教育 教育 「次世代を育む環境づくりと人づくり」をテーマに、重点分野の一つを「教育」とし、自社の経営資源を活かし、 それぞれの年代に応じたプログラムを展開して、取り組みを進めています。 社員が学校を訪問する出張授業を推進 子どもたちの「生きる力」の向上につながることを願い、花王の事業にかかわりの深い「清潔」「健康」「環境」分野で、「手洗い講座」 「おそうじ講座」「環境講座」の 3 つのプログラムを実施しています。これらは、製品開発の過程で生まれる生活に役立つ知見を活か した、実習や実験を重視する体験型のプログラムとなっています。 2012 年は、3 講座合わせて、32 都道府県の 183 校・約 1 万 2 千名の児童に、花王 グループの社員、のべ約 900 名が講師として参加して実施しました。2009 年度の活 動開始から、累計約 2 万 3 千名の児童が受講しています。 講座に参加した社員からは「自らこの活動に携わることで、会社の社会貢献活動を 実感できた」等の声が寄せられ、社員が社会と触れ合い、社会貢献活動を知るよい 機会となっています。2012 年は参加部門が拡大するとともに、経営幹部も講座の講 師を努めるなど、全社活動として定着してきました。 2013 年度以降も、講座の質をより高めていくとともに、実施校も拡大し、多くの社員 「手洗い講座」の授業 が参加していく予定です。 1.「手洗い講座」 子どもたちが手洗いの大切さに気づき、洗い方を習得してもらう小学校低学年向け のプログラムを 2009 年度から実施しています。 手の洗い方を「あわあわ手あらいのうた」を使って練習する時間も設け、正しい手洗 いへの動機づけを行なっています。 2012 年は、31 都道府県の小学校 87 校・約 5,400 名の児童に、のべ約 440 名の社 員が講座を実施し、先生からは「特殊な器材を使った実験など、学校ではなかなかで きないことをしていただき大変よかった」等の声が寄せられています。 「手洗い講座」の授業 2.「おそうじ講座」 小学校低学年の「生活科」のカリキュラムに連動して、食器洗いとふき掃除の実習を通じ、家 事の大切さや、それらの上手なやり方・コツを学ぶプログラムを 2010 年度から実施しています。 また同時に、子どもたちが家族における自分の役割を考えることで、「家族の役に立つ喜び」や 「感謝の心」の大切さに気づいてもらうこともめざしています。 2012 年は、17 都道府県の小学校 47 校・約 3,100 名の児童に、のべ約 270 名の社員が実習 を交えた講座を行ないました。先生や保護者からは、「何より日常の掃除が劇的に変わった」 「家事の大変さをわかってくれたようだ」という評価をいただきました。さらに子どもたちからも 「今まではそうじがいやだったが、そうじがすきになった」といった感想も寄せられ、児童の生活 力の向上に貢献しています。 「おそうじ講座」の授業 - 104 - 今後も、基本的な家事スキルや“家族への思いやり”の大切さを伝え続けるために、より多くの社員が参加して「おそうじ講座」を継 続・拡大していく予定です。 3.「環境講座」 未来を担う子どもたちと共に、企業が考える環境を考えたモノづくりについて、講義 や実験を通じて学ぶ体験型の環境教育プログラムです。身近な商品を通して節水 について考えることで、子どもたちが日々の生活で環境に配慮した行動に取り組 むきっかけになるよう、2009 年度から開始しました。 授業では、すすぎ効率に優れた「アタック Neo」(衣料用濃縮液体洗剤)を題材に、 製品の使用場面で「すすぎ 1 回」を選択すると節水効果が得られることを紹介しな がら、企業が環境に配慮した商品の開発や製造に努めていることを理解してもらう とともに、使用場面での行動が環境に及ぼす影響も大きいことをお伝えしていま す。 小学校での「環境講座」の授業 2012 年は小学生、中学生、高校生を対象に、出張授業を 19 都道府県 49 校で実 施しました。 出張授業を体験した児童からは、「身近な生活の中で、節水や節電をもっと心がけると、地球にも環境にもいいことがあるとわかり ました」等の感想が寄せられ、児童の意識・行動の変化を促す活動になっています。 理科教育の支援 花王グループは、小学生から高校生まで幅広い年代に対し、身近にある製品を題材とした社員による実験講座の実施、教育機 関・団体への講師の派遣、企業訪問研修受け入れなどの活動を通じ、理科教育を支援しています。 2012 年度は、理科教育・キャリア教育の支援を合わせて、15 の教育機関・団体に協力しました。 1.日本油化学会オレオサイエンスフェア 小中学生のための実験講座に協力 花王は、2001 年より理科教育支援を目的に、身近にある製品を題材とした、社員に よる実験講座を開催しています。 2012 年は、創立 60 周年を迎える日本油化学会の記念事業であるオレオサイエンス フェアに協力し、「スキンクリームをつくってみよう!!~暮らしの中の乳化~」と題し た実験講座を開催しました。実験会場は「全国高校化学グランプリ 2011」の二次選 考会場にもなった慶應義塾大学理工学部の本格的な実験室で、子どもたちは化学 者気分で実験ノートをとりながら、親子で楽しく課題に取り組んでいました。 オレオサイエンスフェア 小中学生のための実験講座 2.科学技術の自由研究コンテスト(JSEC)に協賛 2005 年から高校生を対象とした科学技術の自由研究コンテスト(JSEC)に協賛し、 毎年優れた作品に花王賞を贈呈しています。