参−09 国際競争力のあるロードツーリズムの実現に向けて -諸外国の事例からみた北海道における外国人ドライブ観光のあり方- (独 )土 木 研 究 所 寒 地 土 木 研 究 所 まえがき 地域景観ユニット ○松 山 雄 馬 松 田 泰 明 加治屋 安彦 分析すると共に、ドライブ観光に関する 近年、国際観光の重要性が増す中、道 アンケート調査を実施した。 路においても観光振興への貢献が重要と 本稿では、これらの調査結果を考察す な っ て お り 、20 07 年 1 月 に 施 行 さ れ た 観 るとともに、北海道において国際競争力 光立国推進基本法でも国や自治体の貢献 の あ る「 道 路 を 活 用 し た 観 光 」( 以 下:ロ が責務とされている。そのような背景の ードツーリズム)の実現に向け、今後増 中 、200 4 年 か ら 本 格 的 に 始 ま っ た「 シ ー 大が見込まれる外国人ドライブ観光に関 ニ ッ ク バ イ ウ ェ イ 北 海 道 」を は じ め 、「 日 して、今後必要と考えられる取り組みに 本風景街道」など、道路資産を有効活用 ついて提案する。 し 、地 域 に 新 た な 活 力 と 富 を も た ら す“ み ち”をテーマとした観光・地域振興の取 り組み進められている。 北海道ではこのような活動も契機と なり、近年アジアを中心とした外国人観 光客による車窓からの美しい沿道景観 ( 写 真 -1) を 楽 し み な が ら の レ ン タ カ ー ドライブ観光の人気が急速に高まってい 写 真 -1 北 海 道 の美 しい沿 道 景 観 る( 図 -1)。さ ら に 、来 道 外 国 人 の 半 数 を 占 め る 台 湾 人 観 光 客 が 2 007 年 9 月 よ り 、 (台数) 3,000 (2,595) 日本国内での運転が可能になったことか 2,500 ら 、外 国 人 ド ラ イ ブ の 増 加 が 予 想 さ れ る 。 2,000 1) からは、レンタカー 1,500 ドライブ観光をする外国人観光客は高い 1,000 所得と高い教育を受けている人が多いと 500 の結果があり、また、北海道観光に訪れ 0 海外の既存研究 る外国人についても海外旅行経験が豊富 な富裕層が多かった 2)3) 。 そこで、これまで官民が連携して行っ てきた外国人ドライブ観光に関する実証 実験 2)3) を踏まえ、諸外国において展開 されている様々な取り組みについて調査 新千歳空港レンタカー協議会調べ 1,354 288 345 2003 2004 479 2005 2006 2007 (年) ※2007年は1月~10月の台数 図 -1 新 千 歳 空 港 の外 国 人 レンタカー貸 出 数 1 .諸 外 国 に お け る “ み ち ” を テ ー マ と し た観光・地域振興の取り組み 1 .1 取 り 組 み 事 例 の 概 要 日本人等の観光客が多く訪れる先進諸 Yu ma M a t s u ya ma , Ya s u a k i M a t s u d a , Ya s u h ik o K a j iy a 表 -1 諸 外 国 の取 り組 み概 要 一 覧 国名 プログラム等の名 称 主体 開始時期 ドイツ フランス イギリス オーストラリア ニュージーランド ドイツ観光街道 (休暇街道) フランスの美しい道 ドライビング・ イン・ブリテン 遺産街道とツーリング ルート ニュージーランド 8街道 シーニック・バイウェ イ・プログラム 観光街道 ドイツ政府観光局 自治体等 フランス政府観光局 エールフランス 英国政府観光庁 タスマニア州観光・芸 術・環境省 政府観光局 陸運輸送庁 連邦道路庁 US.DOT オンタリオ州観光局 1927年 2005年 (1950年に本格化) (2年間のキャンペーン) 2000年 2005年 2003年 (約7年間のキャンペーン で2006年に終了) 5 11 8 150以上 ルート数 (地域や自治体レベルで選定 するものもあるため正確な数 は不明) 10 アメリカ カナダ 1989年(取り組み) 1996年(指定) 1990年代 126 (連邦指定) 18 (オンタリオ州のTourist Routes) 主体が独自に選定 主体が独自に選定 主体が独自に選定 主体が研究をふまえ選 定 主体が独自に選定 地元等の取り組みを主 