等身大のあなたを伝える技術・プレゼンテーション

SCMビジネスモデル研究会
プロが明かす究極のノウハウ!
等身大のあなたを伝える技術
プレゼンテーション
2002・03・23
日本アイ・ビー・エム株式会社
エグゼクティブ・プログラム
専任研修担当部員 栗山 敏
[email protected]/03-3808-3943
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IBM天城ホームステッド
沿革
・昭和43年4月設立(今年で開設以来35年目)
・平成12年9月14日、80,000名
・平成12年9月14日、80,000名を突破!
80,000名を突破!
所在地: 静岡県中伊豆町冷川1524番80
総敷地面積:69,300平米
延建坪:6,705平米
構 造:鉄筋コンクリート3階建
2
これからのお話でお伝えしたいこと
(私の問題意識)
卓越した見識と能力を兼ね備える
われわれ中小企業診断士は
高い伝達能力(プレゼンテーション)をも
獲得する義務がある!!
「プレゼンテーションを学ぶ」
とはどういうことか?
なぜプレゼンテーションを
学ぶ必要があるのか?
日本人はプレゼンテーションが下手過ぎる。
いかにスキル・ノウハウがあっても効果的に伝えられなければ何も知らないのと同じ。
「下手なプレゼンテーション」は日本経済への背信行為
「下手なプレゼンテーション」は日本経済への背信行為である。
日本経済への背信行為である。
「聞く人が馬鹿だから分からないのだ・・・」はプロダクトアウトの発想。
プレゼンテーションはディベート(上祐:オウム真理教)とは別物。
等身大の実力を正しく理解してもらう上で、日本人にはプレゼンテーションの
勉強が是非とも必要。
3
「知っている」と「伝えることができる」の違い
Aさん
100知っているが
30しか表現できない
Bさん
60しか知らないが
50表現できる
社会的価値は
Bさんの方が上
100
「宝の持ち腐れ」は
犯罪です!
80
60
Bさんの伝達能力
40
Aさんの伝達能力
20
0
4
「ナレッジ・マネジメント」実現の重要な一要素
「赤提灯」による知識共有
からの脱皮
まず「暗黙知」を「表出化」
できないと、何も始まらない!
共同化
暗黙知の共有や相互作用により、個人の暗黙知から
暗黙知を獲得するプロセス
知識創造の4つモード
親方のノウハウを観察し、模倣や訓練によって技能を
体得する
営業マンが顧客と直接触れ合ってニーズを体感する
表出化
暗黙知
言葉になっていないアイデア、イメージなどの暗黙知
を、文章、図形などに形式化するプロセス
形式知
共同化
表出化
Socialization
Externalization
(個人間)
一部分のみ
顧客のニーズ、熟練のノウハウ、新製品のアイデアな
どを図形、文書で表わす
(グループ内)
連結化
個人や組織がそれぞれの形式知同士を組み合わせて
新たな知を創るプロセス
学習
反省
対話
内面化
連結化
Internalization
(組織、グループ、
個人間)
Combination
(グループ内)
暗黙知
データベース、またはフォーラムなどの媒介ゅを用いた分
類、加工、編集などによる知識の創造プロセス
内面化
組織レベルの形式知がベースとなり、行動や学習を通
じて再び個人の暗黙知が創造されるプロセス
形式知
マニュアルに書かれた実体験により、個人の知識とし
て洗練され、新たな暗黙知となる
行動による学習
SECIモデル
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出典:野中 郁次郎、紺野 登著
’知力経営’、1995、日本経済新聞社
それではプレゼンテーションとは?
プレゼンテーションとは、「コミュニケーション手法」の一つ
、「コミュニケーション手法」の一つである。
、「コミュニケーション手法」の一つ
「コミュニケーション手法」の種類
プレゼンテーション
自分の考えやアイデアを相手に効果的に説明したいとき
ディベート
相手と議論の是非を競い合いたい場合
カウンセリング
相手の気持ちを汲み取って悩みをしようとするとき
コーチング
相手をエンパワーしたいとき
6
効果的なプレゼンテーションのための四つの局面
プレゼンテーションとは
設計し、
設計し、
開発し、
開発し、
練習すべきもの!
練習すべきもの!
計画
準備
「あの人の話のうまさは天性
のもの・・・」は誤り。
努力に勝る天才なし!
練習
本番
段取り
八分!
