置できる特典となっ されたことで、履行保証の一つである履行ボンドがすで ている。 に存在する。アメリカでは履行ボンドのほか、入札ボン ■実質関与 ド、支払いボンドも制度化されている。下請(支払い)ボ 元請負人が自ら総合的に企画、調整及び指導(施工計画 ンドとは、請負業者が工事に関して発生する労務賃金、 の総合的な企画、工事全体の的確な施工を確保するため 供給資材及び下請けなどへの支払いを行えなかった場合 の工程管理と安全管理、工事目的物、工事仮設物、工事 に、保証会社が代わって支払うことを保証するもの。ア 用資材などの品質管理、下請負人間の施工の調整、下請 メリカの場合、 ミラー法で連邦政府の場合10万ドル以上 負人に対する技術指導、 監督など)を行うことをいう。 単 の工事は履行及び支払いボンドが義務付けられている。 に現場に技術者を置いているだけでは実質関与とは判断 ミラー法に関する判例では、支払い保証範囲は孫請負業 されない。公共工事発注者は、施工力のある建設業者を 者に関してはボンド会社の保証責任はないとされている。 選択し、その適正な施工を確保すべき責務に照らし、一 日本の下請(支払い)ボンド導入は、数年前にも一度導 括下請負が行われないよう的確に対応することが求めら 入へ向けた研究が行われたが、このときはボンドを引き れることから、建設業法担当部局においても公共発注者 受ける損害保険会社、業界からも難色を示す声が多く、 と連携して厳正に対応することとしている。 結局は下請けセーフティネット導入による下請け保護策 ■私的整理 を打ち出すことで決着がついていた。 過剰債務などで経営不振に陥った企業を、裁判所など司 ■下請セーフティネット債務保証 法の関与なしに処理すること。金融機関などが企業と協 建設業者で組織する事業協同組合等が行う転貸融資と建 議したうえで債権の一部を放棄することが前提となる。 設業振興基金の債務保証を組み合わせることによって、 法的整理に比べ問題解決のスピードが早く、企業の無形 中小・中堅企業への低利な資金供給と、下請企業への支 資産である人材や商権が散逸せずにすむという利点があ 払条件などを改善する事業。公共工事を施工中の元請企 る反面、手続きに不透明さや債権の見込みがない企業を 業が、発注者から将来受け取る工事代金債権(未完成公 延命させるだけだという批判もある。 共工事請負代金債権)を、事業協同組合等に譲渡し、事 ■指名停止 業協同組合等は、その譲渡債権を担保として、出来高の 公共工事参加の有資格業者が法令違反等をした場合に、 範囲内で元請企業に融資する。元請企業は事業協同組合 工事等の契約の相手方とすることが不適当として、期間 等より借り入れた資金を下請企業に支払う。通常は、発 を定めて指名の対象から除外する措置。 146 ■重層下請構造 向する傾向にある。 下請け契約の内容の一部を数段の下請けに付すこと。契 ■専門工事業イノベーション戦略 約関係の明確化、労働条件の改善、取引関係の自由化な ゼネコンの外注比率が7割に達する中、建設生産の中核 どを図ろうとする場合に構造的な問題点として指摘され を担うに至った専門工事業者の生き残り戦略の方向性を ている。 示したもの。2000年に建設省(当時)が策定した。強ま ■住民参加型プロジェクト るコストダウンの要請に対応する方法として登場してき まちづくりで住民や市民の声を取り入れようという取り た分離発注、異業種JV、コンストラクションマネジメ 組みで、神奈川県横浜市のパートナーシップ推進モデル ントなどへの参画体制の構築をはじめ、自発的なコスト 事業などが代表。公共事業では、徳島市の吉野川河口堰 ダウンへの取り組み、企業間連携、IT(情報技術)の 事業の賛否を住民投票で問う試みも行われた。公共事業 活用などの経営革新を促している。さらに、不採算工事 に対する批判の高まりの中で、 事業のプロセスを公開し、 の原因となる指し値発注を拒否する新しい元下関係の構 住民の意見を反映させることでコンセンサスを確立しよ 築や、徒弟制的な技能継承方法から脱して戦略的に人材 うとする試みが求められている。建築家が、自分の設計 を育成する方法を開発する必要があると指摘している。 にユーザーや住民の声を反映させようと行っているワー ■総価契約・単価合意方式 クショップもこの一環。 