体が評価して認定 主体が独自に選定 取り組みの性格 ・内発的取り組み ・関連組織による一部 日本に向けた強力なプ ロモーション ・関連組織による日本 向けプロモーション ・関連組織による日本 向けプロモーション ・内発的取り組み ・関連組織によるプロ モーション ・関連組織による研究 ・関連組織による日本 向けプロモーション ・内発的取り組み ・関連組織によるプロ モーション ・関連組織による一部 日本に向けた強力なプ ロモーション 情報発信元 政府観光局 政府観光局 政府観光庁 州観光局 政府観光局 連邦交通省 政府観光局 州観光局 ・Webサイト ・ガイドブック ・Webサイト ・ガイドブック ・Webサイト ・Webサイト ・Webサイト ・ガイドブック Webサイト 指定の性格 広報・PR手法 ・Webサイト ・ガイドブック (6つの観光街道が対象/ロマンチッ ク街道は別途詳細有) Webサイト の内容 ・ドライブルート ・観光案内 ・詳細マップ ・簡易的な観光案内 ・簡易的な観光案内 ・簡単なドライブルート ・簡単な観光案内 ・ドライブルート ・簡単な観光案内 ・ドライブルート ・観光案内 ・詳細マップ ・ドライブルート (メープル街道のみ) ・観光案内 ガイドブック の内容 ・ドライブルート ・観光案内 ・詳細マップ ・簡易的なドライブルー ト ・充実した観光案内 ・ドライブルート ・観光案内 --- --- ・ドライブルート ・観光案内 ・取り組み概要 --- Webの使用言語 (国数カウント) 26カ国に対応 (日本語有り) 37カ国に対応 (日本語有り) 42カ国に対応 (日本語有り) 9カ国に対応 (日本語有り) 9カ国に対応 (日本語有り) 日本語対応無し 10カ国に対応 (日本語有り) 国を対象として、既存資料・文献調査や ・フランスの美しい道(仏) 在京の各国政府観光局等へのヒアリング 【目的】従来の人気ルートから一歩奥に 調 査 を 行 い 、取 り 組 み 概 要 を 整 理 し た( 表 あ る「 地 域 が も つ 未 知 の 魅 力 」を 紹 介 し 、 - 1)。 各 国 の 目 的 や 特 徴 を 以 下 に 述 べ る 。 新しい需要を掘り起こすことが目的。 ・ ド イ ツ 観 光 (休 暇 )街 道 ( 独 ) 【特徴】エリアの個性を味わえるよう、 【 目 的 】192 7 年 に ド イ ツ ・ ア ル ペ ン 街 道 それぞれの道には個性的なテーマが設定 が設けられた後、戦後の経済復興を目的 され、沿線には観光地や地方独特の郷土 に 1 950 年 に 約 40 ル ー ト 設 定 さ れ た 。 料理等、地方独自の楽しみ方やアクティ 【特徴】街道の指定や認定に規制は設け ビティーが充実しており、2 泊 3 日で楽 ておらず「 、個人の休暇を楽しむための観 しめることが可能な行程で「美しい道」 点」で企画運営され、各地域の住民活動 を 設 定 し て い る ( 図 -3, 5)。 も 盛 ん で あ る ( 図 -2)。 ま た 、広 報 ・ PR の 効 果 は 大 き く 、多 く の日本人観光客が訪れるようになったと 報告されている 4) 。日本で知名度の高い 「ロマンチック街道」は、外国人向けの PR の た め に 企 画 さ れ た も の で あ る 。 図 -3 フランスの主 なルート 6) ・ドライビング・イン・ブリテン(英) 【目的】英国の魅力を伝え、より多くの ドライブ観光客を取り込むことが目的。 【特徴】おすすめのドライブコースとし 図 -2 ドイツの主 なルート 5) て 広 く PR す る た め の 取 り 組 み ( 図 -4)。 ドライブ観光客向けに 1 泊 2 日~2 泊 3 1 1 ル ー ト ( 図 -6) を HP に よ り 、 日 本 語 日のコースが中心となっている。 などで紹介している。 ま た 、 英 国 政 府 観 光 庁 は HP 上 で 情 報 提供するとともに日本語を始めとする言 語 で ガ イ ド ブ ッ ク ( 図 - 5) を 作 成 。 ド ラ イブコース案内とともに観光案内が充実 したものであり、英国での運転アドバイ スが一通り分かる内容となっている。 