7
目 次
1 計画局面での実施項目
2 準備局面での実施項目
3 練習局面での実施項目
4 本番局面での考慮点
5 おわりに
8
プレゼンテーションの「目的の設定」
プレゼンテーションの「目的の設定」
社長
「何を伝え」、「何をご理解頂くのか」
→「準備局面」のストーリー展開
「準備局面」のストーリー展開や
ストーリー展開や
個別説明資料における強調点
個別説明資料における強調点を
強調点を決定。
部長
私が出前講演会などで特に心掛けていること
プレゼンター
依頼元・責任者との事前の面談が必須。
今回の講演の
狙いと目標
聴衆のスペック(関心ごと、前提知識、年齢分布、性別・・・) 聴衆のスペック(関心ごと、前提知識、年齢分布、性別・・・) を十分に把握。
担当者
事前に時間を惜しまないことでCS向上、
事前に時間を惜しまないことでCS向上、リピート率アップ
CS向上、リピート率アップ
最低限メールで綿密な打ち合わせを実施。
社長と窓口担当者の問題意識は通常異なり、
大きなギャップがある。
担当者は社長の真意を十分に把握できず、脚色して伝える。
(視野、経験、問題意識・・・)
当日参加するメンバーの最上位役職者と面談すべき。
9
目 次
1 計画局面での実施項目
2 準備局面での実施項目
3 練習局面での実施項目
4 本番局面での考慮点
5 おわりに
10
当日の聴衆
2 準備局面での実施項目・・・プレゼンテーションの「資料の作成」
2-1 ストーリー展開の決定
プレゼンテーション全体の
「起承転結」
ストーリー展開を決める上でのポイント
目的
(何を伝えるのか)
聞き易さ
理解のし易さ
ストーリー展開
話し易さ
魅力的な展開
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2-2 「目次」の作成によるプレゼンテーションの階層構造化
「目次」
プレゼンテーションの「概要」と「ストーリー展開」を説明できるページ
私のプレゼンテーションの作り方
最初に目次を作り、次にページタイトルだけを置いた白紙を用意する。
(いきなり1ページずつ作り始めてはいけない。)
メリット1:全体のシナリオ、ストーリーが可視化
メリット1:全体のシナリオ、ストーリーが可視化でき、
シナリオ、ストーリーが可視化でき、検証
でき、検証できる。
検証できる。
メリット2:全体の資料ボリュームが把握できる
メリット2:全体の資料ボリュームが把握できるので、
資料ボリュームが把握できるので、
①完成までの所要時間が読みやすい。(精神衛生に良い。)
②プレゼンテーションの持ち時間に収まるかどうかの検討が容易。
(私の場合2~3分/頁が目安。)
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2-2-1 時系列的なプレゼンテーション(悪い例)
?
前から順に説明される
説明資料
説明資料
説明資料
説明資料
説明資料
・・・
説明資料
説明資料
説明資料
特に90分以上の、多くの事柄を説明するプレゼンテーションの場合に注意が必要。
「最後まで説明を受けないと結論が分からない!」
途中時点では「今聞いている説明の全体の中での位置づけや関連
途中時点では「今聞いている説明の全体の中での位置づけや関連が分からない!」
全体の中での位置づけや関連が分からない!」
あるいは、「最初に受けた説明の内容が忘却の彼方
あるいは、「最初に受けた説明の内容が忘却の彼方にある」
最初に受けた説明の内容が忘却の彼方にある」
断片的には分かったが、「全体として何の説明を受けたのか?」
断片的には分かったが、「全体として何の説明を受けたのか?」
「理解し易くする工夫」が、「目次」を利用した
「理解し易くする工夫」が、「目次」を利用した
「プレゼンテーションの階層構造化」
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2-2-3 階層構造化されたプレゼンテーション(良い例)
最初に「目次」で全体の概要とストーリーの展開を説明
次に個別の説明へと移り、一つの説明が終わったところで再び「目次」に戻る。
それまでに説明した「内容のまとめ」を行い、次の目次項目の説明へと進む。
この手順を繰り返すことにより、お客様は今全体のどの部分を聞いているのかが明確になる
①プレゼンテーションの概要と
ストーリー展開の説明
目次
説明資料
「インターネット普及の背景」
に関する詳細な説明
説明資料
②
③
1.インターネット普及の背景
2.現在の利用状況
④
3.今後の展開
説明資料
説明資料
説明資料
説明資料
②目次を起点とした詳細説明への展開
③一連の詳細説明の終了に伴う目次への戻り
④説明内容のまとめと、次の目次項目への説明の移動
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「現在の利用状況」
に関する詳細な説明
「今後の展開」
に関する詳細な説明
2-3 個別説明資料作成のための「目次」から「キーワード」への展開
設定した複数のキーワードが、各目次項目内でのストーリーを構成する。
個々の「キーワード」を説明するための資料が、「個別説明資料」となる。