総価で契約するものの、 単価についても甲(発注者側)乙 ■主観点数・客観点数 (受注者側)間で合意することで、契約の甲乙間の双務性 入札参加者の経営力や技術力を数値化した指標。主観点 向上と、部分払いや契約変更時の円滑化を図ることがね 数は発注者独自の観点で設定し、ISOの認証取得など らい。メリットとして㈰設計協議が円滑になる㈪部分払 に対して加点するケースもある。客観点数は、 「経審」に い時の出来高金額が明確となる㈫工事着手時の発注の考 基づいて算出された点数。 え方のミスを事前に防止することが可能となるなどの効 ■主たる営業所 果がある。 法解釈では、 「主たる営業所とは、会社については、定款 ■総合評価一般競争入札方式 所定の本店のことである。ただし、形式上(登記簿上)の 公共発注機関が、競争入札により契約を締結する場合、 本店と実質上(現実の営業上)の本店とが一致しない場 予定価格の範囲内で、価格だけでなく、その他の条件も 合には、後者が主たる営業所に当たると解するのが相当 併せて、もっとも有利な企画をもって入札に参加した者 である」とされる。 を落札者とする方式。評価項目はサービス水準、環境へ ■性能発注方式 の影響、安全性、耐久度など案件によって設定される。P 形状や材質などの仕様ではなく、要求性能を規定して発 FI事業者の選定方法は一般競争入札によることが原則 注する方式。発注者にとって施工者の技術提案を活用で とされ、総合評価一般競争入札の活用を図ることとなっ きるメリットがある。 ている。 ■施工体制台帳 建設業法で、特定建設業者が発注者から直接建設工事を 請け負った場合に作成義務がある。建設工事を施工する ために締結した下請契約の総額が3000万円(建築一式 工事の場合4500万円)以上となる工事が対象。台帳の 整備は公共工事だけでなく民間工事でも求められる。と くに公共工事の場合は、公共工事入札契約適正化促進法 で、請負者は発注者に施工体制台帳の写しを提出するこ とが義務付けられている。 ■選択と集中 米・GE社のジャック・ウエルチ元会長が、同社の企業 再構築を打ち出した際に「得意分野(コアコンピタンス) への選択と集中」を推進し、成功させたことで一躍、有 益な経営手法として注目を集めている。その狙いは、保 有する経営資源のNo1部門(またはNo1になりそう な部門のみ)を選択して、優良企業となることである。 わ が国ではソニーが実践して注目を集めたが、建設業界で も不採算部門からの撤退と優位部門への重点化などを志 147 ■大深度地下 ■地方自治法 「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」 により首 地方公共団体の行政全般について規定している。建設関 都圏、近畿圏、中部圏を対象に、原則として補償なしで 公共の目的のために使用できる。大深度地下の定義は、 係では、一定金額以上の工事などは議会の承認を受けな ㈰地下室建設のための利用が通常行われない深さ(地下 40m以深)㈪建築物の基礎設置のための利用が通常使わ 入札については、最低制限価格と低入札価格調査制度の れない深さ(支持地盤上面から40m以深)のどちらかに 該当。 ■中央建設業審議会 ■脱ダム宣言 2001年2月20日、田中康夫長野県知事が「日本の背骨 行政について、議論、検討する。建設業法を始めとする に位置し、数多の水源を擁する長野県において出来る限 ど、重要な項目は必ず諮問する。 り、コンクリートのダムを造るべきでない」と記した紙 を県幹部に配布した。 これが脱ダム宣言と呼ばれるもの。 ■中央防災会議 未着工のダムは全面中止、契約済みの淺川ダムもこの宣 言に従うべきだとして、その後中止になり、訴訟に入っ 長とし、全閣僚や学識経験者が参加し、東海大地震への ている。公共事業のあり方をめぐる動きで、手続きや技 術論抜きのトップダウンの宣言には国からの批判も強く、 同会議での決定をもとに、地域の防災計画を作成する。 いと、 落札者が決まっていても契約することができない。 どちらでも採用することを認めている。 略して中建審という。国土交通大臣の諮問機関で、建設 関係法令や経営事項審査制度、入札・契約制度の改正な 国における防災の最高意思決定機関。内閣総理大臣を会 対策など重要な防災計画を策定している。地方自治体は 事務局は内閣府に置いている。 改めて公共事業のあり方に波紋を投げかけた。 ■定期借地権 ■多能工型建築生産システム(多能工) 多種多様の熟練工に依存する従来の建築生産の問題点を 契約時にあらかじめ借地期間を定め、期間満了時に更地 にして返却することが義務づけられている借地権。一般 解消するとともに、近い将来予測される熟練工の減少に 対応していくことを狙いとした施工システム。部材のプ 定期借地権と事業用借地権がある。 1991年借地借家法で 制定。土地を所有する場合に比べ土地購入費用がかから レハブ化、ユニット化、新材料の採用などによって、こ れまで各種の専門的技能を必要とした作業を単純化・標 ないため、住宅取得費用が抑制される。 ■定期―設計変更部分払い方式 準化し、マニュアルに沿って短期間の教育を受けた一定 定期的に細かい頻度で部分払い、 設計変更協議を実施し、 少数の多能工のみで一連の作業をまかなえる。 ■多様な入札・契約方式 前払金を全体工期で均等割した金額以上に出来高が上 回った場合には出来高に応じて支払う方式。この方式に 従来からある一式請負方式や分離発注方式、設計施工一 貫方式に加えて、コストダウンや工事発注の透明性、品 より㈰工期末に一括して設計変更を実施せず、新規工種 などの発生に伴った設計変更協議と変更契約を速やかに 質の確保などを目的としてCM(コンストラクション・ マネジメント)方式、PM(プロジェクト・マネジメン 実施することで、設計変更を巡るトラブルが減少すると ト)方式、などの新しいプロジェクトの発注方式が注目 いう、双務性のある設計変更となる㈪月ごとに出来高に を浴びている。国土交通省では2001年度に37種類の方 式を「実験計画」として実施している。 応じた工事代金を支払う(定期的な部分払い)ため、受 ■地方交付税 地方交付税の総額は、国が地方財政計画で計上される地 ことで、工事代金が従来以上に速やかにすべての下請業 方歳出と歳入を見積もって、その歳入の不足分を補 填するものとして決定され、それにより地方自治体に標 発現する㈬工事代金の支払い回数が増えるため、工事資 準的歳出を保障している。補助金と地方交付税により地 の財務状況が改善される――の効果が期待されている。 方の公共事業財源の大半が固まるところから、国の関与 が著しく、そのことが地方の自立と独自性を損なうとい ■低入札価格調査制度 う指摘から、地方分権の推進からも地方交付税の見直し が経済財政諮問会議で議論されている。地方交付税の事 で契約内容に適合した履行がなされないおそれがあり、 業費補正(ある公共事業を行うとその地方負担を交付税 でみるもの)や段階補正(小規模地方団体のコストが割 事の適正な履行の確保を図るために設けられた制度。調 高になるのでこれを補てんするもの)の縮小、自治体が 自由に使える留保財源率(地方税収入のうち都道府県や に設定された調査基準価格を下回った価格で、最低価格 市町村が自由に使える財源の割合)の拡大などが見直し 行可能と判断されれば正式契約となる。調査対象となる のポイントとなっている。 案件は相当数発生しているがほとんどが履行可能と判断 発注者間のコスト意識が醸成できる㈫支払いを毎月行う 者にまで到達することで、公共工事の経済効果が早期に 金の調達に伴う施工者などの金利負担が軽減し、受注者 あまりにも極端な低い価格で入札した場合に、その価格 その発生を未然に防ぐために必要な調査を行い、公共工 査対象となるのは、一般的には予定価格の85%から2/3 提示者となった場合は契約保留となる。調査の結果、履 148 され正式契約されている。地方公共団体の工事では、国 助金などの投入の大幅削減も図った。政府は、小泉首相 の会計法では認められていない 「最低制限価格(ロアーリ を本部長とし、全閣僚で構成する特殊法人等改革推進本 ミット)」制度が地方自治法で認められており、制限価格 部を設置している。 を下回った場合には自動的に失格となる。 ■徳政令 ■出来高 借金の返済を免除(棒引き)すること。 「売買・貸借の契 建設工事の請負契約で施工済みの部分を評価して相当額 約を破棄すること。鎌倉末期に、武士の困苦を救うため を算出したもの。部分払いの対象となる。多くは内訳書 に、質入れの土地・質物を無償で持ち主に返すことの制 により算定する。施工管理の面では工事、工種ごとに出 度」 (広辞苑) 。バブル崩壊後の"平成不況"で膨大な有利 来高を算出して利益管理に使う。 