図 -6 オーストラリアの主 なルート 8) ・ニュージーランド 8 街道(新) 【目的】政府観光局が古くからの「日本 の街道」を手本に、旅行業者や観光客に ニュージーランドの各地域の特徴をわか 図 -4 イギリスの主 なルート 7) り や す く 理 解 し て 貰 う こ と が 目 的( 図 -7)。 【特徴】マーケティングの為のもので、 実際には現地に「街道」の標識などはな いが、同観光局が提供しているパンフレ ットなどはすべて「8 街道」のコンセプ ト に 基 づ く 。こ の 取 り 組 み は 、200 6 年 政 府観光局の政策方針により休止している が 、政 府 観 光 局 の HP 上 や 各 旅 行 会 社 の パ ンフレットなどでは、現在も 8 街道及び 図 -5 ガイドブックの表 紙 左 :フランス「フランスの美 しい道 」6) 右 :イギリス「5 つのおすすめドライブコース& ドライブのためのアドバイス」7) その他のルート案内として、ルート毎の 見所やアトラクションが紹介されている。 ・遺産街道とツーリングルート(豪・タ スマニア) 【目的】既存の遺産道路を軸として、通 過観光の問題解決や地域内の観光移動を 活性化させることが目的。 図 -7 ニュージーランドの主 なルート 9) 【特徴】観光資源や街の特性からエリア 別 に SW OT 分 析・把 握 を 行 い 、各 エ リ ア で のツアールート設定の戦略を構築し、住 ・シ ー ニ ッ ク バ イ ウ ェ イ プ ロ グ ラ ム( 米 、 米各州) 民との協働によるワークショップを通じ 【目的】道路自体が観光資源になり得る 各エリアのアクションプランを策定して ことに着目し、意義のある道路を公的に いる。タスマニア観光局では、遺産街道 認定して、その資源価値を向上させるこ ならびに遺産街道とリンクしたルート等、 とが目的 10) 。 【特徴】日本のシーニックバイウェイが 1 .2 外 国 人 観 光 客 の た め の 安 全 で 快 適 な 参 考 と し た プ ロ グ ラ ム 。19 89 年 の「 シ ー 運転支援の取り組み事例の概要 ニックバイウェイ法」制定をきっかけに 今後、左ハンドルの右側通行に慣れて 本格的に活動。ルートにグレード設定が いる台湾人ドライバーの増加など、外国 あり、いずれも指定条件を満足する地域 人のドライブ観光増加によって、交通事 の 資 源 や 活 動 内 容 が 条 件 ( 図 -8)。 な お 、 故の増加等が考えらるため、北海道にお 州政府のプログラムは、地域の環境や特 いても地理や交通ルールに不案内な外国 徴に応じて独自の内容となっている。 人に対し、安全で快適な運転支援も重要 と考えられるが、諸外国では以下の取り 組みが行われている。 ・オーストラリアの事例 ニ ュ ー サ ウ ス ウ ェ ー ル ズ 州 で は 、独 自 で「 道 路 利 用 者 の ハ ン ド ブ ッ ク 」( 図 -11) を作成し、道路に関する実用的な情報、 図 -8 アメリカの主 なルート 11) 運転ルール、交通違反の罰金等を紹介し て い る 。 充 実 し た 内 容 で 1 32 頁 に 及 ぶ 。 ・観光街道(加・オンタリオ州) このハンドブックは、在豪の外国人や外 【 特 徴 】 199 0 年 代 に 観 光 振 興 を 目 的 に 、 国人観光客も旅行計画に活用できるよう、 道路を活用して、自然景観に優れた地区 W eb サ イ ト か ら ダ ウ ン ロ ー ド で き 、 1 1 カ や文化的・歴史的遺産、街並を結ぶ観光 国語対応となっている。 ル ー ト で あ る( 図 -9)。カ ナ ダ 政 府 観 光 局 は H P 上 で 、有 名 な 遺 産 街 道( 通 称 メ ー プ ル街道)の日本人観光客向け専用サイト ( 図 -10)を 立 ち 上 げ 、観 光 促 進 を 積 極 的 に進めている。 図 -11 「道 路 利 用 者 のハンドブック」内 容 例 13) ・ニュージーランドの事例 図 -9 カナダの主 なルート 12) 年 間 60 万 人 の 外 国 人 が レ ン タ カ ー で 移動する同国では、陸上交通安全局が大 学と共同でこれらに関する調査研究を進 め て い る 。こ の 研 究 1) で は 、外 国 人 ド ラ イバーに対しての安全運転啓発や交通ル ールの周知、交通事故対策が重要とし、 特に道路・交通事情が異なるアジアなど の非英語圏からの観光客に対し、情報を 図 -10 カナダ観 光 局 によるメープル街 道 HP12) 適切に提供していくことが、観光客の安 全な移動に繋がると指摘している。 