静岡大学大学院理工学研究科 博士前期課程・ 数学専攻 平成12年度(第2次)入学試験問題 専 門 (数 学) 注意事項: 1 2 3 はすべて解答せよ。 4 5 6 7 8 9 から2問を選び解答せよ。3問以上解答してはいけない。 なお解答用紙は問題ごとに別にし、各用紙に問題番号を明記せよ。 1 関数 f : R → R を f (x) = ( x2 sin( x1 ) (x 6= 0) 0 (x = 0) とする. (1) f (x) の 微分可能性を 調べよ. (2) f 0 (x) の 連続性を調べよ. (3) a を正数とするとき、区間 [0, a] で f 0 (x) はリーマン積分可能 か.また、無限区間[0, ∞) ではどうか. 2 3次元実列ベクトル空間 R3 の線形変換 f : R3 −→ R3 はベクト ル t (1, 1, 1), t (1, 1, 0), t (1, 0, 0) をそれぞれベクトル t (2, 1, −3), t (2, 1, −2), t (2, −1, 1) に移す. ベクトル v1 , · · · , vm で生成された部分空間を L(v1 , · · · , vm ) で表す. このとき,次の問いに答えよ. (1) 標準基底に関する f の表現行列を求めよ. (2) R3 の部分空間 W は f (W ) ⊆ W であるとき,f -不変な部分空 間と云われる.R3 の f -不変な1次元部分空間は L(t (0, 1, −1)) と L(t (0, 0, 1)) の2つだけであることを示せ. (3) 1次元部分空間 L(t (0, 1, −1)) を含む2次元部分空間で f -不変 なものをすべて求めよ. 3 (1) (X1 , d1 ) および (X2 , d2 ) を距離空間とする. 直積集合 X1 ×X2 の2元 x = (x1 , x2 ), y = (y1 , y2 ) に対して, 1 d(x, y) = ((d1 (x1 , y1 ))2 + (d2 (x2 , y2 ))2 ) 2 と定義する. このと き, 次のことを証明せよ. (i) d は X1 × X2 上の距離関数になる. (ii) di から定まる Xi 上の距離位相を Oi とすれば (i = 1, 2), X1 × X2 上の積位相 O1 × O2 は d から定まる X1 × X2 上 の距離位相と一致する. (2) (X, O1 ), (Y, O2 ) および (Z, O3 ) を位相空間とする. f : (X, O1 ) → (Y, O2 ), g : (X, O1 ) → (Z, O3 ) を連続写像とす る. h : X → Y × Z を h(x) = (f (x), g(x))(x ∈ X) と定義す る. このとき, h は (X, O1 ) から積空間 (Y, O2 ) × (Z, O3 ) への 連続写像となることを証明せよ. 以下は選択問題である.2題についてのみ解答せよ. 4 つぎの問いに答えよ. (1) ある複素数 α について, 1, α, α2 は線形独立であり, 1, α, α2 , α3 は線形従属であるとする. このとき, 1, α2 , α4 は線形独立であ り, 1, α2 , α4 , α6 は線形従属であることを示せ. ただし, 線形 性はすべて有理数体上で考えるものとする. (2) 複素数 α が代数的数のとき, その絶対値 |α| もまた代数的数で あることを示せ. ただし, 有理数係数の 1 次以上のある代数方 程式の解となる数を代数的数という. 5 複素数値関数 f (z) が, D = {z ∈ C | |z| ≤ R} (R は正定数)で 正則とする. このとき, 次が成り立つことを示せ: (1) 任意の正数 r ∈ (0, R] にたいして, Z 2π 1 0 (i) f (0) = f 0 (reiθ )dθ, 2π 0 Z 2π 1 0 2 (ii) |f (0)| ≤ |f 0 (reiθ )|2 dθ. 2π 0 (2) D の境界 ∂D の像曲線 f (∂D) の長さを L とするとき, L ≥ 2πR|f 0 (0)|. (3) D の像 f (D) の面積を A とするとき, A ≥ πR2 |f 0 (0)|2 . 6 1 次元ユークリッド空間 R のボレル σ-algebra B(R) 上で定義さ れた測度 µ が, 次の条件 (∗) を満たすとする. (∗) µ((0, 1]) = 1, µ(E) = µ(x + E) (∀x ∈ R,∀E ∈ B(R)). ただし, x + E = {x + y : y ∈ E}. このとき, 次の問いに答えよ. (1) 各 x ∈ R に対して ( g(x) = µ((0, x]) (x ≥ 0), −µ((x, 0]) (x < 0) と定義される関数 g について, 次を示せ. (i) x ≤ y の時, µ((x, y]) = g(y) − g(x). (ii) g は, 右連続関数. (iii) x, y ∈ R について, g(x + y) = g(x) + g(y). (2) (1) の結果から, x ≤ y の時, µ((x, y]) = λ((x, y]) (ただし, λ は 1 次元ルベーグ測度を表す)を示せ. さらに, µ(E) = λ(E) (∀E ∈ B(R)) を示せ. 7 4 次元ユークリッド空間 R4 と 2 次元複素数空間 C2 を写像 F : R 4 → C2 , F (x) = (x1 + ix2 , x3 + ix4 ) (x = (x1 , x2 , x3 , x4 ) ∈ R4 ) で同一視する. このとき, 次の各問に答えよ. (1) 写像 J : R4 → R4 を J(x) = F −1 (iF (x)) (x ∈ R4 ) で定義すると, x と J(x) は直交することを示せ. (2) 3 次元球面 S3 = {(x1 , x2 , x3 , x4 ) ∈ R4 | (x1 )2 + (x2 )2 + (x3 )2 + (x4 )2 = 1} 上の各点 x ∈ S3 に対して, x を始点とし x + J(x) を終点とす る ベクトルを X(x) で表す. このとき, X(x) は S3 の x における 接ベクトルであり, かつ X は S3 上の特異点のない C ∞ 級ベ ク トル場であることを示せ. 8 X, X1 , X2 , · · · を確率変数とする.ある p > 0 に対して lim E|Xn − X|p = 0 n→∞ が成り立つとする.このとき,次の問いに答えよ. (1) 任意の ² > 0 に対して P (|Xn − X| > ²) → 0 (n → ∞) が成り 立つことを示せ. (2) f (x) が R 上の有界連続関数のとき limn→∞ E|f (Xn )−f (X)| = 0 を示せ. (3) f (x, y) が R2 上の有界連続関数のとき un (x) = Ef (x, Xn ), u(x) = Ef (x, X) とおくと un (x) は u(x) に広義一様収束する ことを示せ. (4) (3) の結果を利用して f が R 上の有界連続関数のとき Z ∞r ny n − 2 un (x) = e 2 f (x + y)dy とおくと,n → ∞ のとき 2π −∞ un (x) は f (x) に広義一様収束することを示せ. 9 p, q, r を命題変数とする. また, ∧, ∨, →, ¬ はそれぞれ「かつ (and)」,「または (or)」,「ならば (if · · · then)」,「∼ でない (not)」 を表す. (1) 直観主義命題論理において, 次の論理式が証明可能であること を示せ. ((p∧q)∨(p∧r)) → (p∧(q ∨r)) (2) 直観主義命題論理において, 次の論理式が証明可能でないこと を示せ. ((p → q) → p)) → p (3) 命題論理の論理式 A および B を ∧, ∨ 以外の論理記号を含ま ないものとする. 古典命題論理で A → B が証明可能ならば, 直観主義命題論理においても A → B が証明可能であることを 示せ.
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