子負債(借金)が経営を圧迫していた複数のゼネコンに ■電子国土・電子政府・電子自治体 対し、金融機関が債権放棄(棒引き)したり、その金融 IT(情報技術)を行政が率先して取り入れ、許認可事 機関に公的資金を投入したことなどが「平成の徳政令」 務や事業推進の業務を電子化しようということで電子政 と呼ばれた。 府、電子自治体と呼称している。電子国土は旧建設省が ■特定建築者制度 2001年度予算要求で、 電子国土という考えを打ち出した 市街地再開発事業で、すべてが権利床のものを除き、再 ことによる用語。情報通信ネットワークの支援、ITS 開発ビルの建築を施行者以外の者に行わせることができ の積極展開、防災分野のIT化、電子商取引の環境整備 る制度。施行者以外で再開発ビルを建築する者を「特定 などを打ち出した。 建築者」といい、民間事業者を対象とするときは公募で ■電子入札 定める。1999年6月の都市再開発法改正で、権利床を含 インターネットを用いて、競争参加資格の確認申請、確 む再開発ビルでも特定建築者制度が適用できることに 認結果の受理、応 札、応札結果の受理、再入札までの一 なった。 連の作業を行うこと。入札に参加するための移動回数が ■特別検査 大幅に減少するとともに、書類作成などの業務の効率化 金融庁が不振企業を選別するために実施している検査。 が期待されている。 政府が不良債権処理の抜本処理策の一環として改革工程 ■淘汰の時代 表に盛り込んだ。株価や格付けなど市場の評価が悪化し 建設省(現国土交通省) の『建設産業再生プログラム』 で、 ている債務者に着目し、大手銀行への検査を通じて不振 「……建設産業も、競争激化の中で、優勝劣敗、淘汰の時 企業を洗い出し、再編や整理を促すのが狙い。青木建設 代を迎えようとしている」と明記されて一般認識となっ の民事再生法適用申請を始め、三井建設・住友建設・フ た。景気低迷と建設投資の漸減傾向などで需給アンバラ ジタの統合発表、佐藤工業の会社更生法適用申請などの ンスが顕在化、 「技術と経営に優れた企業」で 背景に特別検査があるといわれる。 なければ淘汰される時代に突入した。行政もそのための ■特命契約 誘導措置を講じつつある。 履行可能なものが特定のものに限られるなど一定の理由 ■道路特定財源 国税に揮発油税、石油ガス税、自動車重量税、地方税に がある場合について、該当する特定のものを契約者とし 地方道路譲与税, 石油ガス譲与税、自動車重量譲与税、 軽 て随意契約を結ぶこと。随意契約は、入札の方法によら 油取引税、自動車取得税があり、2001年度の税収は5兆 ないで、原則として複数のものから見積書を提出させ、 8547億円。公共事業の見直しと財政改革の中で、道路整 その中から予定価格の制限の範囲内で最低の価格(売払 備のみに使途目的が限定されている税は改めるべきだと い契約の場合は最高の価格)をもって申込みをしたもの いう議論の対象に。高速道路建設の見直し、道路関係公 を契約の相手方とする契約方式 団の見直しの中で、最終的には道路特定財源をどうする ■独立行政法人 かが問題となる。 1999年の通常国会で独立行政法人通則法が成立し、 中央 ■特殊法人改革 省庁の現業部門、試験研究機関、博物館、美術館などを 特殊法人改革基本法が2001年6月22日から施行され、 独立の法人格をもつ機関へと改めることが決定した。国 2005年度までに77の特殊法人と86の認可法人が合理化 土交通省関係では2001年4月から土木研究所、建築研 されることになった。法律では、05度までを集中改革期 究所、交通安全公害研究所、港湾技術研究所が独立行政 間とし、廃止、民営化、独立行政法人化などへと見直す。 法人に移管した。また新たに直轄の機関とした国土技術 特に建設関係の特殊法人見直しでは、住宅金融公庫、都 政策総合研究所が発足した。独立行政法人は、中期計画 市基盤整備公団は廃止して独立法人化、道路4公団の統 を策定し、 事業に複式簿記など企業会計手法を取り入れ、 合民営化などが決まった。特殊法人の見直しに伴い、補 監査法人の監査を受ける。 149 ■特例容積率適用区域 ている。 商業地域内の都市計画で定める一定の地区において、特 ■燃料電池 定行政庁が関係権利者の合意に基づいて、ほかの敷地の 未利用容積率を活用することを認める制度。これまでも 水素と酸素を化学的に反応させて水とともに電気を取り 隣接する敷地での未利用容積の移転は可能だったが、こ の制度により隣接にこだわらない容積移転が可能になっ システム。