特 に 計 画・準 備 段 階にお い て、国内 の はじめて 35.6% 交通法やルールなどの内容を効果的な手 いいえ 37.0% はい 63.0% 過去にある 64.4% 段で提供していくことを薦めている。 (n=73) 2 .北 海 道 の ド ラ イ ブ 観 光 に 関 す る 外 国 人 アンケート調査 (n=73) 図 -12 来 道 経 験 図 -13 日 本 での レンタカー利 用 経 験 以上、諸外国の取り組み事例について 述べてきたが、これらの事例を踏まえ、 2 .2 旅 行 前 の ド ラ イ ブ 観 光 目 的 北海道のドライブ観光に関し、外国人ド 図 -14 に 「 北 海 道 へ の ド ラ イ ブ 観 光 の ライバーから見た課題やニーズを把握す 目 的 」の 回 答 結 果 を 示 す 。「 自 然 ・ 農 村 ・ る た め 、 当 研 究 所 が 運 営 す る WEB サ イ ト 歴 史 景 観 」( 94% )が 最 も 多 く 、次 い で「 食 「 北 の 道 ナ ビ ( 多 言 語 版 )」 上 で 、 4 カ 国 事 ・ 食 材 ・ 特 産 品 」( 73 % )、「 温 泉 」 語(英語、韓国語、中国語(繁体字、簡 ( 69 % )、「 運 転 ( ド ラ イ ブ ) そ の も の 」 体 字 ))に よ る ア ン ケ ー ト 調 査 を 実 施 し た 。 ( 68% )で あ っ た 。こ れ ら の 結 果 は 、20 07 主 な 聞 き 取 り 内 容 は 、旅 行 前 の 計 画 及 年にシンガポールからのドライブ観光客 び、ドライブ観光中の休憩や情報収集等 を対象とした「北海道における地域協働 の各々の段階における不安や情報サービ 型外国人ドライブ観光推進調査」の研究 スの改善点等である。アンケート調査の 結果 概 要 を 表 -2 に 示 す 。な お 、個 別 設 問 の 集 有の地域資源(景観・食・温泉)への期 計は無回答を除いた値としている。 待の高さと共に、運転そのものへの期待 表 -2 アンケート調 査 概 要 アンケート実施方法 アンケート実施期間 回答数 「北の道ナビ(多言語版)」上のWebアンケート 2007年3月21日~11月21日(246日間) 92票 (英語:17 中国語簡体字:6 中国語繁体字:69 韓国語:0) 男性 73.1% 女性 26.9% 10代 2.6% 20代 10.3% 30代 48.7% 40代 30.8% 50代 5.1% 60歳以上 2.6% 中国(香港)が73.6% 次いで、アメリカと台湾が5.6% オーストラリアとシンガポールが4.2%と続く 国籍 日本への旅行回数 と同様の傾向であり、北海道特 も高く、北海道におけるドライブ観光の 可能性を再認識する結果であり、今後、 期待を裏切らない努力が必要である。 ※英語のみ2月9日から実施 性別 年齢 2)3) 初めて 6.8% 1~5回 47.3% 6~10回 32.4% 11回以上 13.5% 旅行形態 個人旅行 94.1% ツアー5.9% 2 .1 北 海 道 へ の 旅 行 経 験 と レ ン タ カ ー ド ライブの経験 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 自然・農村・歴史景観 90% 100% 94.1% まち歩き観光 22.4% 歴史・文化 20.0% 北海道の気候(涼しい夏・冬の雪) 45.9% 温泉 69.4% 食事・食材・特産品 72.9% テーマパーク 16.5% スキー 16.5% アウトドア(スキー以外) 16.5% お祭りやイベント 30.6% 運転そのもの 68.2% 友人訪問 7.1% その他 7.1% (n=85) 図 -14 北 海 道 観 光 の目 的 2 .3 旅 行 計 画 時 に 不 安 に 感 じ た 項 目 回 答 者 の 6 4% の 方 が 、過 去 に 来 道 経 験 図 -1 5 に 「 旅 行 計 画 時 に 不 安 に 感 じ た が あ り 、 初 め て の 方 は 36 % で あ る ( 図 項 目 」の 回 答 結 果 を 示 す 。 「立ち寄り場所 - 12)。 