また 2012 年からは、キャリア教育への 貢献も視野に入れ、新たに花王特別奨励賞を設け、副賞として花王の研究関連施 設を見学するスタディーツアーを授与して、受賞者と研究員との交流を行なうことにし ました。 2012 年の花王賞は、兵庫県立三田祥雲館高等学校の山田健太郎さん、藤原霧子 さん、加藤由佳さんの「闘蟋-コオロギの闘争行動解析-」、花王特別奨励賞は、学 校法人静岡理工科大学静岡北高等学校の伏見華奈さん、大上弘奈さん、内野貴文 第 10 回高校生科学技術チャレンジ(JSEC2012)最 終審査会 - 105 - さんの「ハイドロタルサイトによる吸着と二酸化チタンおよび水素による還元除去を組み合わせた硝酸イオン除去リアクターの開 発」に決定しました。 キャリア講座の支援 (株)カネボウ化粧品では、横浜国立大学が推進する“早期キャリア教育”に協力し、 神奈川県立小田原高等学校にて、研究員による理科をテーマにしたキャリア講座を 実施しました。1 年生約 320 名を対象に、肌のしくみや化粧品の役割、さまざまな処 方技術について、簡単な実験を交えながら解説。また、学生時代に打ち込んだ研究 が仕事での製品開発に活かされるまでのエピソードを交え、将来の目標を掲げること の大切さや目標へ向かう道筋の多様性など、将来の進路を主体的に考えてもらうた めの講演を行ないました。 カネボウ化粧品のキャリア講座 「花王・みんなの森の応援団」 「花王・みんなの森づくり活動」の助成先市民団体と協働した、大学生に環境への意 識や関心を高めてもらうことを目的としたプログラムです。公募で選ばれた大学生が、 「花王・みんなの森づくり活動」の助成先市民団体の活動に参加。団体の方々へ取 材を行ない、レポート記事を執筆作成して、新たな認識や知識を深めます。 さらに、大学生の記事を通して、森づくり活動の意義を広く社会に伝え、活動を行なう 市民団体の支援の輪を広げ、世代間のコミュニケーションやコミュニティづくりを促し 相互理解を深めています。机上の知識や学問だけでなく、フィールドを体験すること により、大学生に現場の大切さを理解してもらい、「聞いたこと」「思ったこと」を自分 自身の言葉で伝える技術の習得もサポートしています。 花王・みんなの森の応援団 2012 年度は 10 名の大学生が 10 団体へ訪問、記事を執筆しました。 2006 年度にスタートしてから 2012 年度までに 56 名の大学生が 57 団体へ訪問、記事を執筆しています。 このプログラムは、特定非営利活動法人日本 NPO センターとの協働で運営しており、大学生が執筆した記事は、日本 NPO センタ ーの「NPO ひろば」にも掲載しています。 工場見学を通じた次世代教育 花王は、日本国内に 9 つの工場があり、2012 年度は約 4 万 5 千名の皆さまに工場 見学にご来場いただいています。見学者の約 3 分の 1 が小学生、中学生、高校生の 生徒です。特に小学生の工場見学では、地域の身近にある企業がどのように“よき モノづくり”に取り組んでいるのかを理解していただいています。 2010 年度より、川崎工場では小学生 5 年生を対象とした見学プログラムに、学校教 育視点を取り入れた独自のプログラムによる見学を行っており、先生や児童の理解 鹿島工場での原料のはたらき確認実験 - 106 - が向上し、好評を得ています。来場者数が 2012 年度は 2010 年度の約 3 倍と顕著 に増加するなど、その成果が現れています。 2012 年度は、鹿島工場、和歌山工場と花王エコラボミュージアムを中心に、小学校 の対象学年に応じた社会科単元と連動させた新しい工場見学プログラムを導入しま した。各地域にある花王工場、ミュージアムの特徴をわかりやすく伝える内容とし、原 料のはたらきや環境への配慮を知る実験を取り入れ、「自ら知り、学ぶ楽しさ」を実感 していただいています。 花王エコラボミュージアムでの水量調べ実験 アジアでの次世代教育 次世代を担う子どもたちに向けた出張授業を、国 内だけでなく海外でも実施しています。 「手洗い講座」を、インドネシアの幼稚園で 2011 年 度に開始しており、2012 年は 25 園・約 3 千名の 園児を対象に、日本と同じく手洗い歌を活用した 指導法で実施しました。 また台湾では、日本の活動をベースにした小学生 向けの「おそうじ講座」を 2011 年度に開始。2012 年は、台湾花王の社員が講師となり 12 校で講座 台湾でのおそうじ講座 を実施し、子どもたちに掃除の大切さや正しいやり方を教えました。また「おそうじ講座」の中で 正しい手洗いを伝える活動も始めました。 次世代を担う児童に、正しい手洗いの習慣を身につけてもらう「手洗い講座」や、掃除の大切さ を理解し正しいやり方を身につけてもらう「おそうじ講座」を、今後も引き続き、アジアで広げて いきます。 「花王・教員フェローシップ」を継続 花王・教員フェローシップは、小・中学校の教員の方々を対象に、夏休みの 2 週間程 度、生物多様性の保全をテーマとした海外の野外調査研究(国際 NGO アースウォッ チ主催)へ、ボランティアとして参加する機会を提供するものです。現地で得た体験 や感動を、地域や学校での環境教育の実践に結びつけていただくことを目的として おり、参加した先生から生徒、教員同士、地域社会へ環境保全や生物多様性保全 の大切さを伝え、広がっていくことを期待しています。 花王・教員フェローシップ実績 2012 年度 4 プロジェクト(教員 10 名) 野外調査 これまでの累積 50 プロジェクト(教員 99 名) - 107 - インドネシアでの手洗い講座
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