発電の際に発生する排熱が給湯・暖房などに た。 ■都市再生 染対策として、都市部でのコージェネレーション・シス 21世紀の日本の活力の源泉である都市の魅力と国際競争 力を高めるため、 とくに中枢機能が集積している東京圏、 ■廃棄物処理法 出すシステム。極めてクリーンで、発電効率が高い発電 利用できるため、地球温暖化防止や都市における大気汚 テムに組み合わせが可能となる。 正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 。ごみ 大阪圏などの地盤沈下を食い止め、文化と歴史を継承し の排出量を抑えて、適正に処理することを目的としてい つつ、経済活力に満ちあふれた都市に再生すること。 「環 境、防災、国際化等の観点から都市の再生をめざす21世 る。家庭のごみは一般廃棄物、建設廃棄物などは産業廃 棄物に区分している。不法投棄に対しては罰金や懲役な 紀型都市再生プロジェクトの推進や土地の有効利用等都 市の再生に関する施策を総合的かつ強力に推進する」こ どの刑罰がある。 ■排除勧告 とを目的に2001年5月8日、内閣に都市再生本部が設置 された。そして、10年間の時限立法「都市再生特別措置 公正取引委員会が、独占禁止法違反行為があったと判断 法」が2002年3月に成立した。 した企業や事業者団体に対し、違反行為を取りやめるよ ■土壌環境保全基金 住宅などの敷地で汚染が発見され、 汚染原因者が不明で、 う命じる行政処分で、違反行為がなくなっていても1年 かつ土地所有者の土地浄化に係る負担能力が低い場合に ついて行われる助成のうちの一部を担う基金。環境相の 札談合など、不当な取引制限で勧告を受けた場合、企業 諮問機関である中央環境審議会が2002年1月、今国会 に提出している土地汚染対策法案の柱として、審議会答 告などで周知徹底し、公取委へ報告するよう求められる 申に盛り込んだ。産業界に出えん金を求めているが、経 ■発注標準 団連を中心に拒否の声が挙がっている。 ■土壌地下水汚染 公共工事の発注に際して、格付に対応した工事規模を区 化学物質が事故などにより土壌に浸透したり、不法に投 棄された場合に土壌汚染が起きる。 1970年代にかけては ばれる。国土交通省の場合、一般土木は4ランクに格付 水銀やカドミウム、六価クロムなどの重金属、ポリ塩化 ビフェニール(PCB)などの化学物質によるものが多 Bが3億円以上7億2000万円未満、Cが6000万円以上 以内なら、公取委が特に必要と認めれば勧告できる。入 などはカルテル協定を破棄したうえ、そのことを新聞広 ほか、課徴金の納付命令が出される場合もある。 分する。この区分の対象となる工事金額が発注標準と呼 けされ、最上級Aの発注標準金額は7億2000万円以上、 3億円未満、Dが6000万円未満となっている。 かった。近年ではトリクロロエチレンなどの化学物質に ■引当金 よる汚染も目立っている。土壌浄化能力の限界を超えた 場合、地下水汚染を引き起こす。 企業が当該決算期の損益計算に計上する際に表われる相 手勘定のことである。 将来の費用または損失であっても、 ■土地有効利用事業 大都市圏の虫食い土地や企業のリストラに伴う工場跡地 その起因事象がすでに存在しており、発生の可能性が高 く、金額の合理的な見積りができる場合に計上する。賞 などの低未利用地を都市基盤整備公団が取得し、土地の 整形・集約化や基盤整備を行った上で原則として民間事 与引当金、退職給与引当金、特別修繕引当金、貸し倒れ 引当金などがある。商法上は負債の部に計上し、しかも 業者等に売却すること。 ■日本版REIT 投資家から集めた資金でオフィスビル、商業施設などを 法的債務性のないものに限られる。近年は金融機関が不 購入し、そこから得られる賃貸収入、転売益などで収益 を分配する投資信託。米国では同様の仕組みをReal ■費用対効果分析 Estate Investment Trustの頭文 字を取ってREIT(リート)と呼んでいる。 果の効率性を費用との関係で分析する手法。公共事業の ■入学試験・面接方式 コンサルタント業務のプロポーザル方式などで、関係者 のとして重視されている。例えば道路では、走行時間や を一堂に集めて1日で技術提案を求める方式。手続き期 建設・維持管理費と社会的割引率を用い、純現在価値、費 間の短縮や受発注者間の業務量の軽減などをねらいとし 用便益費、内部収益率などの指標で事業の価値を示す。 