ま た 、 63% の 方 が 、 過 去 に 日 本 国 に 関 す る こ と 」 (56% )が 最 も 多 く 、 次 い 内でレンタカードライブを経験している で 「 レ ン タ カ ー に 関 す る こ と 」( 49% ) で ( 図 -13)。 あった。なお、図示していないが項目の 詳細では「 、 カ ー ナ ビ 搭 載 の 有 無 」( 73% )、 「 ト イ レ 休 憩 可 能 な 場 所 の 有 無 」( 65% )、 「 外 国 語 版 情 報 の 有 無 」( 60 % )、「 ガ ソ リ ン ス タ ン ド の 場 所 」( 59% )へ の 回 答 が 0% 10% 20% トイレが快適に使えない(汚れている、 便器の数が少ない等) 16.7% ることが必要と考える。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 37.1% 56.1% 観光地・宿泊地に関すること レンタカーに関すること 49.2% 7.1% (n=66) 図 -17 道 の駅 について「改 善 点 」と感 じた項 目 カードライブ意向 人や知人に旅行に関する情報提供で参考 に し た 資 料 」の 回 答 結 果 を 示 す 。 「観光施 41.5% 特になかった 19.7% 4.5% 図 -1 8 に 「 北 海 道 旅 行 か ら 帰 国 後 、 友 立ち寄り場所に関すること 7.1% 59.1% 2 .5 旅 行 の 振 り 返 り と 北 海 道 で の レ ン タ 道路・運転に関すること その他 18.2% 特になし その他 70% 24.2% 外国語での情報がない をサポートするため、旅行計画時におい タカーに関すること」への不安を解消す 60% 12.1% 気象情報や道路の状況など運転に関する 情報が不足している 地域の特産物やイベント等の情報が不足している て、 「 立 ち 寄 り 場 所 に 関 す る こ と 」、「 レ ン 50% 7.6% 駐車場の駐車スペースが狭く止めにくい、 または駐車スペースの数が足りない 従 っ て 、今 後 は 個 人 型 の 外 国 人 旅 行 者 40% 31.8% 食べ物や土産品などに関する情報が不足している 多かった。 30% それぞれの「道の駅」の間隔が遠く、不便である 設 に あ る パ ン フ レ ッ ト 」( 70% )が 最 も 多 く 、次 い で「 イ ン タ ー ネ ッ ト 」( 37% )で あった。 ま た 、「 特 に 友 人・知 人 に は 話 (n=85) 図 -15 旅 行 計 画 時 に「不 安 」に感 じた項 目 2 .4 道 の 駅 の 利 用 実 態 と 改 善 点 し て い な い 」 は 6% と 少 な い 。 帰 国 後 の 口コミにより、北海道への再訪や新たな 旅行者の開拓へと繋がる可能性があるこ 図 -16 に 「 道 の 駅 の 利 用 有 無 」 の 回 答 とから、来道者の満足度向上と併せ、パ 結 果 を 示 す 。 77% の 方 が 道 の 駅 を 利 用 し ンフレットやインターネット等の広報・ たことがあると回答しており、比較的多 PR 活 動 の 充 実 が 、 今 後 必 要 と 考 え る 。 く の 外 国 人 が 利 用 し て い る 。ま た 、 「道の さらに「 、今後北海道旅行においてレン 駅利用で改善点に感じたこと」の回答結 タカーを利用したいか?」の回答結果で 果 で は ( 図 -1 7 )、「 外 国 語 で の 情 報 が な は( 図 -19)、「 是 非 し た い と 思 う 」と「 し い 」( 59% ) が 最 も 多 く 、 次 い で 、「 そ れ た い と 思 う 」を 併 せ る と 8 6% で あ り 、今 ぞれの道の駅の間隔が遠く不便である」 後のレンタカードライブ観光の可能性が ( 32% ) で あ っ た 。 大きいことを表す結果となった。 こ の こ と か ら 、外 国 人 が 良 く 利 用 す る 道の駅においては、外国語での情報提供 や、外国語の話せるスタッフの配置等の 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 観光施設にあるパンフレット 70.6% 観光情報誌・雑誌 20.6% 整備が今後必要と考える。 