「1ページに含まれるキーワードは三つ以内が目安」・・・「見易さ」「簡潔さ」の確保。
「1ページに含まれるキーワードは三つ以内が目安」・・・「見易さ」「簡潔さ」の確保。
「長い説明文章の記述」はご法度・・・お客様が投影された資料や配られた資料に集中し、
「長い説明文章の記述」はご法度・・・お客様が投影された資料や配られた資料に集中し、
関心がプレゼンテーションから説明資料へ移ってしまう。
プレゼンテーションの全工程で注目され続けることが、効果的なプレゼンテーションの前提。
キーワード
②各目次項目内のストーリー展開
{
{
{
②
①目次項目間のストーリー展開
目次
1.インターネット普及の背景
2.現在の利用状況
3.今後の展開
ARPANet
NSFNET
NII構想
PUBLIC NETWORK
World Wide Web
・
・
・
②
Banking
Trading
Retail
Portal Site
EXTRANET ANX
個別説明
資料
個別説明
資料
個別説明
資料
・
・
・
・
・
・
・
・
・
Internet2
NGI構想
②
・
・
・
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2-4 「事例」や「統計資料」の活用
「事例」・・・プレゼンテーションの「具体性」
「事例」・・・プレゼンテーションの「具体性」、お客様の
「具体性」、お客様の「理解の助け」
、お客様の「理解の助け」
「統計資料」・・・プレゼンテーションの「客観性」
「統計資料」・・・プレゼンテーションの「客観性」、
「客観性」、「信憑性」
2-5 プレゼンテーション資料のビジュアル化
アニメーション(動き)を付けるメリット
アニメーション(動き)を付けるメリット
お客様に重要なメッセージを一つずつ順を追って強調できる。
お客様の集中力が持続し易い。
話し手が1ページの中での説明順序を確実に認識できる。
「現在のページは次のページを説明する枕である」というつもりで
「現在のページは次のページを説明する枕である」というつもりで
作成すると、自ずとストーリーの連続性が保たれる。
分かりやすい資料の作り方
市
「分かる」=「分ける」
場
分類軸、対立軸を明示。2軸または4軸(「田」の字)
分類軸、対立軸を明示。2軸または4軸(「田」の字)
「学ぶ」=「まねぶ」=「真似る」 (栗山=「ぱ」くりやま!?)
例え話の利用(聞き手の知っているものに例える。)
例え話の利用(聞き手の知っているものに例える。)
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多角化の概念
新規市場
戦略
多角化戦略
(狭義)
市場浸透
戦略
新製品
戦略
製品
目 次
1 計画局面での実施項目
2 準備局面での実施項目
3 練習局面での実施項目
4 本番局面での考慮点
5 おわりに
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3-1 プレゼンテーション資料の検証
シャドウ・プレゼンテーション
実際に話してみてのプレゼンテーション資料の検証。
頭の中での組み立てと、実際に声に出すのとは大きく異なる。
言葉は咄嗟には出てこない。
プレゼンターにとっては話しづらい資料は、お客様にとっては
間違いなく聞きにくく、理解しづらい。
資料を検証する上でのポイント
ストーリー展開
理解のし易さ
聞き易さ
資料の検証
魅力的な展開
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話し易さ
3-2 プレゼンテーション運営方法の決定
資料による説明に加え、「自己紹介」や「Q&Aタイム」等を含めた
全体の運営及び、各パートの時間配分を決定。
途中で要約や「Q&A」を入れることにより、メリハリをつける。
デモンストレーションやビデオ等のAV系を取り入れる。
2時間を越える場合は途中で「ストレッチ体操」なども有効。
声の大きさ
3-3 話し方の練習
話すスピード
話し方の練習
声の抑揚(強弱)
間(呼吸)
3-3-1 「声の大きさ」と「声の抑揚(強弱)」
「声の大きさ」はプレゼンターの熱意の現われ。
「声が小さくて聞こえない」とお客様が感じた時点で、そのプレゼンテーションは失敗。
「声の抑揚(強弱)」とは「強調したいところ」と「そうでないところ」でボリュームを変えること。
3-3-2 「話すスピード」と「間(呼吸)」
早口は禁物。聞き取れなかったり、「拙速な印象」を与える。
「言葉と言葉の間」において、一呼吸の「溜め」を作る。
Change of Pace・・・意図的に沈黙を作る。(あれ?どうしたのかな?と思う。)
19
目 次
1 計画局面での実施項目
2 準備局面での実施項目
3 練習局面での実施項目
4 本番局面での考慮点
5 おわりに
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4-1 オープニングの実施
Ice Cracking(外人は必ずやっている。)
Ice Cracking(外人は必ずやっている。)
最初に「打ち解けた雰囲気」を作る。
自己紹介を兼ねた軽いジョークやボケ。
プレゼンターに対する期待感の高まり。(面白そうだ!)