良債権処理するために引当て処理するケースが多い。 公共事業などの整備計画をまとめる際に、投資による効 ムダ使い批判の中から、効率性や経済価値を評価するも 走行費用の節約、 事故の減少などを便益として金銭化し、 150 ■歩掛り ■民事再生法 直接工事費を積算するために必要な単位工事量あたりの 会社更生法とともに法的整理のひとつの手法で、不良債 材料、労務、機械器具などの標準的な所要量を数値とし 権を切り離すやり方。企業だけでなく協同組合や個人な て示したもの。 どだれでも利用できる。会社更生法と違って、経営が破 ■歩切り 綻する前に申請できるので、傷が深くならない段階で経 発注者が予定価格の決定に当たって、その根拠となる設 営再建に取り組むことができる。また、審査など手続き 計図書に基づいて適正に積算された設計価格の一部を、 が迅速で、経営陣が引き続き再建に当たることも認めて 合理的な理由なしにカットして予定価格とすること。 いる。倒産の急増で申請件数も増えている。 ■不動産証券化 ■持ち株会社 不動産の運用益を投資家へ分配することを約束した契約 事業持ち株会社と純粋持ち株会社の2つの形態がある。 書(証券)と引換えに投資を募る仕組み。1998年9月に 子会社の支配を主たる事業とする後者の純粋持ち株会社 特定目的会社(SPC)による特定資産の流動化に関す は、戦後の財閥解体に伴う独占禁止法の規定で禁止され る法律が施行され、さまざまな不動産証券化商品が登場 ていたが、 1997年の独禁法改正で条件付きながら認めら している。 れた。事業の組み替え、大型の合併や吸収を矢継ぎ早に ■分離発注・一括発注 できる利点などから、建設業界でも効率経営の観点で関 分離発注は、建築本体工事と各設備工事を分割して発注 心が高まっている。連結納税やグループ経審の問題が解 する方式で、逆に一括発注は建築本体に設備工事を含ん 決されれば普及に弾みがつくとみられる。 で発注する方式。 ■有利子負債 ■編集設計 利子の付く借金のことで、銀行からの借入金や企業が投 デザインのネットワーク化、データベース化によってデ 資家から資金を調達する社債等がある。 建設業界はいま、 ザインを合成し編集する作業。 不良債権処理問題で再編論議が起こっているが、その根 ■法的整理 底にあるのが有利子負債の多さである。しかし、有利子 私的整理に対し、会社更生法などにもとづく方法が法的 負債が多いからその企業はダメということではない。有 整理。私的整理に比べ透明性はあるが、問題解決までに 利子負債を営業利益が上回っていれば無借金状況といっ 時間がかかるなどの問題がある。 てもいいことになる。要はそのバランスが問題というこ ■前払保証 とである。 着工に必要な運転資金として、発注者が請負者に契約金 ■履行保証制度(履行ボンド) 額の一部を前払いする場合、 それを前払保証事業会社(北 損害保険会社や前払保証事業会社が発注者に対し保証証 海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業 券を発行することにより、請負業者が契約を履行するこ 保証の会社)が保証する制度。 元請けは下請企業にも相応 とを保証する。請負業者が倒産した場合、発注者が被る の代金を支払うことになっている。 損害を保険・保証会社が保証金額の枠内で連帯保証する。 ■民間都市開発推進機構 1987年に設立された財団法人。 事業見込地の先行取得を 通じて、民間事業者による良好な都市開発の促進を行う 土地取得・譲渡業務や民間事業者が実施するオフィス、 ホテル、ショッピングセンターなどの建設について、一 定の要件を満たす場合、機構が事業費の一部を負担して 共同事業者となる参加業務などを行う。 ■民間建設工事標準請負契約約款(民間約款) 1951年に建設大臣(現国土交通大臣)の諮問機関である 中央建設業審議会が、民間工事で契約を締結する際のひ な形として策定した。甲、乙、下請けの3種類があり、甲 はおもに大規模工事、乙は個人住宅のような小規模工事 を対象としている。民間の建築工事では、日本建築学会 などが策定した民間(旧四会)連合協定工事請負契約約 款がおもに使われているという。 151
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