地図 22.1% インターネット 36.8% いいえ 22.8% 特に友人・知人には話していない その他 はい 77.2% (n=79) 図 -16 「道 の駅 」の利 用 有 無 80% 5.9% 8.8% (n=68) 図 -18 旅 行 後 に参 考 にした資 料 3.9% 是非したいと思う 10.5% 17.1% • 北 海 道 の 魅 力 と し て 「 景 観 」、「 食 」、 したいと思う 「 温 泉 」、「 快 適 な ド ラ イ ブ 環 境 」が 多 どちらとも言えない く 、特 に ド ラ イ ブ 中 の「 沿 道 景 観 」に あまりしたいと思わない 68.4% ついて魅力を感じていた。 したいと思わない • 今後もレンタカー利用の意向が高い (n=76) 中 、レ ン タ カ ー の 借 り 方 や 高 速・ガ ソ 図 -19 レンタカー利 用 の意 向 リ ン 料 金 な ど 、運 転 に か か わ る 情 報 を 3 .ま と め 計画準備段階に得られる環境が求め 3 .1 諸 外 国 の 取 り 組 み られている。 本稿で紹介した諸外国における“み • 外 国 語 に 対 応 し た 道 の 駅 な ど 、特 に 旅 ち”をテーマとした取り組みの性格を整 行中に得られる情報の外国語対応が 理すると以下の通りまとめられる。 求 め ら れ て い る 。ま た 、カ ー ナ ビ( 特 ① 街道プログラム・システムの構築 に 外 国 語 対 応 等 )に 対 す る 期 待 も 高 い 。 • 国全体のプログラム推進の重要性と 共 に 、地 域 資 源 や 環 境 に 応 じ た 地 域 独 4 .今 後 の 北 海 道 に お け る 外 国 人 ド ラ イ ブ 自の街道プログラムの構築。 観光に関する取り組みの提案 ② 積極的なプロモーション活動と外国 • • • 諸外国の取り組みやドライブ観光に 語による旅行計画支援 関するアンケート調査及び、北海道にお 外国人観光客の特性やニーズの把握 ける外国人ドライブの実証実験 と そ れ に 合 わ せ た 広 報 ・ PR 戦 略 。 今後の国際競争力のあるロードツーリズ 道 路 ・ 交 通・ 観 光 な ど 、各 関 係 機 関 が ムの実現に向けた北海道における取り組 連携した計画準備段階における外国 みについて、以下のことを提案したい。 人向けの積極的な情報発信によるド 4 .1 質 の 高 い サ ー ビ ス 提 供 ライブ支援。 • 主な対象となる富裕層や海外旅行の 経験豊富な外国人も満足するような、 人ドライバーに対する安全運転支援。 各 ツ ー リ ン グ 段 階 (シ ー ン )で の 質 の 高いサービスと魅力ある資源の提供。 的提案など 4 .2 利 便 性 の 向 上 ドライブ観光を前提とした地域固有 • な楽しみ方や印象的なアクティビテ • • • 外 国 人 ド ラ イ バ ー に 対 し て 、安 全 か つ 円 滑 な 移 動 の た め の 、自 国 語 で の ド ラ わせた旅行計画ができる工夫や提案。 イ ブ 支 援 体 制 の 構 築 。( 特 に 左 ハ ン ド 3 .2 ア ン ケ ー ト 調 査 結 果 ルの台湾等) アンケート調査結果を整理すると以 下の通りまとめられる。 官民が連携した一元的な情報提供と ド ラ イ ブ 支 援 。( コ ー ル セ ン タ ー 等 ) 日 ~ 2 泊 3 日 )で 楽 し め る エ リ ア や ル ー ト を 設 定 し 、複 数 の ル ー ト を 組 み 合 特 に 、計 画 準 備 段 階 か ら の ド ラ イ ブ 観 光の情報提供。 ィーの充実とその提案。 ドライブ観光にあわせた日程(1 泊 2 対象国の自国語による積極的な広 報 ・ PR。 のテーマ設定や街道エリアでの様々 • から、 交 通 事 故 増 加 が 懸 念 さ れ る た め 、外 国 ③ 旅行スタイルの戦略的提案かつ具体 • 2) 3) • カ ー ナ ビ や 道 の 駅 等 、移 動 途 中 に お け る 外 国 語 対 応 。( 可 能 な ら 自 国 語 で の ズムの実現には利便性の向上はもちろん 対応) のこと、それ以上に沿道景観の素晴らし 4 .3 魅 力 の 向 上 さなど、地域資源の魅力を向上させるこ • 官 民 が 協 力 し 、エ リ ア や ル ー ト な ど の とが重要であることを忘れてはならない。 