11
12
1
10
2
3
9
4-2 時計位置の確認
4
8
7
6
5
目立たない形でさりげなく時計を見て、時間管理を行う。
時間を気にしている様子は、「余裕の無さ」、「拙速さ」として伝わる。
腕時計は自己紹介時に外してPCの傍らに置き、マウス操作時にさり気なく見る。
4-3 お客様の反応の確認
説明内容を理解できていないと思われた時には平易な説明に切り替える。
関心が薄れていると判断された時には、お客様に質問を投げかけたり、
説明の仕方を変えてみたりと、臨機応変の対応を試みる。
臨機応変な対応の前提が「お客様の反応の確認」。
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4-4 視線の移動(アイ・コンタクト)
視線を移動させ、複数のお客様と視線を合わせる。
開始5分で全員を味方に付ける!
"Active Listener"の囲い込みによる
"Active Listener"の囲い込みによる「オセロ作戦」
の囲い込みによる「オセロ作戦」
スクリーンは極力振り返らない。
お客様に背を向けない。
同じものは手許のPCに映ってい
る。(もちろん内容が完璧に頭に
入っているのが理想。)
右利きの人は向かって右に立つ
では、お客様が寝てしまったら・・・!?
4-6 動き回る、
ホワイトボードに書く・・・
4-5 笑いをとる
「カンフル注射」としてのジョーク。
「笑い」は最高の反応。
(笑う門には福が来る。)
寝ている人は絶対に笑わない。
「笑う」=「起きている」+「聞いている」
+「共感する・面白いと思う」
笑いがあれば隣の人も起きる。
「しまった!何か面白い話を聞き漏らし
てしまったようだ。今度はちゃんと聞い
ていよう!」と思ってもらえる。
目先を変えることで
お客様の緊張感を保つ。
あたかもロックバンドの
ヴォーカリストのように!
お客様が寝てしまうのは
プレゼンターの責任。
プレゼンターの責任。
決して怒ってはいけない。
どこまでも自責!
どこまでも自責!
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4-7 クロージングの実施
「終わりを宣言」し、プレゼンテーションの機会を与えられたことに「お礼を述べる」。
当たり前のようで意外と行われていない。
目的は「プレゼンテーションを全体を引き締め」、「好印象を与えて終了する」こと。
終わり良ければすべて良し!
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4-8 雑感
栗山は「落研」出身
ではありません!!
落語・・・崇高なる「究極の話芸」。
パントマイム・・・視覚に何をどう訴えるか?
栗山はレーザーポインターは好きではありません。
プレゼンテーション、音楽、スポーツ
・・・リズム感など、共通点がたくさんあります。
カラオケも一種のプレゼンテーション
(自己表現)である。
人生何事も「完全なる無駄」は無い。
一芸に秀でる者、多芸に通ず。
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目 次
1 計画局面での実施項目
2 準備局面での実施項目
3 練習局面での実施項目
4 本番局面での考慮点
5 おわりに
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深みのあるプレゼンテーション
効果的なプレゼンテーションには二つの側面がある。
「各局面での実施項目と考慮点」といった方法論。
プレゼンター自身の専門領域に関するスキル。
プレゼンター自身のスキルが、言葉の端々に自然と現れる。
お客様は平易な言葉の中にもこれを「プレゼンテーションの深み」として
敏感に感じ取る。これがプレゼンターに対する信頼感である。
卓越した見識と能力を兼ね備える
われわれ中小企業診断士が
プレゼンテーション技術を
習得すれば、まさに「鬼に金棒!」
習得すれば、まさに「鬼に金棒!」
専門領域に関するスキル
プレゼンテーション技術
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ご静聴、有り難うございました!
等身大のあなたを伝える技術
プレゼンテーション
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