地 域 固 有 の 資 源( 沿 道 景 観 ・ 食 ・ 温 泉 最後に、今回のアンケート調査にご協 な ど )そ の も の の 魅 力 向 上 。 ( 例 :「 シ 力いただいた方々に感謝の意を表する。 ー ニ ッ ク バ イ ウ ェ イ 北 海 道 」 な ど 。) • 休 憩 場 所( 道 の 駅 や ビ ュ ー ポ イ ン ト パ ー キ ン グ 等 )に つ い て 、北 海 道 ら し い 魅力あるものとする。 4 .4 シ ス テ ム の 構 築 • 訪 れ た 外 国 人 旅 行 者 等 、利 用 者 に よ る 評価がツーリング環境の向上に反映 されるシステムの構築と評価手法の 開発。 図 -20 北 の道 ナビ【多 言 語 版 】のアクセス状 況 あとがき 参考文献 日本国内では、国の新しい「観光立国 推進基本法」による観光重視の流れによ り、環境に配慮しながら新しいクルマの 旅の推進・創造する「自動車旅行推進機 構( カ ー た び )」が 設 立 さ れ る な ど 、様 々 な取り組みが始まっている 14) 。 また、北海道では今後増加が見込まれ る外国人観光客によるドライブ観光の促 進を目的に「北海道外国人観光客ドライ ブ観光促進連絡協議会」が設立され、官 民一体となった取り組みが始まった。 なお、当研究所で運営している「北の 道 ナ ビ 」で も 、200 5 年 6 月 か ら 4 カ 国 語 ( 英 語 ・韓 国 語 ・中 国 語 (簡 体 字 ・繁 体 字 )) での道路関連情報提供を実施しており、 年 々 ア ク セ ス 数 が 伸 び て い る ( 図 - 20)。 今後、地域景観ユニットでは、この様 な取り組みを参考に、関連機関等と連携 しながら、国際競争力のある北海道のロ ードツーリズムの実現に向けて調査研究 を進めていく予定である。 なお、国際競争力のあるロードツーリ 1)Land Transport Safety Authority 「Tourist Road Safet in Otago and Southland 」 2004 : http://www.ltsa.govt.nz/research/overseas-tourists/index. html 2)北海道における地域協働型外国人ドライブ観光推 進調査報告書,外国人ドライブ観光推進協議会, 2007 年 1 月 3)松田、松島、大谷:北海道における外国人ドライブ 観光のニーズと課題,北海道開発局技術研究発表会, 2007 年 2 月. 4)「ドイツの観光街道と日本市場」観光文化 1996.3 財団法人日本交通公社 5)「広域・複合連携による観光と交流街道づくり」財 団法人北海道地域総合振興機構 2000 年 6)「フランスの美しい道」:フランス政府観光局発行 のガイドブック 7)「Driving in Britain」:英国政府観光庁発行のガイド ブック 8)タ ス マ ニ ア 観 光 局 HP : http://www.discover tasmania.com.au/home/index.cfm/カーたび「自動車旅 行推進機構」HP:http://www.car-tabi.jp/ 9)http://www.newzealand.com/travel/ja/trade/training-tools /select-a-module/modules/htsnz---japan/section-three/eig ht-kaido-heritage-&-pacific.cfm 10)加治屋: 「米国におけるシーニックバイウェイの取 り組み」,北海道開発土木研究所月報 No.582,2001 年 11 月 11)シーニックバイウェイ HP:http://www.byways.org/ 12) カ ナ ダ 政 府 観 光 局 「 メ ー プ ル 街 道 」: http://www.canada.or.jp/ 13)http://www.rta.nsw.gov.au/licensing/downloads/gettitest sdrivieduca_dl1.html?plid=3 14) カ ー た び 「 自 動 車 旅 行 推 進 機 構 」 HP : http://www.car-tabi.jp/
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